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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、異世界に来る

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26 クマハウス設置完了!

「ユナお姉ちゃん、ここだよ」

 街の中央より、少し西に位置する場所に建つ商業ギルド。
 冒険者ギルドと違って入っていく人種が違う。
 筋肉馬鹿や杖を持った魔法使いはいない。
 一癖も二癖もありそうな商人風の人が沢山いる。
 冒険者ギルドとは別の入りにくい空気が漂っている。
 さらに、クマの格好が目立つのか、ここでも好奇な視線を向けられる。

「ユナお姉ちゃん入らないの?」

 入口の近くで眺めているとフィナに話しかけられる。
 気持ちを切り替えて中に入ることにする。
 中は賑わっている。
 ここでも、クマの格好が視線を集める。
 クマのフードを深くかぶり、目線を切る。
 フィナは周りをキョロキョロ見渡してわたしのクマの服を掴んでいる。
 わたしはそのまま受付に向かう。

「いらっしゃいませ」

 20代前半の女性が対応してくれる。
 わたしの格好を見ても顔色を変えず、笑顔で対応をしてくれる。
 さすが商業ギルドの職員だ。

「えーと、土地を少し借りたいんだけど、冒険者ギルドで聞いたら、ここを紹介されたんだけど」
「はい、大丈夫です。商業ギルドでは土地、建物の斡旋も行っています。それで、どのような土地をお探しでしょうか」
「とりあえず、何もない更地ってある?」
「はい、ございます」
「それって借りるってこと出来るの?」
「はい、大丈夫です」
「なら、1ヶ月ほど借りたいのだけど、いくらぐらいになるものなの?」
「土地の大きさや、立地場所によって異なりますが、希望とかありますか」
「多少離れてもいいけど、冒険者ギルドの近くがいいかな、大きさは冒険者ギルドの倉庫ぐらいの広さがあれば」
「冒険者ギルドの倉庫ぐらいの大きさの土地ですか。少しお調べしますのでお待ちください」

 受付から少し離れ、5分ほどで数枚の紙を持って戻ってくる。

「お待たせしました。5つほどありました」
「どれが、一番安い?」
「こちらですね、5つ中で一番冒険者ギルドから離れています。一ヶ月、銀貨30枚になります」

 一日銀貨1枚かな。

「安くない?」
「特に建物も建っていません。土地の使用代ならその程度になると思います。ただ、返却時に土地を何かに使用した場合、返却時に元に戻してもらう可能性がありますので気をつけてください」
「ちなみに他の値段も聞いていい?」
「はい、それぞれ、銀貨90枚、75枚、48枚、35枚になります」
「5箇所の立地場所を教えてくれる?」

 地図を出してそれぞれの場所を教えてくれる。

「うーん、90枚、75枚は高いからパスで、あと30枚の場所もパスで」

 30枚は移動が不便な場所にある。
 あとは35枚と48枚の場所。
 ベストなのは48枚の場所。ギルドからもフィナの家がある場所からも近い。さらに今、泊まっている宿にも近い。
 35枚の方はギルドは近いが宿もフィナの家も遠い。

「どうしましょうか」
「こっちの方をもう少し安くしてくれたら、こっちの方がいいんだけど」

 銀貨48枚の方を指す。

「ちなみに、この土地はどのように活用をするのでしょうか?」
「家でも建てて、魔物を解体する場所にしようかなと思って。ああ、もちろん、返すときは家は撤去するから大丈夫よ」
「ちょっとお待ちください」

 女性は少し離れた思うとすぐに戻ってくる。

「失礼ですが、ブラッディベアーさんでしょうか?」
「・・・・・」
「コホン、失礼しました。冒険者のユナさんでしょうか?」
「・・・そうだけど」
「最近のウルフ、一角ウサギ、ゴブリンキングの素材をありがとうございます」
「・・・・・? どうして商業ギルドがお礼言うの?」
「知らないのですか、冒険者ギルドと商業ギルドは繋がっているのです。冒険者ギルドで手に入った素材は商業ギルドに回され、商業ギルドで売られます。また、商業ギルドで護衛の依頼や品不足の魔物素材は冒険者ギルドに依頼をしています。持ちつ持たれつの関係になっています」
「知らなかった」
「はい、それで最近、ウルフ、一角ウサギの量が増えて商人の皆さんが喜んでいます」
「でも、わたし一人が売った数なんて商業ギルドからしたら微々たるものでしょう」
「いえ、ユナさんが持ってきてくださる素材はどれも綺麗で高く取引されています。普通の冒険者は剣で何度も斬りつけるので、どうしても切り目がいくつも出来てしまいます。でも、ユナさんが持ってきて下さる素材はどれも綺麗で、人気があるんです。さらにゴブリンキングの珍しい素材も人気の素材になりました」
「そうなんだ」
「はい、それで、上の者と話してきまして、さきほどの土地を銀貨35枚でどうでしょうか」
「いいの」
「はい、ユナさんが解体をして冒険者ギルドに売って頂ければ、商業ギルドも助かります」
「それじゃ、お願いするわ」
「それでは、これから案内をさせてもらいます」

 女性が席を立つ。

「あなたが案内をしてくれるの」
「はい、ご迷惑でしょうか」
「そんなことはないけど、わたしのためだけに受付のあなたが抜けるのはまずいんじゃないの」
「大丈夫です。代わりの者はいます。それ以前にわたしがあなたとの縁を切りたくありませんので」
「縁?」
「はい、ユナさんは新人冒険者の優良株です。あなたとコネを作りたがっている人は多くいると思いますよ。わたしもその一人です。遅くなりましたが、わたしはミレーヌと言います。どうぞ、よろしくお願いします」


 ミレーヌさんに案内された場所は地図で確認した通りの場所。
 宿屋に近い。
 ギルド寄りの場所。
 土地の広さも十分。
 人通が少ないのもいい。

「こちらに決めます」
「ありがとうございます」
「それではこちらの契約書にサインとギルドカードの転写をお願いします」
「転写?」
「はい、こちらにギルドカードを重ねてくれるだけで大丈夫です。借りられる本人確認になります」

 名前を書きギルドカードを転写して、一か月分の銀貨35枚を払う。

「それで、こちらの土地に家を建てるそうですが商業ギルドでは大工工房にも斡旋できますがどうしますか」
「大丈夫です。家ならもうありますから」
「・・・・・・・?」

 ミレーヌさんは首を傾げる。
 クマボックスこととクマハウスのことを説明するか、一瞬悩み、黙っておくことにした。

「そうですか、何かあれば商業ギルドにお越しになってください」

 ミレーヌさんは頭を下げて帰っていく。
 ミレーヌさんが帰ったのを確認して、
 右見て、よし。
 左見て、よし。
 後ろも、よし。
 前も、よし。
 今、人通りが無いのを確認する。
 クマボックスからクマハウスを取り出す。
 はい、一瞬で何もない土地に家が建ちました。
 フィナを連れて倉庫に向かう。

「それじゃ、フィナ、今日はタイガーウルフをお願い」

 フィナにタイガーウルフのことを任せ、一度宿屋に戻り、宿泊のキャンセルを言いに行く。
 食事は無いが今日からクマハウスに住むことにする。 
 
おかしい、書き始めたときには早めに王都に行くはずだったのに。
まあ、クマハウスはいつでも撤去可能だから出発はすぐにできるんですけどね。
そもそも、書き始めのときにクマハウスなんて考えは無かった。


追記
PASH!ブックス(主婦と生活社)様より一巻発売中です。
書き下ろし、クマさん、クマを召喚する
を書かせてもらいました。
くまゆるとくまきゅうの初めての召喚の話になります。
本屋さんで見かけましたら手にとってもらえると嬉しいです。
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