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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、砂漠に行く

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299 クマさん、知り合いの冒険者に会う

 サンドウルフを倒したわたしは次の柱に向う。
 何もない砂地のため、視界をさえぎるものはなく。多少、離れても柱は見失うことはなかった。
 それから、魔物を見つけることはあっても、襲われることもなく順調に進んでいく。
 そして、砂漠は赤くなり、陽が落ちていく。その光景はとても綺麗だった。心が落ち着いているから、綺麗に見えるんだろう。
 映画の砂漠シーンなら、絶望でしかない。画面越しで見る砂漠は綺麗でも、登場人物からしたら、そんな風景よりも、冷たい飲み物の方が嬉しいかもしれない。
 でも、わたしにはそんな絶望はないので、心から目に前に映る風景を見ることができる。

「くまきゅう、綺麗だね」
「くぅ~ん」

 立ち止まってくまきゅうと沈み()く太陽を見る。
 そして、陽が完全に沈み、辺りは暗くなる。
 今日はここにクマハウスを設置して泊まることにする。
 商人や冒険者たちが気温が下がった夜に移動する可能性も考慮して、柱から離れた場所にクマハウスを設置する。でも、ここはなにも遮るものがないため、クマハウスから漏れる光で気付かれるかもしれないので、四方に土の壁を作ってクマハウスを囲う。
 あと、壁には魔物避けや砂でクマハウスが埋もれないようにする役目もある。朝、起きたら、クマハウスが埋もれていたとかいったら笑えない。
 土の壁で囲んだクマハウスの中に入り、その後ろからくまきゅうがついてくる。

「ちょっ、くまきゅう、ストップ、ストップ」

 わたしの言葉にくまきゅうは「なに?」って感じで首を傾げる。
 くまきゅうの足を見ると砂が毛の間に入り込んでいる。このまま入ったら、家の中に砂が落ちてしまう。
 わたしはくまきゅうを一度送還させて、再度召喚させる。そして、くまゆるも一緒に召喚する。
 うん、召喚されたくまきゅうもくまゆるも砂1つ無い綺麗な状態だ。これで部屋の中に入っても大丈夫だ。その点、クマ装備は綺麗なものだ。
 ちなみに、くまゆるとくまきゅうは子熊化にしてある。

「今日は2人とも、ありがとうね」

 くまゆるとくまきゅうの頭を撫でて感謝の気持ちを伝える。
 そして、夕食を食べ、くまゆるとくまきゅうを連れてお風呂に向かう。砂漠で熱いお風呂。ミスマッチな組み合わせだ。
 でも、1日の終わりにはお風呂に入らないとね。昨日は入っていないし。
 それと、今日は暑い中(平気そうにしていたけど)、くまゆるとくまきゅうが頑張ってくれたので、体を洗ってあげることにする。
 2人とも一度、送還しているから綺麗なものだけど、体を洗ってあげると気持ち良さそうにする。

「今日はくまきゅうからね」

 いつも、くまゆるが先だと可哀想だから、今日はくまきゅうから洗ってあげることにする。
 くまきゅうがトコトコとわたしの前にやって来て、チョコンと座る。そんなくまきゅうに石鹸を付けて、ゴシゴシと綺麗に洗ってあげる。送還しているから綺麗だけど、気持ちの問題だ。
 くまきゅうも洗われると目を細めて気持ち良さそうにする。そして、頭から足、そして丸いシッポまで洗い終える。最後に頭からお湯を掛けて終了。

「終わったよ」

 くまきゅうは「くぅ~ん」と鳴くと湯船に向かう。小さい体で浴槽を登り、湯船に入る。そして、湯船の枠に頭を乗せて、気持ち良さそうにする。
 くまゆるがくまきゅうと入れ替えにわたしの前にやって来る。そして、背中を向けていつでも洗える体勢になる。
 ちゃんと洗ってあげるから。
 まずはお湯をかけて、真っ黒いくまゆるををゴシゴシと洗う。黒いって言っても、汚れているわけじゃない。綺麗な黒さだ。そして、くまゆるも洗い終わるとくまきゅうと同じように浴槽に登り、くまきゅうの隣に入る。
 くまゆるとくまきゅうが枠に顔を乗せて、気持ち良さそうにしている。顔が緩みきっている。それだけ、気持ちが良いんだろう。
 そんなくまゆるたちを見ながら、自分の体を洗い、湯船に入る。
 う~ん、気持ちいい。背筋を伸ばして、体をほぐす。
 とてもじゃないけど、ここが砂漠とは思えないね。
 外は砂だけの世界。植物は無く、魔物がいるぐらいだ。そんな場所でのんびりとお風呂に入るって、普通ならありえないよね。
 わたしはくまゆるとくまきゅうを抱き寄せると体を休ませる。

 お風呂からあがったわたしは自分の髪を乾かし、くまゆるとくまきゅうも送還せずにドライヤーで乾かしてあげ、ブラシをしてあげる。これで本日の仕事は終わる。
 わたしは部屋に戻ると布団に入る。
 そして、くまゆるとくまきゅうには、いつも通りになにかあった場合には起こしてもらうようにお願いする。
 布団に入ったわたしは、ここが砂漠であることが忘れるほど、気持ちよく夢の中に落ちていく。


 翌朝、いつも通りにくまゆるとくまきゅうに起こされたわたしは日の出と同時に出発する。
 クマハウスが埋まっていることもなく、無事にクマハウスから出ることができた。
 日の出は何度か見たことはあったけど、砂漠で見る日の出はまた綺麗だった。

 今日もくまゆるとくまきゅうを交互に交代しながら進む。
 結構、進んだけど、まだ着かないのかな?
 柱の数も何本目か忘れてしまった。そもそも、くまゆるとくまきゅうに任せて、背中で寝ているので数えていないって言った方が正しい。
 そして、今もくまゆるの背中で眠っている。
 魔物に襲われることもなく、進んで行く。

 わたしがくまゆるの背中で気持ち良く寝ていると、くまゆるが止まる。そして、背中に乗っているわたしを揺らして起こそうとする。

「くまゆる、どうしたの? もしかして着いたの?」

 目を擦りながら、前を見る。
 かなり先だけど、剣を振り回している冒険者らしき者がいる。
 あれはワーム?
 砂の中から、ワームが飛び出してくる。それを冒険者らしき者が戦っている。
 その戦っている後ろには何もしない者もいる。こっちは商人かな?
 さっきから、らしき者って言うのは、全員がマントのようなフードを被っているから、見た目だけじゃ区別が付かないためだ。
 う~ん、助けは必要かな?
 不必要なら、目立つことはしたくない。くまゆるの説明も面倒だし、関わりは持ちたくないところだ。
 でも、ここの位置からだと、状況は分からないので、少し近づいてみる。
 冒険者たちはフードを被り、ウルフの大きさほどのワームと戦っている。
 わたしが戦ったワームよりは小さいけど、数が多い。でも、すでに砂の上には倒されたワームが転がっている。
 どうやら、冒険者たちが優勢に闘っているみたいだ。これなら大丈夫かな。冒険者の戦いを見ていると、どこかで見覚えがある。
 あの両手にナイフを持って、素早い動きで戦う姿。
 的確に仲間に指示を出し、剣を振るう剣士。
 魔物に攻撃するたびに、騒ぐ剣士。
 3人の後方でフォローしながら魔法を放つ魔法使い。

「セニア、前に出すぎだ。メルは護衛対象から離れ過ぎだ。トーヤ、右を頼む。メルはチャンスがあれば攻撃を」

 戦っているのはジェイドさんパーティーだ。
 ジェイドさんの的確な指示で、ワームが倒されていく。
 流石だね。
 手こずっているようなら、助けようと思ったけど、ジェイドさんたちは順調に魔物の数を減らしていく。

「数が多いぞ!」

 たしかに、次から次へと砂からサンドワームが出てくる。気持ち悪い。
 これが、前に戦った大きなワームだったら、即乱入して討伐していた。
 確認のため探知スキルを使用してみる。えっと、軽く見ただけでも近くには20体ほどいる。しかも、砂の中を動き回っている。ジェイドさんたちは飛び出してくるワームを的確に倒しているが数が多い。
 このままでも倒せそうだけど、助太刀をした方がいいかな?
 わたしはくまゆるを歩かせる。

「ジェイドさん、後ろからクマです!」

 商人の1人がわたしに気付いて、叫び声をあげる。
 たちまち、商人たちがくまゆるとわたしから逃げ出そうとする。
 商人の声で振り向いたジェイドさんがわたしと視線が合う。

「ユナ?」

 商人たちはジェイドさんの反応に戸惑う。
 わたしも商人たちに説明をするのも面倒なので無視をする。

「ユナちゃん?」
「嬢ちゃん?」
「ユナ?」

 セニアさんも戦いながらも視線をわたしに向ける。

「手を貸そうか?」

 この場を無視して立ち去ることは出来ないので尋ねてみる。

「そうしてもらえると助かる。ちょっとばかし、数が多い」

 悩むことなく。ジェイドさんは即答する。

「了解」

 わたしのことを知っていると、話が早くて助かる。
 わたしは探知スキルで砂に潜っているワームの居場所を確認する。

「ジェイドさん、砂からワームを出すので、後始末お願いできますか?」

 その方が早そうだ。

「いいが、出来るのか?」

 その言葉にわたしは頷く、

「メルは後方で商人の護衛を、トーヤ、セニアはユナがワームを砂から出す。その討伐を!」

 わたしはくまゆるから降りて、メルさんと一緒に後方を守るように言う。
 くまゆるは「くぅ~ん」と鳴いて、メルさんのところに向かう。

「それじゃ、行きますね」

 わたしは走り出す。そして、探知スキルで砂の中に潜っているワームに対して、空気弾を撃ち込む。
 すると、海から魚が丘にあがったようにワームが跳ね上がる。

「トーヤ!」
「わかっている」

 わたしは次から次へと砂の中に空気弾を撃ち込む。
 ワームは空に舞い上がると、地面に落ちてクネクネとする。
 うん、気持ち悪い。
 そして、すぐに砂の中に潜り込もうとするがトーヤやジェイドさんが剣を刺して、逃がさない。

「セニア!」
「…………」

 セニアさんは空中に舞ったワームを落ちてくる前に切り刻む。

「おい、嬢ちゃん、ペースが速いぞ」
「トーヤ、口を動かす前に剣を動かせ」

 わたしは次から次へとワームを掘り出していく。

「ユナ! 砂が舞い上がりすぎだ」

 そんなことを言われても困る。そこまで考えていなかった。でも、そんなとき、空中に散布している砂を、風が舞い起こり、消し去ってくれる。
 どうやら、メルさんが魔法で舞った砂を除去してくれたみたいだ。
 視界がクリアになったジェイドさんたちはどんどん、ワームを倒していく。

「それじゃ、ラスト!」

 わたしは最後の砂に空気弾を撃ち込む。ワームが砂から出てくる。そのワームに向かってトーヤが走る。

「最後の締めは俺が……」

 トーヤが剣を振りかざそうとしたとき、後ろから、無数のナイフが飛んできてワームの急所に当てる。

「最後はわたし」

 セニアさんが無表情でナイフを握り締めている姿がある。
 ミスリルナイフ以外も持っていたんだね。
 トーヤは倒されたワームを見て悔しそうにする。

「俺の方が近かったよな」
「足が遅かったから」
「遅くねえよ」
「間違えた。足が短かったから」

 セニアさんが突き刺さったナイフを抜きながら答える。

「俺の足は短くも遅くもない、ナイフが速いだけだ」
「次は、ナイフよりも早く動くことね」

 いや、それは無理でしょう。
 わたしなら出来るかもしれないけど。

 わたしは探知スキルで魔物がいないことを確認するとくまゆるのところに戻ってくる。
 そこには怯える商人とくまゆるを撫でているメルさんがいた。
またまた、知り合いの冒険者に会いました。
戦闘スタイルが決まっているキャラは書きやすいですね。


おかげさまで、総合評価9万を越えました。
これからもよろしくお願いします。

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