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  酔狂学園伝 作者:留龍隆

夜遅くまで書いていると暴走族さんたちがうるさいです。空ぶかし音でヒゲダン○奏でるのやめてほしい(実話、ってかわかった私すごいな)
(〜行事は、多少の窮地も乗り越える意思が必要だ〜)
 行事も大詰め、そして最後の小休止が行われていた。昌達はその時間を校舎裏の芝生で寝転がって過ごしている。
「はあ・・・・・・疲れた」
 棒倒しによる疲れがとれない様子の昌は、ゆったり流れる雲を見つめながら溜め息を漏らす。
「しっかりしてください。まだいくつか競技は残ってるんで」
「それ、脱ぎなよ」
 未だ白衣を着たままの千代に昌は目を細めながら呟く。
「仕方ないでしょう!?着替えようと思って服置いてた所に戻ったら、ロッカー空っぽだったんですから!!」
「なんの目的で盗まれたのかすっごく心配ですねえ」
 くっくっ、と忍び笑いを漏らした俊一郎のわき腹に千代のキックが炸裂した。かなり鍛えてあるため多少の攻撃には動じない筋力を持つはずの俊一郎が、涙目になって咳き込む。
「セクハラ発言はやめてほしいので、あしからず」
「げほっげホッ・・・・・・だって千代さん意外と人気あるんだよ?この前たまたま物理実験室の前通ったんだけどね、なーんか一斉蜂起みたいのが行われててねえ・・・・・・」
 思い出しているのかそれともダメージで逝きかけているのか判らないが、俊一郎は目を閉じてそう語った。千代の顔がさっと朱に染まったが、気づいているのは立夏と昌のみである。
「それって、千代ちゃんのふぁんくらぶ、ってこと?」
「そのようでしたね。まあ実際、考えてみれば千代さんはかなり人気出そうなタイプなんですよ。切れ長でちょっとキツイけど綺麗な目、長い艶のある髪、それを束ねてあるのがまたほどいた時とのギャップがあって、運動できないところは『守りたい』とかなんかそういうのを刺激されますし、なんだかんだで押しには弱くてこういう服装もしちゃうし」
 ガッ、と今度は腿を狙って蹴り飛ばした千代だったが、一瞬早く俊一郎が避けた。そしてそのまま体のバネを使って脚から着地、立ち上がる。
「なんで誰とも付き合ったりしないんです?まあそれは僕以外のこの場三人に当てはまりますが」
 ひどくわからない、という表情で俊一郎は首をかしげる。それもそのはず、今でこそホンワカした雰囲気(たまに崩れて昔が垣間見えるが)と低身長のせいかあまりモテなくなった俊一郎だが、中学まではそれはそれは女性関係が凄まじかったのだ。顔良し、喧嘩も強く、運動も出来て、勉強も教科によっては出来る。やさぐれた後の俊一郎のことは昌も立夏も知らないが、それまででも十分記憶に残るだけの思い出を刻まれてしまうほどだった。
 まず、相手が毎週変わる。決して俊一郎が遊んでいたわけではなく、帰り道などで血にまみれた争いに巻き込まれてしまうことが多かった俊一郎にビビった彼女達が次々と別れを切り出したからである。
 次に、その年齢層も幅広い。下は小学生から(オイオイ、と当時の昌達も呟いた)上はOLまで(年増趣味が、と昌達は呟いた)、ありとあらゆる年代をそれこそとっかえひっかえ。結果、女性の色々な部分を知ってしまった、と語る俊一郎は、現在では女性に希望を持てなくなるほどになってしまった。まあ、そう簡単に女性がわかると言っている時点でまだまだ浅いのだが。要するに、俊一郎は女運が悪く、マズイところばかりを見せ付けてくる女性にあたってしまったのである。
「で、この場にいる方々は今のところ年齢=付き合い無い歴ということですね」
 少し憐れみをかけるような眼差しで、俊一郎が座っている三人を見下す。
「悪かったな。残念ながらこのツラはあまり好まれないらしいんだよ」
「わたしもないね〜。なんでだろ?」
 それは恐らく僕や昌吉さんがいつも横にいるからだな、と俊一郎は推察したが、言ってどうなるわけでもないので黙った。
「千代さんもない、んですよね?」
「ええ。というか、異性でこれだけ多く接しているのは俊一郎さんと昌さんが初めてで」
「そりゃ大和田おわだ、おまえ男運なかったな」
 昌が自虐気味に呟くと、「確かに」と千代が肯定したため俊一郎も昌も微妙に落ち込んだ。そこで、休憩終了十分前の連絡がスピーカーから流れる。
「おっと、そろそろ行かないとな」
「残りの競技頑張るよ!」
「というか立夏さん、わたしも人の事言えませんがソレ脱いだらいかがですか」
「寂しいから勘弁してほしいですねえ。少なくとも写真を一枚撮っておきたいです」
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 結果は、なんとまたも一年二組の優勝だった。自クラスの優勝だけあり、評議員の昌達も感慨にふける。その思いは、主に準備期間の辛さを思ってのことだったが。しかし、感動もそれだけに大きかった。
「やった!!また、優勝だ!!」
 クラスは大騒ぎ。そして、表彰にうつろうと、校長達が動き出そうとしたその時だった。

ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルン!!!!

 嫌な音が聞こえた。エンジンをかける音だ。しかしそれは、車やオートバイといった移動用車両のかけるエンジン音ではなかった。人体を殺傷するのに極めて適した、最悪の近代兵器のいななきだった。
「うわああああ!!工科技術研の奴らが、うがっ!!」
 斬られて、生徒会執行部の書記が倒れる。先ほど俊一郎に無茶な要求をした書記だったが、かなり追い詰められている様子だった。

「ま、マジかよ・・・・・・・・・・・」

 その場にいた全員が固まる。銀色の流線型ボディー。ところどころゴツく、それでいてどこか生き物を思わせる形状フォルム。どこかで見たことがあると思ったら、かの有名な宇宙人、グレイタイプによくにていた。間接部分は黒くラバーで覆われていて、その先にある腕、その先端には殺戮兵器「チェーンソウ」
「両腕仕様ですか・・・・・・なんであんなのが来るんですか」
 昌の驚きの台詞に続けて、半ば呆れた表情の俊一郎はその兵器を見つめた。相も変わらずドルルルルルンと凶悪な音階を奏でるそれは、確実に狂気科学者の産物だ。
「ふはははははは!!我々は今回の行事で優勝できなくばもう大学部へと進む道はないのだ!!負けてしまった以上・・・・・・こんな学園は潰れろおっ!!!!!」
 工科技術研のマッドサイエンティストどもは狂気に満たされたかおでコントローラーとおぼわしきアンテナ付きの小箱を手にしている。そいつがくいっとスティックを倒すと、ロボットグレイタイプチェーンソウ二刀式は前進を始めた。その両腕のチェーンソウを振り回しながら。
「死ね!氏ね!!みんな死んでしまええっ!!!!!」
 狂ったように、いや最早狂ったと言っていい。マッドサイエンティストはその自らが生み出した傑作ロボットに全ての恨みを込めていた。
 そして、逃げ惑う人々。滅茶苦茶になる表彰式。昌達も周りに翻弄されながらも逃げ、運動場の端まで退避した。するとグレイタイプロボットは誰も居なくなった運動場の真ん中で孤立し、二メートルはありそうな長身を揺らしながらドルルルルルン、とやはりチェーンソウを振る。
「「あっちゃあ、お約束だ」」
 そこで昌と俊一郎は発見する。盛大にずっこけて足でもくじいたのか、グレイタイプに迫られながら必死で這って逃げる少女。どこかで見た覚えがあると思ったら、黒髪を一つに縛ってお下げにしていて、切れ長の眼だがそのキツさがまた美しさの要素の一つになっている・・・・・・

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!!!!!」」

 駆け出し、昌は木刀を、俊一郎は懐から取り出したメリケンを構える。微妙に血に染まっているが、本日は木製の武器以外使用は認められていない。使ってないはずである。いや、きっと前回使用したときの返り血であろう。微妙にまだ新鮮っぽいが、気にしないことにしよう。昌は、俊一郎に先を任せて突っ込む。
「おっらあああああああ!!!!」
 ギャリイイイイン、デュイイイイイン、と嫌な音が響く。両手の鋼鉄メリケンでチェーンソウを防ぐ俊一郎、そしてその一瞬の隙に木刀で手首とチェーンソウの連結部を叩き、使い物にならないようにする昌。
「俊一郎、千代を背負え!!早く逃げろ!!」
 そのままでは指をもっていかれそうになっていた俊一郎に退くよう言いつけると、昌はロボットをひきつけて二人を逃がす時間を稼ぐ。
「なんだ?おまえその凶器で人殺す気かよ?」
 言語を理解するはずもなく、でたらめに斬りかかってくるロボット。が、太刀筋はめちゃくちゃだが相手は二刀、疲れ知らずで呼吸も必要なく連続攻撃を仕掛けてくる。しかも急所などといった便利なものは恐らく少ない。打ち込んでも痛覚がないため平気で斬り続ける。
「くっ!!」
 いなしながらも、ロボットであることを十分に活かされた状態で攻撃され、徐々にかするようになってきた昌。避けながらも必死で構えを解かないようにし、チャンスを待つ。そして、気まぐれに機は訪れた。
「ここだ!!!」
 振り上げて二刀を同時に放とうとした瞬間、そこを狙って下段からの切り上げ、そしてその途中で手をスライドさせてのリーチ変化。素早く切り返してのツバメ返し。

≪ガビッビガ―――――――――――ッ≫

 ロボットが自分なりの悲鳴をあげたようにも聞こえたが、それでも失ったのは腕一本である。昌は二本同時に奪えなかったことに不甲斐なさを感じつつも、退いて態勢を立て直そうとする。が、痛みもないロボットはそんな隙を与えてくれない。
「うおっ、くっ、ぎっ」
 木刀をまた切られてはかなわない。相手の刃と接触しないよう注意しながら、昌は手先を狙って打ち込む。しかし体を常に後退させながらの攻撃ではほぼダメージは無い。
「ヤバっ―――!!」
「どけえっ!!!!!!!!」
 受け損ねてモロにチェーンソウを喰らいそうになった瞬間、泉が十文字槍を手に突きを浴びせかけた。しかし以前の武道大会で刃のうち二本を少し欠けさせてしまった槍では、長くは凌げそうになかった。
「昌あっ!!!屋台に行け!!そこにお前用に武器がある!!!」
 得意の半月切りで頭上から一撃浴びせ、頭部装甲を少しへこませる泉。しかしその瞬間にチェーンソウの一振りを喰らい、槍が三分の二ほどの長さになる。

「武器って、どこに・・・・・・」
 昌が泉のラーメン屋台を探ると、ゴトッと音を立てて転がり落ちる長い得物。
「あ、これ・・・・・・・・・・・・」
 それは―――――

「うがあっ!!!」
 突き飛ばされ、槍を失い倒れる泉。無慈悲に近づくロボット。
「邪魔だあっ!!!!!!!!!」
 首は動いて昌を捉えたが、ソレより早く叩き込まれた一撃。片腕の、戦闘不能になっていた腕がちぎれとぶ。
「サンキュー母さん。こりゃ長くていい刀だ」
 真剣の刀を手に戻ってきた昌。よくよく見れば、その刀は武道大会の折に泉がパクっていった刀であった。
「遅いんだよ・・・・・・どうしてくれるこの槍の弁償」
「工科技術研にツケとけよ」
 母子がこんな会話していると、ロボットが残った腕のみを地面と水平に持ち上げ、グルグルと回転を始める。
「うわ、独楽こまみたいな動き。目えまわる」
 グルグルグルグルと回転は続き、やがて回転音はチェーンソウの風を切る音と重なりギャンギャンギャンギャン言い始めた。
「母さんはもう下がってろ」
「優勝賞金は持って来いよ」
 泉が舞台から去る。そして、たった二人で舞踏会スタート。
 ・・・・・・かと思いきや、昌は背を向けて走り出す。
≪ガビッ――≫
 ロボットがそれを追う。回転しながら近づき、追いかける。
「回転されてちゃ流石に切り込めないし」
 昌は運動場周りに植わっていた木に近づいた。そして、跳躍、木の幹を蹴っての多段ジャンプ。ロボットの頭上をとると、脳天から刺突で貫く。
≪ガ、がビ―――――――――――――――≫
 電子頭脳破壊。事なきを得た昌は、チェーンソウの回転が止まったところでロボットの頭から降りた。
「いや・・・・・・マジでビビったよ今回は」
 そして湧く歓声。ある意味、非常に大きな表彰式となった。

「俊一郎さん」
「何、千代さん」
「ひょっとするとお二方には、わたしは好感を持っているかもしれないので」
「・・・・・・そりゃあどうもありがとうございます」


 次回からダークサイド。昌達は優勝したはずだが!?
剣の攻防って書き辛い・・・・・・「昌」は愛読書の彼岸○の主人公から名前をとったんですが、あの漫画はマジで剣技がありえねえ。薙刀相手に二刀で勝てるのかよ。まあそのカンジを泉と昌(槍と刀)に置き換えてるわけですが(笑)
 やはり少し攻防についてはあり得る程度のものにしたいわけです。あいつらは剣の一振りで気の衝撃波もかまいたちも起こせません。それで如何に書くのか。
 必殺技であるツバメ返しとかも適当です。一応必殺とか言ってるけど殺さないし。恥ずかしいんですよ、なんかああいう技考えるために部屋で一人、竹刀片手にポーズとるの。親に見られて「まだるろうに○心にはまってんのか」とか言われました。引かないでよ
 ともあれ、二学期編はやはり一学期編より短くなりそうです。三学期までうまくこぎつければいいのですが・・・・・・ではまた次回〜


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