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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、エルフの里に行く

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233 クマさん、くまさんパンツを見られていた

 後ろを振り向くと、驚いた顔をしている3人の姿がある。
 視線の先は神聖樹とわたしを交互に向けられている。

「3人はどうしてここに? 結界で入れなかったはずじゃ」
「いきなり石碑が光りだしたと思ったら、中に入れるようになったのよ」

 えっと、つまり、わたしが寄生樹を倒して、神聖樹に魔力を与えたことで元に戻ったってことになるのかな?
 まあ、それ以外に考えられないけど。

「嬢ちゃん、どういう状況なのか、説明をしてくれるか?」

 蘇った神聖樹を見上げながらムムルートさんは尋ねてくる。
 説明と言われても、そんな難しいことじゃない。

「えっと、寄生樹を倒して、神聖樹が復活した?」

 首を傾げながら、一言で説明する。
 それ以外に答えようがない。

「それじゃ、やはり、あの竜巻は嬢ちゃんが」
「あの竜巻、凄かった」

 わたしは神聖樹を見上げる。
 確かに竜巻は大きかった。
 神聖樹を覆うほどの竜巻を起こし、かなり高くまで巻き込んでいた。
 竜巻は岩山の高さを越えて、外まで見えていたようだ。

「竜巻で再生する寄生樹を片っ端から切ったからね」
「竜巻で寄生樹を……、そんなことを?」
「そのせいで、神聖樹の枝や葉も巻き込んじゃったけど」

 わたしが視線を地面に向けると3人も下に目を向ける。
 地面には嵐が過ぎ去ったかのように、神聖樹の枝や葉が舞い落ちて、葉の絨毯のようになっている。
 でも、枯葉じゃないから、若干の違和感がある。

「だが、神聖樹の葉は……」

 3人は地面に広がる枝葉と、青々と生い茂る神聖樹の葉を交互に見ている。

「すまぬ。わしは理解が出来ない」
「親父、俺もだ」

 ムムルートさんとアルトゥルさん2人は混乱しているようだ。
 まあ、地面に大量の神聖樹の葉が落ちているのに、神聖樹には葉がある。
 普通に疑問に思うのは仕方ない。

「えっと、ユナちゃん、どういうことなのかな? ユナちゃんが竜巻を起こすところまでは空から召喚鳥で見ていたんだけど、竜巻が起きると風が強くて近付けなかったおかげで、その後にユナちゃんがなにをしたか見れなかったの」
「…………!」

 今、なんとおっしゃいました?
 召喚鳥で見ていたと聴こえたんだけど。
 しかも、竜巻を起こすまで……、つまり、そういうことなのかな? かな?
 わたしは疑問をサーニャさんに問い掛けてみる。

「え~と、ちなみにどの辺りから見ていたの?」
「心配だから、ユナちゃんが1人で洞窟に入ったときからだけど、ユナちゃんがいきなり服を脱ぎ出したときは驚いたわ」

 このエルフはとんでもないことを言い出す。
 つまり、わたしの着替えシーンは見られていたということになる。
 あんな姿やこんな姿をサーニャさんに………。
 わたしは膝を地面に落として、地面に手をつく。
 わたしの状況を三文字で表すとorz。
 せめての救いはサーニャさんが女性ってところだろう。
 召喚鳥のことをすっかり忘れていたわたしも悪いけど、着替えを見られていたと思うと恥ずかしい。
 これがムムルートさんやアルトゥルさんだったら、恥ずかしくて、この場から逃げ出していた。
 わたしは体に気合いを入れて、立ち上がろうとする。
 でも、次のサーニャさんの言葉で再度、落ち込むことになる。

「だ、大丈夫よ。わたししか見ていないから、それも遠くから見ていたから、ユナちゃんのパンツが、クマさんだなんて……」

 立ち上がったわたしを叩き落とすサーニャさん。
 もう、帰りたい。
 落ち込んでいるわたしをくまきゅうが頬ずりをして慰めてくれる。
 くまきゅう、ありがとう。

「ああ、もう、別にわたしに見られても恥ずかしくはないでしょう。ユナちゃんの着替えはお風呂で見ているんだから。わたしだって見られているし、お互い様でしょう」

 落ち込んでいるわたしに、サーニャさんがお互い様と言うけど、風呂場の脱衣所でお互いに見るのと、わたし1人だけが外で見られるのは別物だ。
 簡易更衣室を作るべきだった。
 誰よ。クマハウスを除けば、一番安全な着替え場所とか言ったのは……わたしだよ。
 あのときのわたしに言ってあげたい。
 更衣室で着替えろと。

「それで、どうして、ユナちゃんは着替えなんてしていたの?」

 サーニャさんがわたしの白クマの服を見ると、ムムルートさんたちもわたしの服を見る。
 王都からエルフの里に来るまで間に何度か、白クマの姿は見られている。
 わたしも説明はしなかったし、サーニャさん的にはパジャマぐらいに思っていたかもしれない。

「白いクマだと、魔力が上がるのよ。寄生樹と戦うのに必要だと思ったから」
「そうなの? その格好はユナちゃんの趣味じゃなかったのね」

 わたしだって好きで、この格好をしているわけじゃない。
 これも全てこの世界に連れてきた神様のせいだ。
 わたしはどうにか精神を立て直して、竜巻で寄生樹を倒したことを説明する。

「再生される前に倒せばいいと思ったのよ」
「なんて、無茶なことを」

 あきれ顔で見られる。

「神聖樹を切り倒す許可はもらっていたからね。神聖樹が寄生樹よりも耐久力があることに賭けたのよ」

 まあ、寄生樹は再生能力が凄かっただけで、他はたいしたことはなかった。
 風の刃を放てば簡単に切れるし、攻撃力もない。
 ムムルートさんたちはわたしの説明である程度は納得してくれたみたいだ。
 実際に遠くから竜巻は見ているし、寄生樹も倒されている。
 わたしの魔法に疑問を持っても、受け入れてくれている。

「なるほどな、あれほどの魔法が使えるなら、コカトリスも倒せるわけか」

 過去にコカトリスを倒した実績もある。
 わたしが倒したことに疑いは無いみたいだ。

「でも、ユナちゃん。この状況はなんなの? ユナちゃんの魔法で葉が落ちたのは理解できるけど、どうして神聖樹に葉があるの?」

 サーニャさんは地面に落ちている葉と神聖樹に生い茂っている葉を交互に視線を移している。

「それにわたしが神聖樹を見たときよりも、葉が生い茂っているし、こんなに生気は無かったはずよ」
「え~と、サーニャさんは竜巻後は見ていなかったの?」
「さっきも言ったけど、竜巻が起きると風が強くなって、召喚鳥が巻き込まれそうになったから、見ていないわ」

 つまり、見れたのは恥ずかしい着替えシーンと竜巻だけってことだね。
 討伐シーンや神聖樹に魔力を注ぎ込むところは見ていなかったみたいだ。

「竜巻で寄生樹を倒したんだけど、寄生樹のせいで神聖樹が魔力不足に見えたから、魔力を注ぎ込んだだけだよ」
「神聖樹に魔力だと?」
「そしたら、神聖樹が光ったと思ったら、葉が生えていたのよ」

 嘘は付いていない。
 言葉を濁しただけだ。

「あの光は神聖樹が光ったものだったのか」

 葉が生えた理由は回復魔法の可能性が高いけど、光った理由はわたしも分からない。
 魔力を注ぎ込んだら、光ったとしか説明はできない。

「ユナちゃんも神聖樹に魔力を与えるなんて、無茶なことをするわね」

 わたしもそう思うよ。
 そのせいで魔力は空っぽに近い。
 白クマの着ぐるみとはいえ、短時間では回復はしない。
 体も少しだるいし、帰って寝たいところだ。

「嬢ちゃんが神聖樹に魔力を与えてくれたおかげで、我々も結界の中に入れるようになったのか」

 光った原因で中に入れるようになったんなら、それが一番可能性が高い。
 全て説明が終わると、3人に改めてお礼を言われた。
 最後の方ではムムルートさんの目にはうっすらと涙が浮かんでいたように見えた。
 たぶんだけど、この数日間の緊張が取れたんだと思う。
 寄生樹に寄生されている神聖樹を発見するわ。コカトリスが襲ってくるわ。神聖樹の結界の中には入れなくなるわ。いろいろと気苦労があったはずだ。
 本当に思う。長とか、領主とか、国王とか、気苦労が多い仕事なんてするものではない。
 面倒事は他人任せが一番で、好きなことをやるのが一番だ。
 典型的な駄目人間の思考だ。

「それじゃ、神聖樹を確認したら一度村に戻るぞ」

 ムムルートさんの言葉に3人は動き出す。
 わたしも忘れずにミスリルナイフの回収をしないといけない。
 ここからだと葉のせいでナイフの確認が出来ないので、神聖樹に近寄る。

「上にナイフがあるんだけど取ってきていい?」

 神聖樹の根元にいるムムルートさんに尋ねる。
 神聖樹に登っては駄目だとか言われなければいいんだけど。

「俺が取ってきてやる。どの辺りだ」

 近くにいたアルトゥルさんが申し出てくれる。

「わたしが自分で」
「さっきから、ふらついている。おまえさんは休んでいろ」

 わたしはその言葉に甘えることにして、くまさんパペットでナイフのある位置を指す。
 アルトゥルさんは頷くと、神聖樹に登り出す。
 そして、数分後にナイフを持って戻ってくる。

「ありがとう」
「礼はいらない。おまえさんがしてくれたことを考えれば些細なことだ。割れた魔石もあった、これも渡しておく」

 割れた魔石を渡してくれる。
 四等分に割れていたが、元が大きかったためか、一つの大きさは親指ぐらいの大きさがある。
 なにかに使えるのかもしれないから、受け取っておく。

 ムムルートさんは幹の辺りを調べ、サーニャさんは地面に落ちている葉を調べ、アルトゥルさんは神聖樹の上の方を調べている。
 わたしはお言葉に甘え、くまきゅうによりかかるようにして休みながら、3人の様子を見る。


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