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ゲームセンター
 シナの意見を聞き入れ、ゲームセンターへと向かう。ゲームセンターに到着し、一人で盛り上がるシナの様子を眺める。

 あれをしたいこれをしたいと、損得を考えずに行動できる純粋無垢な子どもが羨ましい。どれを見ても、ある程度は計算してしまう自分は大人に部類されるのだろう。昔はゲームセンターを見ると、それだけではしゃぎ回っていたのにな。そういう気持ちは、今はない。

 かと言って、全てに興味がないわけでもない。ジジイ専用のゲームと化している脱衣麻雀……。脱衣はどうでもいいのだけれど、麻雀は好きだ。これが普通の麻雀なら、手を出すのだけれど、どうしてあえて脱衣なのか? 

 女の子しか居ない空間で、脱衣麻雀は無意味に等しい。この世界では非常に目立つ僕だ。脱衣麻雀なんてしてみろ。翌日から、変態扱いになる。それは、いくらなんでも遠慮する。不意にライさんが話しかけてくる。

「ご主人。失礼ながら、吾輩は隣の本屋に行ってもよろしいですかな?」
「えぇ、もちろん。どうぞ行って下さい。僕はシナと一緒にここにいますので」
「はい、ではありがたく行かせて頂きまする。故に、何かあればお呼び下さい。すぐに駆け付けますので。お金は所持されていますかな?」
「はい、予備の財布を持っています。ライさんも目ぼしい物があれば、お金を使って下さって結構なので。では、少し遊んでからそちらに向かいます」
「かたじけない」

 ライさんが本屋に向かって飛んでいく。あの人は漫画が非常に好きなのだ。暇があれば読んでいる。今では部屋にライさんの漫画グッズ置場がある。僕もたまに借りたりして、共有させてもらっている。

 ライさんが立ち去り、シナと一緒にゲームをする。ゲームでお菓子を取り、嬉しそうなシナ。僕がシナの様子を見ながら和んでいると、不意にガチャリという嫌な音。うん? 自分の首に何かが付いている。後ろを振り向く。目を輝かせる女の子……。その子が僕に口を開く。

「ハルト様~、見つけましたですよ~。ゲットなのです~」

 出た―、ウザキャラだ。この子の名前はマティー。織物の神様で……。いや、ちょっと待って! 首が閉まる、閉まる! マティーが僕に付けた首輪を引っ張り、僕を拉致しようとしている。それに気づき、シナが僕の服を引っ張る。

「ハルトはわらわの物じゃ! おぬしの物ではないぞ!」

 更に首が閉まる、閉まる。このままでは死んでしまう。こうなったら、必殺技だ。瞬時に自らを狭間に飛ばす。二人が消え、周りの風景も変化する。ザッと空気が変わり、重く冷たい空間に入る。時間の動きが遅くなるのを肌で感じる。

 停止空間に入ったか……。ふと横を向くと、昔風の寂れた屋台。狭間屋……。わけのわからない物を売っている、鬼畜な店だ。今はこんな風貌だけど、駄菓子屋や八百屋のような形の時もある。店の形が決まっていないのだ。又、店の場所さえも決まっていない。奇妙な店だ。

 売ってくれる物は一つだけ。しかも、選択肢がない。向こうが一方的に選んでくる。仲良くなれば、少しだけ選択肢が増えるけど。仲良くなりたいとも思わないな。未来さん……僕の師匠が頻繁に通っている。それくらいしか情報がない。

 それにしても、こんな表にあるなんて、珍しいな。そう思っていたら、後ろから気配。振りかえる。今にも首がもげそうな不気味な人形と目が合う。荷物を乗せる牛車のような物を引きながら、人形が僕に言う。

「青が来たか。黒は殺ったか? まだか、まだか」

 一人で喋って、ケラケラ笑う人形。超不愉快だ。せっかくなので、人形に言ってやる。

「主人はお出かけですか?」
「出かけて行ってー、旅立ってー」
「こんなくたびれた人形に店を任せるなんて。この店も衰退しましたね」

 僕の話を聞いてか聞かずか、人形が僕に向かって何かを投げる。それを軽く避ける僕。僕の様子を見て、気に入らなかったのだろう。人形が金切り声で怒鳴り出す。

「黒は青を閉じ込めてー! 青は黒を恨むだろー! 赤は……」

 ここで爆発音。人形の首がもげて、僕の足元に転がる。今のは僕じゃないぞ。またもや背後から声。今度は女の子だ。夢の夢に出てきた女の子……。この子のあだ名は時空、本名は知らない。僕をこんな目にした張本人だ。時空が人形をあしらう。

「口が過ぎるわ。そう、出しゃばり過ぎね」
「あまり乱暴に扱わんでくれ。後で修理するのが大変だ」

 時空の後ろから出てきたのは、狭間屋の主人。人形の欠片を拾い集めて、屋台の方へと向かう。……とりあえず、戻るか。
 まぁ、無理を承知で一つ聞いてみよう。僕は時空に向いて……。って、既にいないし。あ~あ、どうせ元には戻してくれないのだろうな。諦めよう。

 狭間から出て、通常の世界に戻る。自分だけが移動したので、首輪は外れている。仰天しているマティーを放置して、シナを担ぎあげる。ダッシュで逃亡だ。マティーの近くにいたら、僕はお着替え人形になってしまう。

 逃げながら解説。首輪だけを飛ばさなかった理由を説明する。単に自分の能力をアピールしたかっただけだ。自分自身を狭間に飛ばす事ができるのと、狭間の雰囲気について。まぁ、狭間屋に出くわしたのは偶然だけど……。普段はそんなに頻繁に見かける物ではない。

 それと時空……。あの子は本当に人の話を聞いてくれない。あの子が僕に奇妙な能力を給したことにより、僕は人間を止めざるを得なくなってしまった。確か、この能力の元はあの子のお兄さんの物だと聞いたけど……。詳しいことは何一つさっぱりだ。

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