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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、エルフの里に行く

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200 クマさん、和の国からの荷物を確認する

 朝食を食べ終えると、旅用のクマハウスで使っているベッドのシーツやタオルなどの洗濯をする。
 決して、クリフや護衛の人が使ったから汚れているとかじゃない。今度、ベッドを使用する人が綺麗なシーツで気持ち良く使ってもらうためだよ。
 宿屋じゃないけど。綺麗にしておきたいからね。
 洗濯を終えると、シェリーが働いている裁縫屋に向かう。
 すでに開店準備を終え、営業中のようだ。
 お店にいるナールさんに挨拶をすると、シュリーは奥の部屋にいるってことなので奥の部屋に向かう。
 ドアをノックして中に入るとシェリーが裁縫している姿があった。

「おはよう、シェリー。ぬいぐるみは出来ている?」
「ユナさん? はい、出来ているのは、そこに並んでいる分だけになります」

 シェリーが差す先を見ると棚に完成したくまゆる、くまきゅうのぬいぐるみが3個ずつ並んでいた。作った順番なのか、くまゆる、くまきゅう、くまゆる、くまきゅうと黒白が交互に座るように並んでいる。
 6個も並んでいると、ちょっとだけぬいぐるみ屋に来た感じがする。贅沢を言えば棚が埋まるぐらいあると良いんだけど。

「もう少し、作れたら良かったんだけど」

 6個もあれば十分だ。優先的にプレゼントしないといけないノアの分と、ぬいぐるみを作る切っ掛けになったフローラ姫。その2人分があれば問題はない。

「十分だよ。残りは手が空いたときでも作ってくれればいいからね」

 わたしが棚に近づき、ぬいぐるみを仕舞うと、その後ろからさらに小さなくまゆるとくまきゅうが出てきた。大きさ的には手のひらサイズのマスコットだ。

「シェリー、これは?」
「あ、はい。テモカさんが余った布を捨てようとしてたので、勿体なかったのでわたしが貰いました。それで勉強になると思って、わたしが作ったんです」
「可愛いね」

 孤児院に子供もあげたら喜ぶかもしれない。

「ありがとうございます。孤児院の子供たちにも人気があるんですよ」

 もう、すでに孤児院には配っていたらしい。
 確かに、すでにぬいぐるみを何個も作っているなら、切れ端も出るか。それを捨てずに利用するのは良いことだね。

「これ、もらっても大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「代金は?」
「捨てる予定の切れ端でわたしが作ったので大丈夫です。テモカさんには許可を貰ってますから」

 う~ん。捨てる布で作ったからと言って、シェリーの労力が無い訳じゃない。
 なにか、お礼をしたいけど、なにも思いつかない。今度、シェリーが喜びそうな礼を考えておこう。
 わたしはくまゆるとくまきゅうのマスコットをクマボックスにしまうとお店を後にする。


 ぬいぐるみを手にいれたわたしが次に向かった先はノアの家だ。
 ノアからドレスを貰ってしまったからには早めにぬいぐるみを渡さないといけない。放置したら、ノアが家に押し掛けて来る可能性もある。
 ノアの家に来ると警備兵に通され、メイドのララさんにノアの部屋に案内される。

「ユナさん、今日はどうしたんですか?」
「約束していたぬいぐるみを持ってきたんだよ」

 ノアにくまゆるとくまきゅうのぬいぐるみを渡す。

「あ、ありがとうございます」

 嬉しそうにぬいぐるみを受け取ってくれる。
 喜んで貰えると、やっぱり嬉しいね。

「でも、早くありませんか?」

 昨日の今日だからね。

「ぬいぐるみは出発する前にお店に頼んであったから。今日、お店に行ったら出来ていたから、持ってきたんだよ」
「お店ですか? もしかして、沢山作っているんですか?」
「沢山って言うか。ミサと孤児院の子供たちの分かな。あとはノアが欲しがると思って一応、頼んでおいたの」

 あとはフローラ姫に渡して、フィナとシュリも欲しがればプレゼントしたい。

「そうなんですか? それじゃ、クマさんのぬいぐるみを持っているのはわたしとミサだけじゃないんですね」

 少し残念そうにする。
 まあ、数が少ない方が価値があるからね。どこの世界でも数が少ないと希少価値は出るものだ。

「でも、お店で作っているってことは、わたしが注文しても購入できるってことですか?」

 一瞬、曇った顔が、たちまちに歓喜の顔になる。

「購入って、今、プレゼントしたでしょう」

 テーブルの上にはわたしがプレゼントしたくまゆるとくまきゅうのぬいぐるみがある。

「なにを言っているんですか。予備は必要です」

 まるで、わたしが間違っているような目で見る。わたし、おかしなこと言った?
 同じぬいぐるみは何個も必要はないでしょう。
 バージョンが違うようだったら全種類欲しいと思うけど、同じ物を買ってどうするのよ。
 とりあえず、諦めるように言っておく。ノアは頬を膨らませるが、可愛いだけで、怖くはない。

「そう言えば、レオナルドさんは帰ったの?」
「はい。朝一でお帰りになりました」

 本人から聞いていたけど。本当に朝一で帰ったみたいだ。
 クリモニアに滞在するようなら、お店の料理でもご馳走をしたんだけど、今度ミサと来たときにでも食べてもらえばいいかな。
 今日は長居はするつもりは無いので、わたしはぬいぐるみを渡すと帰る旨をノアに伝える。

「もう帰っちゃうんですか?」

 ノアには止められたが用事があると言って断った。今日は行かないといけない場所がある。ノアの誘いを断って向かった先はアンズのお店だ。
 昨日、フィナの家で食事を頂いたときに、ティルミナさんからミリーラの町からわたし宛の荷物がアンズの店に大量に届いたことを聞いたのだ。そんな話を聞いたら行かないといけない。
 何度か、和の国から船が来ていることは知っているが、船には従来品のお米とか醤油などの基本な品物しかなかったそうだ。それで、商業ギルドのジェレーモさんが和の国の人に頼んでくれた。たぶん、その荷物が届いたと思う。

 急いでアンズの店に到着したが、店が開いていなかった。
 ああ、今日は定休日か。すっかり、忘れていた。
 道理でお店に向かう人が居ないわけだ。いつもなら、お店に向かう人はいる。
 うーん、どうしようか。一度、寮に行ってアンズにお店を開けてもらわないといけない。
 一瞬、運が悪いと思ったが、休みならお店の邪魔にもならないし、休みで良かったかもしれない。気持ちを入れ替えて、アンズがいる寮に向かう。
 孤児院の近くにある寮に向かって歩いていると、前の方からアンズとエーリスさんが歩いている姿があった。
 わたしに気付いてアンズは駆け寄ってくる。別に走らなくてもいいのに。

「ユナさん、戻って来ていたんですね」
「昨日ね。アンズはもしかして、おでかけ?」
「はい。暇なのでエーリスと散歩でもしようと思って。ユナさんはこれから孤児院ですか?」

 そのアンズの言葉に首を横に振る。

「アンズにお店の鍵を開けてもらおうと思って」
「お店の鍵ですか?」
「昨日、ティルミナさんから、ミリーラからわたしの宛の荷物が届いたって話を聞いてね」

 わたしが説明するとアンズは納得してくれた。

「はい、冷蔵倉庫にも仕舞わないといけないものもあったので預かってますよ」

 荷物が見てみたいから鍵を貸して欲しいとお願いをする。

「鍵を貸してくれれば、終わったら寮に返しに行くよ。2人とも、どこか行く予定なんでしょう」
「いえ、暇だったので街を散歩をするつもりだったので、特に用事はないです」

 一緒にいるエーリスさんも頷いている。

「散歩は大事だよ。みんな仕事をしているときはお店に長い間籠っているんだから、休みのときぐらい外の空気を吸わないと」

 もし、元の世界のわたしのことを知っている人がいたら、今の言葉を笑われるね。引きこもりだったわたしが言っても説得力は0だ。でも、この世界の人はわたしの引きこもりのことは知らないから、良いことを言っていると思っているはず。

「他のみんなは一緒じゃないの?」
「ペトルは孤児院に行きました。あとリリアナとファルネはモリンさんに料理を教わっています」

 そう言えばモリンさんも一緒の寮に住んでいるんだよね。
 みんな、それぞれ休日を満喫しているならいいけど。
 でも、孤児院って子供の面倒、見に行ったのかな? それって余計に疲れが溜まらない?
 料理だって勉強だ。休んでいない。
 わたしと休日の過ごし方が全然違う。昼まで寝てようと思う者が誰もいない。この世界の人は働き過ぎだ。
 アンズと会話をしていたら、お店まで来てしまった。ここまで来たら素直に手伝ってもらうことにする。

「それで、荷物はどこにあるの?」
「こっちにありますよ」

 大きい倉庫の一角に荷物が置かれている。

「食べ物で痛む物は冷蔵倉庫に入れてあります」

 とりあえず一番目に付くのはお米の山だ。お店の分も置いてあるのだろう。
 あとで、補充させてもらおう。
 これは?
 少し大きめな木箱を開けると綺麗な布が入っていた。
 広げてみると、着物だった。

「和の国の服ですね」

 おお、やっぱり。日本と似ている文化なのかな?
 うーん。でも、着たいと思っても、着物の着付けなんて知らない。

「流石に着付けが分からないから着れないね」
「わたし、分かります。和の国の人に教わりましたから、上手くはないかもしれませんが」

 予想外にエーリスが知っているらしい。
 着る機会は無いかもしれないけど。今度、エーリスに着付けを教わる約束をする。
 日本人なのに元の世界じゃ、着物なんて着たことが無かったからね。まさか、異世界に来て着ることが出来るとは思わなかった。
 それから荷物は浴衣やかんざしなどが入っていた。これはわたしに着ろって言っているのかな?
 花火でもあれば風情があって着てもいいんだけど。
 和の国に行けば花火を見ることは出来るかな?
 この世界は魔法があるから、火薬があるか微妙だけど。
 それなら、花火は魔法で作れないかな? 火の魔法を空に打ち上げて、イメージで火を広げるとか。もしくは雷魔法?
 今度、暇なときにでも試してみようかな。

 あとはなにがあるかな?
 これは刀?
 おお、刀だ。格好いい。ナイフや剣も良いけど。日本人なら、やっぱり日本刀だよね。
 鞘から抜いて見ると、綺麗な刀身だ。ミスリルナイフにひけをとらないほど綺麗だ。
 でも、これ高かったんじゃないのかな?
 とても、嬉しいからいいけど。
 この木箱は目ぼしい物は入っていない。簡単に目を通したわたしは箱ごとクマボックスにしまっておく。
 時間があるときに自分の家で確認すればいい。 

 次の品物を確認する。これは海苔に大豆に小豆かな?
 おお、これであんこが作れる。あんパンが作れる。
 お店に出すなら、今度大量注文しないとだめだね。
 それじゃ、お米でももらって、次は冷蔵倉庫かな。

「アンズ、お米もらっておくね」

 一応許可をもらっておく。お店で使う分もあるだろうし。

「ユナさんのお米ですから好きなだけ持って行ってください」

 ゼレフさんに持って行きたいから多目にもらっておく。
 うん? お米が入っている布袋の色が違うものがある。

「アンズ、この色違いの袋は?」
「なんでも、お米の種類が違うって言ってました。たしかにお米の形が違いますけど。わたしにはあまり区別がつきませんでした。そっちの色違いの袋に入っているお米はもち米って言うらしいです」
「もち米!?」

 おお、もち米ゲットだ。嬉しいかも。

「ユナさん、知っているんですか?」
「うん、一応ね」

 お餅だ。
 海苔も醤油もある。
 よし、お餅を食べよう。
 小豆もあるからおはぎも赤飯も作れる。
 でも、お餅を作る前に冷蔵倉庫の方も見ないといけないね。

先日、一周年が過ぎましたが、今度は200話を迎えました。
これも、皆様のブックマークや評価のおかげです。
ブックマークが無ければ、ここまで書こうとは思わなかったはずです。
これからも、よろしくお願いします。


うーん、とりあえず、当たり障りがない和の国の品物が入って来ました。
さて、どうしようかな?
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