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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、いろいろ作る

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114 クマさん、二人と散歩する

 宿屋を出て町を歩いていると、見覚えのあるハーレムパーティーがいた。

「ユナちゃん! 町に来ていたの?」

 良識人のトメアさんを始め、ハーレムリーダーのブリッツ、小さなラン、女性剣士のグリモスもいる。

「みんな、まだいたの?」

 てっきり、食料の護衛が終わったら、町から出て行くと思っていた。

「ああ、周辺の魔物退治をするから、しばらく残って欲しいって、ギルドマスターに頼まれてな」

 ブリッツが答える。

「それよりも、本当か? クラーケンを倒したって、とてもじゃないが信じられないんだが」
「ブリッツも疑い過ぎよ。町の人が全員言っているんだから、本当なんでしょう」
「でも、クラーケンだぞ。あんな化け物、どうやって一人で倒すんだ」
「それはそうだけど。ユナちゃんは非常識だから倒せるんじゃない?」
「別に信じなくてもいいよ。わたしとしてはその方が助かるから」
「わたしは信じるよ」
「まあ、町の住人が言っているんだから倒したんじゃない?」

 トメアさんの言葉にランが賛同する。

「住人が嘘を吐く理由はない」

 最後にグリモスが一票を入れる。

「それにトンネルだろ。信じられるお前たちが不思議だよ」

 ブリッツの考え方が一般的かもしれない。

「でも、実際にトンネルがあるのをブリッツも見たでしょう」
「見たが、初めから有った可能性も」
「あんなに綺麗なトンネルがあるわけないでしょう」

 あんた馬鹿なの的な目でブリッツを見ている

「でも、常識的に考えて」
「盗賊退治をしたときのユナちゃんが常識的に見えたの?」
「見えなかったな」

 なんか、酷い事を言われていない?

「さらに、町の住人がクラーケンを倒したのがユナちゃんと言っているんだから、トンネルぐらい常識的な範囲内でしょう」
「それが常識なのか?」

 納得がいかないような顔をするブリッツ。

「それで、おまえはどうしているんだ。クリモニアに帰ったんじゃなかったのか?」
「この子たちと一緒に遊びに来ただけだよ」

 二人を紹介する。
 二人は自己紹介をして頭を下げる。

「可愛い子たちね」
「それじゃ、ブリッツたちは町の開発が終わるまでいるの?」
「いや、トンネルが通れるようになったら、クリモニアに行ってみようと思っている」
「そうなの?」
「せっかく、トンネルが出来たんだから、行かない選択肢は無いよ」

 トメアさんがブリッツの言葉に賛同する。

「もし、クリモニアに来るなら、食事ぐらいご馳走するよ」

 わたしはお店の名前を伝えて、ハーレムパーティーと別れる。
 4人はこれから魔物退治に行くそうだ。
 別れたわたしはフィナたちを町を案内することにした。

「凄いです。船が沢山あります」
「お船だ~」

 港に着くと二人は楽しそうに船を見ている。
 たくさんの船が港に停泊している。
 二人とも口に出さないけど、船に乗りたそうにしている。
 でも、さすがに船は持っていないので二人を乗せてあげることはできない。
 港を歩いていると、見知った二人がいた。

「ラーニャさん、ダモンさん、久しぶりです」
「ユナちゃん」
「ユナだと!?」
「おひさしぶりです」
「どうしたんだ。魚でも欲しいのか?」
「違うよ。この子たちに海と船を見せてあげているの」
「もしかして、そんな小さな子を連れて、クリモニアから来たのか?」
「そうだけど」

 落ち込むダモンさん。

「俺たちが死ぬ思いで向かった先に、遊び感覚で来るって」
「トンネルがあるから、簡単に来れるよ」
「そうだけど。なんか、納得が出来ない」
「なにを言っているのよ。ユナちゃんに出会ったおかげで、命は助かったし、町も助かったのよ。なにを文句を言っているのよ」

 ラーニャさんに叩かれる。

「それで、二人はなにをしているの?」
「ああ、船の整備だ。ちゃんと整備しないと、いざってときに壊れても困るからな」

 わたしたちが会話をしている間もフィナとシュリは船を珍しそうに見ている。

「えーと、そこの嬢ちゃんたち、船に乗りたいのか?」
「その・・・・」
「乗りたいけど・・・・」

 二人とも遠慮しがちに言う。
 船か、そう言えばわたしも乗ったことがないかも。
 ゲームのMMORPGの中ではあるけど。

「なら、乗るか?」
「「いいの?」」

 なぜか、二人はダモンさんを見ずにわたしの方を見る。

「乗りたいの?」
「乗ってみたいけど・・・」
「少し怖い」

 確かに、海を見たことが無ければ、船に乗るのも初めての経験だ。興味はあるけど怖いのだろう。

「ダモンさん、安全にお願いできますか?」
「ああ、もちろんだ。ユナの知り合いを危険にあわすわけがないだろう」
「二人とも大丈夫だから、乗っておいで」
「ユナお姉ちゃんは?」
「わたしは待っているよ」
「ユナ姉ちゃんも一緒がいい」

 シュリの小さな手がわたしのクマのふくを掴み、わたしの顔を見上げる。
 そんな顔をしたら断れない。
 わたしたちはダモンさんの船に乗せてもらうことになった。
 ダモンさんの船はわたしたちを乗せると、帆を張り海にでる。

「二人とも気持ち悪くなったら、早く言ってね」
「・・・・・?」

 二人は首を傾げる。
 船に乗ったことがない二人に船酔いの説明をしても分からないと思うので、それだけを伝える。
 でも、わたしの心配をよそに、二人は楽しそうに海を走る船を堪能している。
 波はそれほど高くないそうだ。船が揺れるたびに二人は喜んでいる。
 わたしが酔わなかったのはクマのおかげかな?

「ダモンさん、ありがとうございました」
「おお、いつでも乗りたかったら言ってくれ」

 わたしたちはダモンさんにお礼を言って、港を離れる。

「二人とも楽しかった?」
「はい! 楽しかったです」
「うん、お船、楽しかった」

 二人は本当に楽しそうにしている。その言葉に嘘はないだろう。
 港を出たところで胸を強調した服を着た女性が待ち構えていた。

「アトラさん?」
「久しぶりね、ユナ」
「どうしたんですか?」
「どうしたもなにも。町に来ているなら。なんでわたしのところに来ないのよ」
「えーと、用がないから?」
「ユナ」

 アトラさんが睨みつけてくる。

「冗談です。これから行くつもりだったんですよ」

 もちろん、嘘だけど。行くつもりはなかった。

「ほんとうに?」

 疑いの目で見てくる。

「ええ、本当ですよ」

 微妙に視線を逸らしながら答える。

「まあ、いいわ。それでユナはなにしに来たの」
「遊びに来ただけだけど」
「遊びにって、この町になにもないでしょう」
「沢山あるよ。魚料理、タケノコ掘り、海、船、砂浜、二人とも楽しかったよね」
「はい、楽しかったです」
「うん、楽しいよ」
「そうなの? なんか、分からない物も混じっていたけど。楽しんでもらえたんなら、嬉しいわ。それで、その子たちは?」
「クリモニアでお世話になっている人の子供かな?」

 命の恩人と紹介するとフィナが怒るので、今回はそのように紹介する。

「違うよ。わたしたち家族がユナお姉ちゃんにお世話になっているんだよ」
「お母さん、言っていた。おいしいご飯が食べられるのはユナ姉ちゃんのおかげだって」

 二人がわたしの紹介を否定する。

「ふふ」
「なんで、笑うの?」
「ユナがこの子たちになにをしたか、想像が出来るからよ。どうせ、見返りも求めないで、その家族を救ったんでしょう」
「凄いです。なんで分かったんですか!」

 フィナがアトラさんの想像を肯定する。

「それは、この町でもユナがそうしたからよ」
「納得しました」

 どうして、みんなそれだけの会話で納得するかな?
 それじゃ、わたしが一言で説明出来る、簡単な人間みたいじゃない。
 訂正を求めたいが、三人は楽しそうにわたしの話題で盛り上がっている。

「すぐに『気にしないでいい』って言うのよね」
「はい、言います」
「いう~」

 なんで、そんなに盛り上がる。

「それで、わたしたちがお礼をしなくてはいけないのに。なぜか、ユナが逆にわたしたちに支援してくれるのよね」
「はい、わかります!」
「わかる~」

 シュリは本当に分かっているのかな。フィナのマネをしているだけに見えるけど。

「えーと、いつまで、話しているのかな?」
「あら、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」

 三人が謝る。

「それで、三人はこれから、どうするの?」
「本当はアトラさんに挨拶をするつもりだったけど。ここで会えたから、町の中でも回ろうかと思っているけど」

 アトラさんに会うつもりは無かったけど、町の中を回ろうと思ったのは本当だったのでそう答える。

「なら、わたしもついて行こうかしら」
「暇なんですか?」
「そうね。クリフ様が周辺の魔物を退治をするために、クリモニアから冒険者を派遣してくれたから、順調よ。それにブリッツたちも戻って来て、しばらくはいてくれることになったし。これも、全てユナのおかげね」
「わたしはなにもしてないよ。したのはクリフとミレーヌさんですよ」
「そう思っているのはあなただけね」

 と微笑みながら、フィナとシュリの手を握って歩き出すアトラさん。
 わたしは納得がいかないけど、三人のあとを付いていく。

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