◇Imad
野外訓練が終わって自室へ戻ったあと、俺はどうにも落ち着かなかった。すっげぇヤな予感がしてしょうがない。
あの訓練が終わったときのルーフェイア、ただごとじゃなかった。倒れるんじゃないかと思ったくらいだ。
――行ってみっかな。
ともかく気になる。
ただ、女子寮へ行くのはちとしり込みだった。
昼の間なら、受付のとこでちゃんと言えば入れてもらえっけど……傭兵隊の資格持ってねぇのに行くと、あとで教官に呼ばれるのがパターンだ。
そんでも結局、俺は部屋を出た。なんかよく分かんねぇけど、ルーフェイアのほうからなんか、聞こえる気がする。
あいつの部屋は、渡り廊下挟んだ女子寮の三階だ。
けど部屋どころか、向こうの受付まで行く前に、意外な先輩と出くわした。
「ロア先輩?」
なんか、やけに慌ててる。
「あ、キミ、ちょうどいいや。ちょっとムアカ先生呼んできて!」
「なんかあったんです?」
ヤな予感が的中したっぽい。
「うん、ちょっとルーフェが倒れちゃってさ……あ、ちょっと!」
聞いた瞬間、俺は走り出してた。受付とかそゆのぜんぶ忘れて、あいつの部屋へ飛び込む。
「ルーフェイアっ!」
呼ぶと、その声にあいつが反応した。
「イマ……ド……?」
弱々しい声。
顔色も悪いとか通り越して、真っ白に見える。
「どした!?」
「……怖い……」
こんなにおびえたルーフェイア見んのは、俺も初めてだった。
理由はどう考えたって、“あれ”だろう。
――ったく、何考えてんだよ!
あの先輩の毒舌冷酷自分勝手は、そりゃ今に始まったことじゃない。けど、相手考えろと思う。
ルーフェイアが脆いのなんざ、見りゃ分かるだろうに。
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