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不思議な夢〈その4〉
 中庭に到着。今日はユムアさんに会えるだろうか? 期待しながらいつものベンチに向かっていたら、ユムアさんの姿を発見。近づいて、話しかけようかと思った直後。ユムアさんの近く……茂みの中から殺気を感じる。

 間を置くことなく、茂みから放たれる大量の矢。神力で作った物だろう。ユムアさんは戦いなれていないため、こんな物を避けられるとは思えない。バリアーだって張れないと思う。

 すぐに判断して、ユムアさんの所に全速力で向かう。彼女の近くまで行ったら、既に矢は目の前だ。彼女をかばいながら、矢の時間を止める。停止する矢の集団。そのまま狭間に吹っ飛ばす。

 茂みに目を向ける。既に気配が消えている。何て性質の悪いことか……。悪ふざけでは済まないぞ。不満そうな顔をする僕。不意にユムアさんと目が合う。僕の目に映るのは、恐怖に怯えた瞳。

 僕が声を掛けることもなく、ユムアさんが走り去る。離れていくユムアさん、いつしか姿も見えなくなる。あの目は何に怯えていたのだろう? 降り注ぐ矢か、もしくは僕の能力か……。

 嫌われたかな? 何となく寂しさを感じる。まぁ、仕方ない……。嫌われてしまったとしても、ユムアさんに罪はないだろう。せっかく仲良くなれそうだったのに……。心の中に冷風が吹く。今は夏だから、丁度いいかもしれない。



 そういう出来事があり、夜になる。さて、今朝の問題を解決しよう。布団に飛び込む子どもを引きずりだして、ベッドの上に置く。不満そうなシナが口を開く。

「何じゃ? もう夜じゃぞ! 眠るのじゃ!」
「眠る前に一言だけ喋らせて下さい」
「早く寝るのじゃ! 明日は早いぞ!」
「誤魔化したってバレバレですよ。あなたは夜中に何をしているのですか? ハッキリと答えて下さい」

 僕の言葉を聞いて、シナが顔を逸らす。それを見て、ライさんが教えてくれる。

「もしや、ご主人。気付いておられなかったのですかな? 流石にそろそろ気づいておられるのかと思っていましたが……。その小童は寝ながらにして、ご主人の魔力を奪い続けていたのですぞ」

 何で教えてくれなかったの!? ショックを受ける僕。しかも、日課みたいな言い方だ。日常茶飯事、シナは僕の魔力を奪い続けていたのか……。シナが詫びるような顔で僕を見上げる。

「初めは冗談だったのじゃが……。ハルトの魔力があまりにも美味なので。ついついな……」
「僕の魔力は夜食ですか?」
「そういってもな。この世界は、食べ物に含まれる魔力が少ないのじゃ。元々、魔界の食べ物には魔力がたくさん含まれておったのじゃが。神が魔界を廃墟にしてしまったので、そういった食べ物がなくなってしもうた。じゃから、わらわも魔力不足でこんな姿になってしまい……」
「だからって、夜な夜な僕にキスをするのは止めて下さいよ。変な夢を見るなぁ~。と思っていたら、シナが原因でしたか。まったくもう……」

 僕の言葉を聞いて、急にシナの顔が溌剌とする。なぜ? 疑問を感じた直後、シナが僕に飛びついてくる。僕にキスをして、大人に変身だ。ちょっと! 僕が注意をする前に、シナが僕に話し出す。

「何じゃ、昼なら良かったのか。では、今度からは昼にするぞ」
「どうしてそうなるのですか!? 大体、今は夜ですよ!」
「よいのじゃ! ハルトはわらわの物じゃから、わらわの自由じゃ!」
「そんなわけがないでしょ!?」

 大騒ぎをする僕達を無視して、ライさんが眠っている。じゃれ合いと誤解されているらしい。シナが僕に抱きついて、僕と自分の唇を重ねる。しばらく経って、顔を離す。うっとりとした顔で僕を見る。

「やっぱりハルトの魔力は美味なのじゃ~」

 こうして眠るわけだけど……。流石の僕も眠れない。何せ僕の前には可愛らしい女の子。子どもじゃないその姿を見ていると眠れそうにない。最初のうちは、地面で寝ようと思っていたのだけれども、シナが僕から離れないため。結局、こういう形になった。

 明日からは別々の部屋で暮らそうか? そう思うけど、きっとシナが許さないだろうな。こんなことなら知らない方が良かったかもしれない。謎を解いてしまったがために、難題が降り注いできた。

 もの凄く近い……。本当に目前だ。シナの寝息が聞こえてくる。よし、逃げ出すなら今か? そんなことを考えていたら、シナの目が開いた。僕と目が合い、手を伸ばしてくる。そのまま僕に抱きついて、身体を摺り寄せてくる。あー! 赤面する僕。

 僕の心臓が高鳴る。子どもの時は何も思わなかったけれど、何でこんな……。硬直する僕をよそに、またもやシナが僕にキスだ。もう止めて……お願い。炎上する僕に向いて、シナが一言。

「何じゃ? ハルト? わらわに惚れたか?」

 惚れてなくても、恥ずかしい。こんな状況に耐えられるはずがない。シナから離れて、反対を向く。せめて顔を見ないようにしよう。後ろから抱きついてくる気配を感じるけれど、これは子どもだと思いこみながら目を瞑る。

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