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第67話:マリファ 初迷宮①

 土下座、謝罪を身体で表現する形。

 1人の少女が今まさに土下座をして謝罪をしていた。


「マリファ、怒ってないって何度も言ってるだろ」


「ですが……」


 マリファはブラックウルフ達を屋敷の前まで連れて来たところで、ユウにどう説明すればいいものかと立ち尽くしていた。ブラックウルフ達はマリファの心情など何のそので、じゃれあう者、背中が痒いのか地面に背を擦り付ける者など自由気ままなものだった。

 しばらくするとユウが屋敷から出て来ると、ブラックウルフ達を一瞥し夕飯が冷めるから早く入れと言葉少なに屋敷へ戻った。

 食卓へ向かうと既に食事の準備がされており、ニーナもレナも着席し待っていた。

 ニーナがお帰り~と笑顔で言葉を掛けると、マリファは目に涙を浮かべながらユウに土下座をした。


「気にしてない。

 早く食べないと冷めるから食べろ。

 調教士に就いたんだから魔物は必要だろう。それに番犬ならぬ番狼で丁度いい」


「ありがとうございます……」


 食事を食べ終え後片付けを終えると、マリファはすぐにブラックウルフ達へ餌を与えに行く。

 餌を与えながら調教スキルを覚えるべく魔言の練習をするが、中々うまくいかずにその日は終了した。

 


 

 次の日の朝、マリファはブラックウルフ達へ朝食を与えながら躾をしつつ魔言を練習する。

 練習が終わるとそのままユウと朝食の準備をする。今日の朝食はパンの上に目玉焼きを載せて塩コショウを振りかけた物と、コーンスープにゆで卵だ。朝食を食べ終わるとマリファはユウへ提案をする。


「迷宮に行くのはいいが、まだブラックウルフの調教は終わってないよな?」


「はい。午前中はブラックウルフの調教をし、午後から迷宮に行かせて頂けないでしょうか」


「わかった。どうせニーナもレナも装備が新しくなって試す必要があるし、それでいいよ」


「か、ご主人様達も一緒に行って頂けるのですか?」


「当然だろう。マリファ1人で迷宮に行くなんて死にに行くようなもんだ。

 そうだ。これを渡しておく」


「こ、これは」


 ユウがマリファへ渡したのは首輪だった。数を数えると17個。


「クロにも装備させてるが、街に連れて行くんなら首輪が必要だからな、何れ必要になるから昨日造っておいた」


 マリファは、ユウが昨日は一睡もしていないのではないのかと心配になった。

 唯でさえ日頃から食事、洗濯をしながらポーションなどの錬金術もしているからだ。マリファが現在着けているチョーカーも、ユウが造ったものでスキルまで付いていた。更にメイド服のエプロンポケットには、表と裏側にユウが創ったアイテムポーチまで縫い付けてある。


「残念ながらその首輪にはスキルは付いてないから、欲しけりゃ魔玉を集めるんだな」


「と、当然です! そこまでか、ご主人様に用意して頂くわけにはいきません」






 昼食後、ユウ達は装備を整え迷宮へ行く準備をする。

 玄関ではクロが見送りの為に立っていた。


「それでは殿、ご武運を! 主が戻って来るまでは某が屋敷を騎士道に代えても守ってみせます」


「クロ、それ侍と騎士が混ざってる上に言葉遣いも変だからな?」


 クロの言葉遣いと動きはおかしかった。これはユウから侍や騎士の話を聞いて影響を受け、侍と騎士の知識が混ざっていた為だった。


「クロちゃん、ワンちゃんのこともよろしくね~」


「……今日こそ迷宮攻略」


「クロさん、ご迷惑をお掛けしますが宜しくお願い致します」





 迷宮の入り口に着くと数組のパーティーが待機していた。その内の1組が近付いて来る。


「よう。あんたらも今から潜るのかい?」


「こんにちは~。私達も今からです」


 ニーナは挨拶を返すが、ユウ、レナ、マリファは相手にしなかった。ユウは人見知り、レナは興味が無い、マリファは緊張していたからだった。


「お前達、若いのに結構やるそうじゃないか」


 もう1人の男がそう言いながら近付いて来ると、マリファが一歩下がる。男は更に一歩踏み込んでくる。


「止めて下さい」


「ど、どうしたんだ? 何か気に触ったかい?」


「『解析』を使うのを止めて下さい。次に使えば敵対行動として排除します」


 この男、名前をモーリ・タゲというが少々困った癖があった。出会う冒険者のステータスを、スキル『解析』で片っ端から確認しようとするものだった。冒険者にとって自身のステータス、スキルは命に関わるほど大事な情報だ。教えてくれと言って教える冒険者などいない。

 低ランクの冒険者の多くは『解析』でステータスを覗かれたことに気付かないが、中には気付く者もおり何度か揉めたことがあったので、リーダーより注意を受けていたのだが今回もその悪癖がでた。

 ユウとレナは勿論気付いており、ニーナはシスハのペンダントで抵抗。唯一、マリファだけ見ることができるはずだったのだが、マリファには魔眼があった。


「あっ! この馬鹿またやりやがったか!」


 パーティーのリーダーらしき男がそう叫ぶとモーリの頭を殴る。


「いってぇ! 悪かったよ。もうしないからラッチェ勘弁してくれ」


「悪かったな。モーリの悪い癖で他人のステータスを直ぐに見ようとするんだ。俺の方からきつく叱っておくから勘弁してくれ」


 モーリは逃げ出そうとしているが、ラッチェが首を押さえ付けており逃げ出すことができなかった。


「いえ。分かって頂けたのなら問題ありません」


 迷宮へ入るとユウは付与魔法を掛けていく。


「マリファ、よく気付いたな。今のでわかっただろうが迷宮の敵は何も魔物だけじゃない。さっきの奴は悪意はなかったが、悪意のある者であれば相手の能力を調べてから襲い掛かることだってある」


「はい。エルフやダークエルフは生まれつき、魔力を見る魔眼が備わっていますので気付くことができました」


「ユウ、魔物が来るよ」


「わかった。俺は付与魔法しか掛けないからニーナ、レナ、マリファの3人で魔物を倒してくれ」


「わかった~ってレナが既に突っ込んでる」


 新しい装備を試したくて仕方のなかったレナは、魔物を見るや突っ込んで行き殲滅していた。


「こ、これがレナの実力」


「……何故、呼び捨て」


 マリファがレナに追い付くと、そこにはレナの魔法で黒焦げにされたポイズングリズリーが横たわっていた。


「お前な、今日はマリファの訓練も兼ねてるんだぞ」 

 

「……そうだった」


「やっぱりレナはバカですね」

名前 :マリファ・ナグツ

種族 :ダークエルフ

ジョブ:調教士

LV :10

HP :103

MP :81

力  :22

敏捷 :39

体力 :16

知力 :29

魔力 :49

運  :3


パッシブスキル

弓術LV2 

魔眼LV1


アクティブスキル

弓技LV1

精霊魔法LV1


固有スキル

なし


武器:エルヴンボウ(6級):なし

防具:レザージャケット(6級):防御力上昇

  :レザーブーツ(6級):敏捷上昇

  :レザーガントレット(6級):HP上昇

装飾:レザーチョーカー(6級):筋力上昇

  :レザーバングル(6級):魔法耐性上昇



マリファの防具にはユウがスキルを付けています。このレベルの防具にスキルを付与するのはありえないんですが、ユウは過保護なので。

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