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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、ドワーフの街に行く

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395 クマさん、ゴルドさん、ガザルさんについて話す

 わたしたちはちょっとした広さのある部屋に案内される。家の客間でなく、仕事の休憩室、もしくは仕事の話をするような部屋みたいな感じだ。
 部屋の真ん中にテーブルと椅子があり、物置の代わりになっているのか、壁際の棚には鍋などが置かれている。本当に剣が一本ない。

「狭いところですまないが、適当に座ってくれ」
「あぁ~、お母さんいないし。えっと、お茶に、お菓子あったかな」

 女の子は別の部屋に行って、コップやお茶などを運んでくる。

「たいしたものがなくて、ごめんなさい」
「ううん、ありがとう。十分だよ」

 わたしたちは出されたお茶を飲む。全員が椅子に座り、それぞれが自己紹介をする。ロージナさんの娘さんの名前はリッカと名乗った。少し長めの髪をリボンでしばり、少し幼く感じる。年齢はわからない。ネルトさんも初めて見たときは、年齢が分からなかったんだよね。ゴルトさんにロリコン疑惑をかけたの懐かしい思い出だ。

「それにしても、おまえさんたちは子供3人だけでゴルドの街から来たのか。ゴルドがいる街はここから、かなり遠いはずだ」

 子供たちって言われたよ。それってわたしも含まれているの? わたしは2人の保護者だよ。

「一応、わたしが冒険者・・・なので、 2人を護衛(・・・・・ ) しながら来ました」

 わたしは「冒険者」と「2人を護衛」の部分を強調する。

「冒険者……?」

 ロージナさんとリッカはわたしの言葉に驚く。どこでもわたしが冒険者だと言うと、同じような反応をされる。こればかりは見た目のせいで、仕方ないと思っても、たまには信じて欲しいものだ。

「ユナちゃん、冒険者なの? でも、新人冒険者が一人でここまで来るのは危ないと思うよ。まして、ユナちゃんは女の子だし、2人も可愛い女の子なのに」

 新人冒険者の定義は人類の謎だね。
 新入生、入学した一年生のことを初めの頃は新入生と言うが、夏休み前にはすでに新入生とは言わない。
 新入社員はどうなんだろう。一年ぐらいは新入社員扱いなのかな。社会経験がないわたしには分からないけど、学生の定義でいえば、わたしは新人冒険者じゃなくなる。ベテランとは言わないけど、中堅冒険者と言うのも早い気がする。そもそも中堅冒険者にしろ、ベテラン冒険者もどのくらいを指すんだろうね。いくら古参でも万年ランクEをベテランとは呼びたくない。

「でも、よく親が来ることを許したね。わたしのお父さんとお母さんじゃ、絶対に許してくれないよ」
「ユナさんは強いから、許してくれました」
「はい。ユナお姉ちゃんは誰よりも強いです」

 心配するリッカにフィナとルイミンがわたしの強さを肯定してくれる。だけど、それでもリッカは2人の言葉を信じられなさそうにわたしを見ている。

「ゴルドとガザルにお世話になったって言うから、鍋でも作ってもらったのかと思ったけど、もしかして武器を作ってもらったの?」
「2人にはナイフを作ってもらいましたよ」

 ゴルドさんにはフィナの解体用のナイフ。ガザルさんにはわたしの戦闘用のナイフを作ってもらった。

「クマさんが武器を」

 そこはクマのことは忘れよう。冒険者なら武器の1つや2つは持つよね。

「ゴルドとガザルの手紙にも嬢ちゃんが優秀な冒険者と書いてある。それで、ゴルドの手紙にはクマの格好で騒ぎを起こすかもしれないから注意するようにとも書かれている」

 ゴルドさん、何を書いているかな。騒ぎを起こすって、なに? 人をトラブルメーカーみたいに言うのはやめて欲しい。
 そもそも、なんでわたしのことを書いているの? 久しぶりの故郷への手紙なんだがら、自分のことを書けばいいのに。もしかして、自分のことを書くのが嫌だから、わたしのことを書いた?
 ゴルドさんなら、十分にありえる。

「わたしにも見せて」

 わたしとリッカが話している間、ロージナさんは手紙を読んでいた。ロージナさんが読み終わった手紙をテーブルに置くと、リッカが読み始める。

「そうだ。あと、この手紙をガザルさんのご両親にも渡しておいてくれますか」
「わかった。渡しておく」

 これで、ゴルドさんとガザルさんに頼まれたことは終わった。あとはわたしの相談を聞いてもらうだけだ。

「うわぁ、本当に優秀な冒険者って書いてある。見た目と違って強い冒険者」

 リッカはわたしと手紙を交互に見る。手紙が信じられないみたいだ。
 でも、その言葉にデジャブを感じるのは気のせいだろうか。ゴルドさんからガザルさん宛の紹介状にも同じようなことが書かれていた記憶がある。そこは見た目の通り、クマ並みに強いと書くべきでは?

「ゴルドとネルトはどんな感じ? 喧嘩はしていない? 仲良くしている?」
「ゴルドさんはネルトさんに尻に敷かれているけど、仲良くしているよ」
「そうなんだ。手紙で元気でやっているって書いてあるけど。心配させたくないから嘘をついているかもしれないからね。2人のことを知っている人から話を聞くと安心するね」
「2人のことなら、フィナの方が詳しいよ。わたしより、付き合いが長いからね」
「そうなの?」

 ゴルドさんのお店はフィナに紹介された。それに数ヶ月前にクリモニアに来たわたしより、フィナの方が詳しい。昔からお世話になっているみたいだしね。
 フィナはリッカにいろいろと聞かれ、答える。解体用のナイフを貰った話や、メンテナンスを無料でやってくれた話をする。さらにわたしが知らないことも話すので、聞いているわたしも新鮮だ。

「ゴルドさんとネルトさんには優しくしてもらっています」
「そう。2人らしいね」

 リッカはフィナの話の1つ1つに嬉しそうに頷いている。

「でも、ゴルドさんはどうして、遠くのクリモニアに来たの?」

 ゴルドさん夫婦が故郷を離れて、クリモニアに来る必要性を感じない。

「それは早く独立して、ネルトと一緒に暮らすためですよ。ネルトのご両親は早くに亡くなって、近所に住んでいたゴルドの家族が面倒をみていたんです。まあ、いろいろとあって、ゴルドはネルトを一緒にこの街を出て、他の街で鍛冶屋をすることにしたんです。この街で店を持つように言ったんだけど。新人の鍛冶屋に仕事は回って来ないから、街を出て行ったんです。たぶん、クリモニアの街が店を出すのに良かったんだと思いますよ」

 ゴルドさん、ネルトさんと一緒になるために街を出たんだね。優しいね。まあ、フィナにナイフをあげたり、無料でメンテナンスをするし、ネルトさんを含めて優しい夫婦だ。

「それで、ガザルは王都ではどんな感じですか? さっき、有名になっているって言っていたけど。本当?」
「わたしはゴルドさんにガザルさんを紹介されただけだから、その辺りは詳しくはないけど。知り合いの冒険者が優秀な鍛冶屋って言っていたよ」
「そうなんだ。ガザルも頑張ってるんだ」

 リッカはゴルドさんの話より、嬉しそうなのは気のせいだろうか。

「その、ガザルは1人でしたか?」

リッカは少し尋ね難そうにする。
 1人?

「弟子はいないみたいだよ。武器作りも、店の接客も1人でやっていたよ」

 手伝ってくれる人ぐらい雇えばいいと思うんだけど。ガザルさんは1人でお店をやっている。

「そうなんだ。1人でやっているんだ」

 リッカは下を向いて少し嬉しそうな表情をした。
 そして、ガザルさんが王都に行った理由を尋ねると。

「王都で自分の実力を確かめるって言って、出て行った。まさか、エルファニカ王国に行くとは思わなかったけど」

 ガザルさんらしいと言えば、らしい。

「別に王都や別の街なんぞに行かなくても、この街で店を出せばいいのに。そのためなら金ぐらいだしてやったのに」
「お父さん! ガザルが出て行って、寂しいんですよ」

もしかして、ツンデレ?

 でも、ゴルドさんとガザルさんの師匠みたいだけど、なんで剣を作らないで、鍋なんて作っているんだろう?
 なかなか、話を聞くタイミングが、言いだせない。

「それでガザルの手紙に、嬢ちゃんが持っている鉱石を見て欲しいと書かれているが」

 ロージナさんのことも気になるが、クマモナイトのことをロージナさんの方から話を振ってくれる。ガザルさん、ちゃんと手紙に書いてくれていたようだ。
 わたしはクマボックスからクマモナイトを2つテーブルの上に出す。ロージナさんはクマモナイトに手を伸ばす。もう一つを、なぜかリッカが手にする。まあ、わたしが2つ出したから仕方ない。
 ロージナさんは手に持つと、目を細めたり、握り締めたり、指で弾いたりする。リッカもまねをするように同じことをする。さすが親子だ。行動が一緒だ。

「なにか分かりますか?」

 ロージナさんは無言で席を立つと、近くの箱から何かを探る。そして、何かを見つけ、手にすると席に戻ってくる。手にしたのものを握り、覗き込むようにクマモナイトを見る。
 もしかして、ルーペ?

「昔に見たことがある。これは精霊石だな。でも、変化をしている」
「精霊石?」

 クマモナイトじゃないの?

「だが、なんの精霊石に変化しているまでは分からん」
「その精霊石ってなんですか?」
「特殊な力を宿していて、精霊石を持っている者の属性の力を増幅してくれる」

 おお、パワーアップアイテムだったみたいだ。
でも、属性って、火、水、風、土ってやつのことだよね?
 もしかして、クマモナイトって、嫌な想像が脳裏に浮かぶ。認めたくない。つまり、クマモナイトはクマ属性の石ってことになる。

「本当に精霊石なんですか?」
「なんだ、疑っているのか?」
「そうじゃないけど」

 だって、クマの観察眼だとクマモナイトなんだもん。

「それじゃ、属性って言うのは?」
「精霊石は本来、無の石。無の状態の石。それを持ち主が触れて魔力を流すことによって、精霊石は変化する。そこのエルフの嬢ちゃんなら、風属性の精霊石になる。ドワーフだと土、火の属性になる場合が多い」

 それって、つまり、クマモナイトって、精霊石が変化してクマモナイトに変化したってことになる。
 でも、魔力を流した記憶はない。手に入れたときからクマモナイトだった。
 わたしはクマモナイトを見つけたときのことを思い出してみる。
 ミスリルゴーレムを倒した。ミスリルゴーレムがいた空洞を探索した。くまゆるとくまきゅうが穴を掘って、精霊石クマモナイトを見つけた。
 問題はいつ変化したか。もともと神様が用意していた場合。これが一番高い。次にわたしが触れたせいで、クマモナイトに変化した場合。いや、くまゆるとくまきゅうが地面を掘って、見つけたんだよね。くまゆるとくまきゅうが触れている。もしかして、くまゆるとくまきゅうが原因?
 わたしは両手のクマさんパペットを見る。
 なんとなく、くまゆるとくまきゅうが「くぅ~ん」と鳴いている気がした。


クマモナイトの正体判明?

※書籍7巻予約が始まっているようです。店舗特典の情報は今週中にさせて頂きます。もう、しばらくお待ちください。
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