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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、砂漠に行く

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286 クマさん、暖かくなるのを感じる

 先日、ノアの家に行ったときにノアが「お出かけしたいな」と口にしたので、今日はフィナとシュリを連れて、街の外にピクニックに行くことになった。もちろん、クリフの許可はもらっている。

「街の外は久しぶりです」
「勉強は頑張っている?」
「はい。それがお父様との約束ですから。それに勉強をしないと、お母様になんて言われるか、わかりません」

 そんな真面目に勉強をしているノアを気遣って、街の近くの景色が良い丘に向かっている。もちろん、くまゆるとくまきゅうに乗って移動する。

「最近、温かくなってきたね」
「はい。冷蔵倉庫で解体するとき少し嬉しいです」
「冷蔵倉庫、涼しいよ」

 孤児院に持っていく肉はフィナとシュリの2人が解体する。そして、解体作業は肉が痛まないように冷蔵倉庫で(おこな)うことになっている。

「そうですか。わたしはまだ暑くは感じませんが」

 ノアの部屋は2階になり、風も入ってくるから涼しいのかな?

「ユナさんはそんな格好をしてて、暑くないのですか?」

 3人の視線がわたしの暑苦しそうなクマの着ぐるみに向けられる。
 わたしは軽く着ぐるみの服を掴んでみる。外見はモコモコして暑苦しい格好だ。でも実際は、見た目と違って暑くはない。

「大丈夫だよ。涼しいぐらいだよ」
「そ、そうなんですか?」

 3人は驚きの表情を浮かべる。まあ、普通にわたしの格好を見れば暑苦しい格好になる。夏場では絶対に着たくない格好の1つだ。でも、見た目と違って心地よい温度が保たれている。耐熱耐寒完備は神様には本当に感謝だけど、普通にわたしに能力を与えてくれれば、こんな格好をしなくても良かった話もある。
 涼みたければ、クマの着ぐるみを着ろってことになる。今後、暑くなってくれば、ますますクマの着ぐるみは手離せなくなる。涼しくて良いかもしれないけど、神様への感謝は微妙なところだ。

 くまゆるたちは坂を駆け登り、丘の上までやってくる。わたしはランチにするためにシートを敷く。そして、今朝作ってきたオニギリを並べる。
 具材は梅干しに味付けした肉を入れたり、炊き込みご飯で作ったオニギリ、その他にもオニギリに合いそうな具材を入れて作ってきた。ちょっと多いけど、余ったらクマボックスに入れておけばいい。
 ちなみにおにぎりの形は普通の形だ。決してクマの形とかはしていない。
 3人ともアンズの店で米は何度も食べ、気に入っている。

「美味しそうです」

 フィナたちもシートの上に座り、一休みをする。丘の上には涼しい風が吹いてくる。3人は気持ちよさそうにする。
 そんな、3人の嬉しそうな顔を見ると来て良かったと思う。
 ノアは後ろにいるくまゆるに寄りかかる。そして、思い付いたかのように尋ねる。

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんは暑くないんですか?」

 ノアが寄りかかっているくまゆるの毛を優しく掴む。

「もし、くまゆるちゃんたちの毛を切るようでしたら、そのときはわたしに毛をくれませんか?」
「わたしも欲しい~」

 ノアの言葉にシュリが手を上げる。
 くまゆるとくまきゅうは小さく怯えたように「く~ん」と鳴くとノアから逃げるように、わたしとフィナの後ろに移動する。

「ノアに毛をむしられると思ったみたいだね」
「そ、そんなことしません。ただ、暑くて毛を切るようだったらの話です。くまゆるちゃんもくまきゅうちゃんもそんなに逃げないで」

 逃げるくまゆるに抱きつくノア。
 そもそも、くまゆるたちもわたしと同様に耐寒、耐熱は持っているみたいだから、このぐらいの暑さなら大丈夫だ。それ以前にくまゆるたちの毛って、切れるのかな?
 そして、すぐに毛が伸びるようだったら。くまゆるとくまきゅうの毛を使った服とか毛布が作れそうだ。

「暑いと言えば、みんなは川とかでは泳いだりはしないの?」

街の外には畑があり、近くには川も流れている。もちろん、ラルーズの街のような大きな川ではない。

「えっと、わたし泳いだことがないです」

 小さな声で「お母さんが病気だったので」と言う。シュリもないと答える。
 そうだったね。今のティルミナさんを見ていると、昔のことを忘れてしまうけど。ティルミナさんは病気で動ける状態ではなかった。フィナは家族を支えるために遊ぶこともせずに働いていたんだよね。それにシュリも1人で行けるわけもないし。

「わたしは何度か、川に行ったことはありますが。泳いだりはせずに、水遊びが多いですね」

 脳裏に、麦わら帽子を被って、白いワンピースに裸足で水遊びをするお嬢様風のノアが浮かぶ。夏の風景に合っているね。
 でも、それじゃ3人とも泳いだことは無いってことなのかな? まあ、わたしも川で泳いだことなんてないけど。あるのは小学校の授業のプールぐらいだ。

「それじゃ、今度みんなで、海に泳ぎに行こうか?」
「ほ、本当ですか!?」

 一番に反応をしたのはノアだった。

「うん。せっかく、近くに海があるんだしね」

 洞窟を抜ければ青い海が待っている。
 昔ならまだしも、誰かが洞窟を作ったから、行き来は簡単にできる。

「海で泳いだことがありませんから、行ってみたいです」
「フィナたちも行くでしょう?」
「でも、わたし、泳げないです」
「うん、わたしも」

 それを言ったら、わたしも泳げるか分からない。なにぶん、泳いだのは小学生のときだ。体は覚えているかな?

「まあ、泳げなくても、波打ち際で遊ぶこともできるよ。それに海は冷たくて気持ちいいよ」

 最後にたぶんと心の中で付け足す。
 だって、夏の海なんて行ったことがない(冬も春も秋もないけど)から、外部情報で手に入れた知識しかない。
 でも、砂浜の上だと熱いのかな?
 まあ、その辺りは日よけを作ったりして、対処をすればなんとなるかな?
 夏の海に行ったことがないわたしじゃ、経験不足だ。その辺りは地元の人間に聞けばなんとかなるかな?

「そう言えば、川や海に入るときに着る服ってあるの?」
「……薄着みたいな服のことですか?」

 川に行ったことがほとんどないフィナは分からないみたいだ。
 ノアが言うには水の中に入る服はあるけど水着とはちょっと違うのかな?

「う~ん、とりあえず水に入る服があって、それを着て海で泳いだりするんだよ」

 この世界の人はどんな服装で泳ぐのかな?
 このことも地元のアンズに聞くことにする。

「わたし、そんな服は持っていないです。どこかで買えるんですか?」
「この街じゃ売っていないかもね。なければシェリーに作ってもらえばいいし」

 イラストを描けば作ってくれるかな?
 そうなると本格的に暑くなる前に頼まないと駄目だね。

 それから、ピクニックを楽しんだわたしは、海に行く企画を考えることにする。
 水着は必要だよね。それから行くメンバーを考える。まずは孤児院の子供たちは連れて行きたい。それから、久しぶりにアンズも家に帰りたいだろうし、モリンさんたちもお世話になっているから、連れて行きたい。そうなると、お店の問題もあるから、ティルミナさんに相談しないといけないかな?
 あと孤児院の子供たちの全員分の水着も用意しないといけないし。もしかして結構、大変?


 翌日、アンズのお店でお昼を食べるついでに水着について尋ねることにする。注文するのは海鮮丼。イカやタコも入っている。醤油を付けて食べる。

「海で泳ぐ格好ですか?」
「うん、どんな格好で泳ぐのかなと思って」
「どんな格好って言われても、シャツみたいな服かな? すぐに乾きますから」

 エーリスや他のミリーラの町から来た女性たちも頷いている。
 透けないのかなと思ったらサラシみたいのを巻くみたいだ。

「どうして、そんなことを聞くんですか?」
「今度、みんなで海に行こうと思ってね。もちろん、アンズたちも行く予定になっているからね」
「わたしたちもですか?」

 わたしの発言にアンズを含む五人は驚く。

「うん、デーガさんも心配しているだろうし、久しぶりに町に戻ったらどうかな? まだ、こっちに来てから一度も帰っていないでしょう」

 もちろん、嫌な思い出もある人もいるから、無理強いはしない。

「お店はどうするんですか?」
「休みにするけど」

 なにを当たり前のことを。

「それじゃ、売り上げが」
「気にしないでいいよ。休んだからと言って、お給金を減らしたりしないし」
「そんな心配じゃなくて、今でも十分なお給金はもらっているし」

 ティルミナさんの話では売り上げも有り、赤字にはなっていないって聞いている。黒字なのもアンズたちが頑張っているおかげだ。数日休んでも問題はない。

「住んでいる場所もタダだし。休みもあるし、お店も自由にさせてもらっているし。なのに町に帰るのに、お給金なんてもらえないよ」

 有給休暇だよ。と言っても伝わらないんだろうな。

「アンズたちには子供たちの面倒や町の案内をしてもらうから、それが仕事だと思ってくれればいいよ」

 孤児院の子供たちだけでかなりの人数がいる。院長先生やリズさんだけで面倒を見るのは大変だ。孤児院で働いている、ニーフさんとアルンさんが一緒に来てくれればいいけど。断られれば人が減ることになる。そうなると、アンズには子供たちの面倒を見てもらいたい。
 わたしはアンズと一緒に働いている三人にも考えておいてと言う。 
 海鮮丼を食べ終わり、今度はティルミナさんに会いに孤児院に向かう。

 この時間だと、もう居ないかな?
 昼過ぎになると、孤児院で院長先生とお茶を飲んでいることが多いけど、商業ギルドに行ったり、食材の仕入れの注文に行ったりする。だから、午後に孤児院にいないとティルミナさんを捕まえるのは少し難しい。
 とりあえず、孤児院に向かって歩いていると、ティルミナさんとフィナ、シュリが仲良く手を繋いで歩いてくるのが見える。これはどこかに行くところかな?
 でも、すれ違いにならずに会えて良かった。

「ユナお姉ちゃん!?」

 フィナがわたしのことに気付くと、小走りでやってくる。

「どうしたんですか? 孤児院に行くんですか?」
「ティルミナさんに相談することがあってね」
「わたしに?」

 ティルミナさんがシュリと一緒にわたしのところにやってくる。

「ティルミナさん、これから時間はありますか?」
「これから、娘たちと買い物に行こうと思っただけだから、あるけど。その話って、重要な話? なら、どこかでゆっくり聞くけど」
「たいした話じゃないから、歩きながらでいいですよ」

 わたしは歩きながら海への旅行の相談を始める。

ついに水着イベントが……
クラーケンの討伐がリアル時間で去年の3月って、あれから、そんなに時間が過ぎていたんですね。
月日が経つのは早いものです。
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