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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、異世界を楽しむ

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46 クマさん、プリンを届ける

 孤児院を出たあと、フォシュローゼ家の館の前に来た。
 クリフはどうでもいいけど、娘のノアールにプリンをご馳走するために。
 門兵の人にノアールに会いたい旨を伝える。
 わたしのことを知っている門兵は待つように言う。
 しばらくすると、玄関からノアール本人が駆け足でやってくる。

「ユナさん」

 ボフッ
 ノアールが腰にダイブしてくる。
 でも、クマの服が衝撃を吸収してくれるので痛くない。

「久しぶり、ノアール」
「ノアでいいですよ。それで、わたしに何か御用ですか? 用がなくてもわたしは大歓迎ですよ」
「お菓子を作ったから、ノアに試食して欲しいんだけど」
「お菓子ですか。楽しみです」

 手を引っ張られて、ノアの部屋に連れて行かれる。

「それで、どんな食べ物なんですか?」
「コケッコウの卵を使ったお菓子」

 クマボックスからプリンを出す。
 もちろんスプーンも忘れない。
 ノアはスプーンを持ち、プリンを一口食べる。

「おいしいです」
「口に合って良かったわ」
「こんな美味しい物、初めて食べました」
「大げさね」
「そんなことありません。こんなとろけるような、冷たく、甘く、やさしい味は初めてです」
「まあ、女、子供が好きな味だからね」
「もう、食べ終わってしまいました」

 カップの中はすでに空っぽだった。
 ジッと物欲しそうにわたしを見てくる。

「あと一個だけね」
「ありがとうございます」

 新しいプリンを渡したとき、ドアがノックされる。

「ノア入るぞ。ユナが来ていると聞いたんだが」

 ノアールの父親、この街の領主のクリフが部屋に入ってくる。

「お邪魔しているわ」
「構わない。それで二人は何をしているんだ?」
「ユナさんが作った。ぷ、り、んって言うお菓子をいただいてます」
「ぷりん?」

 ノアールは新しく貰ったプリンを一口食べる。
 その顔は子供らしい笑顔になっている。
 それだけでもここに来たかいがあった。

「そんなに美味しいのか」

 娘の顔を見て尋ねる。

「はい、凄く美味しいです」
「ノア、すまないが俺にも一口くれないか」
「嫌です」

 ノアはハッキリと断る。

「ノア」
「駄目です。これはわたしがユナさんから貰ったものです」
「ユナ」

 クリフが物欲しそうに見てくる。
 大人がそんな顔をするな。

「はあ、分かったわよ。食べたら、感想をお願いね。まだ、試作だから、味の調整はしていないから」
「これで、試作なんですか。どのお菓子よりも美味しいですよ」
「試作って言っても、あとは甘さの調整ぐらいだから」

 クリフにプリンを渡してあげる。
 受け取ったクリフはプリンを一口食べる。

「なんだ。これ」

 クリフの顔が変わる。

「王都でも、こんな美味しいお菓子食べたことないぞ」

 この世界のお菓子はレベルが低いのかな?
 まあ、卵が手に入りにくいなら仕方ないけど。
 クリフとノアのスプーンを動かす手が止まらない。

「ユナさん。ご馳走様でした。とても美味しかったです」
「そう、良かったわ。それで何か改良して欲しいところある?」
「いえ、このお菓子に欠点があるとは思えないですが」
「もう少し、甘い方がいいとか、甘くない方が良いとかでいいよ」
「俺はもう少し、甘くないほうがいいな。初めの一口は美味しいけど。だんだん、甘さがしつこくなってくる」
「そうですか。わたしはとっても美味しかったですけど」
「まあ、大人と子供、男と女では味覚は違うからね。参考にさせてもらうわ」
「店でも開くのか?」
「今のところ、そんなつもりはないけど。孤児院の子供たちに鳥の世話だけじゃなく。料理をしたい、食べ物を作りたい、お菓子を作りたいって子がいたら、その子の将来の道の手助けになればと思ってね」
「そこまで考えているのか?」
「もし店があれば、わたしが食べたいとき、わざわざ作らなくて済むと思っただけよ」
「子供を導くか、俺よりもユナの方が立派な大人だな」

 二人から空になったカップをもらい、クマボックスに仕舞う。

「それで何か用なの?」

 わざわざ、娘の部屋までわたしに会いに来たのだから。

「ああ、頼みがあってな。ノアを王都まで護衛してくれないか?」
「王都に?」
「ああ、国王の誕生40年記念に参加しないといけないんだが、誰かのおかげで仕事が山積みになっていてな。そのおかげで、王都に行くのはギリギリになりそうなんだ。そうなると王都までの道のりが強行軍になる可能性がある。娘にそんなことをさせたくない」
「誰かさんのおかげって……それはわたしのせいじゃないでしょう」
「感謝しているが、事実だ」
「まあ、いいけど。どうしてわたし? 他の冒険者は?」
「一応、俺も貴族だ。娘が狙われる危険性もあるだろう。なら信頼をおける人間に娘を任せたい」
「信用してくれているんだ」

 王都には行きたいと思っていたから別にいいんだけど。

「それで、いつ行くの?」
「早ければ明日でも構わない。ノアも早く母親に会いたいだろうからな」

 そういえば、この家で母親を見たことがない。
 話にも出てこないから亡くなったものだと思っていたが違ったらしい。

「お母さん、王都にいるの?」
「うん、王都で仕事をしているよ」
「それじゃ、明日出発しようか」
「いいの?」

 わたしは頷き。クリフに大事なことを尋ねる。

「それで、護衛はわたし一人?」
「ああ、他に居ても足手まといだろ。おまえさんには召喚獣もいるし、いざとなれば召喚獣で逃げられるだろう。それに、ブラックバイパーをソロで倒せる実力もある。この街にはおまえさんほどの冒険者はいないさ」
「了解。それじゃ、明日の朝迎えにくるから」
「助かる。ちょっと用意するものがあるから、少し待ってくれ。持って行って欲しいものがある」

 クリフは一度部屋を出て、すぐに戻ってくる。

「これをエレローラ。ノアの母親に渡してくれ」

 2つ手紙と大きな箱を預かる。

「これは?」
「おまえさんから譲ってもらったゴブリン王の剣が入っている。もしものことを考えて、エレローラに渡して欲しい。詳しいことはこの手紙に書いておいたから、渡せば分かると思う。そして、こっちの手紙は冒険者ギルドにだしてくれ、指名依頼扱いにしたからギルドで依頼として受けてくれ」

 クマボックスに手紙とゴブリン王の剣が入った箱を仕舞う。
 急いで明日の準備をするため、領主の館を出る。
 まず、街を離れることをミレーヌに伝えるため商業ギルドに向かう。


やっと王都に行ける。

初めに考えていた王都に行く理由は商人の護衛だったんだけど。

適当に書いたゴブリン王の剣のせいでどんどん変な方向に話がいってしまう。

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