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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

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180 クマさん、ゼレフさんとボッツさんの関係を知る

9/20 23:30
ゼレフさんとボッツのさんの関係を少し変更しました。
 面倒な話をするクリフたちはほっとくことにする。
 貴族や王族の常識を話されても分からないし、つまらない。
 それはゼレフさんも同様なので、調理準備をするよう、到着早々に伝える。
 許可を貰ったわたしたちはメーシュンさんの案内でキッチンに向かう。
 本当はフィナたちのところに顔を出したかったけど、食材を持っているのがわたしだから仕方ない。

「ここがキッチンになります。ご自由にお使い下さい。これからゼレフ様の補佐をする者を呼んで来ますので、少々お待ちください」

 メーシュンさんはわたしたちをキッチンに案内をするとすぐに出て行く。
 調理の補佐はゼレフさんがお願いしたことだ。食材を運んだり、食材を洗ったり、いろいろと手伝ってもらう者が必要なためだ。
 グランさんが人数を確認すると、ゼレフさんは3名ほどで良いと言った。
 少ないかと思ったけど。基本、手伝う箇所は少ないそうだ。

「それではユナ殿、お願いします」
「ここに出していいの? 冷蔵倉庫に仕舞うなら仕舞うけど」

 二度手間になる可能性もある。

「下ごしらえの準備もありますし、ここで構いません。これから、下ごしらえで使う物。今日は使わない物はこちらで判断しますので」

 ゼレフさんは食材出しをお願いすると、調理器具の確認をし始める。
 わたしはキッチンの隅に王都から持ってきた食材の入った箱を出していく。
 パーティーの参加人数は50名前後になるそうだ。主に近隣の貴族が数名、商人、有力者たちが多く占める。
 そのため食材の量も必然的に多くなる。
 わたしが食材をクマボックスから全て出した頃、ドアの向こうが騒がしくなる。

「ボッツさん、まだ安静にしてないと」
「どけ! 俺がグラン様に頼まれたんだ。それがグラン様との約束だ」
「ですが、その腕では」
「どこの誰かも分からない料理人に任せられるわけがない」
「新しく連れてこられた方でしたら大丈夫です。グラン様が認めた方です」
「それは俺が確認する。ドアを開けろ」

 ドアの外の声がここまで聞こえてくる。
 どうやら、このお屋敷の料理長のボッツさんが怒っているみたいだ。
 ちゃんと説明が行き届いていないようだ。
 わたしがどうしたものかと考えているとゼレフさんがドアに向けて歩き出す。

「ゼレフさん?」
「料理人が自分の仕事を取られて怒るのは当たり前です。自分が説得します」

 ゼレフさんはドアを開けると、メーシュンさんと腕に包帯を巻かれた男性がキッチンに入ってくる。

「お前が頼まれた料理人か……」

 入ってきた男性はゼレフさんの顔を見ると言葉が止まる。

「……ゼレフか?」
「……ボッツか?」
「どうして、ゼレフがここに?」

 なんか、知り合いみたいだ。
 まあ、お互い料理人だから、知り合いでもおかしくはない。
 それにゼレフさんは王宮料理長だ。だから、知られてもおかしくはないけど。ゼレフさんも相手のことを知っているみたいだ。

「なにって、今、ボッツが文句を言おうとしていた、グラン殿のパーティー料理を作る料理人だよ」
「えっ、ゼレフが? でも、たしか、ゼレフは王宮料理長をしているはずじゃなかったか?」
「今でもしている。今回はそこにいるユナ殿に頼まれて、腕に怪我をした料理人の代わりに、今回のパーティーの料理を作ることになった」

 ボッツさんがわたしの方を見る。そして、一言。

「クマ?」
「冒険者のユナ殿だ。そして、わたしは彼女に恩がある。だから、今回のパーティーの料理は引き受けさせてもらった」
「冒険者? 恩? クマ?」

 そんな沢山、頭にクエッションマーク乗せないでいいよ。
 自分でも怪しいと思うし。

「ゼレフさん、グランさんの料理人を知っているんですか?」
「はい。自分が王宮で働く前に働いていたレストランで一緒に働いていました」
「そのときにゼレフは副料理長をしていた。俺はその下で働いていた」

 ボッツさんが説明を付け足してくれる。
 あれ、ボッツさんが副料理長じゃなかったっけ?
 うろ覚えだけど。

「でも、自分はしばらくして当時の王宮の料理長の目に留まり、王宮の料理人として働くことになったのです」

 なるほど、そんな経歴があったのか。

「でも、ボッツは確か副料理長になったと噂で聞いていたのですが。どうしてここに?」

 ああ、やっぱり、ボッツさんは副料理長だったんだね。

「料理長と喧嘩をして、首になった」
「喧嘩?」
「自分のミスを他の料理人のせいにしたり、いろいろと嫌がらせをしたり、他の料理人を殴ったりしてな。それで、ムカついて喧嘩になって首になった」
「モルーグ料理長はそんなことをするような人では無かったはずだが?」
「年だったから引退したよ。今の料理長はボルサックと言う男だ。ゼレフが辞めたあとに入ってきた男だよ。確かに料理の腕は良かったが性格が悪かった」
「それで、喧嘩になって辞めたと?」
「副料理長の立場だったから、我慢していたけど。我慢の限界が来て、ついな……」
「ついって……」
「しかも、ボルサックのやつ。ご丁寧に料理ギルドに圧力をかけて、俺に王都で仕事をさせないようにしやがった」

 当時のことを思い出したのか、苛立ち始める。

「どんなことを料理ギルドに説明をしたかは分からないが、上司に暴力を振るう料理人と広まって、王都で仕事が出来なくなった」
「訂正はしなかったのですか?」
「したさ。でも、料理長と副料理長の立場の差があり、あいつを贔屓している者も多い。ムカつくが料理の腕とお世辞を言うのは上手かった」
「それで、ここに?」
「ああ、王都で仕事が出来なくなった俺は、酒場で自暴自棄になって酒を飲んでいるところを、グラン様に拾ってもらった」

 グランさん。酒場って……、貴族が行くところなの?

「だから、俺はグラン様に恩を返すためにパーティーを成功させないといけないと思っていたんだが」

 ゼレフさんは腕を見る。
 腕には仰々しく包帯が巻かれている。

「腕の方は大丈夫なのですか?」
「ああ、治るそうだ。でも、しばらくは料理はできないがな」
「その言葉を聞けて良かった」

 ゼレフさんが微笑むと、ボッツさんも笑う。

「良くないさ。恩を返したいときに返せないとはな、自分が嫌になるぜ」
「でも、ボッツさんは襲われたんですよね」

 わたしが口を挟む。怪我をしたのはボッツさんの責任ではない。

「確かに襲われたが、グランさんとサルバート家の状況を考えれば、危機感が無く1人で歩いていた俺が悪い。グラン様には外に出るときは護衛を付けるように言われていたんだが、面倒だった俺は勝手に外に行ってしまった」
「ボッツ。わたしは詳しくは聞いてませんが、あなたを襲ったのはサルバート家の人間なのですか?」
「証拠はない。ただ、両家の状況と俺が襲われて、集中的に腕を痛め付けられた状況を考えればな。もしかすると、全然関係無いところで恨まれている可能性もあるけどな」

 笑いながら答える。
 怪我はしているけど元気そうでよかった。

「わかりました。ボッツ、安心してください。今回のパーティー料理はわたしがボッツの気持ちを乗せて作らせてもらいます」
「ゼレフ……」
「わたしでは力不足ですか?」
「いや、ゼレフなら任せられる」

 ボッツさんは首を横に振る。

「はい。任せてください」

 ゼレフさんはボッツさんに微笑む。

「ゼレフ、久しぶりにおまえの料理を作るところを見させてもらってもいいか?」
「昔も、お互いの料理を見ながら、腕を競い合いましたね」
「懐かしいな……」
「では、ボッツの期待を裏切らない料理を作るとしましょう」

 ゼレフさんの下ごしらえが始まる。
 それを怪我をしているのに嬉しそうに見ているボッツさん。
 そして、手伝いに参加するメイドさんが3人。
 わたしは邪魔にならないように静かにキッチンを退出する。


 わたしが部屋に戻ってくると部屋の中にはフィナたち三人がいた。

「ユナお姉ちゃん!」
「ただいま。なにも無かった?」

 まあ、見れば何も無かったことは分かる。

「ありました!」

 でも、返答は違った。ノアが怒っている。

「えっ、もしかして、バカ貴族になにかされた!?」
「違います。朝起きたら、ユナさんがいなかったんです。朝、この部屋に来たら、フィナが1人で寂しそうにしているし。どうしたかと聞けば、ユナさんはお父様に料理人を連れてくることを頼まれたって」
「黙って出かけたのはごめんね。急ぎだったから」
「ユナさんが悪くないことは分かっています。ただ、寂しかっただけです」
「それで、ユナお姉ちゃん。料理人は連れて来たの?」
「一流の料理人を連れて来たよ。なんか、ボッツさんとも知り合いだったみたいだけど」
「ボッツさんの?」

 ボッツさんの名前にミサが反応する。

「なんでも、王都にあるレストランで一緒に働いていたことがあるみたいだよ」

 世間は狭い。

「たしか、大きな鷹の石像があるレストランで働いていたってお爺様が」
「その鷹が目印のレストランなら、わたしも知ってます。王都で有名なレストランです。一度だけ行ったことがあります」

 2人に詳しい話を聞くと王都でも一流のレストランらしい。予約をしないと食べれない食事もあるとか。
 でも、2人ともそんな有名なレストランで働いていたんだね。
 それなら、ゼレフさんの実力も頷けるし、グランさんがボッツさんの料理を認めるわけか。
 今度、食べに行ってみるのもいいかな。料理長の性格は悪いけど、料理の腕前は良いらしいし。
 でも、そんな一流のレストランって、着ぐるみで入店って大丈夫かな?
 入店拒否をされるイメージがある。やっぱり、止めよう。わざわざ、心に傷を負うことはない。

「それで、みんなはなにをしていたの?」
「なにもしてません」

 ノアの言葉に他の2人も頷く。

「だって、ボッツさんが襲われて怪我をして、パーティーが危なくなって、ユナさんは料理人を探しに行って、3人でおでかけすることもお父様に禁止されたので、部屋で大人しくしていました」
「それはごめんね」

 確かに外を出るのは危険だよね。
 まだ、ボッツさんを襲った犯人がサルバード家の関係者なのかも分かっていないけど。危険性はある。
 でも、明日まで部屋に篭っているのも可哀想だ。

「それじゃ、みんなでプリンでも作ろうか」
「プリンですか!」
「プリン……」
「プリンを作るんですか?」

 ノアが一番に反応して、次にミサ、最後にフィナが反応を示す。
 国王のパーティーでも出したんだ。だから、グランさんのパーティーに出しても問題はないはず。

「パーティー用の一品になればと思ってね。どうかな?」
「作ります!」
「はい、作りたいです」
「わたしも作ります」

 わたしは先ほどキッチンから来た通路を逆に進み。嬉しそうにする3人娘を連れてキッチンに向かう。

ボッツさん登場!
クマに取り込まれるか、逃げられるか!
三つほどボッツさんの未来図を考えてますが未定ですw
+注意+
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