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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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254 クマさん、トランプをする

「それじゃ、みんな、寝るよ」
「はい」
「はい」
「は~い」

 3人は素直に返事をする。
 遠足の引率の先生になった気分だ。
 3人とも素直だから、大丈夫だけど。
 これが学校だったら、30人以上引率しないとダメなんだよね。
 それも、こんなに素直な子供ばかりじゃない。そう考えると教師は大変な職業だ。
 まあ、冒険者も命がけの大変な職業だけど。

「3人とも同じ部屋でいいよね」
「はい」
「もちろんです」
「わたし、くまきゅうちゃんと寝たい」

 年上の2人は了承したが、シュリがくまきゅうと寝たいと言い出した。

「ごめんね。くまゆるとくまきゅうはわたしのところで寝ることになっているから」

 くまゆるたちも夜はのんびりしたいはずだから、わたしの部屋で寝かせてあげるつもりだ。
 それに、なにか危険が迫って来たときにすぐにわたしに教えてもらわないと困る。

「ううぅ、ユナ姉ちゃんズルイ」

 シュリは口を少しだけ尖らせる。

「シュリ。ユナお姉ちゃんを困らせちゃ駄目だよ。お母さんと約束したでしょう」
「……うん、ごめんなさい」

 フィナに注意され、素直に謝ってくれる。
 こういうところは素直で良い子だ。

「それに、シュリにはぬいぐるみがあるでしょう」

 フィナはアイテム袋からくまきゅうぬいぐるみを取り出して、シュリに渡す。
 プレゼントしたくまきゅうぬいぐるみ、持って来ていたんだね。
 シュリは嬉しそうにくまきゅうぬいぐるみを抱きしめる。

「うぅ、シュリはぬいぐるみを持って来ていたんですね。わたしも持ってくればよかったです」

 シュリのくまきゅうぬいぐるみを見ながら、ノアがそんなことを言う。

「ノア様、わたしのくまゆるぬいぐるみでいいなら、お貸ししますけど」

 フィナは自分のくまゆるぬいぐるみをアイテム袋から取り出す。

「フィナ、ありがとう。でも、気持ちだけ受け取っておくわね。わたしはユナさんに頂いた、自分のクマさんぬいぐるみを裏切るようなことはしませんから」

 ノアが宣言をする。
 やっぱり、同じぬいぐるみでも、自分が貰ったものと他人とのでは違うのかな。
 まあ、プレゼントしたぬいぐるみを大事にされるのは嬉しい。

「フィナとノアは分かっていると思うけど、出発は早いからね。夜更かしはしないで寝るんだよ」

「はい!」
「はい!」
「うん!」

 3人は良い返事をして、二階の部屋に向かう。
 わたしもくまゆるとくまきゅうを連れて自分の部屋に入る。
 疲れたわけじゃないけど。明日も早いので寝ることにする。

「くまゆる、くまきゅう。もし、危険な物が近寄って来たら教えてね」

 わたしはベッドの上で丸くなって寝ようとしている、くまゆるたちにお願いをする。
 そして、わたしも布団の中に潜り込む。
 出発前に布団を干しておいたから気持ちがいい。
 寝付きの良いわたしはすぐに夢の中に落ちて行った。


 翌朝、くまゆるとくまきゅうに起こされる。
 外をみると、まだ薄暗い。いつもなら、まだ寝ている時間だ。
 早く出発するから仕方ない。少し眠いが頑張って起きあがる。
 欠伸をしながら1階に下りる。そのあとをくまゆるたちが付いて来る。
 一階には誰もいない。まだ、3人は寝ているみたいだね。
 3人が起きてきたら、すぐに食べれるように朝食の準備をしておく。
 まあ、いつも通りのパンとスープと牛乳になる。朝から豪勢にしても仕方ないからね。
 準備が終わる頃、眠そうにしている3人がやってくる。
 シュリの腕の中にはくまきゅうのぬいぐるみがいる。

「おはよう。朝食を食べたら出発するよ」
「ユナお姉ちゃん、手伝えなくてごめんなさい」
「アイテム袋から出すだけだから、気にしないでいいよ」

 朝食を食べると、王都に向けて出発する。

 移動は魔物にも盗賊にも遭遇することもなく、順調に進んでいた。
 わたしがしたことはくまゆるの機嫌を取り、くまきゅうの機嫌を取り、ノアの機嫌を取り、シュリの機嫌を取り、フィナの機嫌を取ったぐらいだ。
 なにか、数日間で精神的に疲れた気がする。
 くまゆるたちの場合は乗り換えや夜に一緒に寝てあげれば機嫌は治る。
 3人もローテーションを組んで乗ってあげれば、大丈夫だけど。どうして、みんな、わたしと乗りたがるかな?
 こう言うのは、馬にイケメン王子様が乗ってこそ、取り合いが起きると思うんだけど。
 3人の将来が心配だ。

 クリモニアを出発して数日。なにも無ければ今日中に王都に到着するはずだ。でも、空を見ると雲行きが怪しい。雨が降らなければいいんだけど。
 でも、その願いは届かず、昼食を食べているときに雨が降りだしてきた。

「ユナお姉ちゃん! 雨が!」
「みんな、食事は止めて移動するよ!」

 わたしたちはくまゆるとくまきゅうに乗ると、すぐに移動する。
 そして、クマハウスを出しても良い場所を見つけると、クマボックスから取り出し、クマハウスの中に駆け込む。

「みんな、大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「少し、濡れただけです」
「大丈夫だよ」

 どうやら、少し雨に濡れたぐらいで済んだみたいだ。
 くまゆるたちも濡れた様子はない。
 クマハウス様様だ。本当に便利だね。

 中に入ると、風邪を引かれても困るので、一応、3人にはタオルを渡し、拭くように言う。
 お風呂の準備をして、体を温めることにする。

「雨です」

 お風呂から出たシュリが窓から外を見ている。
 その後ろからノアも同様に覗く。

「今日はこれ以上の移動は出来ないですね」
「そんなに急いで王都に向かわなくても、学園祭には間に合うから大丈夫だよ」

 十分に余裕は持たせてあるので、一週間も降り続けたりしなければ大丈夫だ。
 だから、今日は進むことは諦めて休みとする。

 初めはくまゆるたちとマッタリしていたフィナたちも暇そうにしている。
 やることが少ないので、トランプの登場となった。
 本当は夜にでも遊ぼうかと思っていたけど。夕飯を食べて、お風呂に入ると、みんな規則正しく寝るので、トランプの出番は無かった。
 わざわざ、こんな良い子たちに夜更かしを教えることでもない。 
 そんなわけで、時間も出来たのでトランプで遊ぶことにした。

 まずは記憶力勝負の神経衰弱を行う。
 一番ルールが簡単で覚えやすい。

「記憶勝負ですね」
「みんなには負けません」
「うぅ、くまきゅうちゃん。一緒に頑張ろうね」

 シュリがくまきゅうに声をかける。

「シュリ。くまきゅうと一緒は無しね」

 くまきゅうの記憶力がどれほどのものか、分からないけど。くまゆるたちが参加したら、勝てる気がしない。なんとなくだけど、見えないカードまで、肉球でペチペチと叩いて当てそうだ。
 シュリからくまきゅうを離し、少し離れた位置に移動させる。
 シュリが悲しそうな顔をするが、くまゆるたちを参加させるわけにはいかない。
 席順は左回りにわたし、シュリ、フィナ、ノアとなる。
 でも、始まってみると、シュリの記憶力が良く。シュリの新たな一面を垣間見ることになった。

「こことここ」

 シュリがトランプを捲ると数字が合う。

「あと、こことここ」
「あっ、そこは」

 ノアはシュリが捲るトランプに声を上げる。
 シュリが捲ったトランプは数字が一致して、嬉しそうにトランプを自分の物にする。
 ノアは悲しい顔をしている。
 シュリは三枚目を捲るが、今度は外す。でも、十分に健闘している。
 次にフィナ、ノアと捲るがどれも初めての数字のため。ペアにはならない。わたしの番になり、トランプを捲ると、運良く過去に出た数字が出てトランプをゲットする。
 そして、ゲームは進み、わたしはかろうじてシュリに勝利して、年上としての威厳を死守することに成功する。
 危なかった。もう少しで負けるところだった。
 年下に負けた二人は悔しそうにして、リベンジすることになった。
 そして、何度か神経衰弱をしたあと、次は七並べをする。

「誰、水の4を持っているの?」

 ノアが自分が持っているトランプとテーブルに並んでいるトランプを見比べている。
 先ほどなにも出せずにパスをしている。

「水の3、2、1が出ないじゃない」

 そんなところを持っているんだね。でも、口にしちゃ駄目だよ。
 キーになる場所をギリギリまで並べないのは七並べの駆け引きだ。
 ばらしては、誰も出さない。
 ……と、わたしは思っていました。

「あ、わたし持っています。それじゃ、出しますね」

 フィナは自分の番が来ると水の4を出す。
 いやいや、出しちゃ駄目だよ。

「ちょ、フィナ。それじゃ、勝負にならないよ」
「でも、ノア様が……」

 フィナが申し訳なさそうにノアの方を見る。
 これが、貴族と平民が一緒にトランプをするとこうなってしまうんだね。
 神経衰弱なら、自分との記憶の勝負となる。でも、七並べは相手の出したい数字を妨害しながら、自分のカードを出すゲームだ。
 妨害するゲームだと、流石にフィナにノアの妨害はできないみたいだ。
 神経衰弱は大丈夫だけど、七並べのような妨害はフィナには向かないかもしれない。まして、優しいフィナはノアに対して優しくなってしまう。
 でも、これではゲームにならないので、ノアに注意する。

「ノア、自分が出して欲しいカードを言うの禁止!」

 わたしはノアに向かってクマさんパペットを突き差す。

「うぅ、だって……」
「フィナも勝負なんだから、真面目にやらないと」
「すみません」

 とりあえず、ノアが欲しがる数字が分からなければ、フィナも出しようがないはずだ。
 そして、始めはぎこちなかったフィナも、数をこなしてくると、勝負と割り切ってゲームを楽しむようにってきた。
 ノアの方も対等な勝負を楽しんでいる。

「ふふ、炎のクマさんキングです。これで『1』に繋がります」

 ノアが嬉しそうにする。
 今回は順調みたいだ。
 ノアに続き、わたしもカードを出す。

「うぅ、出せない」
「それじゃ、わたしはここに」

 シュリが自分のカードを見てパスをして、フィナがカードを出す。ノアも順調にカードを出してトランプの枚数を減らしていく。
 そして、みんな順調にカードを減らして終盤に迫り、パスが一番少なかったノアが最後の一枚を出す。

「勝ちました!」

 ノアは嬉しそうにする。
 勝負は真剣にやってこそ、嬉しさは出るんだよ。
 手抜きをされて勝っても嬉しくはない。
 平等の相手に勝ってこそ、嬉しいものだ。
 わたしだって、やっと面白くなってきたところだ。
 初心者に勝っても嬉しくはない。みんなが上手くなって駆け引きが出来るようになってからが、面白くなる。
 そして、途中からジョーカーを入れて特殊ルールを追加する。
 隣接している場所なら、好きな場所に置けるカードだ。ジョーカが置かれたら、カードを持っている人は出さなければいけない。
 これで、さらに勝負が面白くなる。
 それから、大貧民も行い、夕食まで楽しく過ごす。
 外を確認すれば、すでに雨は止んでいた。
 これなら、明日は大丈夫そうだ。

そろそろ、4巻の書籍作業が始まります。
投稿時間がころころ変わると思いますが、3日投稿は続けます。
……出来なかったらすみません。

まったり、移動は終了。
次回は王都に到着です。
+注意+
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