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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、異世界を楽しむ

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35 クマさん、ドライヤーを使う

「それじゃ、次は俺が入らせてもらうぞ」

 ゲンツさんは風呂場に向かう。
 残った4人はタオルで髪の水分を吸い込ませて乾かす。
 このままでは乾くのに時間がかかるので、自分の部屋に行き、ドライヤーもどきを持ってくる。
 土魔法でドライヤーの形を作り、内部に火と風の魔石を組み込んでドライヤーもどきを作った。

「フィナ、ちょっとおいで」
「なんですか」
「後ろを向いて」

 素直にくるっと回って後ろを向いてくれる。
 肩よりも少し長めの髪の毛がわたしの前に垂れ下がる。
 ドライヤーを掴み、スイッチ代わりに魔力を込める。
 ドライヤーから温かい風が出てくる。

「ひゃ! なに?」

 フィナは小さく悲鳴を上げて後ろを振り向く。

「温かい風を出して髪の毛を乾かす道具よ」

 フィナの手に風を当てて安全なことを証明する。

「温かい」
「わかったら後ろ向いて」

 フィナの髪を乾かし、今度はシュリの髪の毛を乾かしてあげる。
 姉妹揃って素直な子たちだ。

「便利な道具持っているのね」
「髪の毛が長いと乾かすのも大変だから、作ったんですよ」
「終わったら、わたしにも貸してくれる?」
「いいですよ」

 シュリの髪の毛も終わりティルミナさんに貸してあげる。

「先でいいの?」
「わたしは長いので時間がかかりますから」
「それじゃ、ありがたく借りるわね」

 ティルミナさんの髪の毛が乾き、わたしが髪の毛を乾かしているとゲンツさんが風呂から出てくる。

「いいお湯だったよ。あのクマには驚いたけどな。嬢ちゃん……ありが…」

 ゲンツさんがわたしの方を見て固まってる。

「どうしたの?」
「クマの嬢ちゃんだよな」
「はぁ? もしかしてゲンツさん風呂場で頭でも打った?」
「いや、だってよ」

 ゲンツさんがわたし以外の3人を見る。

「ユナちゃんは自分を過小評価しているみたいだから無駄よ」
「…………?」

 意味がわからないのでわたしは髪の毛を乾かす続きをする。
 わたしがのんびりと乾かしていると、途中でフィナが手伝ってくれる。




「それじゃ、部屋に案内するね」

 4人を連れて2階に上がる。

「ゲンツさんは奥の部屋で、三人はベッドが二つしかないけど、その部屋を使ってもらえる?」
「はい、わたしとシュリは一緒に寝ますから大丈夫です」

 わたしはゲンツさんの方を見る。

「ゲンツさん」
「なんだ」
「フィナたちが寝ている横で、ティルミナさんに夜這いをしないでくださいよ」

 わたしは真面目な顔でゲンツさんに言う。

「そんなこと、しないわい!」
「ちなみに自分の部屋に呼ぶのも駄目ですよ。汚れたふとん、洗濯するの嫌ですから」
「俺も、そんなものおまえさんに洗濯させたくないわい」
「そんな訳ですから、ティルミナさんもゲンツさんの部屋には行かないでくださいね」
「わかっているわよ。よそ様の家でそんなことするわけないでしょう。まして、娘もいるのに。それに流石に今日は疲れているから、わたしも寝かして貰うわ。あと、今日は本当にありがとうね」
「ユナお姉ちゃん、お休みなさい」
「おやすみ」

 3人は部屋に入って行く。

「俺も寝かしてもらう。今日は助かった。ありがとう」

 ゲンツさんも恥ずかしそうに礼を言うと部屋に行ってしまう。
 わたしも部屋に戻り、寝ることにする。




 翌朝、目覚めて1階に下りるとフィナが朝食の準備をしている姿があった。

「おはよう」
「おはようございます」
「早いのね」
「はい、いつも家族の朝食を作ってますから。あと朝食勝手に作ったんですけど・・・」
「ありがとう。別に食材のことは気にしないでいいよ。それで、みんなはまだ寝ているの」
「ゲンツおじさんじゃなくて、お父さんは仕事に行きました。ユナお姉ちゃんにお礼を言ってました」

 ティルミナの病気のとき駆けつけたり、家を探したり、引越しのときにも休んでいる。
 流石に何日も休むわけにはいかないだろう。

「あとシュリとお母さんは寝てます」 
「どうする? 疲れているようなら寝かせておいてもいいけど」
「大丈夫です。シュリはいつものことです。お母さんは病気生活が長かったので朝が弱くて、でも起こせばおきます」

 つまり、自分たちだけでは起きられないってことね。

「朝食も出来てますから、起こしてきます」

 フィナは二人を起こしに2階に行く。
 しばらくすると、3人がやってくる。

「おはよう、ユナちゃん、昨日はありがとね」
「おはようございます」

 ティルミナさんとシュリが目を擦りながらやってくる。
 四人でフィナが作ってくれた朝食を食べる。
 朝食は簡単にパンに野菜を挟んだ物とオレンの果汁になる。
 そういえば、目玉焼き食べていないな。
 パンに挟むと美味しいんだけどな。
 でも、街で卵見たことないな。

「フィナ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんですか」
「卵ってどこに売ってるの」
「はい?」
「だから、卵よ。卵を焼いてパンに載せて食べると美味しいでしょう」
「ユナお姉ちゃん。そんな高級素材売ってませんよ」
「そうなの?」
「そうね。基本、卵は高級素材だから、貴族や一部のお金持ちしか食べないわね」

 知らなかった。
 だから、売ってないわけだ。

「森とか行って卵を獲ってこないといけないし、時間がかかると腐ってしまうから、遠くから運んでくることもできない。早馬で運んでもお金が掛かるから高級食材になって、わたしたちは食べられないよ」
「えーと、飛ばない鳥を捕まえて育てたりは……」
「飛ばない鳥? 飛ぶから鳥じゃないの?」

 どうやら、この世界に鶏はいないようです。
 探せばどこかにいるかな?
 欲しい食材リストに鶏と卵を追加しておく。


 朝食を食べ終わった3人は引越しの続きをするため家に帰っていく。
 わたしも手伝いを申し出たが断られた。

「ユナちゃんも仕事をしないといけないでしょう」

 と言われたけど、別に働かなくても生きていけるだけのお金はある。
 偉い人は言ってた。働いたら負けだと。
 でも、この世界を楽しむためにギルドに向かう。
 面白い依頼を求めて。
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