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俺の天使  グラミスお父様目線

お父様目線です。

我が家の執務室に俺が入ると三人の元諜報部員が音もなく現れた。


「カーディナルの様子がおかしい。どうなっている?」

「「「………」」」


元とは言えトップクラスの諜報部員であった三人が口を閉ざすのは知らないからではないのだろう。


「お前ら、なにをやっている。」


暫くの沈黙の後、この三人の指揮官を担うカゲロウが口を開いた。


「カーディナル様のたっての希望により、護身術を指導させていただいています。」

「お前達がか?」


諜報部の中でも暗殺までこなしていたコイツらが俺の大事な娘に何をおしえるって?


「何故お前達が守らない?」

「カーディナル様のたっての希望ですので。」

「何故教える気になった。」


またも黙り混む三人に俺は言った。


「カーディナルに怯えられてしまったんだぞ。」


カゲロウの後ろに居たヒグラシがボソッと呟いた。


「それは、旦那が気配を消して近寄ったからじゃねえっすか。」

「ヒグラシ、最近体がなまってきたからお前相手しろ。」

「無理っす!死ぬっす。」


それにしてもカーディナルは気配を消したのが解るくらいになっているってことか?

我が娘ながら素晴らしい。


「カーディナルは………その、どうだ?」

「「「天才です!」」」


元諜報部員がハモった。

そんなに凄いのか?


「幻術、体術、剣術と教えればすぐに覚えてしまわれます。」


幻術………

幻術ってかなりの訓練をしないと出来ないんじゃ無かったか?

実際俺は出来ない。

諜報部員でもごくわずかしかしか使えない幻術をカーディナルが使えるのか?


「しかも、カーディナル様は我ら三人が諜報部員だと気がつきました。」

「なに?」


我が家のお姫様はただ者ではないようだ。


「カーディナルを呼んできてもらえるか?」


俺の言葉に三人は姿を消した。





暫くするとドアからノックの音が響いた。


「よく来てくれたね。私のお姫様。」


ドアを開けて中に促すとカーディナルは淑女のようにスカートの裾をつまんで礼をとった。

可愛い娘に父はメロメロだ。


「お呼びとお聞きしたのですが何でしょうか?」

「あの三人に色々教わっているみたいだね。」


俺の言葉にカーディナルは真っ青になった。


「あ、あの………私が我が儘を言ったからで………三人に酷いことをしないでください。」


カーディナルは目に涙を浮かべて三人の心配をしているようだった。


「怒っている訳ではないんだよ。」


カーディナルを抱き締めてやるとギュッとしがみついてきた。

そんなにあの三人のことを大事に思っているのか?

ちょっとした嫉妬心すら浮かびそうだ。


「幻術が出来るようになったんだって?私にも見せてくれるかい?」

「はい。」


カーディナルは俺から離れるとニコッと笑った。

何だか学芸会を見ている気分でカーディナルを見ていると、それどころではない美しい光景が広がった。

キラキラと小さな光が集まり蝶の形を作るとヒラリと舞い上がった。

その蝶は一匹一匹と数を増やし部屋を飛び回った。

可愛い娘はどうやら天使だったようだ。

幻想的な光景に俺は見とれてしまった。


「どうでしょうお父様!」

「素敵だ。カーディナルは私のお姫様だと思っていたが、実は天使様だったのかな?」

「私はただの、お父様の娘ですわ!」


幻想的な蝶が天井に一匹残らず吸い込まれるとカーディナルは俺に抱きついてきた。


「お父様、私はまだ三人に教えてもらいたいことが沢山有ります。教えてもらっても良いですか?」


ああ、求められているのは俺では無いのか。

寂しいぞ娘よ!


「かまわないよ。」


寂しくても、大事な娘に嫌われるわけにはいかないから許可を出してしまうんだ。


「後、お父様。」

「なんだい私の天使。」

「無理をなさらないでくださいね。」

「へ?」

「お父様は国の大事な宰相様である以前に私の大事なお父様なんですからね。私、お菓子を作れるようになりたいんです‼お父様の疲れを少しでも癒してさし上げられるように。そして、お父様とお茶会がしたいですわ!愚痴でも何でも良いのです。私はお父様との時間が欲しいのです‼我が儘でしょうか?」


な、なんなんだこの可愛い生き物は‼

殺人的な可愛さじゃないか!

カーディナルのためなら俺は何でも出来る!

カーディナルに恥じない仕事をしよう!

この子が居るなら俺は一生頑張れる‼


「我が儘なんかじゃないよ。カーディナル、私の天使。お父様は頑張るからね。」

「無理しちゃ駄目ですってば!」


この時俺は娘のためなら死んでも良いと本気で思ったのだった。

親バカ全開でお届けしております!

若干ヒロインと思考がシンクロするお父様なのでした!

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