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第22話:転職

「バカも━━━━ん!!」


「ひっ」


 コレットはギルド3Fのギルド長室で叱責をされていた。ユウ達を転職部屋に案内すると待つように伝え先程の出来事とユウのステータス(・・・・・・・・)についてギルド長に報告しにきたのだが。


「コレット! お前がした行為はギルドが冒険者の情報を無断で集めていると認めたようなもんじゃ!!」


 あの場にはユウ達以外にも多くの冒険者が居たのでコレットが『解析』を使用したのに気付いた者も居たはずだ。これではギルドがギルドカードから情報を集めていると暗に認めたようなものであった。


「ひ……ひん……申し訳ございません……っぐす」


「終わったことは仕方ない。そのルーキーのステータスを確認はできたのか?」


「も……勿論です! ユウさんの方がどちらかといえばメインの報告です!」


「ん? そのルーキーのステータスはそんなにすごかったのか?」


「と、とんでもないじつりゅ……実力者です!」


「コレット、慌てず落ち着いて報告をしなさい」


「は……はい!」


 コレットは紙に、自分の見たユウのステータスを書いていく。それを見たギルド長モーフィスは、癖のヒゲを撫でる行為を止めて再度確認する。


「この……報告に間違いはないんじゃな?」


「まちゅ……間違いありません!!」


 コレットが報告したユウのステータスにはこう記載されていた。



名前 :ユウ・サトウ

種族 :人間

ジョブ:なし

LV :19

HP :143

MP :221

力  :56

敏捷 :54

体力 :51

知力 :63

魔力 :50

運  :1


パッシブスキル

剣術LV5

身体能力上昇LV2


アクティブスキル

剣技LV3

闘技LV3


固有スキル

なし



「ジョブなしで……【剣術LV5】だと!? そ、それだけではない【剣技LV3】なのは剣術のLVからまだわかるが……【闘技LV3】……Dランク……いやいや、Cランク冒険者と遜色ないスキルレベルじゃぞ!!」


「そうなんです!」


「ふむ……コレットすぐにジョゼフを呼んで来い! どうせ2Fで酒でも飲んでるはずじゃ」


「ジ、ジョゼフさんですか!?」




 都市カマーで最強は誰か? この質問に大して様々な候補が上がってくる。

 クラン『赤き流星』のデリッド・バグ、『狂人』のノア・パズズ、『双剣』のジョズ・ボラン、『魔剣姫』ララ・トンブラー、そして『豪腕』ジョゼフ・ヨルム。

 ジョゼフ自体はBランク冒険者にもかかわらず、最強候補として名前が上がるのには理由がある。都市カマーのBランク迷宮『腐界のエンリオ』を単独で攻略したからである。

 Aランクパーティーでも油断をすれば命を落としかねないこの迷宮を、単独突破した出来事からジョゼフは『豪腕』と呼ばれるようになった。




「爺~なんのようだ?」


「誰が爺じゃ! 儂はまだ133歳じゃ!」


 ギルド長モーフィスはドワーフだ。ドワーフの寿命は200~300歳ほどだ。それから考えればモーフィスはまだまだ現役といえる。


「ドワーフの年齢なんざ見た目でわかるかよ」


「ジョゼフよいつまで腐っておる気じゃ? いい加減に息子のことは……」


 その瞬間、ギルド長室に殺気が充満する。コレットは呼吸も満足にできないほどで床に座りこんでいる。


「爺でも、それ以上言うと許さねえぞ?」


「…………腐っているお前に丁度いい仕事がある。お前も最近、ルーキーの死亡率が高いのは知っておるの?」


 冒険者は生死を掛けた稼業で生き死には珍しいことではないが、ここ最近都市カマーでのルーキー(・・・・)の死亡率は異常だった。

 経験・技術の未熟なルーキーが死ぬのはおかしなことではなかったが、ここ最近での迷宮で発見された冒険者の死体はそのままだった。魔物が相手であれば食べられ、死体がそのまま残ることなど稀である。

 このことからギルドでは魔物ではなく、人的なものが原因ではないかと考えていた。


「弱い奴が死ぬのは仕方ないんじゃねえのか?」


「相手が魔物であればな。ギルドとしても無駄に冒険者に死なれるのはこまるのじゃ。

 今日、新しくルーキーが登録に来た。お前にはそのルーキーをそれとなく見守って欲しいのじゃ」


「あ゛あ゛? Bランクの俺がルーキーのお守りだと?」


「どうせ昼間っから酒ばっかり飲んどるだけじゃろうが!」


 モーフィスはジョゼフに1枚の紙を渡す。


「それがルーキーの情報じゃ」


「13歳? 本当にガキじゃねえかよ。それに孤児なのか……」


「は……はい! ギルドカード登録の際に両親が居ないということで、お連れの方が後見人になっていましたので間違いありません」


「んで、このスキルレベルは本当なのかよ?」 


「そ、それも間違いありません! 『解析』で確認しました!」


「ルーキーは黒髪・黒目で前に居た村ではギルドカードを作れなかったそうじゃ。

 恐らく偏見と差別にあってきておる。他にも2名仲間が居るそうじゃがその2名も子供じゃ」


「この仕事を受けるかどうかは見てから決めるわ」


 大して興味なさそうにジョゼフは出て行ったが、モーフィスはニヤリと笑う。


「ジョゼフさん、この依頼受けてくれるでしょうか?」


「お前は心配せんでいい。それよりルーキーも待ちくたびれているじゃろう。早う転職部屋に行くがよい」


「そ、そうでした!」












 ユウ達が転職部屋に通されて、すでに30分が経過していた。部屋の中でユウは額に手をあてヘコんでいた。


「ユウ、元気だしなよ~もう終わったことは仕方ないでしょ」


「……途中までは予定通りだった」


 そう終わったのだ。ニーナ、レナ達には事前に伝えていたが、ギルドにステータスがバレないように、シスハのペンダントでステータスの一部を隠し、受付が『解析』を使ってきても大丈夫なようにしていたが、隠していなかったスキルに問題があった。

 特に『剣術LV5』、このスキルが問題だった。戦士系のジョブでレベル30代の冒険者でやっと到達するレベルとレナから聞いた。

 隠蔽していないスキルについて、ニーナとレナに伝えるとニーナはいつの間にそんなレベルに!? と驚き、レナはさすが私の仲間と誇らしげだった。

 ギルド内では猫を被り、ギルドカードを作成したあとも目立たないように考えていたが、これで目論見も崩れ去った。


「ユウさん、お待たせしました!」


 コレットが慌てて部屋に入ってくる。手には紙束と水晶を持っている。


「いえ、お気になさらずに」


「で、ではジョブについて簡単に説明させて頂きます。まずジョブに就くメリットはレベルアップの際にステータス補正、ジョブ特有のスキルを覚えやすくなる、です。

 例えば料理人なら料理に関係するスキルを、戦闘職なら戦闘に関するスキルです。

 ユウさんは冒険者希望なので戦闘職のジョブですね。それではこの水晶に手を置いて頂いても宜しいでしょうか」


 コレットの指示に従い手を水晶に置くと、文字が浮かび上がってくる。

 戦士・魔術師・プリースト・農家・先生・大工・鍛冶士・錬金術士・狩人・商人・シーフ・魔法戦士などだ。


「わ~ユウは一杯適性ジョブがあるね~」


「……さすが私の仲間」


「パピュッ」


 コレットが奇声を発する。


「どうかしましたか?」


「し……失礼致しました。その若さでここまで適性ジョブがあるのは珍しいので、それに魔法戦士が1stジョブで表示されるのは稀なので……」


(1stジョブ? これがさっきのラリットが2個もジョブに就いてたのと関係ありそうだな)


「1stジョブについて説明して頂けますか?」


「1stジョブとはそのままの意味で、最初に選ぶジョブですね。レベルが20になると2ndが選べるようになります。レベルが40になると3rdと20毎に新しいジョブを選べます。

 過去最高では、『超越者』ガジンが6個のジョブを取得したという記録も残ってるんですよ!」


(レベルが20上がる毎に新しいジョブか……)


 チラッと横に居るニーナを見るが、そうなんだって顔をしている。ジョブに就く場所によって説明をしていないか、ニーナが忘れているかだな。

 一通りジョブの説明を受け、1stジョブは『魔法戦士』にすることにした。


「では水晶に手を置き成りたいジョブの名称を頭の中で唱えて下さい」


 コレットの指示通りにすると水晶が鈍く光、あっけなく『魔法戦士』になれた。

 コレット曰く、昔は大きな神殿で高位の神官にお願いしないと転職はできなかったそうだが、今は技術が発展してこんなに簡単になったそうだ。ギルドカードといい変なところで技術が高い。



「これでジョブに無事、就けましたね。やっぱりギルドカードでステータスは確認しないんですね……本当ならここから魔法戦士の説明に入るんですが、まさか1stで魔法戦士に成れるとは思わなかったので、資料が用意できていません。一度、取りに戻っても宜しいでしょうか?」


 ギルドカードでステータスを確認しない俺に、しょぼんとしているコレットさんだが無視して話を進める。


「各ジョブの資料とこの周辺の魔物・迷宮についての情報を、購入することはできますか?」


「できますが1つのジョブに付き半銀貨5枚、転職で銀貨1枚になります。全てのジョブとなると本で数冊……金貨2枚に、魔物の周辺情報と迷宮の情報で金貨5枚と高額になります」


 ニーナの方を見るといいよ~っと笑顔でこちらを見ている。

 俺とニーナは金を共同管理しているので、高い買い物をする際は了承を取るとルールを決めていた。


「構いません。ついでにここに来るまでに、魔物も狩ってきたので素材の買取をお願いします」


「では一緒について来て頂けますか」


「あっ、あたしはレベル21になってたから、2ndジョブを選んでから行くからユウは先に行っててよ~」

 

「わかったよ」


 ニーナは前からシーカーかトレジャーハンターに成るのが夢と言っていたから、そのどちらかに成るのだろう。

 レナもニーナと一緒に居るみたいで、俺とコレットさんでカウンターへ向かう。

 それにしてもジョブの恩恵を馬鹿にしていた。

 平静を装っていたが、『魔法戦士』に就いた瞬間に凄まじい力が身体に漲ってきた。

 自分のステータスを確認するとあまりの向上に呆れた……




名前 :ユウ・サトウ

種族 :人間

ジョブ:魔法戦士

LV :19

HP :236

MP :322

力  :102

敏捷 :86

体力 :101

知力 :86

魔力 :94

運  :1


パッシブスキル

剣術LV5

腕力上昇LV5

索敵LV5

短剣術LV2

身体能力上昇LV2

敏捷上昇LV2

統率LV1

棍術LV2


アクティブスキル

剣技LV3

闘技LV3

白魔法LV5

黒魔法LV3

鍛冶屋LV2

錬金術LV2

盗むLV1

隠密LV1

鑑定LV1

短剣技LV2

棍技LV1

魔法剣LV1


固有スキル

異界の魔眼LV3

強奪LV2

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i901892
― 新着の感想 ―
運…低過ぎるなぁ…これから先、大丈夫か?
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