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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

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152 クマさん、ショートケーキを作る

 ついに完成してしまった。
 悪魔の食べ物が。
 わたしは出来上がった白い柔らかい物をスプーンですくって舐める。

「甘い」

 ついにクリームが完成した。
 これで、ついにショートケーキが作れる。
 街でイチゴを売っているのを見て、ショートケーキが食べたくなったのだ。
 そして、研究の結果、ついに完成した。
 しかも、クリームにいろんな物を混ぜれば、いろんな味も可能だ。
 さらにシュークリームも作れるし、お菓子の幅も広がる。
 さっそくスポンジケーキを作りイチゴを挟む。
 最後にクリームを周りに塗り、イチゴを綺麗にトッピングをする。
 ついにイチゴショートケーキもどきが完成した。
 もしかすると異世界にもクリームは存在するかもしれないが、わたしは見かけていない。
 だから、うろ覚えの知識で作りあげたのだ。
 ショートケーキを切り分け、一口食べる。
 もちろん、日本で売られているプロが作ったショートケーキには勝てないけど。十分な美味しさはある。
 うん、美味しいね。苦労して作ったかいがあったよ。
 わたしがイチゴショートケーキもどきを食べているとクマハウスに誰かがやって来た。
 だれよ。人が久しぶりのケーキを堪能しているのに。

「ユナお姉ちゃん」

 ドアを開ければ、そこにいたのはフィナだった。
 フィナだったら仕方ない。
 これがクリフやミレーヌさんなら追い返しているところだ。

「フィナ、どうしたの?」
「今日はゴルドさんに頼んだミスリルナイフが出来るから、取りにいくんじゃ」
「そう言えばそんなこともあったね」

 この数日間、家に引きこもっていたから、忘れていたよ。

「数日前のことだよ~」

 口を尖らせながらわたしに説教する。
 でも、今日はそれどころでない。クリームが完成した日だ。
 イチゴのショートケーキを食べているところだ

「フィナ。それよりも、美味しい物を作ったんだけど。味見してくれない?」

 せっかく作ったんだから、フィナにも食べてもらわないとね。

「味見ですか?」
「そう、ちょっとケーキを作ってみたんだけど」
「パンケーキですか?」
「ちょっと違うかな? 今回はショートケーキを作ったんだけど」
「ショートケーキ?」
「正式にはイチゴのショートケーキね」

 フィナにはうまく伝わっていないようだ。
 それなら、見てもらって、食べてもらった方が早い。
 玄関に立つフィナの手を握って、部屋の中に無理やり連れ込む。

「ユ、ユナお姉ちゃん!」

 フィナがなにか叫んでいるけど、気にしないで、ショートケーキがある部屋に引っ張り込む。
 そして、フィナを椅子に座らせて、ショートケーキを切り分けて、フィナの前に差し出してあげる。
 その横に果汁を添えることは忘れない。

「これが、ショートケーキですか?」
「そうだよ。食べて感想を聞かせて」
「この白いのはなんですか?」
「クリームだよ。甘くておいしいよ」

 フィナが恐る恐るケーキにフォークを刺して、口に運ぶ。
 見たことがない物を口に入れるのは怖いのかな?
 ケーキを一口食べたフィナの表情が変わる。

「おいしいです!」

 フィナは2口目も口に運ぶ。

「ユナお姉ちゃん。おいしいです。甘くて、柔らかくて」

 フィナのケーキを食べる手が止まらない。
 口の周りにはクリームが付いている。

「口に合ったようで良かったよ」

 フィナの前にあったショートケーキは、あっという間にお皿の上から消える。
 わたしはハンカチでフィナの口を拭いてあげてから、無言でフィナのお皿の上にショートケーキを乗せてあげる。
 1人でホールは多いからね。
 ホールのケーキは半分も減っていない。
 2人でも食べ切れるか分からない。

「ユナお姉ちゃん。食べていいの?」
「まだ、あるから。食べていいよ」

 嬉しそうにケーキを見る。
 やっぱり、ケーキが好きって、フィナも子供で女の子だね。
 いつもはしっかりして、大人っぽいところもあるけど。こういう姿をみると歳相応の女の子で安心する。
 2個目のケーキを食べ終えたフィナは満足げな顔をしている。

「フィナにも満足してもらえたってことは、他の人も平気ってことだね」
「ユナお姉ちゃん、これもお店にだすんですか?」
「うん? 今のところ。その予定は無いけど。わたしが食べたかったから作っただけだし」
「そうなんですか?」

 しょんぼりするフィナ。

「どうしたの?」
「いえ。もし、お店に並べば、いつでも食べれると思ったんですけど。でも、こんなに美味しいってことは高いんですか?」
「そんなに高くないよ。材料が一番高いのはケーキに使った卵かな? でも、卵なら毎日、沢山採れるし」
「それじゃ、どうして店で作って売らないんですか?」
「別に売らないつもりはないよ。ただ、純粋に考えていなかっただけだよ」

 そうだよね。店に出せば、他の食べ物同様、自分で作らなくても店に行けば食べられるようになるんだよね。
 そうと思い付けば、モリンさんたちに試食してもらうために、新たにケーキを作ることにする。
 従業員の人数も考えると多めに作った方が良いよね。
 ミスリルナイフのことはすっかり忘れて、フィナと一緒にケーキ作りを開始する。
 そして、数時間後、数個のケーキのホールが完成する。
 うん、美味しそうだ。イチゴだけじゃなく、他の果物のトッピングもしてみた。
 あとは試食してもらって、みんなの評価が高ければ店に出してもいいかな。
 でも、そんな早るわたしの気持ちを、フィナによって現実に引き戻される。

「ユナお姉ちゃん! ゴルドさんのところに行かないと!」

 ミスリルナイフのことを思い出したフィナは慌てたように言う。
 無心でケーキを作っていたからナイフのことはすっかり忘れていたよ。
 面倒だね。
 今のわたしの頭の中は黒虎ブラックタイガーの解体よりもショートケーキの方が優先順位は上になっている。
 ミスリルナイフを手に入れてもすぐに黒虎ブラックタイガーを解体しなければミスリルナイフを取りに行く必要もない。でも、ネルトさんに、取りに行くと約束をしてしまったから仕方ない。
 本当なら今からすぐにモリンさんのところに行って、試食をしてもらいたかったが、フィナを連れて、ミスリルナイフを取りに行くことにする。

 ショートケーキはクマボックスに仕舞う。
 腐らない、痛まない、クマボックス便利だね。食料を買い込んでおけば引きこもれる。
 でも、ケーキばかり食べたら、お腹がポッコリと出るから気をつけないと。
 この世界に来てからは何だかんだで、外出はしているから。良い運動になっているはずだけど。
 クマさん装備を付けての運動はどうなんだろう?
 ちゃんと、運動(戦闘)すれば脂肪は消耗するよね?
 でも、筋肉は付かないんだよね。
 あれだけ、クマパンチをしたり、跳ねたりしているのに筋肉が付かない。
 まあ、昔から食べても体に吸収されない体質みたいだから、太らないけど。そのおかげで、ある部分にも脂肪が付かない。
 でも、数年後には大きな脂肪の塊が2つ付く予定だ。
 数年後の自分の姿を想像していると、ゴルドさんのお店に到着する。
 ゴルドさんの店の前にアイアンゴーレムが仁王立ちしている。
 格好いいね。
 ミスリルナイフを注文した翌日にネルトさんに会って、アイアンゴーレムの話をしたら意気投合した。
 ネルトさんはわたしの言葉に賛同してくれて、お店の前にアイアンゴーレムが仁王立ちすることになった。
 さらにアイアンゴーレムに剣や盾を持たさせてみた。

「本当にこんな良い物を貰ってもいいのかい?」
「うん。飾ってくれるなら嬉しいからね。ガザルさんにプレゼントしたら、邪魔とか客が来なくなるとか散々言われたから」
「あの男もこのアイアンゴーレムの良さが分からないようじゃ。まだまだ、だねぇ」

 ポンポンとアイアンゴーレムを叩きながら言う。
 ネルトさんにはアイアンゴーレムは好評だった。
 さらにアイアンゴーレムをプレゼントしたら、ガザルさん同様、ミスリルの代金までもらえないと言われた。
 お土産だからいいと言ったけど。ネルトさんはこんな素晴らしい物をもらって、ミスリルの代金までもらえないと言われた。
 言い争っても仕方ないので、ネルトさんの好意に甘えることにした。

 出迎えてくれたアイアンゴーレムを見ながら店の中に入ると、ネルトさんが店番をしていた。

「いらっしゃい。待っていたよ」
「遅くなってごめん」
「別にいいよ。もう、すでに代金は貰っているんだ。いつでも好きなときに来たらいいよ」

 そう言いながら、ナイフを渡してくれる。
 受けとるのはわたしじゃなく、フィナだ。

「どう?」

 フィナはナイフを握り締め、刃先を見る。

「はい。持ちやすくて良いです。それにキレイです」

 ミスリルナイフを嬉しそうに見るフィナ。
 フィナ……少し危ない子になっているよ。

「ユナお姉ちゃん。その、ありがとうね」

 なんだかんだで、嬉しいんだね。
 わたしも作ってあげた甲斐がある。

「その代わりにフィナには解体を頑張って貰うからね」
「うん、頑張って解体するよ」

 フィナはナイフを鞘に戻しアイテム袋に大事に仕舞う。

「それじゃ、もう1本は4日後に来ておくれ」
「急いでいないから、ゆっくりでいいよ」
「いいんだよ。ゴルドは仕事をさせないとサボるからねぇ」
「それじゃ、ほどほどにお願いします」
「切れ味が落ちたら、いつでも来て良いからね」

 ネルトさんにお礼を言って店を出る。
 さあ、帰って食べかけのケーキでも食べるかな。
 えっ、黒虎ブラックタイガーの解体?
 そんなの後だよ。
 それにフィナ1人に任せて1人でケーキを食べるほど、わたしは冷血女ではない。
 だから、帰ったら、フィナと一緒にケーキを食べたよ。

「ユナお姉ちゃん。シュリの分を貰ってもいいですか」
「明日、試食会をするけど。ティルミナさんには先に食べてもらおうかな」

 わたしはシュリとティルミナさんの分のケーキを切り分けて、フィナに渡してあげる。

「明日、ティルミナさんの感想やいろいろと頼みたいことがあるから、時間があるようだったらお店に来てもらって」

 フィナにお願いをして、残りのケーキを食べ始めた。
予告
次回、ついにあのキャラが復活をする!
エレナ「ついに、わたしの出番?」
ユナ「えっ、だれ?」

の予定になっています。あくまで予定ですw


追記、どうやってクリームを作ったのかの細かい設定の突っ込みは無しでお願いします。たぶん、今後もあると思います。
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