挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、エルフの里に行く

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

233/427

229 クマさん、エルフの村に戻る

 サーニャさんとラビラタを含めた数人のエルフがくまゆると一緒に現れた。

「ユナちゃん、これは…………」

 サーニャさんは周りの惨状を見て尋ねる。
 わたしも改めて周辺を確認する。
 ムムルートさんやわたしの魔法、さらに言えばコカトリスの巻き起こす風で地面はボコボコになり、あちらこちらにコカトリスの赤黒い羽が地面に刺さっている。
 酷い状態だね。
 さらにコカトリスが二体倒れており、その酷い状況の中に、クマの着ぐるみの格好をしたわたしが立っている。
 自分1人だったときは気付かなかったけど、これって第三者視点で見たら、とんでもない状況に見えない?

「サーニャさんはどうしてここに? 魔物は倒したの?」

 もしかして、コカトリスのことを知って駆けつけてくれたのかな?
 ちょっと遅かったけど、わたし的には来られる前に倒せて良かった。
 電撃魔法とか一部説明が出来ないこともあるからね。

「ええ、魔物は問題なく倒せたわ。ただ、ヴォルガラスの数が多かったから、少し手間取ったけど」

 どうやら、無事に集まって来た魔物は全て倒せたそうだ。
 でも、神聖樹をなんとかしないと、また魔物が集まって来てしまうかもしれないんだよね。
 魔物から守る結界が、魔物を呼び寄せるものに変わろうとしている。
 もし、このままの状態が続けば、エルフはこの森に住むことが出来なくなる。

「それで、ヴォルガラスを倒して村に戻って来たら、コカトリスが現れたって騒ぎになっていたのよ。見ていた人から、お爺ちゃんとユナちゃんがコカトリスを連れて村の外に行ったって聞いて。どうしようかと話していたら、お爺ちゃんがくまきゅうちゃんに乗って現れたの」

 そのタイミングで合流したのか。
 でも、くまきゅうはちゃんとムムルートさんを村まで運んでくれたみたいだね。
 戻ったら、撫でてあげないといけないね。

「それで、話を聞けばお爺ちゃんを逃がすために、ユナちゃんが1人残ってコカトリスと戦っているって言うから、駆けつけたのよ」

 別にムムルートさんを逃がすために残ったわけではないんだけどね。
 ただ、あの場に残られると困っただけだ。
 決して足手まといって訳じゃないよ。
 あまり、戦うところを見られたくなかっただけだよ。

「お爺ちゃん、泣きそうな顔をしていたわよ。ユナちゃんが村のため、わしのために死んだかもしれないって」

 勝手に殺さないで欲しい。
 ムムルートさんの中では「わたしが残る。お前は逃げてくれ」ってことになっているみたいだ。
 リアルでやったと思うと恥ずかしい。 

「まあ、ユナちゃんが死ぬわけはないと思ったけど、急いで駆けつけたわけ。その途中でくまゆるちゃんとラビラタに会ってね」

 サーニャさんはラビラタを見る。
 なんでも、ラビラタがタイガーウルフと戦っている間に数匹のウルフが弱まっている結界内に入ってしまったそうだ。
 それでタイガーウルフを倒したあと、結界内に入ったウルフを探していたら、ウルフと戦っているくまゆると出会い、一緒にウルフを倒したあと、くまゆるとわたしのところに向かっている途中でサーニャさんに出会ったそうだ。
 わたしはウルフを倒してくれたくまゆるにお礼を言って頭を撫でてあげる。
 コカトリスと戦っている最中にウルフに邪魔でもされたら面倒だったからね。

「それで、駆け付けたわけだけど」

 サーニャさんは改めて視線をコカトリスに戻す。
 他のエルフたちは倒されているコカトリスを見て反応に困っている。

「本当におまえさんがコカトリスを倒したのか?」

 ラビラタが他のエルフを代表して質問する。
 サーニャさんはわたしのことを少なからず知っているから、コカトリスを倒したことを信じてくれているが、他のエルフは信じられないような顔をしている。
 まあ、クマの着ぐるみを着た女の子がコカトリスを倒したと言って何人の人間が信じてくれることやら。
 現実世界で言えば、着ぐるみ少女が野生の虎や熊を素手で倒したようなものだと思う。
 うん、わたしでも信じないね。

「倒したよ。別に信じなくてもいいけど」

 2人のエルフがコカトリスに近づいて死体の確認をしている。

「いや、この現状を見て、信じないわけではないが……」

 頭で分かっていても納得がいかない様子だ。

「一匹はムムルートさんが倒したよ」

 嘘は言っていない。致命傷を与えたのはムムルートさんの魔法だ。わたしは半死状態のコカトリスに止めを刺しただけに過ぎない。
 あれをわたしが倒したとは言えない。

「でも、そうなると、もう一匹はユナちゃんが倒したってことね」

 それは否定は出来ないので、素直に頷く。

「ユナちゃん、お爺ちゃんを助けてくれてありがとうね。ううん、村も救ってくれて、ありがとう」
「ユナ、感謝する」

 サーニャさんがお礼を言うとラビラタ、他のエルフまでがお礼を述べる。
 お礼はクマハウスの永久的設置と言いたいところを呑み込む。
 きっと、ムムルートさんからもお礼のことを言われるはず。
 お願いをするなら、エルフの中で一番偉い人に頼んだ方がいい。

「気にしないでいいよ。村を守れて良かったよ」

 わたしの言葉に全員が感動している。
 うぅ、これは下心があるから罪悪感が湧いてくる。
 もし、みんながいる前で、ムムルートさんがお礼のことを言っても、切り出せないかも。
 とりあえず、今はコカトリスの方を見る。

「コカトリスを仕舞うけど、いいかな?」

 村に戻るにしろ、倒したコカトリスをこのままにしておくわけにはいかないからね。
 一応、戦利品だ。

「ユナちゃんが倒したんだから、もちろんいいわよ」
「もし、素材が欲しければ分けるけど」
「全部ユナちゃんが貰っても問題はないわよ。逆にお礼をしないといけないぐらいだし」

 とりあえず、サーニャさんから許可をもらったので、クマボックスにコカトリスを仕舞うことにする。
 まずは、わたしが倒したコカトリスに近づく。羽には穴が開いているけど、この羽って用途はあるのかな?
 数箇所に穴が空いているけど、毟ればかなりの量にはなる。
 コカトリスの用途はあとで考えることにして、クマボックスに仕舞う。
 サーニャさんはもちろん、クマハウスが出てくることを知っているラビラタはそれほど驚いていないけど、他のエルフは驚いている。
 気にしないで、次にムムルートさんが倒したコカトリスを仕舞う。
 これはクマの炎のため焼けている。でも、切り落とされた羽は綺麗な状態だ。こちらも仕舞っておく。

 帰ったら、フィナに解体をお願いをしないとダメだね。
 でも、フィナってコカトリスの解体出来るかな?
 そもそも、10歳の女の子にコカトリスの解体を頼むのが間違っている気がする。
 解体を頼むならゲンツさんにも相談かな。

「そう言えばムムルートさんは大丈夫?」

 コカトリスを仕舞ったわたしは、電撃で痺れさせた、ムムルートさんのことを尋ねる。
 エルフにとってムムルートさんの年齢が年寄りになるか分からないけど、年寄りを弱い電撃で痺れさせて、動けないようにしてしまった。
 それにムムルートさんは魔力の使い過ぎで疲労も大きかった。
 大丈夫だったかな?
 でも、あのままにしていたら、まだ戦いそうだったし、仕方ないよね。

「ユナちゃん、お爺ちゃんになにかした? 動けなそうにしていたけど」
「凄い風魔法を使ったからじゃないかな。ムムルートさんの魔法スゴかったよ。コカトリスの片羽を切り落としたんだよ」

 と誤魔化してみる。

「「嬢ちゃんが、わしに触れたかと思うと、体が動かなくなった」って言っていたわよ」

 もしかして、戻ったらムムルートさんに怒られるフラグが立っていない?

「お爺ちゃん、すごくユナちゃんのこと心配していたわよ」

 う~ん、それは悪いことをしたかも。
 世間一般的には「俺に任せて逃げろ」って展開で残った者は相討ちになったり、死亡フラグ展開だからね。
 まして、わたしの実力を知らないムムルートさんからすれば、心配するのも仕方ない。

「お爺ちゃんに、震える手で手を握られて、「嬢ちゃんを頼む」って言われたのよね」

 なんか、想像するだけで、とんでもない状況な気がしてきた。
 ムムルートさんに会ったら、素直に謝った方がいいかな。
 心配をかけたのは事実だし。

「とりあえずはお爺ちゃんが心配していると思うから、村に戻りましょう」

 その言葉に頷く。
 いつまでもここにいても仕方ないのでムムルートさんがいる村に戻ることにする。
 歩いて戻ろうとしたら、くまゆるがわたしの前に来ると腰を下ろして背中を見せる。

「ありがとうね」

 わたしがお礼を言うと嬉しそうにする。
 くまゆるの背中に乗せてもらい、村に戻る。
なんか、書いていたら、ムムルートさんが悲劇のヒロイン役になっているような?
普通は残る役は男がして、女性が涙を流しながら見送るパターンですからねw
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ