挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、異世界を楽しむ

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

32/427

28 クマさん、領主の館に行く

 依頼を受けた次の日の午後、領主の館より少し離れた位置に立っている。
 これ以上進むと門の前で兵に見つかりそうな距離になる。
 見つかると職務質問される予感がする。
 何もしていないのに領主の館に立つ門兵はそんな気分にさせる。
 面倒で仕方ない。
 でも、諦めて門に向けて歩き出す。
 門兵にもわたしを視界に捉えると真っ直ぐに向けて、目線を外そうとはしない。
 まっすぐに見てくる。
 なんか、嫌な視線だな。

「なにようだ」
「わたしは冒険者のユナ、ここの領主様に呼ばれたんだけど」
「お主が・・・・」

 わたしのことを舐めまわすようにみる。

「話は聞いている。確認のためギルドカードを」

 予想外に門兵に話が通っているらしい。
 お約束なら、一悶着があると思ったんだけど。
 まあ、呼んでおいて門兵に伝えていない馬鹿はいないか。
 ギルドカードの確認が終わると、館のドアまで案内をしてくれる。
 ドアまで来ると、20代前半のメイドさんに代わる。
 メイドさん初めて見た。
 黒いメイド服を着ている。
 やっぱりいるんだね。 
 メイド萌えが見たら歓喜だろう。
 かわいいと思うけど、生憎、わたしはその属性を持ち合わせていない。


 メイドさんは館の中を黙って歩き、一つのドアに前に止まり、ドアをノックする。

「クリフ様、冒険者のユナさんをお連れしました」

 中から「入ってくれ」の返事がある。

「失礼します」

 メイドさんがドアを開けてわたしを部屋の中に入るように促す。
 それに従い、中に入るとドアは閉められる。
 メイドさんは入ってこない。
 部屋は広く、大きな机、大きなテーブル、ソファもある。
 執務室って感じの部屋になっている。
 部屋の住人は30歳前後の男で大きな机の前に座っている。

「すまないが、そこのソファーに自由に座ってくれ」

 素直に座る。

「ほんとうにクマの格好をしているんだな」

 男がこちらにやってきて対面側のソファーに座る。
 そして、わたしを見て男から苦笑がこぼれる。
 やっぱり、くそ貴族だったらしい。

「笑い者にするために呼んだんなら帰るけど」
「いや、すまない」
「それで何のようなの」
「俺も会ってみたかったのも確かだが、娘が会いたがってな」
「娘さん?」
「ああ、何でも一度街中で見かけたみたいでな。それから、報告に上がってくる内容を娘に話してやると喜んでな」

 だから、個人情報保護法!

「それでは娘さんのために呼んだってこと?」
「半分はそう、半分は街でうわさのクマを俺が見てみたかっただけだ」

 わたしは動物園のクマか。

 コンコン
 ドアがノックされる。

「ノアール様をお連れしました」
「入ってくれ」

 ドアからフィナぐらいの年齢の女の子が入ってくる。
 金髪の女の子だ。

「お父様、クマさんが来てるって本当ですか」

 少女はわたしを見ると目を輝かせる。

「クマさんです。わたし、ノアールって言います。ノアってお呼びください」
「わたしはユナよ。クマさんじゃなく、名前で呼んでもらえる?」
「はい、わかりました。ユナさんですね」
「それでわたしはどうしたらいいの」
「娘の相手をしてやってくれないか。もちろん依頼料は払う」


 わたしはノアに手を引っ張られて連れて行かれる。

「どこに行くの?」
「わたしの部屋です」

 ノアの部屋に連れて行かれ話をすることになった。

「あのう、抱きしめてもよろしいでしょうか?」

 恥ずかしそうに尋ねられる。

「いいけど」
「ありがとうございます」

 ノアは抱きしめてくる。
 わたしも金髪の少女を抱きしめる。
 もしかして、フィナといい、わたし妹属性好きなのかもしれない。

「柔らかいです。それに良い匂いがします」

 頭を擦り付けてくる。

「わたし、街で一度お見かけしたことがあるんですよ」

 たしかに聞いた。

「遠くからでしたけど、とっても可愛らしい格好でしたから目が引き付けられました。そのことをお父様にお話ししたら、クマさん、ユナさんのお話をいろいろしてくれました。だから、ユナさんにお会いしたかったんです」

 頭を撫でてあげる。
 それから、いろいろと話をする。
 ゴブリン、ウルフ、ゴブリンキング、タイガーウルフの討伐の話をしてあげる。

「それで、ユナさんにお願いがあるんです」
「お願い?」
「その、召喚獣を見せてもらえないでしょうか」
「召喚獣を?」
「はい、お父様に召喚獣の話を聞いて、見てみたくて」
「いいけど、この部屋じゃ。あと、あなたのお父さんに許可をもらわないと」

 領主の館の敷地内で呼び出して、犯罪者にされても困る。

「それではお父様の許可を貰って、外に行きましょう」

 手を引っ張り部屋の外に連れて行かれる。
 部屋を出て先ほどのノアの父親のクリフの部屋に向かう。
 ノックもせずにノアがドアを開けて部屋に入っていく。

「ノア、いつも言っているだろう、入ってくるときはドアをノックをしろと」
「すみません、お父様。お願いしたいことがありまして」
「なんだ」
「ユナさんの召喚獣を見せてもらいたいので許可をもらえませんか」
「召喚獣? ああ、噂のクマか。危険はないのか」

 ノアの後ろにわたしに聞いてくる。

「そっちが何もしなければ大丈夫だけど」
「そうか、なら、いいぞ」
「いいの?。もし、わたしがあなたを殺そうと思ったら殺せるんだけど」
「おまえさんはそんなことはしないだろう」
「信用してくれるんだ」
「呼ぶ前にいろいろ調べたからな。少女のためにいろいろしている優しいクマさん」

 クリフがニッコリと笑う。
 その笑顔に殺意を覚えた瞬間だった。
 やはり、貴族は性格が悪いかもしれない。

「少女に優しくても、あなたに優しくするとは限らないでしょう」
「これでも、領主をしている。いろんな人間を見てきている。見ればわかる」
「フードを被っているのに分かるの?」

 クリフと会ったときからクマのフードをかぶり、素顔は見せていない。
 今思えば、失礼なことだと思う。

「一応な。フードを取って姿を見せてくれるのか。話を聞くとおまえさんはフードを取らないって聞いたが」

 フードを取らない?
 そんな噂が流れているの。
 ただたんに、恥ずかしいから隠しているだけなんだけど。
 フードを取り、顔を見せる。

「おお、お前さん・・・・・・・・」
「ユナさん、美人さんです。綺麗です」
「そ、そう、ありがとう」

 ノアにお礼を言って頭を撫でてあげる。
 お世辞でも嬉しいことだ。
 でも、恥ずかしいのでフードを被りなおす。

「もったいない」

 クリフが何か言っているが召喚の許可を貰ったので館の庭に出る。
 なぜか、領主を始め、メイドもゾロゾロと付いてくる。
領主の家族構成が決まらない。
まあ、書かなければ後で出てきてもいいよね。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ