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真・恋姫†無双-白龍翔天-  作者:
第一章
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第10話 新戦力

反董卓連合が解散し、幽州へ戻った一行。

戦後処理の仕事が多くあったが、それすら吹き飛ばす出来事。

それは、董白の加入であった。

 「―――董白。字は叔穎よ。月姉さまの妹。改めて、よろしくね」


 董旻さんはあんま有名じゃないからいいとして……似てないにも程があるだろ! 確かにきめ細かい雪のような肌の白さには素晴らしいものを感じるけど!


 「あ。あと月姉さまに手を出したら……どうなるか教えてあげよっか?」

 「全力で遠慮します」


 目がまったく笑っていない。

 曹操と詠を足して2で割ったような人間……うん、ヤバい。


 「とりあえず董白も騎馬主体の戦法でいいのかな」

 「そうね……白馬義従がいるんでしょう? 同じ白の字を持つなんて運命的じゃない?」


 やめてくれ、白蓮が泣く。


 「うちの太守は真名に白が入ってるから駄目だな」

 「そうなの? 仕方ないわね。じゃ騎馬ならなんでもいーわ」

 「ちなみに実力は?」

 「……あんた馬鹿にしてる? こっちは異民族を年がら年中相手にしてんのよ」

 「あー、悪かった。んじゃ編成しておくよ。それと部屋はあとで案内させるからまずは顔見せ、な」


 幽州軍はこうしてまた騎馬が強化されるのだった。


 「話は終わったかな、主」

 「星か。どうした?」

 「なに、口の減らぬ生意気な小娘に自分の立場を教えてやろうかと思いましてな」

 「あんた……その格好、その槍。常山の趙子龍ね」

 「おや、某も有名になったのもだ。どうかな? 一度手合せする気は」

 「いいわよ。やってやろうじゃないの」


 おいおい……。


 「せっかく新しい仲間が増えたってのに」

 「今はこやつは我々に保護される身。主への口の利き方といい態度といい、捨て置けませんのでな」

 「……ま、程々にな」

 「ええ、もちろん」


 後日聞いた話だと星は董白を完膚なきまでに叩きのめし、彼女の俺に対する態度も若干改善された。




 「疫病による死者多数、か……」


 顔見せを兼ねた歓迎会の翌日。新たな問題が大陸を襲っているのを知った。


 「幸い幽州では発生していないみたいだけど大陸全体の問題として原因を断つべきだな」


 医者が少ないこの時代だ、治療よりその予防策として衛生環境を整えるべきだろう。

 三国志で有名な医者と言えば華陀であるが、未だにその名を聞いていない。

 だから今は華陀を頼りにせず解決するしかない。


 清潔性を保つには、消毒。消毒と言えば……アルコール? あとはハンドソープ、は無理だとして石鹸……石鹸の作り方なんて日常生活で使うわけもなく知らない。

 相変わらず資金は豊富だからやるだけやってみよう。




 と意気込んだまではよかったのだが……。


 「石鹸、かぁ……」


 無理だろう、これ。

 まず、石鹸が何でできているかも知らない。


 「うぅ~ん……」


 一人頭を抱える。

 こればかりは断念せざるを得なかった。


 後日談になるが結果として疫病は幽州まで到達しなかった。

 しかし、その規模の大きさと死者の数を知り……心を痛めずには、いられなかった。




 「そういえばおにーさん、風たちはまだおにーさんからご褒美をもらってなかったのですよー」

 「あー……留守中はまかせっきりで悪かったね、風、国譲さん」

 「いえ、とんでもない」


 相変わらず表情に変化のない田豫さんだが、最近僅かな変化をわかるようになった。

 確実に今、ほんの少しだが微笑んでいるはずだ。


 「北郷さま、未だに距離を感じますので、今後は楓[かえで]とお呼びください。我が真名にございます」

 「う~ん……俺のことを名前で呼んでくれたらね」


 「楓」に対して俺だけ「北郷さま」なんて嫌だし。

 これで国譲さんともっと仲良くなれるかな……

 なんて考えていたら。


 「では今後は『ご主人様』とお呼びしましょう」




 「……は?」


 返答が斜め上過ぎた。


 「本気?」

 「はい」

 「…………………はぁ。ならそれで。よろしくね楓」

 「はい、よろしくお願いします」

 「おにーさんおにーさん」

 「ごめんごめん……ほっといて悪かったよ」


 風の頭を撫でてやる。


 「ご主人様、私にはしていただけないのですか?」


 そう言われたので逆の手で楓も撫でてやる。

 部屋の前で2人の頭を撫でる俺。

 ……シュールだ。


 「何やってんのあんたら」

 「おにーさんの手は渡しませんよー?」

 「別にいらないわよ」

 「そう言ってしまったことをいずれは後悔しますよ?」

 「はいはいごちそうさま」


 じゃね、と手をひらひら振りながら董白は遠ざかっていった。


 そのまま俺は2人を撫で続けているのだった。

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