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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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264 クマさん、あらためて、フィナの解体の実力を知る

 学生による解体作業も終わり、フィナとシュリが台の上から降りる。

「フィナには勉強にはならなかったみたいだね」
「……はい。お父さんやギルドのみんなの方が」
「本職と比べたらダメだよ」

 学生はあくまで勉学の中、解体の勉強をしている生徒だ。それを仕事としてお金を貰っている人たちと比べたら学生が可哀想だ。それにフィナはすでに何百、もしかすると、千単位で解体をしているかもしれない。学生とは経験の量が違い過ぎる。

「えっと、フィナちゃんだったかしら、そんなにダメだった?」

 メルさんがダメ出しをするフィナに尋ねる。

「えっと」
「メルよ。ユナちゃんとは仕事仲間かな。あの子たち、確かに上手くは無いけど、フィナちゃんから見て、そんなに駄目だった?」
「うん、討伐の仕方にもよるんだけど。剣で倒された場合は、なるべく、剣で斬った場所からナイフを入れないとダメなんです。そうしないと毛皮に切り口が2つ出来ます。そうなると価値が下がるから、剣で倒した場所から切るのが一番いいんです。もちろん、お腹から切るのは正しいんだけど。価値が下がるから、どうしても違うって思って」

 フィナの説明を聞くと納得してしまう。確かに穴は少ない方が良いに決まっている。前に聞いたことがある。何度も攻撃をして、毛皮に多くの傷がある場合、毛皮として価値は物凄く下がる。だから、一撃で倒すわたしのウルフは価値があるって聞いた。

「魔法で倒した場合も、そこから切ると良いんです。なるべく、現状を保って切るんです。そうすると高く引き取ってもらえます」

 フィナの説明にメルは驚く。わたしも驚いているよ。フィナってそんなことを考えて解体をしていたんだね。もしかすると、フィナの仕事の代金低すぎ?
 フィナが解体してくれたものは売ったりはしていないけど、そんな丁寧に解体してくれていたんだね。フィナの仕事料は上げた方がいいかな?
 でも、フィナにもティルミナさんにも従来通りで良いって言われているんだよね。
 メルさんが関心するようにフィナの説明を聞いていると、シュリまでが参戦する。

「あと、肉を切るのが遅いよ。あれじゃ肉が痛むってお父さんが言っていた」

 シュリまでがダメ出しをする。どうやら、シュリの目から見てもダメらしい。その判断が出来るのが凄い。これも、フィナの解体を見ているせいかな。
 見るって大事だからね。よく、職人が見て覚えろと言ったものだ。
 でも、シュリはまだ7歳だよね。これはフィナとゲンツさんの英才教育であって、わたしのせいじゃない。わたしが魔物を討伐する度に、フィナにお願いするせいじゃないはず。

「2人とも凄いわね」
「いえ、いつもユナお姉ちゃんが討伐する魔物を解体するから、だから身に付いて」

 えっ、わたしのせいなの?
 さっき、心の中で否定したばかりなのに。

「ウルフは何百と解体しているし、タイガーウルフや黒虎(ブラックタイガー)の解体もさせてもらったりしているから」
「ユナちゃん、そんなことまでさせているの?」

 えっと、はい。させていますね。

「もしかして、ブラックバイパーも」
「はい、ギルドのみんなと一緒にやりました」
「凄いわね。普通はそんな経験は出来ないわよ」
「全部、ユナお姉ちゃんのおかげです」

 まだ、コカトリスはやらせていなくて良かった。させていたら、大騒ぎになったかな?
 この世界でのコカトリスの立ち位置が分からないから、なんとも言えないけど。黒虎(ブラックタイガー)ぐらいの貴重な魔物だよね。
 もし、コカトリスを解体をお願いするときは口止めが必要かな?
 それ以前にフィナはコカトリスの解体って出来るのかな?

「それじゃ、みんなに手本を見せてくれないかな?」
「手本ですか?」
「うん、フィナちゃんみたいな。可愛い女の子が解体をしたら、みんなも刺激になると思うんだよね。小さい女の子でも出来ると分かれば、みんなもやる気になるよ」
「でも……わたしなんかが……」

 フィナは遠慮がちに断ろうとする。

「フィナ、やってみてあげたら?」
「ユナお姉ちゃん!?」
「わたしもフィナが解体するところ見てみたいです」

 話を聞いていたノアも賛同する。

「ほら、そろそろ、体験実習が始まるわよ」

 テーブルは綺麗に片付けられ、新しいウルフがテーブルに置かれる。

「誰か、やってみたい人はいませんか? 誰でも初めてだから、気軽に経験してみませんか」

 ジェイドさんが皆に声をかけるが、誰も手を上げる者はいない。興味があるのと、実際にやるのでは違う。わたしだって、フィナの解体を見て、やろうと思ったことはある。でも、無理だった。
 人には向き不向きがある。わたしには解体は不向きだった。

「ほら、誰もいないし」

 メルさんがフィナの背中を押す感じでテーブルの前に連れて行こうとする。

「ユナお姉ちゃん!?」

 フィナが親と離れ離れになる子供のようにわたしに助けを求めるように見る。
 ここはフィナの成長を見守るために。

「やってみるといいよ」

 わたしの言葉にフィナは少し考えて、小さく頷いた。
 フィナはメルさんにテーブルの前に連れて行かれる。すると、見学をしていた全員の視線がフィナに集まる。

「メル。その子は?」
「ユナちゃんの友達かな? 解体が上手いみたいだから、手本を見せてもらうことになったの。小さい女の子でも出来るって証明かな?」
「お姉ちゃん、頑張って」
「フィナ、頑張って」

 シュリとノアが檄を飛ばす。

「ユナ、本当にフィナちゃんは解体なんて出来るの? フィナちゃん、あんなに小さいのに」

 隣に立つティリアが不安そうにフィナを見ている。

「フィナは小さいときから解体をしていますから、大丈夫ですよ。フィナが解体が上手いのはわたしが保証するよ」

 フィナはテーブルの前に立つとアイテム袋から、エプロンのような物を取り出し服が汚れないようにする。
「こんな小さな子が解体?」「出来るのか?」「普通は出来ないだろう」「俺だって、戸惑うのに」
 見ている人たちからいろんな声が聞こえて来る。どれもが、否定的な言葉ばかりだ。やっぱり、フィナみたいな小さな女の子が解体が出来るのがおかしいんだよね。

「それじゃ、やってもらおうか」

 ジェイドさんがフィナにナイフを渡そうとするがフィナは断り、長年愛用している自分のナイフを取り出す。フィナが取り出したのは、わたしがプレゼントしたミスリルナイフでなく、ゴルドさんから貰った解体用のナイフだ。なんか、フィナが珍しくやる気になっている。

「それじゃ、行きます」

 フィナはそう言うと、ウルフを確認すると傷が付いている箇所からナイフを入れると一気に解体作業を始める。毛皮はもちろん、綺麗に剥ぎ取り、肉も部位ごとに切っていく。そのナイフの入れる動きには迷いが無い。なめらかに切れていく。見ている人からは真剣な目つきでフィナが解体していく姿を見ている。「スゲエ」「早い」「綺麗」「なんだ、この女の子は」「もう、毛皮を剥ぎ取ったぞ」見ている人はフィナの解体を賞賛する。
 自慢の姉が褒められてシュリは嬉しそうにしている。ノアはフィナの一面を見て驚いている。解体が出来ることを知っていても、フィナが解体するところを見るのは初めてなんだろう。
 フィナの解体作業は進み。先ほどの学生が解体した時間よりも半分以下で終わらした。しかも、綺麗な解体作業だ。

「凄いな。俺から何かを言うことはなにもない」

 ジェイドさんに褒められてフィナは嬉しそうにする。
 解体を行った生徒がフィナにいろいろと聞き始めて、フィナが恥ずかしそう解体の説明をしている。

「俺が説明するよりも、彼女の方がいいかもな」

 ジェイドさんは新たにウルフを出して、今度はゆっくりと解体の説明をお願いする。生徒からも手ほどきをお願いされている。
 フィナは恥ずかしそうにして、解体の仕方をゆっくりと説明をしていく。

「力は一気に込めた方が、綺麗に切れます。戸惑ったりすると、綺麗に切れなかったり、時間をかけてやると肉が傷む原因になります。だから、迷わずに切った方がいいです。でも、本当に解体を覚えるなら何回も解体して体で覚えたほうがいいです。わたしも昔は出来なくてよく怒られました」

 フィナも初めから出来た訳じゃない。何度も何度もあの小さな体でやったんだろう。病気の母親と小さな妹を守るために。それを支えてきたゲンツさん。それしか、道が無かったかもしれないけど、簡単に身に付く技術で無いことは確かだ。

 わたしがフィナのことを考えている間も、フィナの解体授業は続く。途中からシュリも参加して、さらに皆は驚いたりしている。見学していた生徒たちもフィナの教えで解体をする。始めは緊張していたが、自分たちよりも小さな女の子がやっているのだから、自分たちも勇気を出してやり始める。
 そして、ウルフの解体を終えると、次は一角ウサギとなり、フィナの解体の授業は続く。
 ジェイドさんはフィナから離れてわたしのところにやってくる。

「凄い女の子だな。手本となる良い解体の仕方だ」
「たぶん、わたしよりも上手いわね」
「メルは俺とトーヤにやらせるから、下手だろう」
「だって、汚れたくないもん」

 セニアさんはナイフの扱いが上手かったから、解体も上手いのかな?
 戦い方と解体は別ものだけど、素早くナイフを動かして解体をするイメージがある。
 そんなジェイドさんとメルさんが会話をしている間にフィナによる一角ウサギの解体授業は終えた。
 皆から拍手が起こり、フィナは恥ずかしそうに照れる。隣のいるシュリは姉が褒められて嬉しそうにしている。
 これで解体実習は終わり、見学者たちは帰っていく。
 フィナは解体の出し物を主催していた生徒たちと話し込んでいる姿がある。

「学生たちには良い勉強になったな。あんな小さい子でも解体技術を身に付けられる」
「未来の冒険者や兵士、騎士になるかもしれないからね」

 ジェイドさんとメルさんは参加者たちを見送る。
 話を終えたフィナはお礼に解体した肉の一部をもらっている。残りは学園祭で行っている串焼きを販売している店に渡すとか言っていた。ちゃんと考えているんだね。

「それじゃ、わたしたちも行くね」
「ああ、ありがとうな」
「フィナちゃんもありがとうね」
「いえ、なんか、お2人の仕事を取っちゃったみたいで、ごめんなさい」
「ふふ、謝ることじゃないわよ。わたしたちがお願いしたんだから、お礼が肉でごめんね」
「いえ、とても嬉しいです。ありがとうございます」

 わたしたちはジェイドさんたちと分かれ、布で囲まれた部屋から出て行く。





解体方法は作者の超適当の思いつきで書いてます。
なるべく、フィナが凄いっぽいことを適当に書いてみましたw
本職の方がいましたら、スルーでお願いします。

感想欄で多かった黒虎は163話で解体済みです。

次回は、なんだろう?
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