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真・恋姫†無双-白龍翔天-  作者:
第一章
10/20

第8話 反董卓連合・破章・続

ついに虎牢関決戦の日を迎えた連合軍。

果たして一刀たちは董卓・賈駆を助け出すことが出来るのだろうか。

 虎牢関。

 泗水関を攻略し、ついにたどり着いたのだが……


 「またかよ……」

 「ごめんね、一刀さん」

 「いや今のは桃香じゃなくて袁紹にだよ」


 泗水関での活躍を評価(という名の嫉妬)された再び桃香たちが先鋒を任されていた。

 こちらとしては華雄の件もあるし食糧・兵馬ともに貸すことに躊躇いは無い。

 食糧に関しては多めに持ってきていたし、いざというときの保存食も用意してある。

 幽州でも人気のあった桃香のもとで戦うなら兵も不平不満は言わないだろう。


 しかし問題はそこじゃない。


 「なんで袁紹が」


 そう、何を思ったか先鋒の桃香たち後ろには袁紹軍が控えていた。

 大方桃香たちに戦わせてその隙に洛陽一番乗りを狙っているんだろうが。

 当然の如く曹操・馬超・孫策・白蓮は反発。

 董卓軍には援軍が無いため、いつまでも城に籠っていることも出来ずいつかは打って出てくる。演義では劉備・関羽・張飛を相手にひけをとらない闘いを演じた飛将軍に袁紹軍で勝てるとも思わない。そこに張遼が加わるなら尚更だ。


 本人は「数で圧倒的に上回っているのですからで問題無いですわ!」みたいなことを言っていたが……確かに戦において敵軍より多くの兵数を揃えるのが常道ではある。しかも今回は攻城戦であり、兵数が5倍近い差の連合と董卓軍間においてそれは間違いではない。


 ただ。


 元は農民の者たちが多かったとはいえ黄巾賊3万を1人で殺したと言われている呂布相手にそれは正しい選択なのだろうか。

 休憩中に愛紗に聞いたところ、正直言って華雄とは良い勝負だったらしい……華雄が挑発に乗らなければもう少し長引いていたかもしれない。

 その華雄をして歯が立たないと言わせる呂布の武力は相当なものだということが窺える。


 「愛紗、武人として一騎打ちをしたいかも知れないが、今回は自重してくれ。鈴々も星も闘いたくてウズウズしてるから3人で頼む」

 「……仕方ありませんね」

 「凪、愛紗たちの加勢に行くかは臨機応変に頼むな」

 「はい、隊長!」


 うむ、良い返事だ。あとでいい子いい子してあげよう。流石に頼りになる。それと帰ったら犬耳をつけて可愛がってあげよう。


 「真桜は攻城戦まで待っててくれな」

 「はいな。くぅ……やっとウチの出番かぁ……たいちょに『ご褒美』貰えるよに頑張るわ」

 「なっ……ま、真桜!」

 「なんや、凪は欲しく無いんか?」

 「沙和も『ご褒美』貰えるように頑張るの!」

 「沙和までっ!?」


 あの……勝手に話を進めないでいただきたい。


 「隊長! 私も頑張りますから!」


 真っ直ぐな瞳がこちらに向けられる。俺の意思は無視ですか。


 「い、いや落ち着け凪。沙和、訓練の成果を見せてもらうからな」

 「はいなの! 最近は沙和が何か言う度に一部でやる気が上がって訓練が楽なの~♪」


 ……うちの兵の性癖を考慮して沙和隊に配属すれば死兵と言っても過言ではない軍団が出来上がるのではないだろうか。

 死なせるつもりは毛頭無いけど。


 凪には真面目で努力家、向上心がある兵を。

 真桜には一芸に秀でている兵を。

 騎馬は白蓮だし。


 星は……まぁ余ったのでいいや。




 「んぅっ……!?」

 「どうかしたのか?」

 「いや何か不愉快なことを言われたような気がしてな……」

 「ふーん……そんなことより早く続きをするのだ!」

 「あ、ああ……」




 「白蓮、張遼・呂布ともに騎馬の扱いに長けている」


 呂布に至っては弓術の腕、騎馬の扱い……それらを含めて『飛』と呼ばれるのだろう。


 「そうか……」

 「でも白蓮なら負けない。正直言って勝つことは不可能かも知れないけど、白蓮の腕があればきっと負けることはないよ」


 公孫賛・劉備軍の主要な武将が呂布を相手にしなければならない今回、呂布と張遼の取り巻きを相手する役割が重要になってくる。

 真桜と沙和は基本的に―――馬には乗れるが―――歩兵だから白蓮しかいない。

 主君に危ない橋を渡らせたくないんだが……


 「……ああ。一刀にそう言われると心強いよ」

 「それなら良かった、かな。明日俺は白蓮の傍にはいられないけど、お互い幽州に笑顔で帰れるよう頑張ろうな」

 「そうだな。まだまだやることは沢山ある」


 コツン、と拳を合わせる。


 そして、明日へ向けて身体を休めるのだった。




 決戦当日の朝、白蓮の天幕には隊長格が揃っていた。


 「編成は雛里の言った通りだ。そして今回は私も出るが……みんな生きて帰ってきてくれ」


 「「「応!」」」


 白蓮の言葉を聞き、それぞれが持ち場に向かう中、最後に出ていく当の白蓮が天幕の入り口でこちらを振り返った。


 「一刀、行く前にお願いがあるんだ」




 「くぅっ……! コイツは化け物かッ」


 戦いは均衡していた。

 呂布には愛紗・鈴々・星が立ち向かうが、決定的な一打が入らない。

 加えて呂布の隊は一人一人が並々ならぬ武を持ち、凪が加勢に行こうとするのを妨げていた。


 「はぁあっ! ふぅっ……沙和、そっちは大丈夫か!」

 「まだまだ大丈夫なの! コラそこのウジ虫ども〜! へばってないでウジ虫はウジ虫なりに働くのっ!!」

 「「「おぉおっ!」」」


 若干名恍惚とした表情をしていることには触れるべきではないだろう。


 「隊長……急いでください」




 そしてその頃、白蓮は張遼隊と剣を交えていた。 


 「白馬長史の名は伊達じゃないぞっ!」

 「太守様に遅れをとるな!」「「「うおぉぉぉおおお!!」」」

 「くっ……いくら白馬義従が相手や言うてもこないな強さとはッ……!」

 「お前が張遼か! 白馬長史、公孫賛が相手になってやる!」

 「アンタが公孫賛か……ええやろ、一騎打ちや!」


 相手に向かって馬を駆けさせる。


 一閃。

 両者の剣戟で甲高い音が戦場に響き渡る。


 「やるなぁ!」「そっちこそ!」


 馬首をかえし、また一閃。


 「ふっ……!」「はぁっ!」


 (時間を稼ぐだけのつもりだったが……心が、身体が、軽い! いける、いけるぞっ!)


 一合、二合、三合。


 「得物の長さに差があるっちゅうに互角やと!? こんな強いなんて聞いとらへんで!」

 「私はみんなと、一刀と一緒に幽州に帰るって決めたんだ! ―――たぁっ!!」


 白蓮の剣は空を切ったかのように見えた。が……


 「……チッ」


 ツゥ……


 張遼の頬からは一筋の血が流れ落ちていた。


 「はっ、おもろくなってきたやんけ!」


 張遼が再び気合いを入れ直すと同時に、無情にも銅鑼の音が鳴り響く。


 「なっ、まさか恋が……!? くっ……この勝負、預けたる!」


 隙を見て張遼は脱出、張遼隊も彼女の後を追い、去っていく。


 「太守様! 追撃は!」

 「追わなくていい! 隊列を立て直してこっちも下がるぞ!」

 「はっ!」

 「……はははっ、やった……やったぞ一刀ぉ!」


 呂布への加勢を防ぐために張遼を足止めする。

 白蓮はその任に対し十分すぎる程の成果をあげたのだった。




 時は少し遡る。

 呂布対愛紗・鈴々・星の戦いは未だ決着がつかず、しかし、確実に呂布の体力を削っていた。

 個々が武を持つ呂布隊も数には勝てず、少しずつ、少しずつその数を減らしていく。

 と、そこへ。


 「今や! 李典隊、駆け抜けてぶちかませッ!」


 兵士に周囲を護衛させ、戦場を駆け抜けて行く一団。


 「衝車設置完了しました!」

 「よっしゃ! 『すぺしゃる衝車くん』、いったれ!」


 衝車が門を打った時、大地が震えたように感じたのは錯覚か。


 「もう一発や! いくでぇ!」




 「……お前たち、邪魔」

 「一刀様のところへは行かせん!」

 「お兄ちゃんたちには指一本触れさせないのだ!」

 「主からの命ゆえ、通させんよ」


 3人と対峙しながらも城門に意識がいったその一瞬だった。


 「今です!」


 朱里の合図とともに呂布の身に網がかけられる。


 「っ!? ……卑怯」

 「ごめんなさい、呂布さん……でも、私たちが洛陽に一番乗りしなければならなにんです」


ですから、貴方との戦いをできる限り早く終わらせなければいけなかったんです、と朱里は言う。


 「我々だって納得いかんのだから我慢してくれ」


 将を失った呂布隊は虎牢関内に戻ろうとするが、白蓮がそれを許さない。


 「おっとここは通さないぞ? 逃げ道は無い、武器を捨てておとなしく投降しろ!」


 白馬義従の名を、そして実力を知る呂布隊は、地面に武器を置いて帰順の意を示す。

 虎牢関の戦いは終わりを迎えようとしていた。



 「うらあぁー! そろそろ落ちろや!」


 ガゴォォォン……!


 真桜改良の衝車による五撃目に耐えることが出来ず、天地を揺るがすような振動と大きな音を立て、門が崩れ落ちていく。


 「よし、これで騎馬は入ってこれないだろう! 凪、真桜、沙和は3人で、桃香は俺とだ。指示通りに頼むよ!」

 「はい!」「任しときぃ!」「はいなの!」

 「さ、桃香。桃香の護衛には馬超さんが、俺には馬岱さんがついてくれるらしい。……必ず助け出そうな」

 「うんっ! 馬超さんよろしくね♪」

 「ああ、任せとけっ!」


 彼女らを助け出す。必ず。


 「馬岱さん、俺たちも行こうか。頼んだよ」

 「まっかせて♪」




 「手筈通り隊列を整えて入城する。伝えた通り他の軍を通さないように兵士間を詰めて通路ギリギリまで広がれ! 怪しまれない程度に出来る限りゆっくり入るぞ!」


 主も随分無茶な命を下すものだ。だが、無茶であっても無理ではない。


 「あとは任せたぞ、主よ」

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