ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
不思議な夢〈その3〉
 七月十一日

 僕がスヤスヤ眠りについていたら、案の定、唇に違和感。フッと目を開け、その子を見る。そう、この子だ……。さぁ、起きないと。と言ったものの、本当に身体が動かない。起きないと、起きないと、起きないと。頭の中で何度も繰り返す。

 起きろー! 今日だけでいい。明日はいらない。わかっているのに起きられない。眠さにとことん弱い僕。こんなことなら、ライさんに頼んでおくべきだった。

 女の子が僕の顔に手を伸ばす。そのまま自分の顔を近づけてきて、僕に無理やりキスをする。身体に力の入らない僕は、この子の獲物だ。逃げることも許されずに、長く甘いキスが続く。

 あまりにキスが長すぎて、身体が熱くなってくる。ふぇ……もう止めて。ぼんやりとしながらも、せめて眠らないようにと全力で目を開ける僕。女の子が僕から口を離して、僕に抱きついてくる。聞こえてくる、その子の寝言。

「美味じゃ~」

 起きよう……。この声で決意する。女の子を自分から離して、ゆっくりと上体を起こす。虚ろな状態でベッドから立ち上がり、電気を付ける。早く立たないと二度寝をしてしまいそうだ。ここで眠れば気持ちがいいだろうな。わかっていながらも、とにかく起きる。

 ライさんには悪いけど、許してもらおう。電気を付けた部屋に、現実が押し寄せてくる。ベッドに近づき、布団をめくる。中には女の子……シナの姿がない。どういうことですか? 女の子を揺さぶり起こす。

「ちょっと説明してもらえませんか?」
「ん……眠いのじゃ」
「シナ! 起きて下さい!」
「うるさいのじゃ! 眠いのじゃ! 今は嫌じゃ!」

 文句を言って、布団に潜る女の子。駄目だな……。本当に起きそうにない。とりあえず、今の状況を覚えておこう。このまま無理やり尋問してもいいのだけど、それだとライさんに迷惑を掛けてしまう。今は眠っているけれど、あまり騒ぐと目覚めそうだ。

 電気を消して、ベッドの前に立つ。僕はどうすればいいのですか? 眠る場所がなくなった。子どもでない女の子がベッドで眠っているのに、どうして僕が乱入できるのか? 

 色々と考えて、最終手段だ。押し入れから毛布を取り出し、それをかぶって地面に寝転ぶ。昔からいつでもどこでも爆睡できる、この体質は案外に役に立つ。野宿だって可能だろう。今の僕なら、ファンタジーな冒険物語に参加できるかもしれない。



 夜中の出来事があり、朝になる。十二時に起床。シナとライさんの姿がない。出かけたのだろうか? ベッドの横に起き手紙。手に取り読んでみると、ライさんからだ。長々と丁寧な文がつづられている。一言で要約すれば、『遊びに行ってきます』ということだろう。

 仕方ない、問い詰めは今夜にするか。まぁ、急ぐことでもないし。欠伸をしながら、服を着替えて、外に向かう。お腹すいたな……。コンビニにオニギリでも買いに行くか。

 呆けながらコンビニに向かう。いつもなら、ライさんが行ってくれるのだけど。今回ばかりは仕方ない。まぁ、あまり甘え過ぎるのもよくないし。少しくらいは自力で頑張ろう。

 コンビニに到着し、中に入ると知った顔を発見だ。エアさんが真顔でオニギリを選んでいる。僕も近づき、オニギリを選ぶ。すると声を掛けられた。

「何ダ? お前も買い物カ?」
「はい、昼食を買おうかと思いまして」
「食堂は使わないのカ?」
「立ち入り禁止区域なので」
「ラレスの奴はまだそんなくだらないことをしているのカ。バカな奴ダナ」

 エアさんが言いながら、オニギリを手に取る。鮭マヨ味……。僕は梅シソ味と、あさりしぐれ味だ。後は何にしようかな? まずはお茶を選んで。おかずは……あ、これ美味しそうだ。手作りの唐揚げ。これにしよう。それと野菜を食べないと……。

 僕が昼食を選んでいると、エアさんが話し掛けてくる。

「お前、そんなに買うのカ?」
「多いですか? 僕的にはエアさんの方が少なすぎると思いますが……」

 エアさんが持っているのは、さっき選んだオニギリとお茶、それだけだ。お昼にそれは少ない気がする。まぁ、女の子だし神様だから、そんなに食事が必要ないのかもしれないけれど……。エアさんが僕に言う。

「食事なんてしなくても死にはしないからナ。無駄な出費はなるべく控えているんダ」

 まぁ、そうだろうな。僕も食べなくて済むのならそうしている。だけど、僕の場合は神様ではないのだ。食べないと死ぬ……多分。自信はない。バグってしまっているので、もしかしたら死なないかもしれないけれど。

 未来さんの予想だと、今後の僕は年齢一定。高校生のまま成長しないらしい。まぁ、これもバグのなせる技だ。嬉しいような悲しいような。要するに神様と殆ど変らない。寿命がないってある意味恐ろしいとは思うけれど……。

 エアさんと別れて、中庭に向かう。こういったお弁当系のご飯を食べる場所はいつも中庭だ。夕食はジジイと共に、食堂へ行くけれど。朝食や昼食は中庭で食べることが多い。まれに自室で食べるけど……本当にそれくらいだ。

「人間止めま」が面白ければ、投票お願いします。



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。