挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、エルフの里に行く

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

230/428

226 クマさん、村の見回りをする

 ムムルートさんとわたしの二人を残して、全員が部屋から出ていく。
 サーニャさんが最後に出て行くときに、申し訳なさそうにしていた。
 別に気にしないでいいのに。

「それじゃ、わしらも行くか」

 ムムルートさんは立ち上がると、わたしに声をかけて部屋から出ていく。
 わたしもムムルートさんに付いて行く。

「わたしは村に来た魔物を討伐すればいいの?」
「魔物の処理はわしがする。クマの嬢ちゃんは魔物が来たら教えてくれればいい」

 気を使ってくれているんだろうけど、それって面倒な気がする。
 ムムルートさんとしては、サーニャさん同様にわたしに迷惑をかけたくないみたいだけど、魔物を発見したら、サクッと倒した方が早い。 
 とりあえず、魔物を探知ができることになっている、くまゆるとくまきゅうを召喚する。
 通常サイズのくまゆるたちが現れる。
 ムムルートさんは顎を触りながら、くまゆるたちを見ている。

「二人とも魔物が来たら教えてね」

 と、くまゆるとくまきゅうに頼みつつ、わたしは探知魔法を使って周辺を確認する。
 村の周辺には魔物の反応はない。
 反応はサーニャさんたちと思われるものがあるだけだ。
 サーニャさんはムムルートさんの指示通りに二手に分かれて移動をしている。
 向かっている先は探知範囲外のため、集まっている魔物は探知できない。
 どのくらいいるか確認したかったけど、無理みたいだ。
 遠いのかな?
 ラビラタぐらいの実力があればウルフやヴォルガラス程度なら簡単に倒せると思うけど、問題は数とタイガーウルフだよね。
 タイガーウルフはそれなりに強いから、気を抜くと危ない。でも、数人で戦えば大丈夫かな。
 サーニャさんがどっちの担当になったかわからないけど、無事に戻ってくることを祈るだけだ。


 わたしとムムルートさんは村の中を見回ることになり、わたしの左右にはくまゆるとくまきゅうが歩く。
 ムムルートさんやわたしに気付いた人たちは挨拶をしてくれる。
 大人はムムルートさんとわたしに、子供たちはくまゆるとくまきゅうに挨拶をする。
 ムムルートさんは会う住人に村に魔物が近寄って来るかもしれないことを伝え、村から出ないように伝える。
 村の中を歩いていると、目の前からルイミンがルッカと手を繋いでやってくる。

「お爺ちゃん、ユナさん!」

 わたしたちを見つけると駆け寄ってくる。

「2人ともどうしたの?」
「村の外に行こうとしたら、止められて」
「悪いが今日は村から出ないようにしてくれ」

 ムムルートさんは状況を簡単に説明をする。
 すでに魔物のことを知っていた2人は素直に頷いてくれる。

「それで、お爺ちゃんとユナさんはなんで一緒にいるんですか?」

 わたしの方を不思議そうに見る。
 わたしがムムルートさんと一緒にいるのが、おかしい組み合わせと思ったみたいだ。

「お嬢ちゃんのクマに手伝ってもらって、村の周辺を警戒しているのじゃよ」

 ムムルートさんはくまゆるとくまきゅうを見ながら説明をする。
 そのくまゆるを撫でているルッカの姿がある。

「お爺様、わたしたちも一緒にいいですか? 邪魔はしませんから」

 どう見てもルッカがくまゆるたちに乗りたがっているよね。
 それをルイミンが気付いたのかな?
 ムムルートさんは少し考えてから了承する。

「もしものときは、わしの指示に従うんだぞ」
「はい!」

 くまゆるとくまきゅうに乗りたそうにしているルッカをくまゆるに乗せてあげ、ルイミンはくまきゅうに乗せて、見回りの続きを再開する。
 村の中は結界の外に魔物が集まっているとは思えないほど平和だ。
 くまゆるたちの反応も無いし、村の中は安全そのものだ。
 弱まっている結界も、ちゃんと役目を果たしているってことなのかな。

 ルッカたちを乗せて歩いていると、子供たちが集まって来る。
 初めはムムルートさんも家にいるようにと注意していたけど、子供たちはルッカとルイミンを羨ましそうにして、強く家に帰すことが出来なかった。
 ムムルートさんは「失敗じゃったな」と小さく呟いた。
 でも、「外に行かれるよりはいいか」と気持ちを入れ換えていた。
 たしかに、あっちこっちに動き回る子供に家にいるように言っても、素直に聞かない子だっている。
 子供なんて、家に閉じ込めようとしても勝手に抜け出すものだ。
 それなら目が届く場所にいてもらった方が助かる。
 それが分かっているのか、ムムルートさんも強くは言わない。

 ルイミンもくまきゅうの背中を子供に取られて、わたしの横を歩いている。

「どうやら、大丈夫のようだな」

 村の確認をし終えたわたしたちは村の中央広場的な場所にやって来る。
 くまゆるとくまきゅうを見ると、子供たちが集まっている。
 わたしも外に行かれるよりは良いと思っているから遊ばせている。
 ルイミンがしっかりと子供たちを見てくれているので、くまゆるたちが酷い目に合うことにはなっていない。
 わたしが果汁を飲んでいると、子供たちも欲しそうにしていたので、全員分を出してあげる。

「ありがとうございます」
「ありがとう」

 ちゃんとお礼を言う。躾がしっかりしている。
 くまゆるたちと子供たちが遊ぶ姿を見ながら、ボーっとする。
 …………暇だ。
 暇なことはいいことだ。魔物が来ないってことは、戦いは順調な証拠だ。
 ムムルートさんがくまゆるたちと遊ぶ子供たちを見ている。

「お嬢ちゃんのクマは大人しいな」
「まあ、敵対とかしなければ、暴れたりしないですよ。そういえば、サーニャさんも鳥を召喚できるんですね」

 流れ的に聞いてみることにした。
 今まで黙っていたサーニャさんだ。もしかすると、教えてくれないかもしれないけど、わたしとしては初めて見る召喚された鳥だから、気になるところだ。

「お嬢ちゃんのクマと違って、魔物を感じ取ったりはできないがな」

 でも、召喚鳥が見た物を視覚できるのは凄い。
 上空から見渡せれば、いろいろと便利だ。
 山の先になにがあるとか、海の先に飛ばすのもいい。
 それに空からの景色が見れるのが羨ましい。

「召喚鳥は沢山いるんですか?」
「いや、持っているのはサーニャとルイミンの2人だけだ」
「ルイミンも持っているの?」

 意外の事実にわたしはルイミンを見る。
 近くにいたルイミンが自分の名前が出てきたことに気付いたのか、わたしたちの方を見る。

「ルイミンも召喚鳥、呼び出せるの?」
「え~と、はい。一応……」

 ルイミンは召喚できることを認めるが声が小さい。

「凄いね」
「そ、そんなことはないです」

 なんか、歯切れが悪い。

「えっと、見せてもらえたりする?」

 ダメ元で聞いてみる。
 すると、小さく頷いてくれる。
 どうやら、見せてくれるようだ。
 ルイミンは両手を前にして、魔力を集めると、手のひらにヒヨコ? 雛鳥? が現れた。

「この子たちは魔力で成長するみたいなんですが、わたしの魔力が少ないみたいで、お姉ちゃんみたいに成長していないんです」

 でも、小さくて可愛らしい雛鳥だ。
 ルイミンの小さな手のひらの上を動いている。
 そして、ルイミンの方を見て、小さく鳴いている。
 ルイミンに懐いているのがわかる。

「可愛いね」
「はい、可愛いけど。早くお姉ちゃんの召喚鳥みたいに成長してほしいです」

 この子が成長すると、サーニャさんみたいな召喚鳥になるのか。
 くまゆるたちみたいに小さくしたり出来たらいいんだけど、それは無理だよね。
 ルイミンは召喚鳥を送還させる。
 でも、どうやって、召喚鳥を手に入れたのかな?
 尋ねようとしたとき、くまゆるとくまきゅうが首を上げて「くーん、くーん」と鳴いて空を見上げている。
 一緒にいる子供たちが驚く。
 もしかして、魔物!?
 くまゆるとくまきゅうが見上げる方を見る。

「なに、あれ?」

 子供の1人が指を差す。
 …………でかい。
 空だからヴォルガラスと思ったが違う。
 ゆっくりと大きな鳥が飛んでいる。
 わたしは探知魔法を使う。
 ……コカトリスと表示されていた。

「コカトリス……」

 わたしの言葉にムムルートさんをはじめ、ルイミンたちも驚く。
 コカトリスは鶏のようなトサカがあり、尻尾が蛇のように細く長いのが特徴の魔物。
 やっかいな魔物だ。
 なによりも、飛ぶから面倒だ。

「ルイミン! 子供たちを連れて近くの家の中に隠れろ!」

 ムムルートさんが叫ぶ。

「くまゆる、くまきゅう、みんなをお願い」

 くまゆるとくまきゅうは子供を乗せたまま動き出す。
 そのあとをルイミンが他の子供たちを連れて移動する。

「お嬢ちゃんも逃げた方がいい。魔物が近寄る前に教えてくれたことに感謝する」

 たしかにコカトリスが来る前に気づくことが出来たから、子供たちを逃がすことはできた。
 でも、コカトリスを倒すことができるの?

「もし、コカトリスがやってくるようなら、わしが引き付ける」

 サーニャさんの言っていることが正しければ、結界内に入った魔物は神聖樹の方に向かうはず。
 だから、あのコカトリスが村でなく、神聖樹に向かう可能性は高い。

「倒せるの?」

 ムムルートさんはコカトリスを見て唾を飲み込む。

「わからん。でも、もしものことがあれば戦わないとならんだろう」
「手伝うよ」
「お嬢ちゃん、なにを言っているんだ。コカトリスなんだぞ。凶悪な魔物なんだぞ」

 うん、知っているよ。
 でも、見捨てることはできない。
 コカトリスは真っ直ぐに、こちらに向かっているように見える。
 そして、鶏のような羽を羽ばたかせながら降りて来る。

「ここで戦うの?」

 広いとはいえ、村の中だ。
 ここで戦えば被害は間違いなく出る。

「それは相手次第じゃな。できれば村の外に誘き寄せたい」

 ムムルートさんは先手必勝で、降りて来るコカトリスに向かって風魔法を放つ。
 突風がコカトリスを襲うが、コカトリスは羽を()ばたかせて、相殺する。
 でも、今の攻撃でコカトリスはムムルートさんを敵と認識した。

「嬢ちゃんは逃げてくれ!」

 さらに魔法を放ちながら、ムムルートさんは後方へ走り出す。
 速い。
 コカトリスは追いかけるようにムムルートさんの後を追いかける。
 わたしの行動は決まっている。ムムルートさんとコカトリスの後を追いかける。
久しぶりのバトル回になりそうですw
ゴーレム以来?
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ