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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、ドワーフの街に行く

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418 クマさん、リッカさんを頼まれる

 試しの試練を終えたジェイドさんはビッグボアの探索に行くと言うので別れる。なんでも、冒険者ギルドから、街の周辺の探索の依頼がでているらしい。昨日のわたしの探知スキル内にいたビッグボアは倒したけど。新しいビッグボアが街の周辺に来ている可能性もある。でも、ビッグボアが現れても4人がいれば大丈夫だろう。
 わたしはフィナとルイミンを連れて、ロージナさんの鍛冶屋に向かう。

「ロージナさんに頼んだ物を受け取ったら、帰るんですよね」
「結構、長くいたから、そろそろ帰らないとね」

 フィナはシュリやティルミナさんに心配をかけさせないため、クマフォンを使ってシュリと会話をしている。わたしがシュリに繋げて、フィナが話すって感じだ。少し面倒だけど、わたしが使わないとクマフォンは使えないから仕方ない。
 ルイミンが使いたそうにしていたが、エルフの村でクマフォンを持っているのはルイミンだけだから、連絡することはできない。

 お店の中に入ると店番をしているリッカさんが出迎えてくれる。

「みなさん、いらっしゃい」
「ロージナさんは? 今日には頼んだ物が全てできるって聞いたんだけど」
「できていますよ。奥の部屋にありますから、いいですか」

 わたしたちはリッカさんの後をついて、奥の部屋に行く。奥の部屋に入るとわたしたちが頼んだと思われる鍋やフライパンなどの調理道具が積み上げられている。

「こっちがユナちゃん、こっちがフィナちゃん、こっちの一番多いのがルイミンちゃんに頼まれたものだよ。確認してもらえる?」

 一番少ないのがフィナ、次に多いのがわたし、凄く多いのがルイミンだ。
 フィナはお店と自宅用。わたしはクマハウスの予備で買った物が多い。使う予定はないけど、大きな鍋とかも頼んでしまった。ルイミンは家のご近所から頼まれたから、一番多い。

「フィナ。確認したら、言ってね、わたしのアイテム袋に仕舞うから」
「はい」

 フィナはメモを見ながら確認する。ルイミンはたくさんのメモを見ながらチェックしている。わたしも簡単に確認する。鍋やフライパン、他の調理道具。……たぶん、頼んだ物が全てそろっている。適当に注文したから、覚えていない。まあ、急ぎで使う予定はないので問題ない。

「わたしの方は大丈夫だよ」
「わたしの方も大丈夫です」
「ああ、もう少し待って」

 わたしとフィナは確認を終えるが、ルイミンは数が多いので終わらない。

「ゆっくりで大丈夫だよ。それじゃ、ユナちゃんとフィナちゃんは代金の確認してもらって、OKならサインをお願い」

 わたしとフィナは代金が書かれている領収書を確認してサインをする。

「フィナ、代金の方は足りる? 足りなかったら、わたしが出すよ」

 お店で使う物だ。わたしが払っても問題はない。

「だ、大丈夫です。お母さんから、ちゃんとお金を預かっています」

 フィナはアイテム袋からお金を出す。わたしもお金を出し、調理道具をクマボックスに仕舞う。

「わたしも確認が終わりました。大丈夫でした」

 たくさんのメモを持ったルイミンが確認を終える。そして、値段を確認して、お金を払う。

「ルイミンはお金は大丈夫?」

 一番、数量が多いから、払うお金も一番多い。

「はい。みんな、ちゃんとお金を多めに用意してくれました。それに安くしてくれたので、大丈夫です」
「リッカさん、本当に安くしてもらって大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと材料費から計算していますから、少ないけど利益はでています。お父さんのお酒が買えないぐらいです」

 リッカさんは笑顔で言うけど。それって、ドワーフにとって死活問題にならないかな?
 ドワーフといえば、お酒をたくさん飲むイメージがある。わたしは心の中でロージナさんに「御愁傷様です」と呟く。
 わたしたちがお金を払い、調理道具をアイテム袋に仕舞うと、奥のドアが開きロージナさんがやってくる。

「嬢ちゃんたち、来ていたのか?」

 ロージナさんは欠伸をする。

「みなさん、聞いてくださいよ。お父さん、みんなに頼まれた物を作り終えると、いきなり剣を叩き始めたんですよ」
「まあ、ガザルとゴルドのナイフを見たり、嬢ちゃんの戦いを見たら、叩きたくなっただけだ」
「それじゃ、武器職人に戻るの?」
「簡単には戻れん。でも、鍋を打ちながら、気長に打つことにした。そして、ガザルやゴルドに負けない武器を作ってやる」
「お父さん」

 リッカさんは嬉しそうにする。

「嬢ちゃんたちは、王都に帰るんだよな?」
「うん」

 王都には帰らないけど。
 この街で買った家に設置したクマの転移門で、エルフの森に転移して、ルイミンを送り返したあと、そのままクリモニアに帰る予定だ。
 でも、そんなことを知らないロージナさんはわたしが王都に行くと思っている。

「それで、嬢ちゃんにお願いがあるんだが」

 ロージナさんはリッカさんのことを一瞬見たあと、わたしの方を見る。

「なに?」
「リッカをガザルのところに連れて行ってくれないか?」
「お父さん!」

 ロージナさんの言葉にリッカさんが声をあげる。

「いつまでも、ガザルがいなくなったことにウジウジするな。ガザルに会ってこい。ガザルのことが好きなんだろう」
「……」
「店のことなら大丈夫だ。それにフラれたら、戻ってこい」
「お父さん。でも、お母さんは?」
「もう、許可は出しているわよ」

 ロージナさんの後ろからウィオラさんが出てくる。

「リッカ、行ってらっしゃい。お店は2人でも大丈夫だし、人が足らないようなら、雇えばいいだけよ」
「でも」
「それにあなたも大人でしょう。好きなことをしなさい。ガザルの知り合いのユナちゃんが来たのは、何かの縁よ」
「それに嬢ちゃんなら、そこらの冒険者より強いから、安心しておまえを任せられる。それに嬢ちゃんは女の子だからな、その点も安心できる」

 まあ、ジェイドさんたちみたいに男女混成パーティーならともかく。大事な娘を男性冒険者に預けるのは不安だよね。

「でも、いきなりそんなことを言われても。ユナちゃんも困るよね」

 困ると言えばクマの転移門が使えないことだ。でも、ロージナさんにはお世話になったし、ガザルさんとゴルドさんの師匠だ。断ることはしたくない。

「わたしはいいよ。でも、リッカさんがフラれたらどうするの?」

 リッカさんの気持ちはわかった。でも、ガザルさんの気持ちはわからない。もしかして、わたしが知らないだけで、ガザルさんに付き合っている女性がいるかもしれない。もし、リッカさんがフラれでもしたら、わたしとしてはそれが一番困る。恋愛経験がないわたしにリッカさんを慰めることなんてできない。

「ユナちゃ~ん。どうして、そんなことを言うの」

 リッカさんはわたしの体を叩く。痛くないけど、そんな場面になったら、困るのがわたしだからだ。男に振られた女性を慰めたことなんてない。さすがにフィナに頼むわけにはいかないよね。
 チラッとフィナを見る。まだ、10歳の女の子。恋愛経験はないよね?

「まあ、そのときは面倒かもしれないが、連れて戻って来てくれ。ちゃんと護衛の代金は支払う」

 落ち込むリッカさんと一緒に戻って来ることを想像するだけで嫌なんだけど。そうなったら、クマの転移門を使って、連れてくるのがいいかもしれない。

「うぅ、どうして、フラれる話になるの? 娘を送り出すんじゃなかったの?」
「ガザルがリッカのことを大切に思っていたことは知っている。ただ、妹のように見ていたことも知っている」
「うぅ」
「でも、手紙におまえのことを心配することが書かれていた。今でも、大切に思っているのは間違いない。あとはリッカ、お前の気持ち次第だ」
「お父さん……」
「だから、行ってこい」
「お父さん、お母さん、本当にいいの?」
「いってらっしゃい」
「俺の気持ちが変わらないうちにいけ」
「ありがとう」

 リッカさんは両親に抱きつく。

「ほれ、今日は仕事しないでいいから、支度をしてこい」
「うん!」

 リッカさんは部屋から出ていく。

「嬢ちゃん。すまないが、娘のことをよろしく頼む」

 ロージナさんは頭を深く下げる。

「もし、ガザルの奴がリッカを捨てたら、俺の代わりに殴っておいてくれ」
「それなら、わたしの分もお願いね」

 ロージナさんとウィオラさんにガザルさんを殴る権利を二発もらった。でも、わたしが思いっきり殴ったら、大変なことになるよね。

 それから、わたしたちはリッカさんの支度のお手伝いをする。

「うぅ、持って行く荷物が多いよ。でも、王都で買うとお金がかかるよね。でも、ガザルに彼女がいたら、無駄になるよね」
「荷物なら、わたしのアイテム袋で運んであげるよ。だから、ガザルさんにフラれても大丈夫だよ」
「ユナちゃん、そこはフラれないから大丈夫だよって言ってよ」

 そんなことを言われてもガザルさんの気持ちは知らないから、そんなことは言えない。
 リッカさんは洋服を中心に荷物の準備をする。それをわたしがクマボックスに仕舞っていく。

「本当に知り合いに王都に行くことを伝えないでいいの? なんだったら、もう少し出発を遅らせてもいいよ」
「それじゃ、もしガザルにフラれたら、戻り難くなるでしょう。だから、王都に残ることになったら手紙を出すよ」

 たしかに。王都にいる男のところに行くと言って、フラれて戻ってきたら、恥ずかしくて街に帰って来れないよね。
 そして、リッカさんの出発の準備を終え、食事に誘われたが、家族だけで食事をすることがしばらく出来なくなるかもしれないので、遠慮した。
 リッカさんには明日の朝、宿屋で会う約束をして別れた。

 ちなみに護衛料の話は丁重に断っておいた。
 その理由はわたしが鉄のクマを貰ったからだ。本来は試しの門からでてきた鉄は鍛冶職人の物になる。それをわたしが貰うことになったので、差し引きしても、わたしが貰い過ぎだ。
 だから、護衛料は不要となった。
あとは帰るだけになりました。
ドワーフ編も終わりが見えてきましたね。
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