挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、従業員旅行に行く。

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

338/428

333 クマさん、乗り物を作る

 ティルミナさんが家に来た翌日、わたしは移動手段を模索するためにフィナとシュリを連れて街の外に来ている。

「ユナお姉ちゃん、どこに行くの?」

 くまゆるに乗ったフィナが尋ねてくる。

「ちょっと、人に見られたくないから、少し離れた場所に行くだけだよ」

 フィナに説明する通りに、街道から少し離れた場所にやってくる。ここなら、道からも離れているし、木もあるから見えないはずだ。
 わたしはくまきゅうから降り、フィナとシュリはくまゆるから降りる。

「ユナ姉ちゃん、なにを作るの?」
「みんなが乗る乗り物だよ」

 2人には乗り物を作るので、それを見てもらう。もとい、乗り心地の確認をしてもらうために連れて来た。
 孤児院の子供の数は27人。院長先生にリズさん。ティルミナさんにフィナにシュリにゲンツさん。ここで33人。モリンさんにカリンさんにエレナ。それからミリーラ組の5人にノアを入れて、42人。ちょっと人数が多いけど、ほとんどが子供だから、座るスペースを考えて、椅子を調整すれば大丈夫なはず。その確認を含めて、フィナとシュリには実験……でなく、確認をしてもらうために来てもらった。

「乗り物って、馬車ですか? でも、そんな大きな馬車って作れるんですか?」
「作れるよ。ただ、乗り心地が分からないから、2人に来てもらったんだよ」

 わたしだとクマさん装備があるため、多少乗り心地が悪くても分からない。ここはフィナとシュリには実験台……ではなく。乗り心地を確認してもらう。
 まず、わたしは土魔法を使って、人が乗る荷台の部分を作る。横幅があり、馬車二台分の大きさがある。これなら、40人ぐらい乗っても大丈夫なはず。最悪、連結する方法もある。

「大きい」
「ユナお姉ちゃん、大きくないですか?」
「でも、お馬さんがいないよ。くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんが引っ張るの?」

 シュリが怖いことを言い出す。その言葉にくまゆるとくまきゅうは悲しい目でわたしに訴えてくる。引っ張りたくないと。

「くまゆるとくまきゅうは引っ張らないよ」

 わたしの言葉にくまゆるとくまきゅうは嬉しそうに鳴く。
 次にわたしは初めて王都に行ったときに作った、大きなクマのゴーレムを作る。

「クマさんだ~」
「ユナお姉ちゃん。このクマさんは、あのときの」

 フィナは覚えていたみたいだ。盗賊の牢屋を引っ張ったときのクマだ。
 とりあえず、クマに大きな荷台を取り付ける。

「ユナお姉ちゃん、大きくないですか?」
「う~ん、やっぱり、大きい?」

 シュリを見ると荷台の上によじ登っている姿がある。

「ユナ姉ちゃん、動くの?」
「ちょっとだけ、動かしてみようか」
「やった~」

 両手を上げて喜ぶシュリ。
 フィナは不安そうに荷台に乗る。わたしはジャンプして乗る。それに続くようにくまゆるとくまきゅうも飛び乗る。わたしは全員が乗るのを確認すると、クマに魔力を流して、動けと命じる。クマはゆっくりと歩き出す。

「うわぁ、動いた」

 まあ、それは動くよね。
 ガタガタ。ガタガタ。
 ちょっと、速度を上げてみる。
 ガタガタガタガタ。

「揺れるね」

 それも街道でないところで動かしているせいもある。ちょっと、探知スキルを使って街道に人が居ないのを確認して、クマを街道に移動させる。

「ユナお姉ちゃん。やっぱり、大きくないですか?」

 道幅を取りすぎている感がある。荷台を細くした方がいいかな?
 そういえば、トンネルってどうなっているの?
 片側交互通行? 馬車の大きさ制限? 
 いつもクマの転移門で移動しているから、その辺りの情報が入ってこない。関係ないから、興味が無かったとも言う。
 なによりも、クマの石像を作らされたせいで、行っていない。知り合いに聞かれたときは、クリフに頼まれたと言ってある。まあ、嘘ではない。本当でもないけど。
 とりあえず、ベアートンネルなんてものは完成してから一度も行っていない。そんなこともあって、トンネルがどんな状況なのかは知らない。昨日、ティルミナさんに聞いておけば良かった。

「フィナ。トンネルって、片側交互通行? それとも馬車の大きさ制限か、知っている?」

 知らないと思うけどフィナに尋ねてみる。

「片側交互通行ですよ。毎日、交互に通行するみたいです」
「そうなの? でも、なんでフィナが知っているの?」
「お母さんが、今日はトンネルが通れないから、魚は明日ね。とか言っているから、覚えちゃいました」

 なるほど、情報源はティルミナさんなんだね。でも、家族でそんな会話をしているんだね。仕入れはアンズたちがやっているけど、ティルミナさんも管理をしている。知らないわけがない。
 それなら、多少大きくても大丈夫だね。でも、さすがに道幅全て取る馬車は却下だけど。
 わたしは馬車から2人を降ろして、馬車を消す。

「消しちゃうの?」

 シュリは残念そうにする。

「ちょっと、失敗だからね」

 また、街道から離れる。そして、第二の案の乗り物を作ることにする。
 あれがこうなって、ここがこうなって、これがこうなる。
 出来上がったのはクマバスだ。某アニメの有名なネコバスをモチーフにして作り上げた。顔はクマで出来ており、足も耳も尻尾もある。クマ効果で防御も上がり、一石二鳥だ。
 まあ、移動する距離も短いし、周辺の魔物は冒険者に討伐されている。盗賊が出る話も聞いたことがないから、防御を上げてもあまり意味がない。でも、子供たちの安全を考えれば、万全を尽くした方がいい。

「長い、クマさんだ~」

 シュリが楽しそうにクマバスに近寄る。
 人数のことを考えたら、長くなった。左右に二人づつ座っても、10列必要だ。
 先程の馬車よりは細い。真ん中は通路にしないで繋げて椅子にした方がいいかな?
 まあ、その辺りは後で考えることにする。今は乗り心地の確認だ。

「ユナ姉ちゃん。乗っていい?」
「いいよ」

 そのために呼んだんだ。
 シュリはクマバスに乗り込み、フィナも後を追う。くまゆるも乗ろうするが、入口が狭くて入れない。わたしはくまゆるとくまきゅうを子熊化する。小さくなったくまゆるとくまきゅうはクマバスに乗り込む。
 最後にわたしも乗り込み、運転席に移動するが、シュリが運転席に座っている。

「シュリ、どいて」

 わたしはシュリをどかして、運転席に座る。運転席は本物のバスみたいに右でなく。真ん中にある。まあ、普通の馬車と同じだ。そもそも、15歳のわたしが車の運転をしたことが、あるわけもなく。右より、真ん中にあった方が運転がしやすいと思ったためだ。馬車なら乗った経験があるからね。
 わたしが運転席に座ると左右にはシュリとフィナが座る。わたしはハンドルを握る。

「ユナお姉ちゃん、それはなんですか?」

 フォナがわたしが握るハンドルに尋ねる。

「手綱だよ」
「手綱?」

 ハンドルって言っても分からないと思うので、そう説明する。
 わたしは魔力を流して、クマの足を動かす。ドン、ドン、一歩、一歩、歩くたびに揺れる。ちょっと走ってみる。
 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
 揺れる速度が速まる。

「ユ、ユナ、お、お姉ちゃん、お、お尻が、い、いたい、で、です」

 わたしはクマの着ぐるみ装備のおかげで痛くないけど、2人は痛いみたいだ。しかも、揺れるからまともに話すこともできない。くまゆるとくまきゅうも四足歩行だけど、やっぱり違うみたいだ。
 くまゆるとくまきゅうは特別みたいだね。
 ちなみにクマバスは長いため、足は倍の8本ある。
 わたしは少し速度を上げて、ジャンプをしてみる。

「ユナお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん!」

 フィナとシュリが叫んで、わたしにしがみ付く。
 綺麗に着地をするが、フィナとシュリの体が少し跳ねた。

「ううぅ、痛いです」
「お尻が痛いよ」

 2人はお尻を擦る。

「ごめんね。ちょっと、試したかったから」

 どうやら、某アニメのネコバスみたいに、山をかけたり、跳び跳ねたりは出来ないみたいだ。そんなことをすれば中に乗っている人は大変なことになってしまう。移動方法を足にしたのが失敗だったみたいだ。
 わたし1人なら大丈夫だけど。それなら、くまゆるとくまきゅうに乗った方が全然良い。荷物はクマボックスがあるから、大きな荷物を運ぶこともない。なによりも、これは魔力を消耗する。
 夢の乗り物だったけど、残念だ。

 わたしはクマバスを素直に車輪に変える。魔法って便利だね。
 出来上がったのは幼稚園バスに近い、キャラクターバスだ。青いSLの顔があるバスや、黄色のネズミのバスのような感じだ。

「今度は大丈夫だから、乗って」

 疑うようにわたしを見る2人。

「跳んだりしませんか?」
「しないよ。ほら、今度は足じゃなくて、車輪になっているでしょう」

 2人は車輪を見ると、クマバスに乗ってくれる。
 運転席に座ったわたしはハンドルを握る。そして、魔力を流す。クマバスはゆっくりと動き出す。整備されている街道に出ると、快適に進んで行く。
 魔力を多く流すと、スピードが上がる。
 でも、道がコンクリート舗装されているわけでもなく、速度を上げるとガタガタと振動を感じる。

「2人とも大丈夫?」
「さっきよりは大丈夫です。でも……」

 お尻を気にするフィナ。

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんの方がいい」

 シュリの言葉にくまゆるとくまきゅうは嬉しそうに鳴く。
 それはわたしだってそうだ。
 このクマバスは操縦しないといけない。くまゆるやくまきゅうなら、寝てても目的地に連れて行ってくれる。もちろん、行ったことがある場所限定だ。もしくは「道なりに進んで」と頼めば、進んでくれる。
 それに引き換え、クマバスは寝ることは出来ないし、乗り心地もくまゆるやくまきゅうと比べることもできない差がある。でも、馬車よりは速いし、揺れも少ない。安全面もしっかりしている。なにより、大人数で移動するなら、くまゆるとくまきゅうではできない。

 いろいろとあったが、移動手段は車輪付きのクマバスになった。
 あとは全員が乗れるとか、フィナとシュリに椅子に座ってもらい、席の間隔を決めたりする。前が子供たちに座ってもらい、後ろに大人たちが座れるようにする。
 お尻対策で、座布団的なものを購入したりする。
 そんな感じで、クマバスが完成する。


活動報告に書いた通り、
孤児院の人数は書籍に合わせて27人になります。
アンズと一緒に来たメンバーは4人となります。
よろしくお願いします。

活動報告にて、6巻の店舗購入特典、SSリクエスト募集中です。
よろしくお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ