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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

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194 クマさん、エレローラさんに説明する

シリアスは前回で終了w
 わたしがガマガエル男に怒りに任せて腕を後ろに振りかざしたとき、玄関からエレローラさんが入ってきた。

「ユナちゃん。ちょっと待って!」

 でも、待ってと言われて腕が止まる訳じゃない。
 クマさんパペットは止まらずに腕は振りぬかれる。

「ぐふっ」

 クマさんパペットがガマガエル男の腹にめり込む。

「遅かった」

 いや、間に合ったよ。エレローラさんがいきなり声を掛けたせいで、クマさんパンチが半減してしまった。
 その証拠にガマガエル男は吹っ飛んでいないし、内臓も飛び出していない。口から泡を吹いて気を失っているだけだ。

「エレローラさん? どうしてここに」
「商業ギルドに行った帰りに、狂気に包まれたユナちゃんがくまゆるに乗って走るのを見かけたから追いかけて来たのよ。あんなにユナちゃんを見たら追いかけないわけには行かないでしょう」

 狂気って、そんなに怖い顔をしていたかな?
 思い返してみる。うん、たぶん、していたね。
 フィナたちが襲われたんだ。怒らない方がおかしい。

「でも、あまり年寄りを走らせないでね」

 その割には息切れをしていない。
 それに年寄りって、見た目だけなら20代半ばに見える。とてもじゃないが、33歳には見えない。
 不思議な人だ。
 それに引き替え、後ろにいるエレローラさんと一緒にいる3人は息切れをしている。
 1人は見覚えがある。王都の盗賊のとき市場で騒ぎになったときにお世話になったランゼルさんだ。
 もう2人の方は初めて見る顔だから分からない。ランゼルさんと一緒にいるってことは騎士なのかな?
 その騎士である3人は息を切らしているのにエレローラさんは平然としている。
 エレローラさんって何者なんだろうね?

「それで、ユナちゃん。この状況を説明してくれる?」

 エレローラさんが周りの状況を見ながら尋ねる。
 ドアは吹き飛び、壁の一部は崩れ、血みどろの者が2人。泡を噴いて倒れているガマガエルが1人。使用人は震えている。改めて見ると酷い状況だね。
 どうみても野生のクマが暴れた状況?
 でも、後悔はしていない。逆に暴れ足りないぐらいだ。
 わたしはミサが誘拐されて、取り戻すためにここに来たことを説明する。

「誘拐!?」

 わたしの言葉にエレローラさんは驚き、ミサを見る。

「うん、あの人に捕まったんだけど。ユナお姉ちゃんが助けてくれたの」

 ミサは顔が崩壊している黒男を指す。
 それから、わたしはグランさんの家であったことを一通り説明をする。
 もちろん、フィナとノアのことも話す。

「2人は無事なの!」
「大丈夫だと思うよ。2人とも気を失っていただけみたいだから」

 エレローラさんは倒れているガマガエル男を睨みつける。
 まあ、最愛の娘が怪我を負わされたと聞けば怒るだろう。

「それで怒ったユナちゃんが暴れたわけね」

 確かにそうだけど。
 エレローラさんは少し考えて、警備兵と使用人たちに向かって口を開く。

「わたしはエレローラ・フォシュローゼ。国王陛下の命令により、ガジュルド・サルバードを捕らえます。そのことについて、あなた方からも聞き取りをします。正直に答えるようでしたら、罪は軽減することを約束します」

 警備兵と使用人たちはお互いに顔を見る。

「それは本当か?」
「あなた方が人として非道なことをしていなければ約束します」

 そう言った瞬間、半分の警備兵が下を向く。
 残りの半分はホッとしている姿がある。
 使用人たちの方もまちまちだ。

「あと、逃げ出そうとしても罪を増やすだけです。素直にこちらの指示に従うのでしたら、ギルドカード、市民カードを出して下さい」

 エレローラさんは市民カードを出すように命令する。
 確かにカードが無ければ街の外には行けないし、身分を一時的に剥奪されたようなものになる。
 もちろん、紛失等なら再発行は可能だが、犯罪者に再発行されることはない。それに逃げ出せば犯罪者となり、二度と街の中に入ることは出来なくなる。
 警備兵と使用人たちは素直に自分たちのギルドカードを差し出す。そのカードをランゼルさんたちが回収する。
 ここで逆らっても、得にはならない。

「ランゼル、ヴォルズ。屋敷の中にいる者、全員に事情聴取します。ただし、手荒な真似はしないように。大丈夫だとは思いますが、あの倒れている三人は逃がしては駄目よ」
「了解しました」

 2人は顔が変形している黒服の男とガマガエルの息子に駆け寄って縛り上げる。

「ミッシェルはファーレングラム家に行き、クリフとグランさんを呼んで来て。もちろん、警備兵も連れてくるのよ」
「わかりました」

 ミッシェルと呼ばれた男は屋敷から出て行く。

「エレローラさん、これって犯罪になるんですか?」

 一応聞いてみる。
 貴族に手を出したのは間違いない。
 この世界で貴族に手を出すことが、どのようになるのかわたしは知らない。

「心配はいらないわよ。ユナちゃんは貴族の娘を救っただけだから、そのことはわたしが証人になるから大丈夫よ」

 余計な心配をすることは無かったみたいだ。

「それに、攫われた子供はミサだけじゃないの。商人の子供も攫われているみたいなのよね。今日、商業ギルドに行ったんだけど。そこで、偶然にガジュルドに子供が攫われた商人に会ったのよ。それで相談を受けたところで、ユナちゃんを見掛けてね」
「それじゃ、この屋敷のどこかに?」
「違うところにいるかもしれないけど。その可能性はあるわ」

 危なかった。
 怒りに任せて屋敷を壊すところだった。
 エレローラさんが来なかったら、間違いなく壊していたよ。そしたら、攫われた子供たちが死んでいたかもしれない。
 あとで、崩れた屋敷から子供の死体が出てきた話なんて聞きたくない。

「だから、攫われた子供のことをガジュルドに聞きたかったんだけど」

 ガマガエル男は口から泡を噴いて気を失っている。とてもじゃないが話しを聞ける状態ではない。
 でも、ガマガエルなら水でもかけたら目を覚ますかな?
 まあ、起きなくても探知魔法やくまゆるたちがいるから、攫われた子供が屋敷の中に居れば見付けることはできる。
 ランゼルさんが重要人物の3人を縛り上げて戻ってくる。怪我をしている三人は一ヶ所に運ばれ寝かされる。使用人たちも一ヶ所に集められている。

「ユナさん、お久しぶりです」
「ランゼルさん、エレローラさんと一緒に来ていたんですね」
「はい。お城の訓練場で鍛練をしていたら、いきなりエレローラ様が現れて、出掛けるからすぐに準備をしろと言い出して、訳が分からないうちに出発してました」

 笑いながら答える。
 想像ができる。

「ランゼル。ガジュルドは目を覚ましそう?」
「ダメですね。完全に気を失っています。他の2人は危険な状態です」
「死なれても困るわね。応急処置だけはしておきなさい。でも、ガジュルドには聞きたいことがあるから起きてもらいましょう」

 エレローラさんはそう言うとガマガエル男に近付き、魔法を唱える。
 エレローラさんの手から水が勢いよく出て、ガマガエル男の顔に直撃する。エレローラさん、やっぱり魔法は使えたんだね。娘のシアが使えるんだから、エレローラさんが使えてもおかしくはない。

「な、なんだ」

 目を開けるガマガエル男。
 やっぱり、ガマガエルには水みたいだね。

「なんで、縛られているんだ」

 自分が縛られていることに気付き、暴れ始める。

「久しぶりね。ガジュルド」
「貴様はエレローラ。なんで、貴様がここにいる」
「国王陛下の指示でシーリンの街の視察よ。最近、この街で黒い噂が聴こえてくるからね。でも、まさか、領主の孫娘を誘拐しているとは思わなかったわ」
「俺は知らん。息子が勝手にやったことだ。俺は関係ない」

 ガマガエル男は隣に寝かされている息子を見て、無実を主張する。

「捕まえるなら、連れて行け。親と子の縁は切る。他人だ!」
「子の責任は親の責任よ。貴族の娘を攫って、さらにわたしの娘まで怪我まで負わせて、そんな言い訳が通用すると思っているのかしら」

 エレローラさんの言葉には怒りが篭っている。

「なんと言われようが、俺は関係はない! 早く縄を解け! 俺は貴族だぞ」

 うるさい。もう一度殴って黙らせた方がいいかもしれない。
 でも、一番殴りたいはずのエレローラさんが我慢しているんだ。わたしが殴る訳にはいかない。
 我慢しないと。

「貴族を名乗るのは恥ずかしいから止めてくれないかしら。ユナちゃんにわたしとあなたが同類だと思われたら恥ずかしくて生きていけなくなるわ。それにミサのことは息子がやったとしても、商人の子を攫ったんでしょう?」
「なんのことだ。知らん」
「惚けるならそれでもいいけど。隣にいる2人みたいになっても知らないわよ」

 それって、わたしが殴るってこと?
 それともエレローラさんが殴るのかな?

「たとえ居たとしても預かっているだけだ。契約書もある。だから、攫った訳じゃない」

 凄い言い分だ。

「それはさらった後に、脅迫して書かせたんでしょう?」
「そんな証拠は無いな。あるのは正式に預かった子供だけだ。その証拠に子供には傷1つない」

 縛られながら笑うガマガエル男。
 契約書がどういう物か分からないけど。エレローラさんの顔を見ると有効的みたいだ。
 元の世界でも悪徳業者にサインをしてしまい。お金を請求される話は聞く。

「そう、ならいいわ。でも、ミサーナ・ファーレングラムを誘拐したのは事実。この屋敷を調べさせてもらうわ。もちろん、貴方の部屋もね。なにが見つかるか楽しみね」

 エレローラさんが悪い顔になっている。

「ふざけるな! そんなことが許される訳がないだろう」
「国王陛下からは許可はあるわよ」
「国王陛下だと……」

 エレローラさんはアイテム袋から一枚の紙を取り出し、ガマガエル男に見せる。

「この通り、あなたが犯罪を犯した場合。取り調べる許可をもらっているわ」

 エレローラさんが出した紙を見て、表情を変えるガマガエル。

「あれは息子が……」
「同じことよ。息子がミサーナ・ファーレングラムを攫った事実は変わらない。それはあなたが認めているわ。だから、この屋敷を隅から隅まで調べさせてもらうわ」
「ふざけるな!」
「貴方が国王陛下に知られたらマズイことをしていなければ、なにも問題はないわよ」

 エレローラさん、完全に怒っているね。

「ふざけるな! 誰か俺を助けろ! 金なら出す!」

 使用人全員はガマガエル男を無視をするように視線を合わせようとはしない。
 こんな状況でガマガエル男を助ける者はいるはずがなかった。

たぶん、次回で誘拐騒ぎは終了かな?
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