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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、いろいろ作る

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110 クマさん、姉妹とお出掛けする

護衛に行く前に、ミリーラに行って、いろいろと回収します。
 王都に行った翌日、フィナを探して、孤児院に向かう。
 基本、フィナとシュリの二人は、朝早くティルミナさんと一緒に孤児院に向かっている。そこで、卵の世話をしたり、お店に行ったり、その日によって異なる仕事をしている。
 鳥小屋に行くと、孤児院の子供たちが卵を集めている。
 集めた卵を水で洗い、わたしが土魔法で作った卵ケースに仕舞い、奥のテーブルに運んでいく。そのテーブルには卵を数えているティルミナさんとフィナの姿もある。

「みんな、おはよう」
「くまのお姉ちゃん。おはよう」
「おはようございます」
「お姉ちゃんおはよう」

 わたしが声を掛けると、みんな元気に挨拶を返してくれる。
 みんな、良い子に育っているようだ。
 これも、院長先生とリズさんのおかげだろう。
 みんな、自分たちが出来る仕事をしている。それも、ちゃんと子供たちの能力を見て、ちゃんと仕事を与えている。
 自分たちは親を亡くし、もしくは捨てられ、自分たちは世間からいらないと思い込んでいた子供たちがここまで生き生きと働いているのは間違いなく二人の功績が大きい。
 そのリズさんがやってくる。

「ユナさん、おはようございます」
「リズさん、おはよう。子供たちは大丈夫?」
「みんな、良い子たちばかりだから、大丈夫ですよ。みんな、なにをすれば、お腹が膨れるか分かってますから」

 それを教えたのは間違いなくリズさんだ。

「もし、人手が足りなかったり、必要な物があったら言って下さいね」
「大丈夫よ。子供たちも、わたしもユナちゃんのおかげで幸せだから。これ以上の物をねだったら罰が当たるわ」

 リズさんは本当に幸せそうな笑顔で答える。

「そんなことは言わずに、ちゃんと言ってくださいよ。もし、院長先生とリズさんに、もしものことがあったら大変なんだから」

 これは大袈裟なことではなく、本当に二人が居なくなったときのことを考えると、恐くなってくる。あの二人には強く言わないと、無理をするのは目に見えている。
 わたしはリズさんに念を押して、卵を数えているティルミナさんのところに行く。そこにはフィナとシュリが手伝っている。

「ユナちゃん、どうしたの? こんなに早く、孤児院に」

 わたしは基本、朝はお店の方に顔を出して、朝食を食べてから、たまに孤児院に顔を出すぐらいだ。

「フィナに用があってね」
「わたしですか?」

 ティルミナさんと一緒に卵の数を数えて、仕分けをしているフィナが驚く。

「ちょっと出掛けるんだけど、一人だと寂しいから、フィナに付き合ってもらおうと思ってね」
「お出かけですか?」
「それで、ティルミナさんの許可を貰って、フィナを借りようかと思って」
「ふふ、もちろん、良いわよ。ユナちゃんならいつでも貸し出すわよ」

 笑顔で了承してくれる。

「それじゃ、ありがたく、お嬢様をお借りますね」

 わたしも笑顔で返す。

「お母さん! ユナお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん、いいな」

 シュリが不満げにわたしたちを見る。

「もちろん、シュリも一緒に行くよ」
「ほんとう?」

 いつも、フィナだけではシュリが可哀想だ。今回は危険なこともないし、連れて行っても問題はない。

「ユナちゃん、シュリまでいいの?」
「いいですよ。二、三日借りますから、ティルミナさんはゲンツさんと二人っきりで過ごして下さいね」

 結婚をしたのはいいけど、フィナとシュリが居ては二人っきりになれないだろう。いつも、ティルミナさんにはお世話になっているんだから、たまには恩返しをしないと貯まる一方だ。

「ユナちゃん……」

 ティルミナさんは真っ赤な顔をして顔を伏せる。

「それで、ユナお姉ちゃん、どこに行くの?」
「二人とも海を見たことが無いよね」
「「うん」」

 二人は頷く。

「ちょっと、ミリーラの町に用事があってね。その近くで採れる物が欲しいんだけど。一人で採りに行くのは寂しいから、二人には付き合ってもらおうと思ってね」
「海が見れるんですか!?」
「うみ~」

 二人は嬉しそうにする。

「本当に、二人ともお願いしてもいいの?」
「わたしがお願いしているんですよ」
「二人ともユナちゃんに迷惑をかけちゃ駄目よ」

 二人は嬉しそうに頷く。
 これで、労働力をゲットする。
 まあ、労働力って言うよりも、一人じゃ寂しいから、付き合って欲しいだけだけど。
 さて、ミリーラの町まで、どうやって行こうかな。シュリもいるけど転移門で移動しようかなと思っていると、

「ユナ姉ちゃん、クマさんで行くの?」

 シュリが目を輝かせながら聞いてくる。

「もしかして、乗りたい?」
「うん」

 控えめに頷く。
 シュリにはくまゆるたちを見せたことはあるけど、お出掛けは一度もない。

「それじゃ、クマさんで行こうか」
「うん!」

 シュリは満面の笑顔になる。
 二人を連れて街の外に出る。
 門を出てくまゆるとくまきゅうを召喚する。

「くまさんだ~」

 トコトコとくまゆるに近づき、抱きつくシュリ。くまゆるは地面に腰を下ろし、シュリの好きなようにさせる。

「シュリ、行きますよ。早く、乗って」

 フィナは妹の背中を押してくまゆるに乗せて、自分も乗る。二人が乗るとくまゆるはゆっくりと立ち上がる。

「うわぁ、たかい」

 シュリは楽しそうにしている。

「シュリ、暴れないの。くまゆるが可哀想でしょう」
「はい、ごめんなさい。ごめんね。くまゆる」

 そう言ってシュリはくまゆるを撫でる。
 仲がいい姉妹は見ててほんわかとするね。
 わたしもくまきゅうに乗り、ミリーラの町に向けて出発する。
 シュリが初めての旅なのでゆっくりと走る。シュリは初めてクマに乗っての移動に騒いでいる。その後ろでは一生懸命にフィナが大人しくするように言っている。 
 段々とシュリが静かになり、船を漕ぎ始める。
 クマの上って温かくて、高級毛布のようだから、単調に揺れていると眠くなってくるんだよね。

「フィナ、少し速度を上げるよ」
「はい」

 寝てても落ちないけど、フィナはシュリが落ちないように大事そうに抱きしめる。
 くまゆるたちは速度を上げる。

「ここは……」

 シュリが目を擦りながら周りを見る。

「あと少しでトンネルよ」
「トンネル?」
「わたし、聞きました。山に大きなトンネルが作られたって。それを抜けると海があるって」
「うみ? もう、うみなの?」

 周りを見渡すシュリ。

「もう少しかな」

 トンネルに続く森に来ると、森が切り開かれていた。前に来たときは森を抜けたところにトンネルがあったが、トンネルまでの木々は切られ、整地されている。馬車も十分に通れる広さもある。
 くまきゅうをゆっくり歩かせ、周りを見渡す。
 整地も綺麗だし、魔法使いでもいるのかな。
 遠くからは木を切り落す音が聞こえてくる。
 トンネルに近づくと人がチラホラ見えてくる。クリモニアの街の住人なのか、わたしを見ると手を振ってくる人もいる。それを見てシュリが手を振っているのは微笑ましい。
 トンネルに到着すると、入り口の左右に立つくまゆるとくまきゅうの石像が目立つ。トンネルの周辺が一番、整地が進んでいる。
 周りの木々が無くなり、建物も建っている。
 あそこで寝泊まりして仕事をしているのかな?
 その建物を見ていると中から男の人が出てくる。

「うん? クマの嬢ちゃん、どうしたんだ」

 一人の男性が近付いてくる。

「クリフの許可はあるけど、トンネル通れる? ミリーナの町に行きたいんだけど」

 ギルドカードに無期限の無料トンネル使用許可が記入されている。
 クマの転移門があるから、使用頻度は少ないと思うけど、断る理由は無かったので貰っている。

「ああ、クリフ様から聞いている。でも、トンネルの魔石の取り付けは、終わっていないから、暗い場所があるぞ」
「魔法があるから大丈夫だけど、クリフから聞いているの?」
「一応、ここの監督責任者だからな。クマの嬢ちゃんが来たら通すように言われている」

 わたしたちはトンネルの前までやってくる。
 トンネルの中は魔石が光っているため、明るい。

「でも、クマの嬢ちゃんは凄いな。ブラックバイパーを倒した話も凄いと思ったのに、今度はトンネルを作るんだからな」
「知っているの?」
「クリモニアに住んでいて、あの熊を見て分からない奴がいると思うか」

 男が示す指の先には、わたしたちが乗っているくまゆるとくまきゅうの石像が立っている。

「まして、目の前にその証拠になる熊がいるんだ」

 男はわたしたちが乗っているくまゆるを見る。
 ごもっともなことで。

「通るなら、中にいる奴らを驚かせないで行ってくれよ。いきなり、背後から熊が来たら驚くからな」

 たしかに、いきなりクマが現れたら驚くよね。
 男の言葉に従ってゆっくりとトンネルの中に入っていく。
 トンネルの中は等間隔に魔石が照らしている。

「あのう、やっぱり、このトンネルはユナお姉ちゃんが作ったのですか?」
「まあ、いろいろ理由があってね。ちょっとトンネルが必要だったから」
「必要だからと言って、簡単には作れないと思いますよ」

 十歳の女の子に一般常識を諭されてしまった。
 シュリは珍しいのかキョロキョロとトンネルの中を見ている。
 くまゆるたちを走らせていると、奥の通路が暗くなっている。
 速度を落として進むと、魔石の取り付け作業をしている人がいる。

「なんだ!」

 わたしたちに気づいた作業員がわたしたちの方を向く。

「クマ!?」
「いや、クマの嬢ちゃんだ」
「脅かすなよ……」

 なんか、わたしは相手のことは知らないのに相手が自分のことを知っているって変な気分だ。
 芸能人や有名人は、こんな感覚なのかな。

「ここから先に進むなら、暗いぞ」
「大丈夫、魔法があるから」

 クマのライトを作り出す。

「そうか、でも、気を付けるんだぞ」
「ありがとう」

 わたしは礼を言って、フィナは頭を下げ、シュリは手を振って、作業員と別れる。
 シュリは同じ光景に飽きてきたのか、また、お眠りモードに突入する。
 速度を上げ、トンネルの出口に向かう。
 そして、遠くの方に小さな光が見えた。

「フィナ、出口が見えたから、シュリを起こしてあげて。トンネルを出ればすぐに海が見えるから」

 フィナはシュリを揺する。

「お姉ちゃん?」
「出口だよ。もうすぐ海が見えるみたいだよ。だから、起きて」
「うん」

 シュリは目を擦って正面を見る。
 くまゆるとくまきゅうは走り、トンネルを抜けた。

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