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プロローグ-波乱の予感-
『目が覚めたら、私は別人になっていた』




「さま……め……様」
 
 遠くから声が聞こえる、誰?私を呼んでいる?

「姫様!!」
 
 大きなキンキン声で目を覚ますと目の前に涙を浮かべているメイド服の少女が目に入った。明るい茶色の髪で目も同じ色をしていた。

「よかった、目を覚まされて、このままだったらどうしようかとハラハラしてしまいましたわ」
 
 少女は心底安心したような顔をした。

「本当に。いきなり倒れられた時にはどうしようかと、やはり無理をなさっているのでは?こんなところ来られなくても……」
 
 そばにいたのはこげ茶の髪に落ち着いた青い瞳の少年だった。少年は顔を曇らせながら言葉を続けた。

「いやでしたら断ってもよろしいんですよ? この話」
 
 話がどんどん進んで行くがちょっと待て?今私が 寝ているのはきらびやかな天蓋付きベッド。目の前には昔映画で見たような光景、そうだアレは確かベルサイユの話だった。

「ここはどこだ?」
 
 と言うか。

 「お前達は何者だ?」

 二人はきょとんとした顔をしている。

「姫様? しっかりなさってくださいここはお城の中の賓客室で私はメイドのキャロル、こっちは国の騎士団所属で姫様専属の護衛のアーサーではないですか」

 心配そうな顔をしながら少女は、キャロルはそう答えた。

「ヒメサマ? 人違いじゃないのか?私は月連合軍大佐ルリ・セレネ・エラトステネスと言うものだ」

 二人は顔を見合わせると困惑した顔をした。

「何をおっしゃってますの?あなた様の名前はテルル・グーテンベルク。グーテンベルク王国の第一王女ですよ?」
「王女!? 月には王家はないし、地球も王制はほとんど廃されたはず」

 ぶつぶつ言っていると二人は顔を見合わせながら不思議そうにした。

「姫様が眉間にしわを寄せているところなんて初めて拝見いたしましたわ」
「俺もです」
「ほら、姫様そんな顔をされてはせっかくのかわいらしいお顔が台無しですよ」 
 かわいらしい?そんな単語をあいつ以外から聞くとは…。ルリは怪訝な顔をした。

「ちょっと待て、私は……」
 
 そこまで言ってルリは息を飲んだ。豪華なカーテンがついた大きなガラス窓に映ったその姿は、金髪碧眼の13、4歳程の美しい少女だった。

「誰!?」
 
 もう何が何だかわからない状況だった。




「り……ル……」
 
 遠くから声が聞こえる、誰?私を呼んでいるの?

「ルリ!!」
 
 大きなキンキン声でびっくりしながら目を覚ますと目の前に心配そうにしている青年の姿が目に入った。青年は黒髪に黒い瞳で白い軍の正装を着ていた。白い軍服には金糸で刺繍が施してあり、いやみの無い豪華さだった。

「よかった心配したよ。まさかヴァージンロードで卒倒するとは思わなかったよ。痛いとこは無い? 僕が分かる?」
 
 全然分からない。しかもヴァージンロードって? まわりを見渡すとなんだかシンプルな作りで、今横たわっているベッドも卵みたいな不思議な形をしていた。

「えと……あなた様はどなたで……しょうか」
 
 恐る恐る口を開いた。
 青年は一瞬驚き流れるように言った。

「僕が分からない!? 君は何度も僕のことを愛してるずっと一緒にいたいあなたなしの人生はありえない運命の赤い糸でつながっていた来世でも一緒になりたいあなたの為なら地球も敵にできるって言ってたじゃないか!!」
「そ…そうなんですか!?」
 
 後半何を言っているのか良く分からなかったが。

「コラコラそれを言ったのはお前だろ」
 
 あきれながら初老の男性が訂正をした。青年と同じく白い軍の正装だった。

「記憶が混乱しているのか、君の名前はルリ・セレネ・エラトステネス月連合軍の大佐だろう?私は連合軍の准将、ゴードだ。こっちの変人…ゴホンッ青年は(あおい)・ヴェルヌ少佐、君の婚約者だ」
「こ……婚約者!? 何かの間違いです!」
「そんな!! 確かに犯罪ぎりぎりのアタックだったけど102回目のプロポーズで承諾してくれたじゃないか!!」
「そ…そうなんですか!?」
 
 やっぱり後半何を言っているのか良く分からなかったが。

「コラコラ103回だろ」
 
 あきれながら初老の男性が(どうでもいい)訂正をした。

「あの……その……やっぱり人違いです私の名前はテルル・グーテンベルクですし……」
 
 おずおずとそういうと、ふとベッド脇のガラスのテーブルを見たそこに映っていたのは濃紺の髪に琥珀色の瞳の20代中盤くらいの凛とした女性だった。

「えぇ……」
 
 テルルは再び卒倒した。
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