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クリスマス〈その5〉
 大広間の中では騒がしい声が広がっている。キャイキャイと騒ぐ女の子達。それに混じって、叫び声や怒鳴り声。気に入らない衣装を選んでしまい怒っている人達もいるのだろう。怒鳴り声の方に目を向けると、案の定な人を発見。ラレスさんだ……。顔を赤らめながら、不愉快そうに騒いでいる。

「何であたしがこんな服を着なきゃいけないわけ!?」
「よく似合ってるぞ」

 答えるのはカルナさん。カルナさんも良く似合っている。というのも、カルナさんは……柔道着。近づいたら、絞め技を食らいそうだ。一方、騒ぎ散らすラレスさんは……スクール水着、もちろん女性物。うわぁ……僕が絶対に選びたくなかった服の一つだ。まぁ、ラレスさんは女の子だからおかしくもないけれど……。

 僕が遠くから哀れんで眺めていると、カルナさんがラレスさんに口を開く。

「まぁ、男物じゃなくてよかったじゃないか。さすがに、男物だったなら、私も同情するがな」
「うっ……確かに。でも、これだって酷い物よ! 大体、あの黒コートはどこに行ったのよ? 見つけたら、ただじゃおかないわ!」
「何を騒いでるの? ラレスちゃん?」

 急に登場したのは未来さん。狭間から飛んできたみたい。未来さんの出現にラレスさんが怒り狂う。

「これはどういう事なのよ!? 何でこんなコスプレみたいな格好をしなきゃいけないわけ!?」
「だって、コスプレ大会だし。まぁ、いいじゃん。部屋に暖房はかかってるんだから。風邪は引かないよ」
「そういう問題じゃないわよ! 大体、あんたはどうなのよ!? あんただって、余ってるプレゼントから選びなさいよ!」
「俺はサントナしてるじゃん。これで十分でしょ?」

 二人のいがみ合い。話に入るのは怖いから、そっと離れてしまおう。音を消しながら、その場を移動。次にエアさんとユムアさんを発見する。ユムアさんに向かって話しかける。

「ユムアさん……何だかえらくお似合いですね。その衣装……」

 何て言うのかな? ゴスロリっていうの? それにしても、何だか本当に似合っている。僕の言葉を聞いて、ユムアさんが顔を赤らめる。

「そ……そうかな? 私は結構……こういうの好きだから。似合ってるって言われると、何だか嬉しいな」
「僕のなんて男物ダゾ。しかも、小物まで付いていたからナ」

 エアさんが上着の内ポケットから取り出したのは、警察手帳。それを見て、僕が言う。

「エア警部! お疲れ様です!」
「お前なぁ……」

 エアさんに白い目で見られた。何で? このノリならこう言うのが普通でしょ? そんな事を考えていたら、ライさんが口を開く。

「警部なら部下が必要ですな。この中から警察関係の者を探さないと」
「それは面白そうダナ。これだけ人数がいるんダ。探したら出てくる可能性はある」

 笑うエアさん。結構、ノリノリだ。そんな中、突然にエアさんの隣に出現したのは複製の僕。以前に作ったお札はエアさんが所持していたらしい。雪まつりの時に知ったけど、何だか研究に使っているそうなので。返してもらう事もなく、エアさんに預けっぱなし。

 だけど、日に日に手に負えなくなってきているらしい……。まぁ、この勝手な出現を見ると理解できるだろう。独自でお札が進化して、今じゃあ僕よりやんちゃ者かもしれない。まぁ、自分が複製だと知って、縛りが消えたからだろうな。僕だって、自分が偽者だと知ったなら、やんちゃしてみたくもなると思う。

 偽僕が口を開く。

「何だか面白そうな事をしているじゃないですか。僕も仲間に入れて下さい」
「こら! お前、勝手に出てくるなって言ってるダロ!? どうして僕の言う事が聞けないんダ?」

 エアさんが偽僕を叱りつける。もっと叱ってやれ。そうしないと言う事を聞かないだろうから。偽僕が膨れながら話しだす。

「だって、エアさん……。自室でしか僕を召喚してくれないじゃないですか。いくら複製でも、僕だって皆と遊びたいです」
「だからって、勝手に出現するのはルール違反だゾ」
「そんな事を言って……。本当は僕を一人占めしたいだけなんじゃないですか?」

 偽僕が不適な笑みを浮かべながら、エアさんに抱きつく。そして、赤面しながらエアさんが大声を出す。

「こら! 止めろ! 恥ずかしいダロ!」
「いいじゃないですか。僕だって暇で堪らないのです。少しくらい構って下さいよ」
「後で構ってやるから、今は止せヨ!」

 エアさんが必死の抵抗。あの最高傑作だったお札がどうしてこんな事に? やっぱり消耗品だったのか? 何だか少しズレてきている。僕が偽僕に注意する。

「余り無茶をしないで下さいね。僕の人格が問われるので……」
「別にいいじゃないですか。大杉さんはあなたに託しますので、エアさんは僕にください」
「…………」

 う~ん、ちょっと考える。それを承諾するなら、ライバルが一人減るよな。思わず、『はい、わかりました』って答えてしまいそう。黙る僕の前では、エアさんにちょっかいを出す偽僕。そんな偽僕を見て、ユムアさんが僕に向く。

「ハルトさん! お願いがあるのだけど……。私にもお札を作って!」
「えぇ!? いきなりどうしたのですか?」
「最初で最後のお願いだから!」
「お願いされても……。あのお札を作るのは本当に大変なのですよ。停止空間で作ったから、現実時間は一時間かそこらでしたけど。実際には一年以上も費やしています。残念ですけど、もう二度と作りたいとは思いません……。許して下さい」
「ハルトさんのいじわるー!」

 そう言って、ユムアさんが僕の胸ぐらを掴んで振りまわす。どうしたの!? ユムアさんが変だ! ギャーギャーと僕達が騒いでいたら、遠くから悲鳴が……。そちらに目を向ける。そこにいるのは見てはいけないもの……。

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