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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、海に行く

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88 クマさん、宿屋で襲われる

 ウルフの提供も終わり、宿に戻ってくる。
 本日の夕食もマッチョ料理を食べ、お腹もポッコリと膨らむ。
 明日にでも盗賊退治に向かう予定なので今日は早く寝ることにする。
 布団に入ると防犯対策にこぐまになった二匹を召喚する。

「くまゆる、くまきゅう、よろしくね」

 二匹はわたしの横に来ると丸くなる。
 そんな二匹に挟まれながら眠りにつく。

 ペチペチ、ペチペチ、
 頬が何か柔らかい物が叩く。
 ペチペチ、ペチペチ、
 払いのける。
 柔らかい毛皮が触れる。
 毛布?
 毛布を掴むと抱き寄せる。
 温かい。
 すると、何かが顔に覆いかぶさる。
 払いのけることが出来ない。
 段々と息苦しくなり、目が覚める。

「なに!?」

 起き上がると、
 二匹のクマが顔に引っ付いていた。

「なに? あんたたち寝相が悪いの?」

 わたしがそう訴えると、クマたちは「くぅーん」と鳴く。

「もしかして、誰か来たの?」

 クマたちは再度「くぅ~ん」と鳴く。
 探知魔法を使うと、宿の中に動く者がいる。
 数は4つ。
 マッチョの家族の4つは別に存在して部屋から動いていない。
 この宿にはわたし以外、誰も泊まっていないはず。
 探知の反応はゆっくりと階段を上がってくる。
 もしかして、先日言っていたランクCの冒険者がこの時間に帰ってきたとか?
 そう、思ったが反応はわたしの部屋の前で止まる。
 襲われる覚えはないんだけど。
 襲うならボン、キュン、ボンのギルドマスターみたいな女性の方が良いだろうし。
 とりあえず、対処するために部屋の中央に立ち、ドアを見つめる。
 一応ドアには鍵が掛かっているけど、どうするつもりかな?
 ガチャ、
 簡単に鍵が開けられました。
 スペアキーでもあったのかな?
 それとも魔法?
 ゆっくりとドアが開く。
 15歳の乙女の部屋に侵入するんだから、手加減は必要はないよね。
 ドアが開いた瞬間、ワンステップでドアの前にたどり着き、ドアを開けた人物に顔をクマパンチを入れる。
 殴られた男は通路の壁にぶつかり気を失う。
 その勢いのまま通路に出ると薄暗い廊下に3人が立っていた。
 顔を拝むため光魔法を放つ。
 全員が覆面をしている。
 これって間違いなく強盗だよね。

「こんな時間に何か用?」
「こいつ、本当にクマの格好をしているよ」

 男の一人が笑い出す。
 一人が気絶しているのに気遣う様子も無い。

「わたしの質問に答えてくれるかな」
「頼まれただけだよ。おまえさんが持っているウルフを欲しがっている人がいてな」

 わたしじゃなくて、ウルフが狙いだったか。
 うーん、ギルド職員に口止めしても、情報は漏れるよね。
 でも、わたしの存在がウルフよりも下とか。
 女子力が低いのかな?
 やっぱり、胸なの?
 とりあえず、

「持ってないよ」

 と嘘をついてみる。

「別にどっちでもいいさ。俺たちの役目は嬢ちゃんを連れて行くことだからな。大人しくついてくるなら、手荒な真似はしないと保障するぞ」

 これって捕まった振りをして親玉のところに行った方がいいのかなと一瞬頭の中をよぎるが、眠い。
 人は睡眠、食事、ゲームの邪魔をされるのが一番腹がたつ。なので、さっさとぶっ倒して睡眠の続きをすることにする。

「早く、寝たいから倒させてもらうね」
「少し、痛い目に合わないと駄目みたいだな」

 男たちがナイフを握り締め襲いかかってくる。
 クマパンチ、くまぱんち、ベアーパンチ。
 奥義、クマパンチが炸裂する。(普通のくまさんパペットパンチです)
 少し大きな音をたてて男たちは通路に倒れる。
 音を出しすぎたかな。マッチョさん家族が起き出してしまうかもしれない。
 その前にわたしは男たちに問いかける。

「誰が襲うように頼んだの? どこにわたしを連れて行くつもりだったの?」
「言うと思うか」

 どう考えても商業ギルドだよね。
 でも、確証は無いし、でも、男たちの口から聞きたい。
 そんな気持ちを察したのかくまゆるたちが部屋から出てくる。

「クマ?」

 男がくまゆるを見る。
 わたしは通路を見る。
 ぎりぎりかな。
 くまゆるたちを元の大きさに戻す。

「話したくないみたいだから、食べちゃっていいよ」

 くまゆるとくまきゅうはゆっくりと、倒れている男たちに近づいて行く。

「待て!」
「待たない」

 くまゆるは男の上に圧し掛かる。
 そして、ペロリとひと舐めする。

「話す! 話すから、食べないでくれ!」
「4人いるから一人ぐらい問題ないから大丈夫よ」

 くまきゅうも二人に圧し掛かって逃げ出さないようにしている。
 幸せなのは初めにわたしに殴り飛ばされて気絶している男だろう。

「頼む」
「わたしの質問に答えてくれるなら止めてあげる」

 男はくまゆるに押さえられながら話し始める。

「俺たちに指示を出したのは商業ギルドのギルドマスターだ。今日の昼間、おまえ冒険者ギルドに大量のウルフを渡しただろ」

 やっぱり、商業ギルドね。

「なぜ、わたしだって分かったの?」
「よそ者が最近この町に来たのはおまえさんと数日前に来た冒険者のパーティーだけだ。そのパーティーは今、盗賊討伐に行っていて、この町にはいない」

 確かにわたしが怪しいね。

「それにおまえさんが町を探索しているところは多くの住人が見ている。もちろん、冒険者ギルドに入るところもな。そのあとにウルフが大量に冒険者ギルドから配布されれば、おまえさんが何かしたと予想が出来る。あとはおまえさんを捕らえて、商業ギルドに連れて行くだけだった。たとえ、ウルフを持っていなくても、大量に入るアイテム袋だけでも手に入れるように指示を受けていた」

 狙いはウルフとアイテム袋ね。

「もういいだろう。話したんだ。見逃してくれ」
「何言っているの? あなたが頼んだのは『食べないでくれ』でしょう。わたしを襲っておいて逃がすわけないでしょう。今から、警備兵を呼ぶの面倒だから、朝までそうしてて。くまゆる、くまきゅう、もし、逃げ出そうとしたら食べていいからね」

 二匹にそう指示をだして、部屋に戻ろうとする。
 マッチョさん家族も起きてくる様子もないし、朝早く起きればいいかな。

「待て、朝までこのままなのか」
「あと、わたしの安眠を邪魔するようだったら食べていいからね」

 くまたちは冒険者を二人ずつ押さえ込むと、小さく『くぅーん』と鳴く。

「静かにしてたら、餌にしないで生きたまま警備兵に引き渡してあげるから」

 男たちに言う。 
 男たちはわたしの言葉に口を閉じ、静かになる。
 わたしは部屋に戻り、睡眠に戻る。



 翌朝、

「うわあああああ、なんで、クマがいるんだ!」

 廊下が騒がしい。

「嬢ちゃんは大丈夫なのか。クマの嬢ちゃん!」

 わたしを呼ぶ、叫び声が聞こえる。
 ゆっくりと昨日の夜のことを思い出す。
 ああ、そうだ。くまゆるたちが廊下にいるんだ。
 眠い目を擦りながら部屋から出る。

「嬢ちゃん、無事だったか! なぜか、俺の宿にクマがいるんだ」

 マッチョが拳を握りしめ構える。
 もしかして、うちのクマと戦うつもりですか?
 無謀もいいところだ。

「そのクマ、わたしの召喚獣だから、大丈夫ですよ」
「召喚獣? おまえさん、そんなことが出来るのか? それになんだ、クマの下敷きになっている男たちは?」

 男たちは顔をクマたちの涎でびしょびしょに濡れている。

「夜中にわたしを襲ってきたのよ」
「襲ってきた?」
「狙いは食料、商業ギルドのギルドマスターに頼まれたみたい」
「商業ギルドのギルドマスターだと」
「それで、この男たちを警備兵にでも引き渡したいけど」
「それはよした方がいいな」
「どうして?」
「町長が逃げ出したいま、警備兵を管理しているのも商業ギルドだ。引き渡すなら、冒険者ギルドがいい」

 マッチョさんの息子さんに冒険者ギルドに行ってもらう。
 その間にマッチョさんにクマの下敷きになっている男たちを縄で縛ってもらう。
 しばらくするとギルド職員を連れて戻ってくる。

「どうして、アトラさんがいるんですか?」

 昨日の肌を露出した格好に軽く上着を羽織っている。
 流石にあの格好で外には出ないのか。
 それ以前に寒そうだ。

「そりゃ、あなたが襲われたと聞いたからに決まっているでしょう。それで、どこのどいつよ。ユナを襲った馬鹿どもは」

 縄で縛られて疲れてきっている男どもを指す。

「こいつら?」

 男たちに近づく。

「貴様、たしか、ドロイだったな」

 一人の冒険者の名を言う。

「ギルマス……」
「落ちるところまで落ちたわね」
「俺は……」
「話は冒険者ギルドで聞くわ」

 アトラさんは連れてきた職員に連れて行くように指示を出す。

「それで、ユナは怪我は無いの?」
「大丈夫。護衛もいるからね」
「護衛?」
「今度、紹介するよ」
「それで、襲われた原因はなんなの?」
「わたしが持っているウルフだったみたい。商業ギルドに頼まれたみたいなことを言っていたけど」
「ウルフの肉を配布したのが癇に触ったみたいね。でも、まさかこんなに早く襲ってくるとは思わなかったけど」
「それで、その商業ギルドのギルドマスターは捕らえられるの?」
「自白すれば出来るけど、知らぬと言い切られれば無理ね」
「そうなの?」
「濡れ衣と言われればそれまでよ」
「どこの世界も証拠が必要なんだね」
「とりあえず、捕らえた冒険者の詳しい取り調べはこっちでするよ。それでユナはどうするの?」
「盗賊討伐に行くよ」
「気をつけて行ってきてね。無理はしないでいいからね」

 心配そうに気遣ってくれる。

「あと、白クマも似合っているわよ」

 と言われてしまった。
 マッチョの叫び声に起きてそのままでいたのを忘れていた。
 どうしてか、白クマの姿を見られると恥ずかしさがある。
 やっぱり、白クマはパジャマ感覚で着ているせいかな。
 白クマの服はいつも着ている黒クマの色ちがいだけなのに。

「それじゃ、わたしはギルドに戻るから、本当に無理だけはしないでね」

 アトラさんは宿から出ていく。
 わたしは1日の活力源の朝食をマッチョさんにお願いする。
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