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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、海に行く

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83 クマさん、山を登る

「本当に行くの?」

 ティルミナさんが心配そうに聞いてくる。
 山脈を越えて海に行くことを孤児院にいるティルミナさんとフィナに伝えた。

「海が見たいからね。だから、お店はお願いしますね」

 お願いしなくても、すでにお店はティルミナさんとモリンさんを中心に回っている。わたしが居なくても大丈夫だ。
 それを証明するようにわたしが店に顔を出す回数も減っている。

「それはいいけど、エレゼント山脈は険しいよ」
「危ないようだったら戻って来るし。それにくまゆるたちがいるから大丈夫ですよ」
「ユナお姉ちゃん・・・」

 フィナも心配そうな顔をする。

「大丈夫、向こうに着いたら連絡をするから」

 クマボックスから手のひらサイズのねんど○いどクマを二つ取り出し一つをフィナに渡す。

「これは?」
「どこでもクマフォン。離れた場所でも会話が出来る魔道具よ」

 王都で倒した魔物一万討伐によってレベルが上がり、新しいスキルを二つ手に入れた。
 一つは魔力を通すことで通話が出来る、どこでもクマフォンの作成。
 電波の代わりに魔力を使った通信機だ。
 もう一つが召喚獣こぐま化
 召喚獣のクマが小さくなると言った微妙なスキルを手に入れた。
 くまゆるたちのこぐま化って何に使えるの? 宿屋に泊まったときの番犬代わりぐらい? あとは枕?
でも、枕にするなら大きい方がいいような。
 家にいるときにたまに召喚してみるが活用方法がない。
 これはこぐまを見て心を和ませるスキルなのかな。
 確かに可愛いけど。

「何かあればそのクマに魔力を通してわたしと会話をしたいと念じれば、わたしが持っているクマフォンに通じるから」

 わたしが真面目な顔をして使い方を説明すると、

「・・・・ユナお姉ちゃん。離れた人と会話なんて出来るわけがないよ。わたしを安心させるために、そんな嘘を付かなくても、わたしそこまで子供じゃないよ」

 頬を膨らませて怒り出す。
 えーと、もしかして信じていない?
 それに十歳は子供でしょう。

「ユナちゃん、王国ならそんな魔道具あるかもしれないけど、さすがにね」

 そんなにレアアイテム?
 ゲームでは言えばチャット機能みたいなものだけど。

「それじゃ、確かめてみれば分かるよ。わたしがそっちのクマフォンに掛けるから出てみて」

 と言ったものの使うのは初めてだ。
 使う相手も居なかったし、一人じゃ実験も出来なかった。
 どの様に相手のクマに繋がるか分からない。
 着メロでも鳴るのかな?
 やれば分かることなでの魔力をクマフォンに流し、フィナの持っているクマフォンに繋がるように念じる。
 すると、フィナの持っているクマフォンが鳴り出す。

「くぅーん、くぅーん、くぅーん、くぅーん、くぅーん」

 クマの鳴き声?
 そんな呼び出し音?
 なんか変じゃない?
 携帯電話みたいに変更は出来ないのかな?

「ユ、ユナお姉ちゃん。これ、どうしたらいいの!」

 フィナの手の上で鳴っているクマフォンを見て狼狽うろたえている。

「魔力を流してみて、それがスイッチの代わりになっているから」

 フィナは魔力を流すとクマフォンの鳴き声が止まる。

「それじゃ、わたし離れるから」

 わたしはフィナから数十メートル離れる。

「フィナ、聞こえている?」

 クマフォンに向かって話しかける。

『ユナお姉ちゃん?』

 クマフォンの口からフィナの声が聞こえてくる。

「わたしの声、聞こえている?」
『うん、聞こえているよ』
「それじゃ、もう少し離れるね」

 わたしはさらにフィナから離れる。

「フィナ聴こえる?」
『ちゃんと聴こえるよ』
『ユナちゃん、これ本当に遠距離通話出来る魔道具なの?』
「どのくらいの距離か分からないけど、かなり離れても大丈夫なはずよ」

 たぶん。
 使ったことが無いのだから正確な距離はわかるはずがない。

「それじゃ、一度切るから。今度はフィナがわたしに掛けてみて」
『うん、やってみる』

 一度クマフォンを切り、フィナからの通話を待っていると、クマフォンが鳴き出す。

「くぅーん、くぅーん、くぅーん、くぅーん、くぅーん」

 やっぱり、この鳴き音、嫌だな。
 流石にこの世界に機械音や着メロは変だけど、音声入力でもあれば、フィナの声で登録するんだけど。
「お姉ちゃん、電話だよ。お姉ちゃん、電話だよ」ってこんな感じで。
 今度、変更が出来るか詳しく調べておこう。
 クマフォンに魔力を流すと鳴き声は止まる。

『えーと、ユナお姉ちゃん、聴こえる?』
「聴こえるよ」

 ちゃんと双方から繋がるのは確認できた。
 あとは問題は距離だけど、こればっかりはすぐには確かめられない。
 一度、王都まで転移して確かめるかな?

「それじゃ、一度そっちに戻るから」

 わたしは通話を切り、フィナのところに戻る。

「ユナお姉ちゃん、このクマさん凄いです」

 通信クマを大事そうに握り締めている。

「これでどこに居ても話が出来るでしょう」
「はい」
「でも、これ本当に凄いね。遠くにいる人と話が出来るなんて」
「ティルミナさんも何かあれば連絡を下さい。戻って来れそうだったら戻って来ますから」

 転移門があるからすぐに戻って来れるからね。

「分かったけど、こんな凄い魔道具を預かってもいいの?」
「いいですよ。わたしが二つ持っていても意味がありませんから」

 わたしが一人で二つ持っていたら、二つのトランシーバーを一人で遊んでいる痛い子になってしまう。

「でも、こんな物があるんなら、故郷の友達や家族の人に渡しておけば」

 ティルミナさんの言葉がわたしの心を抉る。
 トモダチ・・・・・それ美味しいの?
 カゾク・・・・・どこいるの?

「ユナちゃん、どうしたの?」

 わたしがorzの格好をしていると心配そうに声をかけてくる。
 わたしは力を振り絞って立ち上がる。

「何でもないです。魔道具は気にしないで使って下さい。わたしの故郷は遠いのでこれは使えないんです」
「そうなの? ゴメンね」

 ティルミナさんはわたしの過去に何かを感じとったのかこれ以上なにも言ってこなかった。

「だから、フィナも心配しないで待っていてね」
「うん。でも、ユナお姉ちゃんも気を付けてね」



 わたしは早朝、くまゆるに乗ってエレゼント山脈に向けて出発する。
 久しぶりの一人旅。
 山脈に向かって進む。
 ここからでも見える山脈。頂上付近は白く、雪が積もっているのがわかる。
 クマの服には耐寒機能が付いているので大丈夫なはず。
 くまゆるは街を出て道を走り続ける。
 近づいてくる山を見ながらマップが新しく作成されていく。

「大きいな」

 くまゆるに乗ったわたしは登山口の入り口に辿り着く。
 周りを見渡すと、細い道がある。
 道があるとは聞いていたけど、くまゆるがどうにか通れる程度の細い道だった。
 それじゃ行きますか。
 くまゆるが山を登っていく。
 山の麓は森林が多く、登って行くと徐々に減っていく。
 快調に登って行くくまゆる。
 魔物の反応はあるが全て遠い、近寄ってくる魔物はいない。
 登り続けると雪が舞い、足元にも薄っすらと雪が積もり始める。
 クマの服のおかげで寒さは感じない。
 雪も深くなっていくがくまゆるは雪の上を走っていく。
 雪山を登って行くと白いウルフが見えた。
 スノーウルフ。
 白い毛皮に包まれたウルフ。
 フィナのお土産に白い毛皮がいいかな?
 そう、思っているとスノーウルフはこちらを見ると逃げ去って行く。
 くまゆるがいるから襲ってこない。
 少し毛皮が欲しかったが、わざわざ追いかけるようなことはしない。
 山脈で見かけた魔物は3種類。
 スノーウルフ、イエティ、スノーダルマ。
 イエティは毛むくじゃらの雪男で比較的大人しい魔物。こちらから攻撃を仕掛けなければ何もしてこない。
 問題はスノーダルマ。氷の魔石に雪が集まって魔物化した生物。
 見た目は雪だるまに手足が付いている。
 攻撃方法も単調で体当たりか、口から吹雪を吐き出すぐらいだ。
 特徴としてはスノーダルマは物理攻撃が効かない。
 くまゆるやわたしが物理攻撃しても崩れるだけで、すぐに周りの雪を集めて再生してしまう。
 倒す方法は火属性の魔法で雪を溶かせば再生しない。
 なので、スノーダルマにはファイアーボールを打ち込む。
 ファイヤーボールが命中すると雪は蒸発して、その場に氷の魔石を落とす。
 これが冷蔵庫や冷凍庫に使える氷の魔石だ。
 氷の魔石はいろいろと活用出来るので拾っておく。

 山を順調に登って行くと徐々に雪は吹雪に変わる。
 これは吹雪が収まるまで休憩をした方がいいかな?
 わたしとくまゆるは平気だけど、視界が悪すぎる。
 無理をして進む旅でもないので、手ごろな休憩場所を探す。

 休憩が出来る場所を探しながら山を登って行くと、くまゆるが何かに反応する。
 魔物かと思い、探知魔法を使う。
 探知魔法には魔物の反応はない。
 その代わりに人の反応が二つあった。


 
一番の上の人物紹介の次に、
ユナの魔法、スキルの設定集を作りました。
忘れた人がいましたら見てください。
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