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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、ドワーフの街に行く

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388 クマさん、クマハウスで一泊する

 食事を終えたわたしは、片付けはルイミンに任せ、わたしとフィナはくまゆるとくまきゅうのお腹を触りながら食後の休憩をする。ふかふかで気持ちいい。くまゆるとくまきゅうも気持ち良さそうにしているので、win-winだね。

 ただ、隣ではくまゆるのお腹を触っているフィナは何度も「コカトリスなんて、解体できませんからね」と口にする。そうなると、解体は冒険者ギルド? もしくはムムルートさんができるのかな? 元冒険者だし、長いこと生きているんだからコカトリスの解体の経験もあるかもしれない。でも、解体しても売り先のことを考えると冒険者ギルドの方がいいかもしれない。だけど、騒ぎになるのが問題だ。
 目立たない方法としては国王に売り飛ばすことだ。国王にはいろいろ知られているから、コカトリスぐらい増えても今さらだ。それに素材の売り先のことも考えると、国王が一番良い案になる。

 そんなことを考えながらくまきゅうのお腹をもふもふしていると、テーブルの上に乗っている白クマさんパペットが「くぅ~ん、くぅ~ん」と鳴きだす。

「ユナお姉ちゃん、クマさんの手袋が鳴いています」
「クマフォンだね。シュリからかな?」

 わたしはクマさんパペットを嵌めて、クマボックスからクマフォンを取り出す。

「もしもし、シュリ?」
『ユナ姉ちゃん?』
「どうしたの? なにかあった?」
『お姉ちゃんは大丈夫かなと思って、お父さんが心配していたから、お姉ちゃんの声が聞きたくなって』
「お父さんが心配?」

 クマフォンに向かってフィナが尋ねる。

『うん、怪我をしていないかとか、魔物に襲われていないか。食事中、心配していたよ。お母さんとわたしはユナ姉ちゃんがいるから、大丈夫だよって言っても、ユナ姉ちゃんと離ればなれになって迷子になっていないかとか』
「お父さん……」

 本当にゲンツさんは親馬鹿になってしまったみたいだ。フィナやシュリみたいな可愛い娘ができれば仕方ないけど。過保護過ぎるのも難点だ。

「えっと、お父さんはクマフォンのことは知らないから、心配しないで言ってもダメなんですよね。……シュリ、お父さんとお母さんのことをお願いね。あと、クマフォンはわたしのには繋がらないみたいだから、何かあったらユナお姉ちゃんに伝えてね」
『うん、わかった。お姉ちゃんも気を付けてね』

 通話も終わり、ルイミンがやってくる。

「ユナさん、洗い物終わりました。今、会話をしていたのはフィナちゃんの妹さんですか?」
「うん、シュリって言って、フィナにそっくりで可愛い子だよ」

 性格は違うが二人とも良い子だ。

「シュリちゃんですか。今度、会ってみたいです」

 ルイミンもシュリもクマの転移門を知っているから、どちらからでも会いに行ける。ルイミンをクリモニアに連れて行ってもいいし、シュリをエルフの里に連れて行ってもいい。

「そうだね。今度、どちらかを連れて行けばいいからね」
「わたしはユナさんとフィナちゃんが住んでいる街に行ってみたいです」
「わたしはシュリと一緒にエルフの村を歩きたいです」

 どっちも、相手側の住んでいる場所に行きたいみたいだ。

「クマの転移門があるから、お互いに行き来すればいいよ。頻繁には無理だけど、たまにはね」
「ユナさん、ありがとうございます。そのときはお願いします」

 ルイミンとフィナは嬉しそうにする。

「それじゃ、そろそろお風呂に入って休もうか」
「普通は野宿でお風呂なんて入れないのに贅沢ですね」
「ユナお姉ちゃん、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんも一緒でいいですか? 1日乗せてくれたお礼に体を洗ってあげたいですが」
「くまゆるとくまきゅう?」

 わたしはくまゆるとくまきゅうに視線を向ける。

「どうする?」

 わたしは本人たちに尋ねる。
 すると「くぅ~ん」と鳴いて、フィナに近寄る。

「一緒に入るって」
「それじゃ、ユナさんも一緒に入りましょうよ。別々に入ると時間ももったいないし」
「わたしはあとでいいよ」

 一人でのんびりと入る方がいい。
 でも、ルイミンとフィナがわたしの手首を掴むと引っ張る。

「背中流しますよ」
「わたし、髪を洗いますよ」

 さらにくまゆるとくまきゅうまで擦り寄ってくる。わたしはタメ息を吐く。

「わかったよ。一緒に入るから引っ張らないで」

 わたしは4人を振りほどくことはできず、5人でお風呂に入ることになった。


 翌朝、2人は良く寝れたのか、わたしが起きるとすでに起きていた。

「早いね」
「はい、布団に入ったらふかふかで、気持ちよくて、すぐに寝てしまいました」
「本当はフィナちゃんとお話でもしようと思ったんだけど、布団が気持ちよくてすぐに寝てしまったので、早くに目が覚めました」

 ああ、確かに布団がふかふかで気持ちよかったね。先日、布団を干したせいかな。干したあと、クマハウスに戻し、クマボックスに仕舞ったから、あのときの干したて状態が維持されていたのかもしれない。
 そんなわけで、2人は布団に入るとすぐに寝てしまい。朝が早かったみたいだ。
 わたしは毎日、着心地のよいクマの服を着て、さらにくまゆるとくまきゅうの最高級の毛皮に囲まれて寝ている。気持ちよく寝ると、朝も気持ちよく起きれる。だからその気持ちはよく分かる。
 でも、朝起きて、気持ちがいいまま身をゆだねると、二度目の睡眠に入ることもある。気持ちよくて、何度二度寝をしたことか。

「出かける前に布団を干したかいがあったよ」

 わたしたちは朝食を終えると、ルドニークの街に向けて出発する。
 ルイミンは「たしか、こっちだったはず」「あの山が見えるから……」「思い出せ、わたし!」など、不安な言葉を発しながら、進んで行く。
 クマの地図で確認するとちゃんと同じ方向に進んでいる。ルイミンが迷ったと言うまで任せることにする。
 わたしはくまきゅうの上でポテトチップスを食べたり、アイスクリームを食べたりしながら、周囲の風景を楽しむ。もちろん、2人にも分けてあげたよ。

「ここを進めば」

 ルイミンとフィナを乗せたくまゆるが駆け出す。森を抜け、草原が広がる。どうやら、森を抜けたらしい。

「このまま進むと、道があるはずです」

 わたしはくまゆるとくまきゅうに草原を走らせる。

「ユナお姉ちゃん。道があります」

 ルイミンが言った通り、馬車などが行き来できる大きな道があった。

「こっちに進めばドワーフの街、ルドニークがあります」

 さきほどまで不安そうにしていたルイミンは自信ありげに答える。
 どうやら、ルイミンはやればできる子だったみたいだ。

「ルイミン、ドワーフの街ってどんな街なの?」
「う~ん、わたしも少しの間しかいなかったので、詳しいことは分かりません。でも、ドワーフが沢山います」
「うん、それは当たり前だから」

 なんとも、ルイミンらしい答えだ。

「あと、武器や防具を買いに冒険者が来たり、買い付けに商人たちもいますよ。もちろん、それだけじゃなく、金属製の商品がたくさん売っていますよ」
「前に来たときは何しにきたの?」
「成人したエルフに与える武器を買いに来ました。エルフの村を守るための武器です。男性のエルフは村を守る役目がありますから、成人するとお爺ちゃん、(おさ)から与えられるんです。それをお父さんと買いに行ったんです」

 そうえいば、わたしが来たときもラビラタたちが森を見回っていたね。
 エルフだと弓とかなら作れるイメージがあるけど、剣とか作れないから、買いにいかないといけないのか。

 それから街道を進み、くまゆるとくまきゅうが驚かれないように、すれ違う人を避けながら、ルドニークの街の近くまでやってきた。

「そろそろくまゆるとくまきゅうから降りて、歩いて行こうか」

 知らない街にくまゆるとくまきゅうに乗って行けば驚かせることになる。クリモニアなら、そんなことはないんだけど、初めて行く街なら気を付けないといけない。

「でも、歩いてきたら、おかしいと思われないかな?」
「ルイミン、この辺りで町とか村とかある?」

 近くに町や村があれば歩いて来ても怪しまれない。

「その、ルドニークの街とエルフの村を行き来したのが一回だけなので、周囲のことはわからないです」

 ルイミンは申し訳なさそうにする。これは仕方ない。用がなければ一回しか来たことがない街の周囲のことなんて知ることはない。
 わたしはパンパンと手の平を叩くように、クマさんパペットをボフボフと叩く。こういうとき、素手じゃないから困るよね。

「みんなに質問! 子供一人とエルフの女の子一人とクマの格好したわたしが歩いて街に入るのと、くまゆるとくまきゅうに乗って街の近くまで行くのとどっちが怪しまれない?」

 クマさんパペットでフィナ、ルイミン、わたしと指し。最後にくまゆるとくまきゅうに視線を向ける。
 わたしの質問に2人は自分たちを見る。どうみても怪しい。統一性がない。これが3人ともエルフだったら、多少は怪しくは思われなかったはず。年齢も種族も格好もバラバラ。
 ルイミンが手を上げる。

「ユナさんがクマさんの服を脱げば大丈夫だと思います!」
「却下!」

 わたしは即答する。
 初めて行く街だ。なにがあるか分からない。絡まれるかもしれない。フィナとルイミンを守るのがわたしの役目でもある。ここで、クマの着ぐるみを脱げば、絡まれる可能性は低くなるってツッコミはなしだ。

「でも、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんと一緒に行くと驚かれますよね」

 答えはでず、どうしようかと相談しているとくまゆるが「くぅ~ん」と鳴いて、後ろを見る。くまゆるが見る方へを視線を向けると、屋根付きの荷馬車が凄い速さでやってくる。
 わたしはくまゆるとくまきゅうを道の端に寄せようとすると、馬車に乗っている人物が手を振っている姿がある。
 あれは……もしかして?
 馬車が近づいてくると速度が落ちて、わたしたちの目の前で止まる。どうして、ここに?

「やっぱり、ユナちゃんだ」
「メルさん?」

 御者台に座っているメルさんが、嬉しそうにわたしを見る。

「わたしの目に狂いはなかったわ」
「おい、メル!。いきなり馬車を走らせるな!」

 御者台の後ろから、ジェイドさんが顔を出す。

「どうして、ジェイドさんとメルさんが?」
「わたしもいる」

 セニアさんも顔を出す。そうなると、もう1人もいる。

「いてえな。腰をぶつけただろう」

 馬車の奥からトウヤの声もする。
 どうして、4人がここに?

ジェイドさんたち再び登場です。
まあ、理由はわかりますよね。
トウヤ「俺の……」

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