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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、ミスリルナイフを作る

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138 クマさん、鉱山の話を聞く

後半、ほとんど書き直しました。
読んでもらえると幸いです。
 わたしたちはサーニャさんにギルドマスターの部屋に連れていかれる。サーニャさんは思い出したかのように、部屋に入る前に職員に飲み物の指示を出す。
 ギルドマスターの部屋はそれなりに広く。奥の窓際に大きな机があり、そこがサーニャさんの仕事場になっている。
 机の左右の壁には本棚があり、資料らしきものも並んでいる。
 どこかの市長の部屋みたいだ。
 部屋の中央にはテーブルがあり、椅子が挟むように置かれている。ちょっとした会議スペースになっている。
 サーニャさんは奥の自分の椅子には座らずに、中央にある椅子に座る。

 どうして、こんなことになっているんだろう。
 ナイフ1本を得るために、こんな面倒なことになるとは思わなかった。
 しかも、ここで得られるのはミスリルのナイフじゃなくて、鉱山の情報だけだ。
 う~ん、これなら、昼寝でもしてたらよかったかな。でも、黒虎(ブラックタイガー)の解体はしたかったし、ミスリルのナイフも欲しかった。
 しばらくはミスリルのナイフは諦めた方がいいかな。
 これから、どうしようかと頭の中で考えていると、サーニャさんに椅子に座るように薦められる。 

「適当に座って」

 言われるままにわたしとフィナは適当に椅子に座る。
 すると、タイミングを計ったように、ドアがノックされる。ドアが開き、職員が飲み物を運んで来る。職員はそれぞれのテーブルの前に飲み物を置いてくれる。
 置いてくれたときに、礼だけはしておく。

「ユナちゃんは何度か会っているけど、フィナちゃんは久しぶりね」
「はい、サーニャさん、お久しぶりです」

 頭を下げてお辞儀をするフィナ。

「それでギルドで聞きたいことってなに?」

 わたしはこれまでの経緯を話し、冒険者ギルドに来た理由を説明した。

「黒虎ブラックタイガーを解体するためにミスリルのナイフをねぇ」
「クリモニアで買おうと思ったら手に入らなかったから、王都まで来たんだけど」

 クリモニアの鍛冶屋→王都→王都の商業ギルド→王都の鍛冶屋→王都の冒険者ギルド→続く。
 ゴールが見えない。

「まあ、元から貴重な鉱石だからね。手に入る量も少ないし、まして、今は掘れない状態だからね。売っていたとしても高いわよ」

 値段は気にしないけど、ぼったくり価格では買いたくはない。
 まあ、仕入れ価格が上がっているから高くなるのは仕方ないけど、やっぱり、通常価格で購入したい。

「鉱山でなにがあったの? 鍛冶屋のガザルさんから聞いたら、ゴーレムが出たって聞いたけど」

 長年掘っている鉱山からいきなり、ゴーレムが現れるって意味が分からないし。
 異世界なら、そんなこともあるのかな。

「その言葉通りね。鉱山からゴーレムが現れたのよ。坑夫が穴を掘り進めていたら、大きな空洞を掘り当てたんだけど。そこの空洞には1体のゴーレムが寝ていたそうなのよ」
「ゴーレムが?」
「坑夫の証言によれば、ゴーレムに近づくと、ゴーレムは起き出し、襲ってきたの。坑夫は慌てて命からがら逃げたそうよ 」
「そのゴーレムが鉱山で暴れているわけ?」

 1体だけなら普通に冒険者が倒しそうなものだけど。
 もしくは道を埋めて封鎖するとか。

「暴れているって言うか、居座っているのが正しいのかな。鉱山の中からは出てこないから。でも、鉱山の中に入ると襲ってくるみたいなの」

 ゴーレムだから、なにかを守っているのかな?
 よく守護者としてゲームや小説には出てくるけど。

「冒険者は討伐に行ってないの?」
「すでに、何人かの冒険者は討伐に向かっているわよ。ただ……」

 サーニャさんは少し言いづらそうにしている。

「厄介みたいなの」
「厄介?」
「どうやら、ゴーレムが1体だけじゃないみたいなの」
「何体もいるの?」
「すでに、数体倒している報告を受けているわ。現状だと、鉱山の中にどれだけのゴーレムがいるか、把握出来ていないわ」

 ゴーレムの無限湧きかな?
 これがゲームなら経験値稼ぎだって喜ぶところかな?
 でも、ゴーレムの数か、探知魔法を使えば分かるかな?
 鉱山の中で魔物は探知できるかが問題だ。
 洞窟なら、ゴブリンに巣で可能なのは立証済みだけど、鉱山みたいに地下に何層もなっている場合はどうなるのか? 同じ階層だけ、探知できるのか、他の階層も探知できるのか検証したことがないからわからない。

「あと、問題がもう1つ起きているわ。奥に進むとアイアンゴーレムが出てくるの」

 アイアンゴーレムか。
 洞窟の中では戦うのが面倒かな。
 洞窟の中だから、火属性魔法は使えないし、物理の土魔法でどこまでダメージ与えることができるか分からないし、風魔法で鉄を切り裂くことができるかどうかわからない。水は論外だし、氷も土魔法と同じだし。こうなると鉄を切り裂く、ミスリルの剣が欲しいね。
 結果から言えば、洞窟の中で戦ったら面倒くさくなりそうだ。

「だから、先日までランクDの依頼としてだしていたけど。先日、ランクC以上の依頼としたのよ」

 ランクDからランクCの引き上げね。
 ランクDといえば、デボラネとか、デボラネ(仮)ぐらいの実力か。
 と、二人の実力を思い出してみるが、一方的に殴ったり、一方的に魔法をかけただけで、二人の実力が分からないことに気づく。
 ランクCの知り合いは、先日知り合ったジェイドさんぐらいだけど、実力は知らない。
 実力は分からないけど、ランクCなら、大丈夫なのかな?

「ちなみに、鉱山に行けばミスリルの鉱石って手に入るの?」

 わたしの目的はミスリルの鉱石の情報であって、ゴーレムの情報ではない。

「うーん、どうかな。その辺の管轄は商業ギルドになるからね」

 それじゃ、鉱山に行っても意味がない。
 手に入るかも知れないけど、手に入らない可能性もある。
 それなら、面倒だし、今回は帰ろうかな。
 わたしはそう結論に達して席を立つ。

「サーニャさん、ありがとうございました」

 わたしは帰ることにして、サーニャさんにお礼を述べる。
 最後に職員が持って来てくれた飲み物を飲み干して、椅子から立ち上がった瞬間、ドアがノックされる。

「どうぞ」

 サーニャさんがドアの外に返事をする。
 部屋の中に入ってきたのは、わたしが知っている人物。

「あれ、ユナちゃんとフィナちゃん?」
「エレローラさん!?」
「どうして、2人がここに?」

 それはこっちのセリフでもある。

「エレローラさんも、どうしてギルドに?」
「わたしはサーニャに用があるからね」
「わたしは冒険者ギルドに聞きたいことがあって」

 エレローラさんはこちらにやってくるとフィナの隣に座る。

「フィナちゃん。元気にしていた?」
「はい」

 フィナは少し緊張ぎみに返事をする。

「ノアは元気にしているかしら」
「はい、先日も一緒に遊びました」

 たまに一緒にいるところ見かけることがある。
 2人は仲良くしている姿をみる。時折、クマハウスに来て、くまゆるとくまきゅうの召喚を頼みに来ることもある。

「あら、そうなの。これからも、あの子のことお願いね」

 フィナは笑顔で頷く。

「それで、エレローラ様、今日はどのようなことで」

 いきなりやってきたエレローラさんにサーニャさんが尋ねる。

「例の件はどうなっているのかなと思って」
「鉱山でしょうか?」
「ええ、このまま鉱石が入って来ないのは国としても困るからね」
「数日前に、ランクCの冒険者が鉱山に向かいました」
「無理なら兵を出そうと思ったけど、ランクCなら大丈夫かしら。人数は?」
「2パーティーで、4人と5人のパーティーです」
「う~ん。それじゃ、暫くは様子見かしら、それで無理なら兵士を出すわね」
「はい、わかりました」

 兵士が出せるなら早く、出せばいいと思って聞いてみたら。
 2人の話によると、魔物が現れた場合は冒険者ギルドの仕事になるらしい、国の兵士が討伐してしまうと、冒険者の仕事がなくなってしまうためだ。
 冒険者で駄目なときは国の兵士が動くらしい。
 それは暗黙の了解で繋がっているのこと。
 だから、今回のゴーレムの件も冒険者ギルドが討伐をしないといけない。
 面倒な関係だけど、仕方ないのかな。
 魔物を全て、国の兵士が倒したら、冒険者の仕事は無くなるし、本当の有事のときに国に兵士がいなかったら困ることになる。

「それで、ユナちゃんはどうしてここに?」

 エレローラさんに、ここにいる理由を説明する。

「ミスリルね」
「そんなに鉱石不足なんですか?」
「鉄などは、どうにか大丈夫だけど、ミスリルみたいに少量しか取れない鉱石は不足しているわね。そのせいで価格も上がっているから、一般の冒険者は手に入らないわね」

 やっぱり、ミスリルは高いんだね。

「ユナちゃん、ミスリル欲しいなら、お願い聞いてくれない? ミスリルが手に入ったら優先的に回してあげるから、なんなら家にあるミスリルのナイフをあげてもいいわよ」
「お願いってゴーレム討伐ですか?」

 話の流れ的にこれしか思い付かない。

「ええ、ランクCのパーティーが行っているから大丈夫だと思うけど、少しでも早く解決したいからね」
「ミスリルは欲しいけど、別にわたしじゃなくても、ランクBとかランクAに頼むとか」

 見たことはないけど、王都ならいるでしょう 。
 その言葉で二人は苦笑いを浮かべる。

「一応、王都にも高ランク冒険者はいるけど、頼むのはちょっと難しいのよ」
「…………?」

 わたしは首を傾げる。
 いるのに頼めないって、意味が分からない。

「まず、無理な理由は、高ランク冒険者は放浪癖がある者が多いのよ。どこに行ったのか、いつ帰ってくるのか、分からないの。だから、頼むことができないの」
「未開の土地に行ったり、強い魔物を捜したりして、王都にいない方が多いのよ」
「高ランク冒険者は自由奔放で、人に縛られたくない者が多いのよ」

 エレローラさんとサーニャさんが説明してくれる。
 だから、今まで高ランク冒険者に会ったことがなかったのか。

「それに、高ランク冒険者は変人が多いから、頼むのも大変なの」

 エレローラさんとサーニャさんが、同時にわたしをみる。
 どうして、2人ともわたしを見るかな?
 いや、視線はもう1つあった。どうして、フィナも見るかな?
 わたし、悲しくなるよ。
 わたし、変人さんじゃないよ。くまさんだよ。
 わたしを見たエレローラさんが、

「ユナちゃんは変人じゃないから、ダイジョウブダヨ」

 なんか、言葉のニュアンスが違うんだけど。

「さっきも言ったけど、高ランク冒険者は冒険好きだったり、魔法の研究で引きこもったり、強い者を求めて旅に出たり。まして、お金も持っているから、仕事をなかなか引き受けてくれないのよ」

 おお、なんか、好感が持てる冒険者ばかりだ。
 わたしもお金はあるから、無理に働きたくない。世界を見てみたい気持ちも分かるから、冒険もしたい。新しい魔法の研究も面白そうだ。強い者を求めるのは違うけど。(少しはあるけど)
 そう、考えるとわたしも変人の仲間かな。
 決して考え方であって、格好が変人ってわけじゃないよ。

「でも、高ランク全員が変人ってわけじゃないよね」

 もし、そうだったら、この世界は終わってしまう。

「そりゃね。普通の高ランク冒険者もいるけど、そのような者は国が確保する場合が多いわね」

 なるほど、だから、残っている高ランク冒険者は変人が残るわけか。

「だから、高ランク冒険者に依頼を頼むのは難しいのよ。だから、ユナちゃん。引き受けてくれないかな?」

 なんか、変人と同列に並べられているような感じがするんだけど。
 ミスリルは欲しいから受けてもいいんだけど。難点はゴーレムが洞窟の中にいるってことなんだよね。
 普通の土や岩で出来たゴーレムなら問題はないけど。鉄でできたアイアンゴーレムが倒せるか分からない。

「ミスリルを譲ってくれる量はナイフ一本分?」
「う~ん、ミスリルはレア鉱石で量は少ないし、ナイフや武器の加工も大変だから、かなり値が張るのよね。とりあえず、ナイフなら2本かな」

 わたしはチラッとフィナを見ると、ミスリルが思ったよりも、高価だったためか、わたしを見て、首を振っている姿がある。

「ユナお姉ちゃん……無理しなくても、わたしミスリルナイフはいらないよ。黒虎ブラックタイガーの解体ならギルドに頼めばいいと思うよ」

 いらないとと言われると、無理にでもあげたくなるのが人の心理。
 それに今後のことを考えるとミスリルは必要になりそうだし。

「うん、わかった。引き受けるよ。でも、倒せるか分からないからね」
「ユナちゃん、ありがとう。助かるわ。それじゃ、その間フィナちゃんはわたしの家で預かるわね」
「「えっ」」

 エレローラさんの言葉にわたしとフィナが驚きの声がハモる

「まさか、連れて行くつもりだったの?」

 エレローラさんは隣にいるフィナを抱きしめて、驚いたように聞いてくる。
 連れて行くつもりはなかったけど、さすがに転移門でクリモニアに帰しますとは言えず。

「お願いします」

 と返事をしてしまった。

「ユナお姉ちゃん!?」

 その瞬間、フィナは驚いた顔をしていた。
 わたしは心の中で謝る。
 それから、鉱山の話を聞き。一度、クマハウスに戻り、転移門でクリモニアに戻って、ティルミナさんにフィナの貸し出し許可をもらうと、転移門で王都に戻り、フィナをエレローラさんに預けるという、面倒な作業をするはめになった。
 フィナは貴族のエレローラさんのお屋敷に泊まることになって、悲しい顔をしていた。
 帰ってくるまでに、フィナが緊張で精神が壊れないことを祈ろう。
 早く帰ってくるから待っていてね。
 捕らわれの(フィナ)を救い出すため、わたしは1人、鉱山に向かうことになった。
 なんか、目的が変わったような気がするが、気にしないで出発する。

明日の投稿は無理そうです。
外伝も書きたいのに……
+注意+
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