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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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253 クマさん、3人を連れて出発する

 王都に出発する当日。
 集合場所はわたしの家となっている。
 集合時間は朝食が終わる頃を約束してある。
 そして、わたしは起きたばかりだ。

「えっと、みんな早くない?」

 わたしの格好は起きたばかりのため、まだ白クマ状態だ。
 なのに、すでに3人はわたしの家にいる。
 まだ、着替えもしていないし、朝食も食べていない。
 別にわたしが寝坊したわけではない。
 いつもよりも早く起きて朝食を食べる予定だったのにも関わらず、3人はわたしの家にいる。

「シュリ。だから、まだ早いって言ったでしょう」
「だって……」

 フィナがシュリに向かって注意する。
 この様子を見れば、シュリが早く来たがったのは分かったけど、フィナには止めて欲しかった。
 わたしはもう1人早く家に来た人物に目を向ける。

「それでノアは?」
「そんなの決まっています。少しでも早く、クマさんと出発するためです」

 迷いなく返答する。
 そうだよね。
 前回のときも、ノアは予定の時間よりも早く、お屋敷の前で待っていたんだよね。
 集合場所をわたしの家にすれば、待てずにやって来るのは分かりきっていた。
 今さらだけど、集合場所はノアの家にすれば良かったかもしれない。
 フィナやシュリのために思ってわたしの家にしたんだけど。
 でも、来てしまった3人を追い返すわけにはいなかない。

「まあ、適当に待ってて、着替えてくるから」

 一度、部屋に戻り、黒クマに着替える。
 3人とも楽しみなのは分かるけど、早すぎだよ。
 着替え終わると、朝食の準備をする。と言ってもモリンさんが作ってくれたパンと飲み物を用意するだけだ。
 相変わらず、モリンさんのパンは美味しい。
 本当はお米が食べたかったけど。3人が待っているから簡単に食べれる物にした。
 パンを食べていると、3人がジッとわたしの方を見ている。

「えっと、食べる?」

 3人に尋ねてみると。

「うん! 食べる」
「いいんですか?」
「はい!」

 家に来る前に食べて来たと思うんだけど。3人のお腹には、まだ入るみたいだ。
 成長期なのかな。
 クマボックスから3人にパンを出してあげると、美味しそうに食べ始める。
 これで、落ち着いて朝食を食べることが出来る。
 朝食を食べ終えたわたしは3人を連れてクマハウスを出る。

「楽しみです」

 ノアがスキップしながら前を歩く。

「早く、王都に行きたい」

 シュリもフィナの手を握って嬉しそうにしている。
 もちろん、フィナの顔も笑顔になっている。
 嬉しそうにしている3人を見ると、わたしも楽しくなる。
 学園祭に誘ってくれたシアとエレローラさんに感謝しないといけない。

 クリモニアの街の外に出ると、さっそく、くまゆるとくまきゅうを召喚する。
 現れたくまゆるとくまきゅうに向けて、ノアとシュリが走り出す。フィナは微笑みながら2人を見ている。

「フィナは行かないの?」
「行きたいけど。今日は2人に譲ります」

 フィナが大人だ。
 見た目は子供。でも、中身は大人だね。

「ユナさん、早く」
「お姉ちゃんも早く」

 2人がわたしたちを呼ぶ。

「それじゃ行こうか?」
「はい」

 フィナの手を握り二人のところに向かう。

 乗る組み合わせは、くまきゅうにはフィナとシュリ。わたしとノアがくまゆるに乗ることになった。
 シュリは嬉しそうにくまきゅうに抱きついて背中に乗り、その後ろにフィナが乗る。
 わたしはくまゆるに乗り、後ろにノアが乗る。

「ノア、前でなくていいの?」
「はい。ユナさんに抱きつきますから」

 そう言うとノアは後ろからわたしに抱き付く。

「ノア姉ちゃん、ズルイ。わたしもユナ姉ちゃんに抱きつきたい」
「ふふ、ユナさんと一緒に乗る特典です」

 さらに顔を背中に押し付けてくる。

「ノア、そんなに強く抱きしめなくても」
「落ちないようにするためです」

 それを見てシュリは羨ましそうにする。
 どうして?
 シュリも、いつも抱きついてくるでしょう?

「ちゃんと、入れ替わりに乗るから」

 もし、わたしが男なら「俺のために争わないでくれ」とか言うのかな?
 そもそも、そんなことをリアルで言う人はいないかな。
 いたら、痛いよね。

 準備も整えたわたしたちは王都に向かって出発する。
 初めての遠出にシュリは嬉しそうにする。

「速いです」
「シュリ、暴れないの」

 シュリが騒ぐので、フィナが落ち着かせる。
 その隣を並走するように、わたしとノアが乗るくまゆるが走る。
 適度な速度で走り、途中で休憩を挟みつつ王都に向かう。

 そして、昼食を食べ終わり出発する。しばらくすると3人は静かになる。
 シュリは船を漕ぎながら寝ている。それを落ちないように支えているフィナ。
 ノアもわたしに体を預けるように寝ている。

「シュリは昨日の夜は嬉しくて、なかなか寝付けなかったんですよ。それなのに朝早く起きて、ユナお姉ちゃんの家に行くから」
「たぶん、ノアもだね」

 それから、2人を起こさないように走る。もちろん、くまゆるたちの休憩は忘れない。
 そして、順調に進み、日が沈みかけてくる。
 野宿をするために、くまゆるとくまきゅうの速度を落とし、街道から少し離れる。そして、遠くから見えていた岩山の後ろに移動する。

「ユナさん、今日はここでお泊まりですか?」

 途中で起きたノアが尋ねてくる。

「ここなら家を建てても見付かりにくそうだしね」

 なるべく、クマハウスは見られたくない。
 岩山の後ろに移動すると、わたしとノアはくまゆるから降りる。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 目を擦りながらシュリが尋ねる。

「今日はここで野宿ですよ。くまきゅうから降りて」
「うん」

 フィナとシュリもくまきゅうから降りる。
 わたしはクマボックスから、旅用のクマハウスを取り出す。

「クマさんです!」

 シュリがクマハウスに驚く。
 そういえば、シュリはクマボックスからクマハウスが出てくるのを見るのは初めてだっけ。

「今日はここで泊まるよ」
「ユナ姉ちゃん、凄いです」

 クマハウスを見たおかげで、シュリの眠気は無くなったみたいだ。

「それじゃ、中に入って休もうか」

 くまゆるとくまきゅうを小熊にして、3人を連れてクマハウスの中に入る。
 シュリはキョロキョロをクマハウスの中を見渡している。

「食事の用意をするから、3人とも座っていて」
「わたし、手伝うよ」
「わたしも~」
「わたしも手伝います」

 3人が申し出てくれる。
 でも、面倒な料理をするわけではない。クマボックスから出来合いの料理を出すだけだ。

「1人で大丈夫だよ。3人はくまゆるとくまきゅうと一緒に休んでいて」

 3人のことはくまゆるとくまきゅうに任せる。

「ユナお姉ちゃん、なにか手伝えることがあったら言ってね」
「ありがとう」

 フィナたちはくまゆるたちと一緒にソファーがあるところに移動する。
 わたしは温かい食事を用意をする。
 今日の夕飯は炊き立てのご飯にハンバーグに味噌汁にサラダ。
 朝食も昼食もパンだったから、夕食はご飯に決めていた。せっかくお米も手に入ったんだから食べないとね。
 ご飯は炊きたてがクマボックスに入っているものを取りだし、ハンバーグも作りおきがある。サラダは無いので作る。ティルミナさんからフィナたちに野菜を食べさせるように言われている。バランスよく食べるのが一番だからね。
 味噌汁も作っていないので、大根やニンジン、ジャガイモを入れて作る。
 味噌汁は3人ともアンズの店で呑んでいるから出しても大丈夫なことは知っている。

 作り終えると、3人がいるところに運ぶ。
 くまゆるたちと遊んでいる3人の姿がある。わたしのことに気付いたフィナが一番に駆け寄ってくる。

「運ぶの手伝います」
「ありがとう」
「わたしも~」
「わたしも運びます」

 2人もフィナに負けずに手伝ってくれる。

「3人ともありがとうね」

 料理を運び終わるとみんなで食べ始める。

「美味しいです」
「うん、美味しい」
「ユナさんってなんでも出来ますね」
「なんでもはできないよ」

 それは買いかぶりだ。

「だって、こんな美味しい料理も作れるし、冒険者としても凄いし、お店も経営している。ユナさんは凄いです」
「そんなことないよ。料理は練習さえすれば誰でも作れるようになるし、お店はモリンさんやアンズ、ティルミナさんの3人のおかげだよ。わたしはなにもしてないよ」

 それに冒険者として強いのはクマの着ぐるみのおかげと、過去にゲームをしていた経験のおかげだ。
 もし、クマの着ぐるみがなければ、ゲームの経験があったしても戦えなかったと思う。
 そもそも、武器が重くて持てない。あとは魔法だけど、命中補正もないと当たらないかもしれないし、魔力があるかも疑問になる。
 そう考えると、やっぱり戦闘はクマ装備が無いとダメだね。

「そんなことを言ったら、わたしはなにも出来ません」
「ノアは10歳なんだから、これからだよ」

 夕食を食べ終えたわたしたちは食休みをすると、全員でお風呂に入ることにする。
 そして、なぜかノアとシュリがくまゆるとくまきゅうを連れている。

「どうして、くまゆるたちを連れて行くのかな?」
「もちろん、一緒に入るからです」
「くまきゅうと入る~」

 入ってもいいけど、くまゆるたちは一度送還して、もう一度召喚すると汚れが落ちる裏技がある。だから、お風呂に入らなくても綺麗にすることは出来る。 
 だからと言って、止めるのもヤボなので止めたりはしない。
 わたしもたまにくまゆるとくまきゅうをお風呂に入れることがある。
 感謝の気持ちを込めて洗ってあげる。そうすると、くまゆるとくまきゅうは嬉しそうにしてくれる。
 だから、2人が洗ってあげたいなら、させてあげることにする。

「それじゃ、しっかり洗ってあげてね」
「はい!」
「うん!」

 そんな2人をわたしとフィナは微笑ましそうな目で見る。

 わたしはクマの着ぐるみを脱ぐ。
 クマの着ぐるみに着慣れている自分がいると少し悲しくなるが、異世界にいると考えれば仕方ないことだ。
 タオルで体を隠して、他の3人の様子を見ると、フィナはシュリに服をたたむように言っている姿がある。シュリは素直に従って脱いだ服を綺麗にたたんで籠に入れる。
 それを横で見ていたノアも慌ててたたむ姿がある。
 そんなノアと目が合う。

「いつも、ちゃんとたたんでいますよ」

 なんか、いきなり言い訳を言い始めた。

「わたし、なにも言っていないよ」
「だって、ユナさんの顔がわたしが良いことをすると、褒めてくださるお父様の顔になっているから」

 そんな、子供もいないのに、我が子を見守るような顔になっていたのかな。

「それは3人とも偉いなと思っただけだよ」

 服を脱いだわたしたちはくまゆるたちを連れて風呂場に入る。
 まずは自分たちの体や髪を洗い、最後にくまゆるたちを洗う。
 ノア1人で洗わせると大変なことになりそうだから、くまゆるはわたしとノアで洗う。
 くまきゅうはフィナとシュリの2人で洗っている。
 毛皮が良いのか泡立ちも良い。くまゆるが白い泡に包まれる。最後にお湯をかけて泡を洗い流すと綺麗になる。

「くまきゅうちゃん、ぺっちゃんこになちゃった」

 まあ、毛が濡れればね。
 くまゆるたちも洗い終わったわたしたちは湯船に入る。
 気持ちいいね。
 日本人ならやっぱり、湯船が一番だ。シャワーはお風呂に入った気がしない。
 わたしはのんびりと湯船に浸かる。その隣ではフィナも気持ち良さそうにしている。
 シュリとノアはお湯が出てくるクマの石像を楽しそうに見ている。

 くまゆるとくまきゅうは小熊専用の小さな湯船の中に顔を出して、気持ち良さそうにしている。
 落ちつくね。
 クマの転移門で移動するのも楽でいいけど。
 こうやって、みんなで移動するにも良いね。
 今日一日の疲れを取ったわたしたちは風呂から上がる。

「気持ち良かったです」

 体を拭くノア。

「くまきゅうちゃん、ちゃんと拭かないと駄目だよ」

 くまきゅうをタオルで拭こうとするシュリ。

「くまきゅうの前に自分を拭かないと」

 そんなシュリをフィナが拭いてあげている。
 平和だね。
 わたしは白クマに着替えると、くまゆるとくまきゅうを連れて部屋に戻る。
 そして、みんなで風呂上がりに冷えた牛乳を飲む。
 冷たくて美味しい。

 そのあとはみんなの髪をドライヤーで乾かし、最後にくまゆるたちも乾かしてあげる。
 送還して召喚すれば、乾く手品があるけど、3人がくまゆるたちを乾かそうとしているので、任せることにした。

のんびりと出発ですw

フィナたちがいるとマッタリになりますね。
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