雨の中で〈その2〉
自室に戻って、お風呂に入る。シナやフィン、ライさんは先に食堂にでも行っているのだろう。姿が見えない。だから、今のうちにのんびりしよう。シナとフィンが帰ってきたら、大騒動だ。小悪魔達が来る前に、ゆったりのんびり爆睡モードに入らないと……。
そういうわけで、湯船に入って疲れを癒す。ふわぁ~……気持ちいい……。特に、運動後、ちょい寝不足が、気持ちよさを倍増させる。僕がうっとりしていたら、急に風呂場の扉が開く。それを見て、騒ぐ僕。
「うわぁー!? だ、だ、だ、誰!? 誰なの!? 誰です!? 何なのですか!?」
「ただいま帰還しました。未来でーす」
ブイサインをしながら登場したのは未来さん……。何なの、この人? 人がお風呂に入っている最中に乱入してくるなんて。モラルがないにも程があるだろ? 浴槽から未来さんに向けて口を開く。
「ちょっと……人のお風呂を覗かないで下さいよ」
「せっかく帰って来たんだし。挨拶くらいしようと思ってね」
「だからって……」
「まぁ、いいじゃない。それより、ユムアちゃんが不機嫌そうだったけど。何かあったの?」
うぇ……やっぱり怒っているのかな? ユムアさん……。だけど、どうして? よくよく考えたら、怒られる筋合いないよね? だって、ユムアさんと付き合っているわけでもないのだから……。
もしも、大杉さんに怒られたとしても、別に付き合っているわけじゃないし。告白したわけじゃないから、大丈夫……。これは流石に言い訳かな?
まぁ、何だかんだ言いながら、罪悪感に責められているから。悪い事をしたのだろう。後で謝りに行こうと心に思う。不意に気になる事、未来さんに問いかける。
「それにしても、未来さん。どうして帰ってきたのですか?」
「どうしてって? ハルトが心配だからだよ」
「…………」
絶対に嘘だ。そんなはずがない。この人は他人の不幸を見て笑うような人だ。僕の心配をしてくれているとは思えない。何が原因だろう? 僕が考えていると、ひょっこり現れる二人目の人物。
「おい、ハルト。ジジイが呼んでいるぞ。今度の神様総会についての話だそうだ。お前も一緒に来るか、問いかけるつもりだろう。暇なら行けばいいと思うが、無理して行くような所ではないな。シナとフィンは止めておけ。他の者に迷惑が掛るからな」
「っていうか、カルナさん!? 入ってこないで下さいよ! ここ、お風呂場ですけど!?」
「別に構わないだろ。減る物でもないし」
「僕のプライドがすり減ります!」
怒鳴って、叫んで。できる限り身体を浴槽に沈める。もうヤダ……。恥ずかしさと熱さで赤面する僕。その前では、未来さんとカルナさんが世間話だ。話が終わったなら、向こうへ行ってよ! もちろん、今すぐ口にする。
「あの……お二人共、少し向こうへ行ってくれませんか? お話は別の場所で……」
「神様総会って、誰でも参加可能なの?」と未来さん。
「あぁ、騒がなければ誰が行っても構わない。まぁ、面白い物ではないがな。最近では、神天界と神地界の口争いが酷くて。関係のない者にとってはいい迷惑になっている」
カルナさんが続ける。僕の話は無視? 蒸し風呂じゃなくて、無視風呂? いや、もうダブルでムシ風呂だ。熱いし、話を聞いて! 僕の願いもむなしく、二人の話が盛り上がる。いくら僕が騒いでも、なかなか話を聞いてくれない。
熱い……アツい……あつい。あつ……い。頭が痛くなってくる。とりあえず、現実逃避。神天界と神地界って……確か、神様組合の名前だったよね? 二つは仲が非常に悪いらしいけど……。それくらいしか知らない。
はぁ……のぼせてきた。未来さんとカルナさん……まだ喋ってる。早く向こうに行ってほしい。しんどい……熱い。頭がクラクラしてくる。目眩……。まだ終わらないの? いい加減にしてよ。
苦し紛れに目を瞑る。もう寝てしまえ……眠れば楽になるさ。そのまま……フッ……と意識が……消え…………。
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