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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、砂漠に行く

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289 クマさん、呼び出しをもらう

 家にいると、息を切らした、クリフの使いの者がやってきた。どうやら、ここまで走って来たらしい。
 そして、至急、屋敷まで来て欲しいと言われた。
 理由を尋ねると「聞かされていません」と答える。
 う~ん、何かな? なにか、怒られるようなことをしたかな?
 ノアとお出かけをするときはちゃんとクリフの許可をもらっている。
 あとは考えられるのはエルフでもらった神聖茶だけど、先日あったときは、お茶の飲む回数は1日1回と約束を守っているとララさんに聞いた。だから、神聖樹の茶葉の在庫もあるはず。
 いくら、考えても思い当たらない。
 分からないまま、お屋敷に到着すると、すぐにクリフのいる部屋に案内される。

「来たか。座ってくれ」

 言われたまま椅子に座る。
 クリフの表情を伺うが怒った様子はない。
 どうやら、怒るために呼んだわけじゃないみたいだ。
 う~ん、それじゃ、なんだろう?

「それでなに?」

 単刀直入に尋ねる。

「国王陛下から手紙が来た。ユナに王都まで来て欲しいのことだ」
「…………? えっと、つまり、国王の呼び出しってこと?」

 なんだ、国王の呼び出しか。でも、なんだろう。呼び出しなんて初めてのことだ。学園祭のことはすでに怒られている。クリフ同様に呼び出しをもらう理由は思い付かない。

「ああ、その前におまえさんに確認しないといけないことがある。おまえさんはクラーケンを倒したんだよな?」
「クラーケン? そのことならクリフも知っていると思うんだけど。もしかして、今更疑っているの? 別に信じなくてもいいけど」
「確認と言っただろう。疑う訳じゃない」

 それじゃなんで、今更確認を?

「それでどうなんだ」
「倒したよ」
「クラーケンを解体したことは聞いたが、魔石はどうした? 水の魔石が手に入ったと思うが」
「クラーケンの魔石? 一応、持っているよ。解体してくれたお爺ちゃんが、わたしが持つべきものだって言うから」

 初めはミリーナの町の復興のためにプレゼントしようしたが、アトラさんが、「魔石は冒険者が討伐した証でもある」だから「魔石は受け取れない」と言われた。
 だから、クラーケンの魔石は使う予定もなくクマボックスの肥やしとなっている。

「見せてもらっても構わないか?」

 わたしはクマボックスからクラーケンの魔石をテーブルの上に出す。水色の綺麗な色をした魔石だ。

「これが、クラーケンの魔石か。さすがに大きいな」

 魔石のお大きさは両手の手のひらを広げたほどの大きさがある。

「それで、なんなの?」
「ユナ、すまないが、これを持って、国王陛下のところに行ってくれないか?」
「魔石を国王のところに?」

 クリフが持っている青色の魔石を見る。

「ああ、国王陛下の手紙に、もしユナがクラーケンの魔石を持っているようだったら、至急来て欲しいと書かれている」

 なにか、面倒ごとかな?
 クラーケンの魔石が必要になることでも起きたのかな?

「おまえさんのクマなら、すぐに行けるだろう」

 クマの転移門で一瞬です。とは言えないが、頷いておく。

「理由は書いていないの?」
「クラーケンの討伐で水の魔石を持っているようだったら、王都に来るようにと書かれているだけだ。まあ、考えられるのはその魔石が必要になったんだろう」

 わざわざ確認してくるんだから、そのぐらいは言われなくても想像はつく。わたしとしては魔石の必要な理由だったんだけど、その理由は書かれていなかったようだ。
 でも、至急来て欲しいってことは、困っているんだよね。王都に行くのは問題はない。海に行くのも、だいぶ先の話だ。ただ、少し前にしばらくは王都にいかない宣言したのに、数日で撤回することになるとは思わなかった。

「それで、王都に行ってくれるか?」
「断れないんでしょう」
「助かる」

 クリフが頭を下げる。

「どうして、クリフが頭を下げるの?」
「当たり前だろう。国王陛下からの手紙だ。断れるわけがない。もし、おまえさんが拒否すれば、俺は国王陛下に謝罪しにいかないとならない」
「力づくで奪うとか? 行かせるとか」
「するわけがないだろう。おまえさんに恩がある。ノアも好いているし、もし、俺がおまえさんに危害を与えたことを住民が知れば、俺は住民から叩かれることになるぞ」

 大袈裟すぎる。
 どうして、クリフがわたしに危害を与えて、住民が怒るのよ。意味が分からない。でも、ミレーヌさんなら商業ギルドのギルドマスターとして、文句を言ってくれるかもしれない。
 それに、貴族に逆らう人なんていないと思う。

「そもそも、クラーケンを討伐するおまえさんから奪うよりは国王陛下に謝罪した方がマシだ。それに、おまえさんに無理やり命令するよりは頼んだ方がよい」

 まあ、クリフには何だかんだでお世話になっているから、とんでもないお願いでなければ、聞くかもしれない。

「そうだね。もう少し暖かくなってきたら、海に遊びに行くつもりだったから、そのときなら断ったかな」
「国王陛下の命令よりも、遊びが優先か。ふふふふ」

 笑い出すクリフ。
 えっ、だって、オッサンの呼び出しより、子供たちとの遊びが優先でしょう。
 せっかく、予定も立てているんだし。
 これが、フローラ様やティリアの頼みなら王都に行くけど。オッサンのお願いじゃね。
 まあ、今は時間はある。問題があるとすれば、学園祭から、それほど経っていないことぐらいだ。

「それじゃ、すぐに向かうよ」

 わたしはクマボックスにクラーケンの魔石を仕舞う。
 それと、1つクリフに確認する。

「ああ、そうだ。今度、ノアを連れて海に行くけど、大丈夫だよね?」
「このタイミングで聞かれて、断れるわけがないだろう。ノアには出発までに勉強をすれば良いと伝えてある」

 ちゃんと、ノアは自分で許可をもらったみたいだ。なら、問題はない。
 もし、遊んでばかりで勉強をしないで、行けなくなったらノアが悪い。
 わたしはお屋敷を出ると、ティルミナさんとフィナには王都に行くことだけを伝える。

「すぐに戻ってくるつもりだけど、なにかあったらお願いしますね。フィナもなにかあれば連絡を頂戴ね」
「ユナちゃんも忙しいわね」
「これもティルミナさんがお店や孤児院を見ててくれるおかげですよ」
「あら、おばさんをおだててもなにも出ないわよ」
「まだ、ティルミナさんは若いですよ」
「ふふ、ありがとう」

 ティルミナさんは謙遜するが、わたしは出かけることが多いから本当に助かっている。ティルミナさんがいなければ、こんな風に簡単に王都に行ったりはできない。

「ユナちゃんなら、大丈夫だと思うけど。気をつけてね」
「ティルミナさんもなにか問題が起きたら、フィナに伝えて、連絡をくださいね」
「ええ、わかったわ」

 わたしはクマハウスに戻る。
 このまま、クマの転移門を使って、王都に転移をしてもいいけど。さすがに、今日の今日で王都に行くわけにも行かない。だから、2日後、お昼を食べてから、クマの転移門を使って王都に転移する。

 数日前の決意も(むな)しく、王都に来てしまった。
 いったい、呼び出しって、なんなんだろう?
 わたしのことを知っている人がいるかもしれないので。なるべく、人に会わないようにして、お城に向かう。

「これはユナ殿。お待ちしていました。国王陛下がお待ちになっています」

 門の前に立つ兵士が挨拶をしてくれる。どうやら、わたしがお城に来ることは連絡済みみたいだ。
 そして、兵士の案内で、国王がいると思われる部屋に案内される。

「この中でお待ち下さい」

 兵士に言われて部屋の中に入る。中は執務室のようになっている。たしか、初めて、国王と会った部屋だ。
 でも、部屋の中には国王の姿はない。
 とりあえず、待てと言われたのだから、待てば来るのかな?
 ソファーがあるので、クマボックスからお茶を出すと、飲みながら待つことにする。
 ズズズズズ。ああ、お茶が美味しい。ララさんから頂いたお茶だから、美味しい。
 でも、遅いな。国王が来ない。
 クマボックスからエレナさんが作った試作のケーキを取り出して食べる。
 パクパク。ケーキは酸味が効いて美味しい。これはなんの果物を使っているのかな? エレナさんもいろいろとケーキの研究しているみたいで、わたしが知らない新作ケーキも増えている。でも、試食のし過ぎで、お腹周りを気にしていた。味見をすると太るからね。
 それにしても、遅いな。国王が来る様子がない。もしかしたら、エレローラさんが来るかと思ったんだけど、エレローラさんも来る様子もない。
 くまゆる、くまきゅう、召喚!
 子熊化したくまゆるとくまきゅうが現れる。
 暇なので、撫でたり、抱きしめたり、肩車をしたりして癒されることにする。
 このモフモフ加減がいいね。わたしがくまゆるたちに癒されているとドアが開き、国王が入ってくる。

「待たせたな…………おまえは何をやっているんだ」

 改めて周りを見る。テーブルの上には飲みかけのお茶や、食べかけのケーキ。くまゆるとくまきゅうと
(たわむ)れているわたしの姿がある。
 まったり状態だね。

「呼びつけておいて、誰も来ないから、暇つぶしをしていただけだよ」
「それはすまないが、俺のことを待つ者で、こんなに緊張が緩んだ者は初めて見たぞ」

 「これでも、国王なんだぞ」と小さな声で言う。

「エレローラさんなら、わたし以上だと思うけど」
「おまえはエレローラに似てきたな」

 心外だ。わたしはあそこまで酷くない。

「それで、呼びつけたのはなに?」
「ああ、そうだったな」

 わたしはテーブルの上の物を片付け、くまゆるとくまきゅうは左右に座らせる。

「それにしても早かったな」
「それは、手紙に至急って書いてあればね。くまゆるたちを使って急いで来たよ」

 嘘です。2日半、のんびりしてから、クマの転移門で一瞬で来ました。

「それで、呼んだ理由はなんなの? クラーケンの魔石の有無を聞かれたけど」
「まずは、クラーケンの魔石を確認をさせてもらってもいいか?」

 わたしはクマボックスからクラーケンの魔石を取り出し、テーブルの上の置く。

「これが、クラーケンの……、大きいな。触ってもいいか?」

 わたしは頷く。
 国王は両手にクラーケンの魔石を手に取り、真剣な目で見る。
 やっぱり、必要なのかな?

「ユナ、すまないが、譲ってもらえないか?」
「いいよ」
「無理を言っているのはわかっている。だが……」
「だから、いいよ」
「…………、いいのか?」

 国王は驚いた表情をする。

「いいよ。だって、必要なんでしょう」

 それにわたしが持っていても使うことはないし。
 クリモニアから呼びつけるほど、必要なことなんだと思う。もし、今後必要なことになれば、そのときに考えればいい。

「でも、一応、理由を聞いてもいい?」

 犯罪めいたことはしないと思うけど。何に使われるのかぐらいは知る権利はある。
 国王は魔石をテーブルの上に置くと話し始める。

クリフに呼び出されたと思ったら、国王でした。
どうなるんでしょうね。

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