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Chapter:01 遭遇
Episode:07
 お手並みを、しばらく拝見する。
(……?)
 見ているうちにタシュアは、手口に微妙な違和感を覚えた。
 方法そのものは学院内にいる、ある一人のそれと、非常に似通っている。だがその割に、スピードを含め技術が幼いのだ。
 だいいちタシュアが思い描いている人物なら、こんな風にあっさり見つかったりはしないだろう。

(気になりますね)
 少し調べてみることにする。
 高スペックの自作機で、通信のパターンを解析して同期させると、内容と宛て先とが映しだされた。早い話が盗み読みだ。
 いっぽうでタシュアはもう一台の魔視鏡で、学内を統括する思考石に潜りこむ。
 読み取った宛て先がどの端末なのかは、すぐに割り出せた。手口から予想したとおりの部屋だ。
 だがどう考えても納得がいかない。当人にしては、あまりにも技術が幼すぎる。

(そういえば、彼女には同居人がいましたか?)
 同室の下級生がどうこうという話をしているのを、耳にした気がする。
(生徒の個別情報がある場所は、と……)
 学院内の職員と生徒、全員の顔と名前を暗記しているタシュアだが、さすがに各人の寮の部屋までは覚えていない。というよりも、覚える必要がないと判断していた。
 操作盤の上を踊るかのように、滑らかにかつ素早く指が動いていく。片方の魔視鏡で傍受と追跡を続けながら、もう片方で学院内の思考石に再度潜りこむ。

(しかし、二年前から全くセキュリティを変えない人間が、生徒にそういうことを教えてもいいのですかね)
 最初から諦めているのか、それともタカを括っているのか、学院内の通信網のセキュリティはおざなりだ。
 たしかに防護壁は何重にもかけられているのだが……その変更や更新がされない。だからいちど解析してしまえば、入り放題だった。

(っと、これですね……)
 目的の記録を見つけ、部屋のから生徒を割り出す。
 名前を見た瞬間、思い出した。ルーフェイア=グレイス、昼間の少女だ。
 あの外見や態度から、まさかこんなことをするとは思っていなかったが、まぁ教師に恵まれたということなのだろう。手口がよく似ているのもうなずけた。
 なにしろ同居人は、この手のことなら学内でも五本の指に入るかという、ロアだ。

(どうりで技術が幼いわけですね)
 納得しながらも、さてどうしようかと考えあぐねる。
 傍受して中身を見ているのだが、大した情報は得られそうにもなかった。まだ練習段階なのだろう、このぐらいなら自分で探した方がよほど早い。
(これ以上見ていても仕方ありませんか……おや?)
 タシュアの表情がわずかに変わる。


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