表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/405

第23話:井の中の蛙①

 コレットからジョブの特徴、スキルの一覧並びに周辺の魔物情報・迷宮の情報が載っている書物を購入する。


「ユウさんは、とてもルーキーとは思えないですね。あと、その本には全てのスキルや迷宮の情報が載っているわけではないので、注意して下さいね」


 本に目を通していると、コレットが感心したように話し掛けてくる。


「そうですか? むしろルーキーだからこそ情報を集めないと、簡単に死にそうですが」


「とんでもありません! ルーキーの皆さんは自身の力を過信して、すぐに手に入る情報すら集めずに突っ込んでいきますよ! その結果、痛い目をみる方がほとんどです」


 雑談をしながら、道中狩ってきた魔物の素材を売り払う。

 ニーナ達の転職部屋には別の受付嬢が行っている。


「ランク2の魔物の素材も沢山ありますね。ギルドカードをお借りしても宜しいでしょうか?」


 俺がギルドカードを渡すのに渋っていると、コレットから他人ではギルドカードから情報を読み取ることはできませんので、ご安心下さいと言われる。

 ここで揉めても仕方ないのでギルドカードを渡す。


「クエストだけではなく魔物の素材を売却した際にも、ギルドカードにポイントが貯まるんですよ」


 そう言いながらギルドカードを操作しているが、本当に大丈夫か不安になってくる。


「ユウさん、ギルドカードをお返しします。今からFランク冒険者ですね!」


「えっ? 今の素材売却だけでGランクからFランクになったんですか?」


「魔物のランク・素材の量からして、十分にFランク以上の実力はありますよ!」


(本当ならEランクでもおかしくない位ですが……)


 魔物の素材売却で金貨3枚、半銀貨8枚になった。


「コレットさん、私みたいな子供相手でも敬意を持って接して頂き、ありがとうございます」


 ユウは素直にお礼の言葉を述べた。思えばこの世界に来てまともに、接してくれたのはコレットが初めてであった。 


「と、とんでもありません! ギルド職員が冒険者の皆様に敬意を持って接するのは、当然です。今後もお困りのことがあれば、私の所にいつでも来て下さい」



 金を受け取り、これでレナにアイテムポーチを返せる。この後はアイテムポーチ、装備の購入や宿屋をどこにするかと考えていると、声を掛けられる。


「よっ!」


「なんださっきのお人好しのおっさんか……」


「おまっ! 俺はまだ28歳だぞ! それにしても話し方が違わないか?」


「こっちが地なんだよ。

 もう猫被る必要は、なくなったからな」


 ギルド内にも『解析』を使える冒険者は居るはずなので、ギルド側だけでなく冒険者達にも、俺のステータスの一部はバレているだろう。


「俺はそっちの方が話しやすくていいがね。それよりさっきは悪かったな」


「あんたが、この周辺の魔物とルーキーが釣り合っているか試してただけだろう。気にする必要はないだろう」


 ラリットから、最近ルーキー狩りと思わしき冒険者狩りが多発しているので、気を付けるようにとアドバイスを貰った。

 ランクを聞くと、ラリットでDランクの上位で、もう少しすればCランクになれるそうだ。Cランク以上は化物ばかりなのか? ラリットは本当にお人好しみたいだが、借りは返さなくては気分が悪いのでいずれ。


「お前がルーキーのユウって奴か?」


 ラリットと話していると、後ろから声を掛けられ振り返る。2メートルは超える酒臭い男が居た。でかいだけでなく筋肉も凄まじく、巨人族のハーフじゃないのかと思うくらいだ。

 それよりステータスを見て固まる。ラリットもステータスが高かったが、このおっさんは次元が違った。




名前 :ジョゼフ・ヨルム

種族 :人間

ジョブ:戦士・騎士・聖騎士・暗黒騎士

LV :61

HP :4132

MP :876

力  :931

敏捷 :756

体力 :1021

知力 :98

魔力 :102

運  :100


パッシブスキル

歴戦の勘

剣術LV8

槍術LV11

弓術LV6

豪腕LV4

HP回復速度上昇LV3

闇の加護

光の加護

二刀流LV5


アクティブスキル

剣技LV7

槍技LV11

弓技LV5

闘技LV4

神聖魔法LV3

暗黒魔法LV1

聖剣技LV3

暗黒剣LV1


固有スキル

悪運

戦士の才能LV5


装備

武器:岩石竜の大剣(3級):攻撃力激化・損傷減少

防具:ミスリルアーマー(4級):魔法耐性強化

   ミスリルガントレット(4級):魔法耐性強化・装備重量半減

   火竜のブーツ(3級):火耐性強化

装飾:アヴァレスのネックレス(3級):魔法耐性激化・即死耐性強化・石化耐性強化

   ミラージュの指輪(3級):解析に対して偽って表示する。




「だ……旦那!」


「よ~ラリット、そこの小僧を借りてくぞ」


「おっさん、俺に何か用か?」


「誰がおっさんだ。俺はまだ34歳だ」


「「えっ」」


 ラリットと俺の声がハモる。


(おっさんだろうが)


「旦那、こいつは今日冒険者になったばかりのルーキーなんですが、何かしましたか?」


 ラリットが気を使いながら、言葉を選ぶように話している。

 周りの冒険者達もこちらを見ていることから、相当有名なおっさんみたいだ。


「優秀なルーキーが居るって聞いたからよ。どれほどのもんか試してやるよ。

 ギルドの裏に修練場があるんだが、都合のいいことに今日は貸切だ」


(面白い、ジョブに就いてどの程度強くなったか試すか)


 黙っておっさんに付いて行く。


「ラリット、わかってると思うが付いて来たら殺すぞ?」


 ジョゼフは笑顔でそう言い放ったが、眼が笑っておらず。ラリットもその場から動けなかった。


「なんで……旦那がルーキーを連れてくんだ……大変なことにならなきゃいいが」






 都市カマーのギルドの裏には修練場があり、普段は多くの冒険者が居るのだが、今日は誰も居ない。ジョゼフが全員叩き出したからだ。



「よ~し、刃引きの剣を使うが油断したら死ぬからな?」


 ジョゼフから刃引きの剣を受け取る。その瞬間、ユウは斬りかかるが片手で受け止められる。



「おぉ……いいねいいね~真面目くんじゃ、面白くない。それにしてもお前、腕力が300……いや400近くはあるんじゃないか?」


 ユウは両手で押し込んでいるが、ジョゼフは片手だ。余裕があるのか笑みまで浮かべている。


 一旦、距離を取ろうとするユウだが、今度はジョゼフの攻撃が襲い掛かる。


「死ぬんじゃねぇぞ? 剣技『乱れ突き』」


 一瞬で十数に及ぶ突きが、叩き込まれるがユウはその全てを剣技『2段突き』で防ぐ。 これにはジョゼフも驚いたようで動きが止まる。


(おいおい~どうなってんだ。乱れ突きは剣技LV2の技だぞ? それを剣技LV1の2段突きで全て防ぎやがった。しかも2段突きを溜めなしで、連続で繰り出しやがった)


「おっさん、今度はこっちの番だよな?」 


 ユウの闘技が発動する。単純なステータスでは完全に負けている以上、相手が油断している内に全力で攻撃することで、勝機を見出そうとした。


「流動だと!? ……さっきの魔言なしでの剣技の発動……上位冒険者が使う流動といい誰に教わった?」


 ジョゼフが言っている。『流動』とは、ユウが行っている闘技を放出するのではなく、身体に流れるように纏わせる技術のことである。


「勝手に変な名前を付けるな。これは俺が編み出した技術だ!」


 受け応えしながら、剣技『疾風迅雷』を発動する。左右上下から目にも止まらぬ斬撃がジョゼフを襲うが剣技『閃光』で防ぎ、逆にユウが吹っ飛ばされる。


(剣技もLV3まで使うのか……ルーキーの実力じゃないな。クク……)


 最初は遊び半分だったジョゼフだが、どんどんユウに興味を持つにつれ酒も抜けていく。




 ニーナはその光景に驚いた。2ndジョブを選んで戻るとユウが居ない。最初に絡んできたラリットを見付けたので、ユウを知らないかと聞くと修練場に連れて行かれたという。


(連れて行かれた? 誰に……まさか!)


 修練場に入ると2メートルは超える大男が、ユウを吹っ飛ばしていた。その瞬間、頭が真っ白になる。



 「クリティカルブロー!!」


 忍び足・隠密・闘技を使用し、ジョゼフの懐に飛び込んだニーナが短剣技を放つ。


「お? 嬢ちゃん、この小僧の知り合いか?」


 ジョゼフは剣も使わず躱すが1撃目は囮だ。次の瞬間、本命の左手からの二撃目、短剣技『デッドスタブ』が放たれる。


(この嬢ちゃんも魔言なしかよ!)


 剣技『柳』で衝撃をそのまま返す。ニーナは自身の技を受ける形になり。その場で崩れ落ちる。


「……ニーナ!」


 レナも戦いに参加したかったが、レベルが違い過ぎて入れずにいた。


「ハッハ、安心しな嬢ちゃんは気絶しただけだ」



「…………ぞ?」


「小僧、何か言ったか?」


 その瞬間、ユウの周りに数十のファイアーボールが浮かぶ。しかも以前とは比べ物に

ならない大きさだ。


「殺すぞ?」


 濁った眼でジョゼフを捉えると、ユウはゆっくり動き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i901892
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ