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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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249 クマさん、ノアに会いに行く

 わたしはフローラ様に絵本を渡すとクリモニアに戻ってくる。
 さて、どうしたものかな?
 王都から戻ってきて数日、どうするか悩み中である。

「それで、どうしたらいいと思う?」
「そんなことを聞かれてもわかりませんよ」

 相談役にフィナを家に呼んで相談をしたら、そんな返答が返ってきた。
 お茶やお菓子を出して、もてなしているのに、相談にのってくれてもいいのに。
 相談に乗ってくれないとお菓子あげないよ。とは言えずに新しいお菓子をフィナの前に置いてあげる。

「それに、わたしとシュリも王都に行くんですか?」
「エレローラさんがお店に来たときにお世話になったから2人にお礼がしたいんだって」
「わたし、お礼をされるようなことはしていないよ」
「いろいろと案内や説明をしてあげたんでしょう?」
「お母さんの代わりに少しだけだよ」

 ティルミナさんは緊張して、あまり頼りにならなかったらしいから。フィナが頑張ったのは想像ができる。

「あまり、深く考えないでいいと思うよ。本当に普通のお礼がしたいだけみたいだから。それで、フィナは王都に行くのはイヤ?」
「学園祭って、シア様たち学生が行う祭りなんですよね?」
「たぶん。わたしも見たことは無いから分からないけど。学生たちがお店を出したり、見世物をするって聞いたよ」

 わたしは元の世界の学園祭も経験がない。
 あくまで、知識として知っているだけだ。
 まして、異世界の学園祭を知るわけがなかった。

「行ってみたいけど、わたしが行ってもいいんですか?」
「シアとエレローラさんの許可もあるから大丈夫だよ」
「ユナお姉ちゃんに迷惑じゃ……」

 そんなことを考えていたの?

「迷惑なんて思っていないよ。逆に来てくれない方が迷惑になるかな」

 わたしの言葉にフィナは意味が分からないようで首を傾げている。

「もし、フィナを連れて行かなかったら、エレローラさんに嫌みを言われそうだからね。『どうして連れて来てくれなかったの?』とか『本当にちゃんと誘ったの?』『変なことを言ってないわよね』とか言われそうだからね」

 まあ、実際はそんなことは言わないと思うけど、残念そうにするのは間違いない。

「うぅ、そんなことを言われたら、断れません」

 やさしい良い子だね。

「冗談だよ。本当に行きたくないなら言って。無理強いはしないから。エレローラさんには適当に誤魔化しておくから気にしないでいいよ」

 本当に嫌だったら、連れて行くつもりはない。
 わたしもフィナとシュリには学園祭を楽しんでもらえればと思っている。
 それが無理やりになるなら、楽しいことも楽しめないからね。

「本当に迷惑じゃありませんか?」
「フィナが一緒で迷惑なんて思ったことは一度もないよ。反対にいろんなところに連れ回して、迷惑に思っていない?」
「わたしも、そんなこと思ったことないよ! わたしユナお姉ちゃんがいろんなところに連れて行ってくれるの嬉しいよ」
「本当?」
「うん、初めての王都もそうだったけど、海に二度目の王都、いろんな村。ハチミツの木にミサ様の誕生会、緊張したり、疲れたりしたけど、終わってみればどれも楽しかったよ」

 フィナの顔を見れば嘘は言っていないことが分かる。

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。それじゃ、今回も行くことで問題はない?」
「うん、エレローラ様の招待だと思うと緊張するけど、学園祭に行ってみたい」
「それじゃ、一緒に行こうか。わたしもフィナがいないと寂しいからね」

 頭を撫でたいけど、反対側に座っているフィナには手が届かない。
 代わりに微笑んであげる。

「でも、今回はシュリも一緒なんですよね?」
「二人を招待だからね。でも、フィナもそうだけどティルミナさんとゲンツさんの許可をもらってからになるけどね」
「お母さんは許してくれそうだけど。お父さん許してくれるかな?」
「それは聞いてみないとね。わたしが一緒だから大丈夫だと思うけど」

 フィナはいつも連れ回しているから、許可は降りそうだけど、シュリのお泊まりは海に行った一回だけだ。
 今回は王都までだから、許可が出るか分からない。
 でも、わたしも一緒だし、お願いをすれば許可をくれるかもしれない。
 一応、冒険者ランクも高いし、それなりに強い魔物も倒しているから、ゲンツさんの信用は得ているはず。

「あとフィナから見て、シュリは転移門のことを話しても大丈夫だと思う?」
「あの子は約束は守るからしゃべったりはしないと思うよ。でも、シュリはくまゆるとくまきゅうとのお出かけの方が喜ぶかも」

 それはノアにも言えることだ。
 くまゆるとくまきゅうが好きなノアがお出かけできないと思ったらどう思うかな?

 結局、フィナに相談してもらったけど。答えは出なかったので、ノアに直接尋ねることにした。

「ユナさん、いらっしゃいませ」

 ノアのお屋敷に着くとララさんが出迎えてくれる。

「クリフとノアはいる? エレローラさんから手紙を預かっているんだけど、会えるかな?」
「お二人ですか? ノア様はお部屋にいますから大丈夫ですが、クリフ様は仕事中だと思いますので、お伺いしないと分かりません。確認しますので、家の中でお待ちになられてください」

 ララさんに部屋に案内され、待っているとノアが部屋に飛び込んでくる。

「ユナさん!?」

 部屋に入ってくるとわたしのところまで、笑顔で近寄ってくる。
 やっぱり、顔を見ると姉妹だからシアにそっくりだね。
 このまま成長するとエレローラさんみたいになるのかな?
 性格はエレローラさんに似ないことを願おう。
 ノアはこのまま真っ直ぐに成長して欲しいものだ。

「ユナさん、なんですか?」

 ジッと顔を見ていたらノアが困った表情をしていた。

「なんでもないよ。ノアが可愛いと思っただけだよ」
「わたしよりも、ユナさんの方がかわいいです!」
「ありがとう」

 ノアの頭を撫でてあげると、ノアはそのままわたしの隣に座る。

「ララからお母様の手紙を預かっているとお聞きしたのですが?」
「ノアって言うかクリフ宛だね。シアにノアを王都まで連れて来て欲しいって頼まれてね。その許可をクリフに出してもらうためにエレローラさんが手紙を書いてくれたの」
「王都にですか!」
「シアが学園祭をノアに見せてあげたいから、連れて来て欲しいってお願いされたの」
「お姉様が……」

 ノアは嬉しそうな表情をする。
 ノアとシアの二人はフィナとシュリ同様に仲が良い姉妹だね。
 見ているだけで心が和む。

「それで、どうする?」
「も、もちろん、行きます!」

 思った通りの返答だ。

「それじゃ、あとはクリフの許可を貰うだけだね」
「絶対にお父様を説得します」

 力強く宣言をする。
 まあ、エレローラさんの手紙があるし、わたしもお願いをしてみるつもりだ。
 クリフには貸しがあるはず?
 いろいろと迷惑を掛けているから、無いような気もするが、少しは残っているはずだ。

「これでまた、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんと一緒にお出掛けが出来るんですね」

 嬉しそうに笑顔をわたしに向ける。
 やっぱり、ノアはくまゆるとくまきゅうと一緒の旅の方がいいのかな?

「そんなにくまゆるとくまきゅうとお出掛けするの楽しみ?」
「もちろんです。話を聞いただけで、もう、楽しみで仕方ありません。今回はくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんを独り占めですね」

 独り占めにはならない。例えフィナがいなくても、片方はわたしが乗るからね。

「今回はフィナとシュリの2人も一緒に行くことになっているから、くまゆるたちを独り占めにはできないよ」
「フィナとシュリも一緒ですか!?」
「エレローラさんに頼まれてね。2人が一緒でも良い?」
「もちろんです。独り占めは出来ないのは残念ですけど、2人と王都に行けるなら、嬉しいですから」
「なにが嬉しいんだ?」

 クリフがドアから入って来た。

「ユナ、待たせたな」
「ノアと話していたから、大丈夫だよ」

 クリフは疲れたようにわたしの前のソファーに座る。
 お疲れかな?
 領主の仕事も大変そうだ。

「それで、エレローラから手紙を預かっていると聞いたが」

 クマボックスにからエレローラさんから預かった手紙を出し、クリフに渡す。
 クリフは受け取った手紙に目を通す。
 そして、表情が、目が釣り上がっていくような気がするのだが、気のせいだろうか?

「学園祭か。もう、そんな時期か」
「お父様、お願いします。わたし学園祭に行きたいです。ユナさんも護衛をしてくださるし。行っては駄目でしょうか?」
「ちゃんと、王都まで無事に送り届けるから許可をもらえない?」

 転移門を使えば、一瞬だけど。
 くまゆるたちで移動しても寝ているだけでも大丈夫だ。

「護衛に関しては心配はしてない。おまえさんほど、ノアを守ってくれる冒険者はいない」

 信用してくれているんだね。
 それじゃ、なんで、王都の話になったら嫌なそうな表情をしたのかな。

「ノア、勉強はしているか?」
「はい。ちゃんと、やっています」

 クリフは少し考えことをする。

「なにか、心配ごとがあるの?」

 クリフはノアを見る。

「前回、国王の誕生祭のときに、ノアとの婚約の話をいくつか持ちかけられてな」
「わたしの婚約ですか!?」

 ノアの顔が不安そうになった。
 それはそうだ。いきなり婚約とか言われたら誰だって、動揺する。

「もちろん、すべて断ったがな」

 クリフの言葉にノアは安堵の表情を浮かべる。
 わたしも安堵する。
 いきなり、婚約とか言われて驚いた。

「でも、婚約なら、お姉様が先なのでは?」
「シアは俺の後を継ぐから、婿を取らないといけない。だから、俺やエレローラとの繋がりを欲しい者がノアを狙っている。そんなやつらにノアを渡すつもりはない」

 どうやら、学園祭に行くとノアを狙うバカが近寄って来るのを心配していたみたいだ。
 エレローラさんやクリフに繋がりを持つなら結婚が一番良いことは、貴族社会に詳しくないわたしでもわかる。
 でも、10歳でそんな話が来るもんなんだね。
 早めにゲットしておこうってことなのかな。
 異世界では常識かもしれないけど。あまり、良い気分はしないね。

「お父様、心配しなくても大丈夫です。わたし、誰とも結婚はしません」

 ノアは真面目な顔で父親であるクリフに宣言する。

「……ノア、それはそれで困るぞ」
「結婚するなら、ユナさんとします」
「…………」
「…………」

 クリフとわたしの目が点になる。
 聞き間違いじゃないよね。

「ノア、わたし女の子だよ」

 ある部分が小さいからって、男の子とは思っていないよね?
 一緒にお風呂も入っているんだから、そんなことはないよね。
 わたし、今夜、枕を濡らすよ。

「もちろん、知っていますよ」

 だよね。良かった。
 元の世界でも同性同士でも結婚できる国はあったけど。もしかして、この世界だと、女の子同士でも結婚できるの!?
 驚愕の事実だ。

「ユナさんと結婚すれば、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんとずっと一緒にいられるんですよ」

 わたしじゃなくて、くまゆるとくまきゅう目的ね。
 ノアらしいけど。紛らわしい言い方はしないで欲しい。

「わかった。それじゃ、ユナ。ノアを頼む」
「えっ、ノアと結婚!?」
「違うわ! 女同士で出来るわけないだろう。王都まで護衛だ。この様子なら、変な男が近寄ってきても大丈夫だろう。それから、ユナ。学園祭もノアとは一緒に行動してくれるのだろう」
「そのつもりだけど。シアやエレローラさんが一緒に行動するって言ったら、別れるかもしれないけど」
「なら、一緒にいるときだけでよい。ノアに近寄って来る者がいたら、エレローラが渡したフォシュローゼ家の紋章を相手に見せろ。それで、引かないようだったら、多少は痛い目に合わせてもいい」
「いいの?」
「フォシュローゼ家の紋章を見せて、引かないなら、相手が悪い」
「偉い人とか出て来ない?」
「今のところはないはずだ。そんなところがあれば、直接、俺かエレローラのところに話がくる」

 たしかにそうかな。
 クリフとエレローラさんに話が出来るくらい偉い人なら、先にクリフたちに話を通すよね。
 そうと分かれば、ノアに近寄って来たら紋章のナイフを見せて殴ればいいんだね。
 簡単なお仕事だ。

 とりあえず、ノアの学園祭の許可は貰えた。
 でも、クリフも、ちゃんと説明をしようね。
 いきなり、頼むって言うから結婚かと思ったよ。
 言葉はちゃんと言わないと勘違いするよ。
 ノアもクリフも、言葉が足らないから、驚かされたよ。
サブタイトルに、「クマさん、ノアと結婚する?」にするか悩んだw


書籍3巻発売しました。
どうぞ、よろしくお願いします。
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