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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

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188 クマさん、モグラ退治を終えて、お屋敷に戻る

 無事にビッグモグラを退治することができた。

「これで、ビッグモグラは大丈夫だな」

 マリナが言うにはビッグモグラは2匹以上は現れないらしい。
 出産時に食べ物がたくさんあるところに現れて産んでいく。
 ビッグモグラが産む数は多く、処理が遅れると食物が食われて被害が大きくなるらしい。
 さすが異世界。元の世界とはいろいろと違うね。
 あとはビッグモグラが産んだモグラを退治するだけだ。
 でも、そろそろ良い時間になる。帰りが遅くなると心配する者も現れるかも知れないから、わたしたちはこの辺りで帰ることにする。

「マリナ、エル、今日はありがとうね」
「いえ、わたしも久しぶりにミサーナ様と一緒に居れて嬉しかったです」
「ミサーナ様、なにかあればいつでも呼んで下さいね」

 マリナたちはまだ帰らずに、エルの魔力が尽きるまで頑張るそうだ。
 モグラ探しを続けるマリナたちと別れて三人娘を連れて歩きだす。
 途中で昼寝に適した大きな木の横を通りかかる。そう言えば、ここに人がいたよね。歩きながら確認しようとしたけど。誰もいなかった。ビッグモグラを退治する前にはいたのに。もしかして、ビッグモグラの騒ぎで移動したのかな?

 お屋敷に帰る途中。隣を歩く三人娘を見ると、服や顔が汚れている。まあ、畑の中を歩けば汚れるよね。とくに下半身の汚れが酷い。
 このまま帰ると怒られそうだ。このままじゃ、不味いかな?
 服は無理だけど、顔の汚れだけは落としておく。

「3人とも、じっとしててね」

 水魔法でタオルを濡らして3人の顔を拭いてあげる。
 顔は綺麗になったけど、服は無理そうだ。怒られるかな?
 言い訳を考えながらお屋敷に戻って来ると、見知った人物がお屋敷に入ろうとしている姿があった。

「お母様!」

 ノアがお屋敷に入ろうとするエレローラさんに向かって走りだす。ノアの声に気付いたエレローラさんは振り向く。

「ノア!?」

 振り向いたエレローラさんはノアの顔を見ると笑顔になる。

「元気そうね」
「はい。元気です。でも、なんでお母様がいるんですか?」
「もちろん、愛する娘に会いに来たのよ」

 娘を抱きしめようとするエレローラさん。
 でも、途中で止める。

「ノア、あなた汚れているわね」

 ノアは改めて自分の姿を見る。
 綺麗な服が少し汚れている。
 言い訳も思い付かなかったので、保護者であるわたしが怒られることにする。

「エレローラさん、ごめん。わたしがこの子たちを畑に連れて行ったから」
「違います。わたしが行きたいって言ったから」

 わたしの言葉にミサが否定する。

「だから、ユナお姉ちゃんは悪くないです」
「ふふ、別に怒っていないわよ。それにわたしが子供の頃はもっと汚れていたわ」

 エレローラさんは笑いながら、汚れを気にしないでノアを抱きしめる。

「お母様、汚れます」
「汚れているからと言って、娘を抱きしめない母親はいないわ」
「お、お母様!」

 ノアは苦しそうにしているが、微笑ましい光景だね。

「でも、本当になんでエレローラさんがいるんですか?」
「うーん、娘に会いに来たのは本当だけど。一応、一割が仕事で、一割がクリフに会いに、八割がノアに会いに来たの」

 えっと、どこからつっこんだらいいの?
 せめて、クリフとノアを半々にしてあげようよ。
 それ以前に仕事は大事でしょう。

「あとで、ユナちゃんにも話すことがあるからね。でも、その前にグランさんに挨拶をしないといけないから、中に入りましょう」

 エレローラさんと一緒にお屋敷の中に入る。
 お屋敷の中に入るとメーシュンさんが駆け寄ってくる。
 そして、わたしたちを見ると、叫び声をあげる。

「どうして、皆さんそんなに汚れているんですか!」

 汚れた三人娘を見て少し怒った顔をする。

「メーシュン、ごめんなさい。わたしのせいなの」

 ミサは謝って、マリナと畑に行ったことを伝える。

「わたしも行きたいって言ったからミサだけのせいじゃないよ」
「わたしも」

 ノアとフィナがミサを庇う。
 そんな庇い合う3人を見て、メーシュンさんは優しい顔になる。

「別に怒っていませんよ」
「本当に?」

 その言葉にミサは嬉しそうにする。

「はい。怒っていませんから、ミサーナ様たちはお風呂に入って、綺麗にしてください。そのままじゃ食事も出来ませんから」

 3人は返事をして仲良くお風呂場に向かう。その姿をメーシュンさんは微笑みながら見送る。

「あんなに楽しそうなミサーナ様は久しぶりです。ユナさんも一緒に入ってきてください」
「わたしは後でいいよ。エレローラさんと話でもしたあとに入らせてもらうよ」
「……エレローラ様!?」

 メーシュンさんの目には汚れた3人娘しか見えていなかったらしい。
 エレローラさんを見て驚きの顔になる。

「メーシュン、久しぶりね」
「気付かなくて申し訳ありません」

 頭を深く下げるメーシュンさん。

「いいのよ。いきなり来たわたしが悪いんですもの。グランさんに挨拶をしたいんだけど、会えるかしら?」
「はい。大丈夫だと思います。今日お会いするお客様は全て終わっていますので」

 朝の話によると、いろんな人に会うみたいなことを言っていたね。

「ユナちゃん。わたしはグランさんに挨拶をしてくるから、先にお風呂に入ってきていいわよ」
「出来ればお願いします。汚れたまま、歩かれると困りますので……」

 メーシュンさんがわたしのことを見る。

「ユナ様も畑に行ったのですよね?」
「うん、行ったけど」
「そのわりには、汚れていませんね。黒い足は分かりませんが、白い足も綺麗ですね」

 メーシュンさんはわたしの足元を見たり、わたしの足を持ち上げて、クマさんの足の裏を見たりする。

「特殊な素材で出来ているから汚れないよ」

 洗濯不要な着ぐるみだ。一年中着ても清潔で、汚れも匂いも付かない優れもの。
 たとえ、泥水を被ろうが、汚れることはない。

「不思議ですね」

 メーシュンさんは首を傾げながらクマさん装備を見ている。

「ユナちゃん、ゆっくりお風呂に入ってきて。あの子たちの面倒を見て疲れているでしょう?」

 一緒に入って疲れが取れるかは分からないけど。
 まあ、ノアもミサも貴族だから教育が出来ているようで、お風呂で騒いだりはしない(注意、クマ風呂では騒ぐ)。
 フィナは大人しいから大丈夫だし。
 エレローラさんには後で会う約束をして風呂場に向かう。
 風呂場に向かうとすでに裸になっている3人がいた。

「ユナさん、遅いですよ」
「ちょっと、メーシュンさんとエレローラさんと話していたからね」
「早く入りましょう」
「すぐに行くから先に行ってて」

 3人を先に行かせて、脱衣所でクマの服を脱いで風呂場に向かう。
 たとえ、街半分の領主とはいえ、立派なお風呂がある。わたしたち4人が入っても余裕の広さだ。
 ノアがミサの体を洗い始めたところだったので、

「フィナ、おいで、洗ってあげるから」
「大丈夫です。1人で洗えます」
「いいから」

 無理やりフィナをわたしの前に座らせると、背中と頭を洗ってあげる。
 そして、自分の体と髪を洗おうとしたら、3人娘が手伝おうとしたが、丁重にお断りして、湯船に浸かるように言う。
 ノアが文句を言うが気にしないでおく。
 風呂からあがったわたしたちはしっかりとドライヤーで髪を乾かす。
 風邪を引いたら大変だからね。
 風呂場から出て部屋に戻ってくると、3人娘はリバーシをやり始める。
 そんな3人の様子を眺めながら休んでいると、エレローラさんが部屋にやってきた。

「お母様」
「みんな、綺麗になったわね。あとで、わたしもお風呂を借りようかしら」

 綺麗になった娘の頭を撫でて、部屋の中に入ってくる。

「ユナちゃん、今回はありがとうね」
「…………?」
「クリフとグランさんから話を聞いたわ。ユナちゃんがゼレフを連れて来てくれなかったら、かなり危なかったって」
「連れて来たのはわたしだけど。パーティーで頑張ってくれたのはゼレフさんだよ」
「ええ、聞いたわ。料理にケチを付けたガジュルドにゼレフが怒ったって。見たかったわ」

 残念そうに言う。
 たしかにわたしも、噂のバカ貴族が悔しそうにする姿は見たかったね。

「それで、ゼレフのことだけど。王都にはわたしが連れて帰るから、ユナちゃんは安心してね」
「いいの?」
「ええ、その代わりにクリフとノアのことはお願いね」

 王都に一度戻らないで済むのはありがたい。なんだかんだで、面倒なのは変わりない。

「助かりますけど、エレローラさんは1人で来たんですか?」
「部下が数名一緒よ。出発するまで宿に泊まってもらっているわ」

 だよね。流石のエレローラさんでも1人でこんなところまでは来ないよね。

「本当はわたしは1人でも良かったんだけど。国王陛下が連れて行けってうるさくて。だから、仕方なくてね」

 仕方ないって、エレローラさんは貴族なんだから護衛は必要でしょう。

「お母様。一緒に居られるんですか?」
「少しは大丈夫かな。お仕事があるけど」
「お仕事ですか?」
「ええ、意地悪な国王陛下の命令でね。本当はそんなの無視して、ノアと一緒にいてあげたいんだけど」

 ゴメンね、と謝るエレローラさん。
 そう言えば仕事で来たって言っていたっけ。1割が仕事だと。

「仕事はすぐに終わるんですか?」
「うーん。昼間は無理かな。でも、夜は時間はあるから一緒にいましょう。それでユナちゃん、昼間はノアのことをよろしくね」
「それで仕事ってなんですか? 話せないようだったら聞きませんけど」

 面倒ごとに巻き込まれるのは困る。
 でも、フィナたちが面倒ごとに巻き込まれるなら聞いた方が良い。

「この街の視察ね。国王陛下が文官を送ろうとしていたのを、わたしが横取り、じゃなくて、わたしが申し出たのよ」

 今、この人、横取りって言ったよ。

「でも、よく国王様が許してくれましたね」
「一生懸命にお願いをしたからね。娘に会いたい。夫に会いたい。娘に会いたい。娘に会いたい。夫に会いたい。って呪文のように陛下の前で唱えたら、呪文の効果が発動して、許可がでたのよ」

 国王様、うるさかったんだね。

「それで視察って」
「大したことはしないわよ。街を歩いて情報収集するだけ。あとはグランさんとクリフから話を聞いてから、今後のことは考えるわ。明後日はミサーナのパーティーに参加するつもりだし」

 なんとも、自由な視察だ。

「だから、本格的に動くのはパーティー後かしら? 街を見回ったり、冒険者ギルドや商業ギルド、サルバード家にもいかないといけないし」

 それから、メーシュンさんが夕食に呼びに来るまでの間、リバーシを見つけたエレローラさんが参加することになった。



エレローラさんの登場で、サルバード家包囲網が徐々に完成していきますねw
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