「だいじょぶか?」
こんなことっきゃ言えねぇ自分に、いちばん腹が立った。
「ゴメン、俺ってばなんも役に立ってねぇな」
ルーフェイアのヤツが、かすかに首を振る。
「行かない、で……」
「分かった」
俺が間髪入れずに答えると、コイツの表情が少しゆるんだ。
「急患はどっちなの」
「ボクの部屋です!」
むこうから、慌しい足音と話し声とが聞こえてくる。
すぐに勢いよくドアが開いて、ロア先輩とムアカ先生とが入ってきた。
「あらま、ここは女子寮だと思ったけど」
「え? あ、すいません」
勢いで女子寮突っ込んだの、やっと気がつく。
けどルーフェイアのヤツにああ言っちまった手前、出てくわけにもいかねぇし。
「ほら、あなた早く男子寮へ……ってなるほど、そういうことね」
涙ためて見上げるこいつの様子で、ムアカ先生も事情を察したらしい。
「しょうがないわね。今晩だけは特別に許可するから、この子の隣にいてあげなさい。
――で、とりあえず診察したいんだけど?」
「あ、はい」
さすがにこれはヤバいから、ロア先輩と二人、寝室の外へ出る。
「先輩、なにがあったんですか?」
いちばん聞きたかった質問を、俺は先輩にぶつけた。
「それがさ、ボクにもよくわかんなくってね。あの子がネット上がろうとして、誰かが監視してるのに気づいてさ」
多分タシュアだろうけど、とロア先輩が付け加える。
「そしたらいきなりルーフェイアが吐いて、倒れちゃったんだ」
「そうだったんですか……」
引き金は、昼間の話だろう。たしかルーフェイア、「タシュア先輩にぜんぶ知られた」って言ってたはずだ。
それで参ってたとこへ、そのご当人に監視までされて、一気にいったっぽい。
思わず壁を叩いた。
「き、キミ、分かったから落ち着こうよ」
「……すいません」
そんなやり取りしてたら、ムアカ先生に呼ばれた。
「もういいわよ。呼んでるから、ここに居てあげなさいね」
「あ、はい」
許可もらって、こいつの部屋へ入る。
おっくうらしくて視線だけで俺を見上げたルーフェイアは、こないだまで同居してた先輩の妹みたいに、小さくて頼りなかった。
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