ヒロイン ゲームヒロイン(ラブラ)目線
ヒロイン目線です。
私、乙女ゲーの中に転生しました!
この世界『愛は支えて育つもの!~貴方の支えになりたいの♪』は、私の大好きなゲームだった。
庶民のヒロインが貴族と恋におちる定番。
ヒロインは天真爛漫、おっちょこちょいでラッキースケベな状況におちいりやすい典型。
イラストが可愛くて好きだったの。
金髪の母親と碧眼の父親の子供で王族と同じ色を持っているのが生意気だって苛められるんだよ。
それを助けてくれる上位貴族のイケメン達。
王子はヘタレでダメ王子だったけど、ヒロインを守るために世界一凄い王子様に進化する。
その側近の宰相の長男、我が儘な妹のせいで女性不振ぎみだが、ヒロインと知り合って溺愛男子に変貌。
無口で強い信念を持つ騎士団長の息子は、ヒロインのためなら何でもしてくれるナイト様に。
商家の次男は学園内の売店や貴族へのドレスや、宝飾品の販売のために学園内をうろついている。
彼は放浪息子と評判が悪いがヒロインと知り合い、国一番の大企業のトップに上り詰める。
そして、来年入学してくる宰相の次男。
姉に虐められて気弱で優しくカエルが苦手なパシリ気質。
この国の姫にパシリとして使われている。
ヒロインと知り合って立派な領主になる。
悪役は10歳の時に王子と婚約をする予定だった宰相の娘と姫に二人の取り巻き。
宰相の娘は婚約式の日に王子に嫌がられて婚約出来なかったが王子に未練たらたら。
王子や、有力貴族の息子と仲良くなるヒロインが妬ましくて苛める。
そして、ラスボスがこの国の姫。
王族の色を持つヒロインが許せなくて苛める。
最後はまあ二人ともプギャアされて国外追放なのよね‼
二人とも生粋のお嬢様だから国外追放って死ぬより辛いっておち。
ああ、早く始まらないかな~‼
入学式、目立つように宰相の娘が新入生代表の挨拶をしている真っ只中に遅刻していった。
予想では滅茶苦茶睨まれる予定だったのに、私が椅子に座るまで何故か待っててくれた。
何だろか?
周りの庶民クラスの生徒に睨まれた。
クラスに入って最初に話しかけて来たのは私と親友になって攻略対象者の情報をくれる予定の庶民のキャサリンちゃん。
この子はメディアの仕事をしたくて新聞部に入る行動派。
「貴女、薔薇姫様の挨拶をしている真っ只中に割って入るなんて何考えてるの?」
「へ?」
あ、あれ?なんかおかしい?
「ば、薔薇姫様?」
「カーディナル様に決まってるでしょ?貴女知らないの?」
信じられないと言わんばかりに溜め息をつくキャサリンちゃん。
な、なんなの?
「あの。」
そこに声をかけてきたのは真っ赤な髪の毛のツインテール!
悪役令嬢だ。
「さ、さっきはごめんなさい。」
私は周りに見せつけるように大袈裟に頭を下げた。
「本当に元気さんですわね。私は気にして居ないので、貴女も気にしないでくださいね。私の名前はカーディナル ブラウローズと言います。貴女は?」
「わた、私はラブラ アスティーラです!」
「ラブラさん、よろしくね。」
あ、あれ?なんか全然敵意を向けてこない?
「薔薇姫様、あ、あの!握手してもらっても良いですか?」
しかも、キャサリンちゃんが目をキラキラさせて手を出した。
「………あ、あの、薔薇姫様って………わ、私の事ですの?」
「勿論です!庶民の味方にして我が領土に舞い降りた天使様ですから!」
な、何語?
「貴女、ユーシアスさんの末娘のキャサリンさん?」
「はい!父が何時もお世話になってます!」
「お世話になってるのは私の方ですわ!何時も美味しいお野菜を分けてくださってありがとうございます。」
「何をおっしゃいます‼家は薔薇姫様の作ってくださる湿布薬と品種改良の野菜のお陰で成り立っている家でございます。」
「品種改良は私の趣味ですの。それに協力してくださっているユーシアスさんが素敵なお父様なのですわ。私がお礼を言わなければいけません。何時もありがとうございます。」
キャサリンちゃん泣き出しちゃったよ。
え?何これ?
「な、泣かないでくださいな。私が苛めたみたいじゃ御座いませんか。」
「ご、ごめんなさい。薔薇姫様があまりに慈悲深くて………」
「………そ、その、薔薇姫様って止めませんか?」
「止めません!」
困ったような顔で私を見た悪役令嬢はゆっくりと言った。
「ごめんなさいね。何だか逆に騒ぎをおこしてしまって。彼女はとても優しくて良い子だから、仲良くしてあげてね。私とも仲良くしてくれたら嬉しいです。」
「あ、え、あ、は、はい………」
周りから断ったら殺すってオーラが立ち上がっていたせいで私は思わず頷いていた。
な、何なの?
私の思っていた展開と違う‼
この赤毛、悪役令嬢だよね?
私は今後のストーリーに不安を覚えずにはいられなかった。
ヒロインは転生者にしてみました。