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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、ドワーフの街に行く

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384 クマさん、ドワーフの街、ルドニークに行くことにする

「ユナちゃん、ルドニークに行くのかい?」

 わたしはドワーフの街、ルドニークに行くことにした。それで出発する前に鍛冶屋のゴルドさんとネルトさんに会いに来た。

「それで、知り合いに言伝や手紙でもあれば届けるけど」
「あんた、ユナちゃんがルドニークに行くって!」

 ネルトさんが奥にいると思われるゴルドさんに声をかけると、ゴルドさんがやってくる。

「師匠によろしく言っておいてくれ」

 ゴルドさんはそれだけ言うと、引き返そうとする。それをネルトさんが頭を叩いて止める。

「せっかく、ユナちゃんが来てくれたのに、そんな態度はないだろう。すまないね。ルドニークを離れてから一度も戻っていないから、ゴルドもどうしたら良いか困っているのさ」
「手紙は出していないんですか?」
「一年に一度は出しているよ」

 それなら、サーニャさんよりは全然マシだ。ドワーフはエルフとは違うらしい。

「それで、どうしてルドニークに?」
「珍しい石を見つけたので、それを調べにと。ドワーフの街がどんなところか見に行こうと思って」

 暇潰しとも言う。石の方はあまり、当てにしていない。なんて言ったって、クマモナイトだもん。

「珍しい石?」

 わたしはクマボックスから、クマモナイトを取り出す。

「確かに見たことがない石ね。でも、ドワーフの街を見たいからってルドニークまで行くかね?」
「石はちょっと気になるので、町の見学は趣味です」

 久しぶりの異世界見学だ。元の世界にはドワーフなんて種族はいなかったから、暮らしを見るのは楽しみでもある。

「それじゃ、ちょっと待っておくれ。今からゴルドに手紙を書かせるから」

 ネルトさんはゴルドさんに手紙を書くように言う。

「ネルトさんは書かないんですか?」
「わたしは身内はいないからね」
「ごめんなさい」
「気にしないでいいよ。ユナちゃんのところにいる子供たちだって、親はいないんだ。同じようなものさ。だから、ゴルドの奴が町を出るって言ったときに、付いてきたのさ」
「仲がいいんですね」
「まあ、ゴルドがいたから、救われたからね」

 ネルトさんに言葉にゴルドさんは背中を向ける。恥ずかしがっているのかな?
 でも、微笑ましい関係だ。

「ほれ、手紙だ。師匠と両親宛だ。嬢ちゃんのことも書いておいた。何かあれば相談に乗ってくれるはずだ」

 ゴルドさんは背中を向けたまま後ろに手紙を出す。それをわたしは受け取る。手紙の表には「師匠」「両親」と書かれていた。裏を見ると住所らしきものも書かれている。

「ちゃんと届けますね」
「ユナちゃんなら大丈夫だと思うけど、気をつけて行くんだよ」
「くまゆるとくまきゅうがいるから、大丈夫だよ」

 手紙を受け取ったわたしは店を後にする。
 そして、ティルミナさんとフィナに少しの間、クリモニアを離れることを伝えに家に向かったがティルミナさんはいたが、フィナとシュリはいなかった。

「しばらく街を離れるって、仕事なの?」
「違いますよ。ちょっと、ゴルドさんの故郷のドワーフの街に行ってみようと思って」
「ドワーフの街? 冒険者をしていたときに聞いたけど。たしか、かなり遠かったはずよね」

 わたしが設置してあるクマの転移門ではエルフの里から出発するのが一番近い。

「近くに転移門を設置してあるから、それほど、時間はかからないはずですよ」

 もし、クリモニアから馬車などで行こうと思ったら、かなりの時間がかかる。でも、クマの転移門とくまゆる、くまきゅうコンボを使えばかなりの時間を短縮することが出来る。

「本当に便利な門ね」
「一度、行って設置しないと駄目ですけどね」
「それでも十分便利よ」

 クマの転移門にはお世話になりっぱなしだ。王都に行くのも近所を歩くように行ける。

「もし何かあれば戻ってきますから、連絡をくださいね」

 フィナがクマフォンを持っているので、連絡はすぐに出来る。

「普通は簡単に戻って来ますって言っても、戻って来れないものなんだけど。ユナちゃんが言うと本当に出来るから、何も言えなくなるのよね。あのフィナが持っているクマフォンだっけ。遠くの人と連絡を取り合うのも普通なら大変なのに、簡単に話すことも出来るし」
「そのことも内緒でお願いしますね」
「でも、それじゃフィナは置いて行くの? てっきり、フィナも連れて行くと言うと思っていたんだけど。別に連れて行ってもいいのよ」
「そんなに簡単に娘の貸し出し許可を出していいの?」
「前回のことで、ユナちゃんの信頼度が上昇したからね。それに危険があればあの門を使えば戻って来れるんでしょう。あと、娘たちを気を使ってくれていることはフィナから聞いたわよ。魔物が現れれば、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんを護衛を付けてくれる。決して、危険な場所には連れていかない。もし、危険なことがあればクマの門で逃がしてくれるって」

 ノアの護衛、鉱山のときや、タールグイのときのことを言っているかな?

「そこまで娘を気を使ってくれているユナちゃんなら、娘のことは任せられるわよ。それにいろいろなところに行ける体験は簡単に出来ることじゃないわ。もし、ユナちゃんが連れて行くことに問題がなくて、あの子が行きたいって言ったら、連れて行ってあげて」
「ティルミナさん……」
「わたしが病気のせいで、あの子に苦労させたからね。自由にさせてあげたいの」
「シュリは?」
「う~ん、あの子はまだ早いかな? それにフィナとシュリがいなくなったら、ゲンツが悲しむからね」

 なんでも、家族になってから、ゲンツさんはフィナとシュリに甘くなったそうだ。「お父さん」って呼ばれるのが嬉しいらしい。どうやら、ゲンツさんは親馬鹿だったみたいだ。

「父親なんて、そのうち、汚いとか、臭いとか、言われたり、邪魔者扱いにされるのにね。わたしも思ったからね」

 ティルミナさんは昔を思いふける。ゲンツさんが可哀想になってくるけど、子供が成長すれば仕方ないのかな?
 そう言えば今まで話に出てこなかったけど、ティルミナさんのお母さんとお父さん、フィナとシュリにとってはお婆ちゃんとお爺ちゃんっていないのかな? ティルミナさんが病気のときにいなかったことを考えると、いないのかもしれない。
 わたしとティルミナさんが話をしていると、玄関のドアが開く。

「ただいま~」
「ただいま」

 玄関からフィナとシュリの声がしてくる。そして、わたしたちがいる部屋にやってくる。

「お母さん、頼まれた物、買って来たよ」
「買って来たよ~」
「2人ともありがとう」

 2人はティルミナさんい頼まれて、お使いに行っていたみたいだ。手提げ袋にはいろいろな野菜が入っている。

「ユナお姉ちゃん?」

 2人がわたしのことに気付いてやって来る。

「どうして、ユナお姉ちゃんが家にいるんですか? お母さんに頼みごとですか?」
「ちょっと、しばらく街を離れるから、お店のことやコケッコウのことをお願いにね」
「ユナ姉ちゃん、どっか行っちゃうの?」

 わたしはティルミナさんに話したことを2人に説明する。

「ほら、覚えていない? わたしが鉱山で石を拾って、ガザルさんに見せたら、分からないから、故郷のドワーフが住む街を教えてもらったのを」
「あっ、はい。覚えています。ガザルさんにナイフを頼んだときですね」

 どうやら、ちょっとした会話だったのに、覚えていたらしい。

「フィナ。ユナちゃんと一緒に行きたいなら、行ってもいいわよ」
「お母さん?」
「ユナちゃんはフィナが行きたいって言えば、連れて行ってくれるって」

 ティルミナさんはフィナの自主性に任せるみたいだ。

「ドワーフの街だから、楽しいか分からないけどね。良かったら一緒に行く? わたしも話し相手が欲しいし」
「……ユナお姉ちゃんが迷惑じゃなければ、行きたいです」

 フィナは少し遠慮がちに口を開く。

「別に迷惑じゃないよ。わたしも1人で行くよりは楽しいし」
「それじゃ、行きます」

 わたしの言葉にフィナは嬉しそうに微笑む。
 そんなわけでフィナも一緒に行くことになった。シュリも行きたそうにしていたが、遠出になるので、留守番となった。そして、フィナが一緒に来ることになったので、クマフォンの役目はシュリとなった。ティルミナさんとフィナは心配そうにしていたけど、留守番をしてくれるなら、これくらいはね。
 シュリは嬉しそうにクマフォンを握りしめていた。


 数日後、わたしはフィナを連れてエルフの里にクマの転移門を使って移動する。そのとき、一度1人でエルフの里に移動して、神聖樹の結界の外に出てから、新たに転移門を作って、フィナを移動させた。
 神聖樹の中に入ったフィナがどうなるか分からないからだ。試しにしてみるわけにはいかないから、手間な手順をすることになった。
 と言っても結界の外にクマの転移門を出して、扉を開けるだけだ。

「ここは、どこなんですか?」

 クマの転移門からでてきたフィナはキョロキョロと周辺を見る。でも、周囲は岩壁があり、森があるだけで、ここの場所を示すものはなにもない。

「えっと、王都からラルーズの街に行って……、大きな川を渡って……、そこから進んだ森の中?」

 頭に思い浮かべながら答える。

「分からないです」

 ですよね。

「簡単に言えば、遠く離れた場所にあるエルフが住む。エルフの里だよ」
「エルフの里ですか?」
「少し前にね。サーニャさんと一緒に来たことがあるんだよ。それで、そのときにクマの転移門をね」

 フィナに説明をしていると森の中を駆ける足音がしてくる。

「ああ、やっぱりユナさん来ている。ごめんなさい。遅れました」

 現れたのは薄緑色の髪をした女の子、ルイミンだ。
 昨日、エルフの里に行くことをルイミンにクマフォンで連絡をしたら、迎えに来ると言った。別に必要はないって言ったんだけど。

「ユナさん、そっちの女の子が昨日言っていた、フィナちゃんですね」
「わたしの命の恩人のフィナだよ」
「ユナお姉ちゃん! だから、その紹介の仕方止めてください!」

 フィナは口を尖がらせながら、ポコポコとわたしを叩く。でも、痛くない。

「わたしはルイミン。ユナさんはわたしの命の恩人かな? 行き倒れているところを助けてくれたの」
「えっと、フィナです。ユナお姉ちゃんに魔物に襲われているところを助けてもらいました。よろしくお願いします」

 フィナはわたしの紹介を訂正して自己紹介をする。
 でも、2人ともその自己紹介っておかしくない?
 普通、「エルフのルイミンです」とか「王都の冒険者ギルドのギルドマスターをしているサーニャの妹のルイミンです」とかあると思うんだけど。
 フィナだって「クリモニアから来ました」とかあると思うんだけど。

「わたしたちユナさんに救われたんだね」
「はい」

 なにか、会った早々に、意気投合をしているんだけど。

フィナとルイミンの出会いです。
仲良くなれるといいな。
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