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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、砂漠に行く
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291 クマさん、迷子になる

 フローラ様と遊んでいたら、国王に旅の準備の心配をされた。


「砂漠に出る前に町はあるが、前もって準備した方がいいぞ」


 国王はどうやら、今日中に出発準備を整えて、明日には出発すると思っていたらしい。

 クマボックスには大量の食材が入っているし、クマハウスの中にも、数ヶ月間引きこもれるほどの食材はある。衣食住に関しては、クマハウスがあるから必要はない。でも、クマハウスのことを知らない国王が心配するのも仕方ないことだ。

 だから、準備はできている旨は伝える。 

 国王からは「しっかり、届けてくれよ」と心配そうに言われたが、明日から本気を出すから大丈夫だ。


 フローラ様とたっぷり遊んだわたしは王都にあるクマハウスに戻ってくる。そして、自分の部屋に移動すると、ベッドの上にダイブする。

 フローラ様と楽しんでいたら日が暮れてしまった。

 まあ、くまゆるたちがいれば、多少の遅れはカバーできる。そもそもお城に向かった時間が遅かったから、今日出発することは無理だ。


 わたしはベッドに仰向けになると、クマフォンを取り出す。そして、クマフォンを握り、フィナのことを思いながら魔力を流す。しばらくすると、フィナが持つクマフォンと繋がる。


『ユナお姉ちゃん?』

「今、大丈夫?」

『うん、シュリはお母さんの食事の手伝いをしているし、お父さんは仕事から戻ってきていないから大丈夫だよ』


 クマフォンを使用するときはなるべく、人がいないところでとお願いしてある。だから、通話が掛かってきても、無理に取らなくても良いと言ってある。


『それで、なにかあったの?』

「しばらく、帰れそうもなくなったから、連絡をね」

『お仕事?』

「ちょっと、国王に仕事を頼まれてね。海のことでなにかあったり、お店のことで問題が起きたりしたら連絡を頂戴ね。すぐに戻ってくるから、ティルミナさんにも伝えておいて」


 クマの転移門のことを知っているフィナは、わたしが言っていることを理解して、返事をしてくれる。


『うん、わかった。お母さんに伝えておくね。あっ、そうだ。ユナお姉ちゃんにお願いがあったんだ』


 フィナが何かを思い出したような声がクマフォンから聞こえてくる。


「お願い?」


 フィナがお願いごとをするなんて珍しい。

 するにしても、いつもなら言いにくそうにする。


『お父さんが、「俺も一緒に海に行く! 子供たちだけじゃ危険だ」って言って、お父さんも一緒に海に行ってもいいですか? お父さんにはユナお姉ちゃんの許可をもらわないと、って言ったんだけど、一緒に行く気でいるみたいで』


 確かにゲンツさん以外の家族全員が旅行に行くのに、一人クリモニアに残って仕事じゃ可哀想だよね。

 せっかく、ティルミナさんと結婚して、家族ができたんだから、寂しい思いをさせるのは可哀想だ。


「ギルドの仕事が休みをもらえればいいよ」

『本当ですか。ユナお姉ちゃん、ありがとう』


 クマフォンからフィナの嬉しそうな声が聞こえてくる。

 それにゲンツさんの言葉じゃないけど。子供だけじゃ危険かもしれない。大人がいると言っても、女性がほとんどだ。クマ装備が万能でも、全ての子供たちに目を向けられるわけじゃない。

 護衛を兼ねて、子供たちの面倒を見てくれるようにルリーナさんとギルに仕事として依頼してみようかな。子供たちも二人のことは知っているし、怖がられることもないはずだ。

 とくにギルは男の子に人気がある。強くて、格好良いそうだ。

 ギルはたまに孤児院に顔を出して、子供たちと遊んでいると言うし。ルリーナさんといい、ギルといい、なんであんな馬鹿と一緒にパーティーを組んでいたか謎だ。


「でも、孤児院の子供たちも、面倒を見てもらいますからねって、伝えておいて」

『うん。お父さんに伝えておくね』


 もう少し、フィナと世間話をしたかったが、ゲンツさんが仕事から帰ってきて、食事になるとのことなので、通話を切ることにする。


『ユナお姉ちゃん、ごめんね』

「気にしないでいいよ」

『ユナお姉ちゃん、お仕事頑張ってね』


 通話を切ったわたしは明日の日が出る時間に出発することに決め、早く寝ることにした。



 翌日の朝、くまゆるたちに起こされたわたしは、眼を擦りながら起き上がる。

 窓を見るとまだ薄暗い。陽が昇り出したばかりだ。早起きするときは、クマ目覚ましが役に立つ。たまに顔に乗って起こそうとするが、あれは息ができなくなり、苦しいので止めてほしい。


「くまゆる、くまきゅう、おはよう」


 くまゆるたちに挨拶をしたわたしは朝食を軽く食べると、王都を出発する。

 王都を出たわたしはくまきゅうを召喚する。いつもはくまゆるを先に召喚することが多いが、今日はくまきゅうを召喚する気分だった。くまきゅうは嬉しそうに近寄ってくる。


「それじゃ、くまきゅうお願いね」


 わたしはくまきゅうの頭を撫でると背中に跨る。

 いざ、見知らぬ土地、砂漠に向けて出発!

 くまきゅうは「くぅ~ん」と鳴くと南に向けて走り出す。


 でも、砂漠か。ゲームの世界では行ったことはあるけど現実世界では経験はない。引きこもりのわたしが鳥取砂丘に行くこともなかったので、少し楽しみだ。

 でも、砂漠ってどんなところなのかな。やっぱり、ゲームと一緒で魔物がいたり、熱いのかな?

 砂漠や火山に行くには耐熱装備が無いとHPが減ったことを思い出す。その点、クマ装備は耐熱効果を持っているから安心だ。ゲームの世界でもクマの着ぐるみは最強の装備になりそうだけど、着るか、どうかは別の話になる。ゲームとはいえ、クマの着ぐるみは恥ずかしいからね。それにゲームなら、この異世界とは違って、手に入れていた強い武器や防具は持っていたから、無理に着る必要はない。


 くまきゅうは街道を走る。

 国王はこの道を進めば町があると言っていた。その町からデゼルトの街に行くのが迷わずに行ける方法らしい。 

 クマの地図は行ったところ以外は表示されないため、目的地は分からない。道を外れると、目的地を見失う可能性が出てくる。

 わたしは時折、探知スキルを使用しながら進む。そして、人の反応があると、くまきゅうを見て騒がれても面倒なので、大回りして避けて通っていく。

 ここはクリモニアの周辺と違って、くまゆるたちで移動をすると驚かれる。クリモニア周辺でくまゆるたちに乗っていても、冒険者や商人に会ってもくまゆるとくまきゅうのことを知っているので、最近では驚かれることは無くなっている。たまに声をかけてくる者さえもいる。

 くまゆるたちを見て、驚いたり、逃げたりする者もいるが、それは他の街から来た者が多い。

 まあ、現実でもクマが現れたら逃げるよね。死んだ振りをしても無駄だからね。


 街道を走っていると、また、人の反応がある。わたしは視界に入らないように、道から離れて、大回りをする。

 でも、こうやって道に人がいるたびに避けるのも面倒になってくる。戻ってくると、また、人がいるので大回りをして人を避けるようにして進む。

 う~ん、少し面倒だ。

 地図を見るが進む先は真っ暗で何があるか分からない。便利なスキルだけど、新しい場所に行くには少し不便でもある。でも、自動マッピングは楽なので助かっているのは事実だ。それに、全ての地図が分かったら分かったで、楽しみが半減するので、これで良いと思っている。新しい場所に行くなら楽しまないとね。


 わたしは真っ黒い地図を見る。そして、目の前の道を見る。道は少し右の方に曲がっている。右の方を見ると森がある。森を突き抜ければ、ショートカットできるかな?

 馬車などは通れないが、くまきゅうたちなら気にしないで進むことができる。わたしは目の前の道と黒い地図を見て予測をつける。

 そして、わたしは森の中を移動することに決める。


 道を外れて森の中に入ると人はいない。これで、気にせずに移動することができる。でも、道から外れると魔物の反応が出てくる。まあ、襲って来ないかぎりは気にせずに進む。


 途中で休憩を入れ、くまゆると交代しながら走る。

 こっちで大丈夫かな?

 予測を立てて森の中を進んでいく。

 これが失敗の元だったと気付く。過去の人は言ったものだ。『急がば回れ』と。クマのスキルの地図や探知魔法があるから大丈夫だと思ったけど、見事に迷った。

 進めば街道に出るかと思ったら、道が出てこない。そもそも森を抜けていない。

 もしかして、道はSの字になっていたのかな? クマを騙すなんてとんでもない道だ。

 とりあえず、今日は日が暮れてきたので、クマハウスを出して一泊することにする。

 まさか、迷うとは思わなかった。


 翌日も元気にくまきゅうに乗って出発する。

 一度戻ることも考えたけど、とりあえず進むことにする。

 今日は左寄りに走る。通って来た道を見て、直進して進んでいたので、左に進めば道に出ると予想をしてみた。

 出発する前に地図でも見せてもらえば良かったかな?

 国王も道なりにいけば大丈夫だとしか、説明をしなかった。国王もまさか、わたしが道から逸れるとは思ってもいなかっただろうし、わたしも道から逸れて、進もうとはそのときは思ってもいなかった。

 間違いなく、道から逸れたわたしが悪いんだけど。今更、戻るわけにもいかないので、このまま進むことにする。


 何度か、休憩を挟んだ後、地図と探知スキルを使用する。探知スキルを使うとオオスズメバチと出た。オオスズメバチって、元の世界でも危険な蜂だよね。

 でも、魔物なの? 小さいと思うんだけど。

 虫は嫌いだけど、少し気になったので見に行くことにする。そして、すぐに後悔をすることになる。

 魔物を見つけたからと言って、興味本位で見に行くものじゃないね。目の前には、蜂がぶんぶんと飛んでいる。しかも、大きい。大きな鳥ぐらいの大きさの蜂が飛んでいる。探知スキルにはオオスズメバチって書いてあるけど。わたしが知っているオオスズメバチと違う。わたしが知っているオオスズメバチは親指ぐらいの大きさだ。決して、大きな鳥ほど巨大な蜂じゃない。

 普通のオオスズメバチも怖いのに、大きなオオスズメバチって。

 これだと巣の大きさはどのくらいになるの?

 想像しただけでも、寒気がしてくる。どうも虫系統は苦手だ。まして、大きいと気持ち悪さは格別だ。

 ブ~~~~ンと嫌な羽音をさせて飛んでいる。

 討伐した方がいいのかな?

 でも、関わりたくないな。

 探知スキルを使うと、この先に数十匹のオオスズメバチがいる。巣があるのかな。

 オオスズメバチは奥の方に飛んでいく。その先を見ると洞窟があり、蜂が出入りしている。どうやら、あの中に巣があるみたいだ。元の世界にあるような巣が木にぶら下がっていなくて良かった。

 そのサイズの巣を見たら、発狂したかもしれない。

 わたしが洞窟を見ている間もオオスズメバチが出入りしている。

 うん、気持ち悪い。討伐しよう。

 ちょうど、洞窟の中が巣みたいだし、前にゴブリンの洞窟で使った方法で討伐することができる。

 わたしはオオスズメバチに気付かれないように強大な炎のクマを作り出す。そして、洞窟の中に放り込む。そして、土魔法で大きなクマを作り洞窟を塞ぐ。これで一網打尽だね。

 あとは洞窟の周りに飛んでいるオオスズメバチだけだ。

 …………と思っていた。

 洞窟の横穴らしきものがあったらしく、無数のオオスズメバチが飛び出してきた。

 そっちにも穴があるの!?

 オオスズメバチがわたしに向かって襲い掛かってくる。

 ちょっ、数が多いよ。羽音がうるさいよ。気持ち悪いよ。

 わたしは自分の周りに竜巻を作り、襲ってくるオオスズメバチを巻き込ませる。

 竜巻の中に入ったオオスズメバチは羽を切り落とされて、落ちていく。羽が無くなったオオスズメバチも気持ち悪い。

 飛び出してきた穴も塞ぎ、飛んでいるオオスズメバチも風魔法で倒す。

 でも、空高く飛んだ数匹のオオスズメバチが逃げていく。

 ああ、逃げられた。

 まあ、数匹ぐらいならいいかな。クマの炎と竜巻でかなりの数を倒すことができた。

 でも、くまきゅうが飛び去っていくオオスズメバチの方を見て「くぅ~ん」と可愛く鳴く。



そんなわけで、迷子ですw


PASH!編集部様のTwitterで下記のグッズのアンケートがあるみたいです。


PASH!くま担当です。

「くまクマ熊ベアー」発売日なのでみんなに聞いてみたい!

ユナも、くまゆるもくまきゅうもめっちゃかわいいので、くまクマグッズをいつか作りたい!もし作るなら何がほしいですか…?実現するかは不透明なんですけど…


1、持ち歩きたい。ラバストなどストラップ系

2、ユナ気分!?くまパペットなど身につけるもの

3、飾りたい!フィギュアなどの立体物

4、いやいや声が聞きたい!ドラマCD


締め切りは8月3日、4日?になるみたいです。

リンクは貼れませんので、調べて投票してもらえると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあクマさんなら、一度は蜂と戦わないとねっ!☆彡 ←なんで
[一言] 蜂は害虫対策に必要です アメリカシロヒトリだったかな 危険視されてたのが大事にならなかったのはオオスズメバチがいたからとも言われていますね
[気になる点] 『引きこもりのわたしが鳥取砂丘に行くこともなかったので、少し楽しみだ。』って書いてあるということは、作者は鳥取県に在住なんですか?(それとも出身地?) 私はお隣の島根県に住んでいるの…
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