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ハプニング
朝、いつものように駅に着くと、何だか様子が違った。
いつも以上にホームには人があふれていた。
最悪だ。

暫くするとアナウンスがあり、信号機の故障でダイヤが乱れているとの事。
たまにこんな事があるのだが、そんな時はいつもより更にぎゅうぎゅう詰めの電車になる。
仕方なしに比較的空いている列に並び電車を待っていた。

あれから、私は車両を変えていた。
彼はなんとも思っていないのは解ってはいるのだけど、私の方が躊躇してしまって。
自意識過剰なのかもしれないって思うけど。
だから、彼のことを動き出す電車の中からすれ違う一瞬だけ見る事にしていた。

トラウマなのかどうもあれからドアの付近には近づかないようにしていたのだけど、今日はいつもより多い人のせいで、押されまくって仕方なしに久し振りにドアの前にきてしまった。
いつもと違うところから乗ったし大丈夫だよね。

そして、彼の待つ駅へと電車が着いた。
ダイヤが乱れているのは反対のホームも同じな訳で、いつもはまだ電車のないはずのホームに電車が止まっていた。

私の乗る電車が、隣の電車と並んで止まった。

うわーぁ

一気に心臓がドキドキし始めた。

だって、だって会いたくて会いたくなかった彼が、反対の電車のドアの前にいたから。
距離にして1メートルもない。
何十センチと言ったところだろうか?

思わず彼を見つめてしまった。
綺麗に通る鼻筋、肌も綺麗で近くでみてもまさに美少年といった感じ。
やっぱり眼鏡が似合っていた。

彼は一瞬驚いたような顔をしたが、ほんの少しだけ口の端を上げ微笑んでくれてるように見えた。
見えただけで気のせいかもしれない。
もしかしたら、また笑われてた?

多分時間にしたら、何秒か?っていう位なんだけど、私には時が止まったように感じた。
気がついたらもう電車は発車していた。

はっとした。

髪の毛撥ねてなかったかな?
セーラーの帯、曲がってない?
顔赤くなってなかったかな?
それより何より、今日はカエルになってなくて良かった。
ほんの少しの隙間に上手に立っていられた自分を褒めてやった。

ドキドキは電車を降りても止まらなかった。

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