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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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240 クマさん、みんなにお礼をする

早く書き終わったので、
 わたしはティルミナさんたちに挨拶を済ませると、他の子供たちやリズさん、孤児院で働くみんなに挨拶をする。
 孤児院を後にすると次にお店の方に顔を出す。
 久しぶりに会う、モリンさんやアンズたちが料理を作ってくれるので有りがたく頂く。
 断ることも出来なかったので、食べることにしたが、2人とも量が多すぎだよ。
 2人とも嬉しそうに料理を作るから断れなかった。
 先に寄ったアンズの料理はお腹に入ったけど、次に寄ったモリンさんのパンは隠れてクマボックスに仕舞ったのはみんなには内緒だ。ちゃんとあとで食べさせてもらうよ。
 そして、店を出るときに感謝の気持ちを兼ねて、明日の夕飯をご馳走するからクマハウスに来て貰うことをお願いする。
 次に向かう先はエレローラさんの件でお世話になったミレーヌさんがいる商業ギルドだ。

「ユナちゃん、久しぶりね」
「なんか、わたしがいないときにエレローラさんが来たようで」
「あれには驚いたわね。いきなりやって来るんですもの」

 ミレーヌさんは苦笑いを浮かべる。
 どうやら、クリフやノアにも秘密にしていたらしい。
 エレローラさんって驚かせるのとか好きそうだよね。
 みんなには悪いけどいなくて正解だったかな。

「ティルミナさんから、ある程度の話は聞いたけど大丈夫だった?」

 あのエレローラさんなら迷惑をかけることが十分にありえる。

「ええ、大丈夫よ。行動が読めない人だけど、フィナちゃんの言葉には従ってくれたから」

 ティルミナさんからも話を聞いていたけど、かなりフィナが活躍したみたいだ。

「勝手に動き回ろうとするエレローラ様をフィナちゃんが、上手に誘導をしてくれたわ」

 フィナにそのことを尋ねたら「普通にお願いをしただけです」と言っていた。
 意外とそのことは他人から見たら凄いことなのかもしれない。
 特に貴族と関わりがないティルミナさんはエレローラさんに声をかけるのも難しかったかもしれない。
 ミレーヌさんは分からないけど。クリフとの会話を聞いている限りでは、貴族とも親しいと思ったんだけど。

「エレローラ様はこのクリモニアにいることが少ないから、お会いする機会があまりないの。だから、どうしてもね」

 その点クリフとは何度も会っているから、気さくな行動が取れると言う。
 わたしがいない間の話を聞き、邪魔にならないうちに早めに立ち去ることにする。
 最後にお礼がしたいから、明日の夕食頃にクマハウスに来てもらうことをお願いする。

「あら、楽しみね。ええ、もちろん伺わせてもらうわ」

 わたしはお礼を言って、商業ギルドを後にする。
 あとはクリフとノアに顔を出せば大丈夫かな?

「ユナさん、どこに行っていたんですか!?」

 会う早々にノアに怒られてしまった。
 ノアには何を言わずに行っちゃったからね。素直に謝っておく。

「ごめんね。ちょっと、遠くまで行ってて、すぐに帰って来れなくて」

 でも、フィナからは話を聞いていたみたいで怒りは治まり、わたしがいなかったときの話をしてくれる。

「ユナさんがいないときに、お母様が来たんですよ」
「うん、聞いたよ。お店を見に来たんだってね」

 ノアは久しぶりに会えたエレローラさんのことを嬉しそうに話してくれる。
 お店にはノアも一緒に行ったり、街を一緒にお出掛けもしたらしい。

「ユナさん、あれからも何度も王都に行っているんですね。お母様から聞きましたよ」
「まあね」
「羨ましいです。わたしにもくまゆるちゃんやくまきゅうちゃんみたいな召喚獣がいたら、王都に行けるのに」

 クマの転移門を使って、もっと簡単に移動しているとは言えず、頷くしかない。
 子供に嘘を吐くのは、少し心が痛むね。

「今度、王都に行くことがあれば一緒に行こうか?」
「本当ですか?」
「もちろん、クリフの許可が必要だけどね」

 転移門のことが話せれば良いんだけど。そうもいかないからね。
 ノアと会話をしていると仕事を合間にクリフが部屋にやって来た。

「久しぶりだな」
「うん、遠出してたからね」
「他の者に迷惑はかけていないだろうな」

 この男は会う早々になんてことを言うかな。
 わたしがよそ様に迷惑をかけたことなんて、………………ないはずだよ。
 ほとんどのトラブルは向こうの方からやって来る。
 わたしがトラブルの原因ではない……はず。

「もし、迷惑をかけていたなら、早めに言えよ。多少なら、擁護はしてやれる」

 そこは俺に任せて暴れて来いとか言えないのかな。
 言ってくれたら、好きなだけ暴れて、クリモニア領主、クリフ・フォシュローゼが責任を取りますと言って立ち去るんだけど。
 まあ、今でも十分に後始末をしてくれているから、文句は言えないけど。
 そして、クリフとの会話を終えると明日の夕食に招待する。
 ノアは喜んでくれたが、クリフは微妙な顔になった。

「俺は仕事で行けないかもしれないが、そのときはノアを頼む」

 わたしは頷くとクリフのお屋敷を後にする。
 これで、必要最低限なところは回ったので、クマハウスに戻ってくる。

 わたしはソファに座るとムムルートさんに貰った麻袋を取り出す。
 まずは何をくれたかを確認しないといけない。
 麻袋の中に入っていたのは、少量の神聖樹の茶葉。大量の山菜とキノコが入っている。とくに松茸が多く入っていた。日本で買えば高級食材、わたしもお金はあったけど、あまり口にしたことがない。
 お金があるからって、松茸は買ったりするものじゃないからね。
 エルフの村の周辺の森では、なんでも季節に関係なく、キノコや山菜が採れるらしい。
 場所によって採れる物は違ってくるが、基本一年中採れるらしい。
 好きなときに採れるのは嬉しい限りだ。山菜の神様に感謝だね。今度、フィナを連れて山菜採りに行くのも良いかもしれない。
 そんなことを考えながら、ムムルートさんから頂いた食材の仕分けをする。
 キノコや山菜はかなりの量があった。
 どれも新鮮な物が多い。もしかすると、エルフの皆が集めてくれたかもしれない。
 これだけの量があれば、松茸茶碗蒸しや松茸ご飯、松茸のお吸い物といといろ作れる。
 明日のお礼はこれで決まりだね。
 仕分けをした食材を種類別に袋に詰める。分けておけば今度使用するときに楽になるからね。

 ちなみに神聖樹の枝は入っていない。神聖樹の葉を集めたときに一緒にしてしまったため、後日受け取ることになっている。
 まあ、今は必要としていないから、いつでもいいんだけど。


 翌日、お世話になったみんなに夕食をご馳走するためにクマハウスに呼ぶ。夕食にはエルフの村で手に入れた材料で料理を振る舞ってあげることにした。
 松茸ご飯に松茸のお吸い物、キノコを入れた野菜炒め、そして松茸の茶碗蒸しを作る。
 これが元の世界なら、松茸のパーティーで喜ばれるのだろうけど、この世界ではキノコ料理となる。

「相変わらず、ユナちゃんの料理は美味しいわね」
「本当です」
「うん、おいしい」
「俺まで良かったのか?」

 フィナの家族が料理の感想を言う。
 ゲンツさんは周りのメンバーを見て、そんなことを言うが、ゲンツさんがしっかりと家族を支えていることは知っている。だから、わたしは安心して出掛けることが出来る。
 それに夕食でゲンツさんだけを誘わないと、1人で寂しく夕飯を食べることになってしまう。
 そして、別のグループでは、

「ユナちゃん、また新しい料理なの?」
「ユナさん、この茶碗蒸しって食べ物美味しいです」

 ミレーヌさんとノアが美味しそうに茶碗蒸しを食べている。
 クリフはやっぱり、仕事で来れないそうだ。
 茶碗蒸しは好評のようだけど、松茸が美味しいのか、茶碗蒸しが美味しいのか分からないのが難点だ。
 今度、いろんな茶碗蒸しでも作ってみようかな。

「本当だね。どの料理も美味しいわ」
「ご飯も美味しいです」

 モリンさんとカリンさんも問題がなさそうだ。
 流石にパンに松茸を入れることは出来ないからね。
 松茸パンは聞いたことも無いし、美味しいかも疑問だ。

「わたしが作る料理よりも美味しいかも」

 そんな嘘でも嬉しいことを言ってくれるアンズ。
 アンズは松茸ご飯とキノコ料理を美味しそうに食べ、茶碗蒸しを食べて驚きの表情を浮かべる。
 呼んだ人数は以上だけど、料理の方はおおむ全員に好評みたいだ。
 院長先生も誘ったんだけど。子供たちと一緒に食べるからと言って断られた。

「ユナちゃん、これもお店に出すの?」

 ティルミナさんが尋ねてくる。

「そんなつもりはないですよ」
「そうなの? てっきり、店に出すから味見をさせているのかと思ったわ」
「何度も言ってるけど、今回はお礼だよ」

 人のことをなんだと思っているのかな?
 招くときも、お礼と言って呼んだのに。

「でも、本当に美味しいですよ」
「ええ、とくにこの茶碗蒸しが美味しいわ」
「もちろん、他の料理も美味しいです」

 ミレーヌさんとアンズが茶碗蒸しのことを褒めてくれる。

「ユナさん、お店に出さないんですか、わたし食べたいです」

 ノアまで言い出す始末だ。
 松茸って言うよりは、やっぱり茶碗蒸しに人気が集まっている。
 松茸ご飯も松茸のお吸い物も美味しいのに。
 こっちの世界だとキノコ料理になっちゃうのかな?
 まあ、わたし1人で食べるからいいんだけど。
 今度、まるまんま炭火で焼いて醤油を付けてたべようかな?

「でも、これも卵を使いますから、店に出すなら、大変なことになるよ」
「そうなの? 鳥が増えて卵も増えて来ているから、どうにかなるけど、商業ギルドにも卸さないといけないし」

 ティルミナさんはすぐに計算を始める。
 もう、立派な商人かもしれない。

「ねえ、ユナちゃん。相談なんだけど。鳥を分けてもらえないかしら」

 ティルミナさんが計算をしてるとミレーヌさんが話かけてくる。

「どういうこと?」
「クリフとも相談しているんだけど、近くの村で鳥を育てようと案がでているの。そうなれば、卵を入手も楽になるでしょう」
「いいんじゃないですか」

 わたしが簡単に了承すると、ミレーヌさんが驚く。

「いいの?」
「いいですよ」

 別に卵産業を独り占めするつもりはない。
 ただ、レシピは教えるつもりは、まだない。

「でも、商業ギルドで卵の買取が出来なくなる可能性だって」
「ティルミナさん、お店の売り上げはどうですか?」
「どうって、確認していないの?」

 一応、月に一度、報告書をもらっている。
 給料、仕入れ代、鳥の餌の代金、店の売り上げ金などの報告書をもらっているが、軽く目を通した程度で、あまり覚えていない。
 ティルミナさんは呆れたように溜め息を吐くと話してくれる。

「順調よ。はっきり言って、こんなに儲かっていいの? って思うぐらいにはあるわよ」
「それじゃ、商業ギルドに卸さなくなっても」
「はっきり言って問題はないわ」

 なら、卵を茶碗蒸しに回しても大丈夫かな?

「ユナちゃん。もし、卵が余るようなら、こっちに多く回してくれるかい?」

 モリンさんが言い難そうに意見を出す。

「ユナちゃん、前に卵を使ったパンを作ってくれたよね」
「うん」

 基本的に入れるからね。

「あれは美味しかった。でも、卵には量が限られているし、増やして欲しいって言えなくてね。でも、可能なら……」

 そう言うことね。
 基本、卵はプリン、卵焼き、タマゴサンドなどに使われている。

「そのあたりはティルミナさんに相談して下さい。わたしは別に構わないので」

 パンが美味しくなるのは大歓迎だ。

「その辺りはこの茶碗蒸しを作る量次第になるかしら?」
「ちょ、ちょっと待って、すぐじゃないわよ。いろいろと設備を整えたり、鳥の世話をする人を確保したり、いろいろと交渉することがあるから、いきなり無くなるのは困るわ」

 わたしたちが商業ギルドに卸さなくなった卵をどうするか話し合っていると、ミレーヌさんが慌てたように言い出す。

「分かってますよ。あくまで予定の話です」
「驚かせないでね。ギルドだって孤児院のことを考えていたのよ。だから、一応、ユナちゃんに許可をもらってから、話を進ませようと思っていたの」
「こうゆうのって、許可をいちいち取るんですか?」
「普通は取らないわ。どんな商売をするのも自由だからね」
 どこの世界でも弱肉強食だ。真似をして大きくなる会社もある。あるいは、付加価値を付ける場合もある。
「それじゃ、どうして?」
「でも、それには例外が存在するわ。国、領主などの権力者が行っている場合」
「わたしは権力者じゃないですよ」
「そして、その者は自分のためじゃなく、いろんな人を幸せにするために頑張っている場合ね」

 ミレーヌさんは笑顔でわたしの方を見る。

「ユナちゃんが(おこな)っていることは多くの人を幸せにしているわ。いろいろと考え、いろいろと与えている。ユナちゃんの行動で幸せになっている人が多くいる」
「大袈裟だよ」
「孤児院の子供たち、フィナちゃん家族、モリンさんたちもそう。ミリーラから来た女の子たち。みんなユナちゃんのおかげで笑っていられると思う」
「そんなこと無いよ」

 わたしは同意を求めるために他の人を見ると、わたしの言葉に賛同するものが1人もいない。

「わたし、ユナお姉ちゃんに会えて幸せになったよ」
「うん、ユナ姉ちゃんに会えてからお腹が膨れた」
「そうね。わたしもユナちゃんのおかげね」
「おまえさんのおかげで幸せな家庭を持つことが出来た」

 フィナの家族がわたしの言葉でなく、ミレーヌさんの言葉に賛同する。
 モリンさんの方を見る。

「わたしたち親子を救って、この街に連れて来てくれたのはユナちゃんだよ」
「はい。今は幸せですよ」

 アンズは?

「お店を持つ夢をユナさんが叶えてくれました。そして、ミリーラから来たみんなもユナさんに感謝していますよ」

 唯一関係がないノアを見る。

「ユナさんに会えて感謝していますよ。ユナさんに会えなかったら、フィナにも会えませんでした。それにクマさんにも会えませんでした」

 なんか、ノアだけずれているような気がするのは気のせいかな。

「それに街のために貢献してくれているユナちゃんを敵に回すようなことはしないわ。だから、今回の件もユナちゃんが断れば、なくなるほどのことなの」

 なにか、知らないうちに偉くなっているような気がするんだけど。

「気にしないでいいよ。卵が増えて、いろんな店で卵料理が増えるのは嬉しいですから」
「ありがとう」

 鳥の買取や細かいところは全てティルミナさんにお任せする。
 そして、鳥の世話に詳しい孤児院の中から、お手伝いで数人派遣することに決まる。
 卵がある程度確保できるようになったら、茶碗蒸しはアンズのお店で作られることになり、モリンさんのところでも新作のパンを販売する計画を話しあった。
 楽しい食事はお開きになり、ノアはミレーヌさんが送って行くことになり、それぞれが帰路についた。
これで、エルフ編は帰還を含めて終了です。
次は新しい話になる予定になります。
これからも、よろしくお願いします。
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