ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
プレゼント〈ニート編〉
 コーヒーをすすりながら、隣に目を向ける。俺の隣には、熟睡中の未来。最近は余りにも暇なためか、真面目に仕事をしているらしい。おかげで未来の家族が心配していた。仕事をして心配されるのだ。こいつは普段からどれほど遊び呆けているのか?

 未来が熟睡し、俺が読書をしていたら。案の定、ハルトのお出ましだ。欠伸をしながら現れて、いつもの席に着く。そのまま俺に問いかける。

「お久しぶりです、ニートさん。普段から顔を見ないと忘れそうになりますね」
「一昨日、会っただろ?」
「あれ? そうでしたっけ?」
「おいおい、マジで忘れていたのか?」
「ニートさんは存在感が薄いので、隣に居ても気づかない時があるのですよ」
「…………」

 かなり会話をしていた記憶があるのだが……それでも俺の存在感は薄いと言い張るのか? 嫌な主人公だ。伸びをしながら、ハルトが未来を見る。

「未来さんに聞きたい事があるのに。お休みですか?」
「仕事疲れで熟睡中だそうだ」
「仕事疲れ!? 未来さんが!?」

 目を丸くするハルト。ありえない物を見るような視線を未来に向ける。やはり未来は遊び人というイメージが強いらしい。ハルトが未来に近づいて、耳元で囁く。

「未来さん、あなたが犯人ですか?」
「ん~……」
「未来さん、あなたが犯人ですね?」
「んるさい。もう、後にして……」

 寝返りを打って、ハルトから遠ざかる未来。ハルトが後ろを追っかけて、未来にちょっかいを出す。最後は未来がマジ切れだ。ハルトに向かって、怒鳴り散らす。

「うるさい、言ってんだろうが! 静かにしろよ! くそったれ、バカ!」
「ん~……」

 ハルトがしょげて、未来が眠る。和やかな師弟の戯れを眺めながら、俺がハルトに問いかける。

「それで今日は何かネタ持ちか?」
「ネタですか? まぁ、印象に残っているネタと言えば……大杉さんの家に泊まってきました」
「知ってる」
「…………」

 俺の言葉を聞いて。ハルトが膨れながら、顔を赤らめる。今回の主人公は理解度が高い分、気を使わなくていいから楽だ。不愉快そうに寝転んで、小声で俺に文句を言う。

「ニートさんの本はズルイです。勝手に人の生活を覗き見るなんて……犯罪ですよ」
「これがないと本の神様が成り立たないんだ。許してくれ」
「ん~、わかりました。許すから僕にもその本を貸して下さい」
「嫌だ」
「…………」

 主人公がこの本を読んだなら、全てが終わってしまうではないか。ゲームプレイヤーに攻略本はわたせない。攻略本に目を向けて許されるのは、隣でゲームを眺めている見物人だけである。ハルトが拗ねながら、俺を突く。

「見たいです。見せて下さい。僕だって、皆の情報を知りたいです」
「そんな事をする暇があったら、向こうへ行ってストーリーを進めてくれ」
「え~」

 寝転びながら、ブーイング。コロコロと転がり、落ちている抱きマクラを拾って、更に転がる。鬱陶しい主人公に目を向けながら、コーヒーを口に含む俺。何か面白事はないだろうか?

 未来もハルトもネタが尽きているだろう。しいていうのなら、俺がネタ持ちだ。ハルトに大杉の家で起きた例の事件を詳しく説明したならば、ハルトが大杉に会う事は二度となくなる。もちろん、黙っているけどな。言えるわけがないだろ。言ったら、大杉に怒られるし、ハルトが精神不安定に陥りそうだ。そんな怖い展開はゴメンである。

 そういうわけで、暇だ暇だと喚きながら。主人公と共に転がりまわる。あ~、暇だ。面白い事はないだろうか? そんな中、やってきたのは未来の父親、ディアスさん。と、未来の弟、アレギア……又の名を、江川先生。

 ディアスさんがハルトに目を向け、眉間にしわを寄せる。ハルトは二人を目にして、超笑顔だ。起き上がって、二人にアピールする。

「皆さん、お暇でしたら、麻雀をしましょう! 麻雀!」
「え~、君と……?」とディアスさん。
「未来さんが寝ているので。僕とニートさんと江川先生とディアスさんで遊びましょう」
「…………」

 もの凄く不愉快そうな顔をするディアスさん。何せハルトと麻雀をしたら、金が飛ぶ。俺だって嫌だ。こいつにいくらカモられたと思っているんだ? 俺が一番金を出しているんだぞ。俺とディアスさんが不満オーラを出していると、江川先生が乱入だ。

「お金を賭けないのならいいけど」
「え~、お金を賭けないと盛り上がらないですよ~」
「博打はあまりよくないよ。深入りすると、ろくな事にならないからね」
「そうですか……?」
「だって、俺が本気になるから」

 爽やかスマイルの江川先生。っていうか、そういう問題だったの? まぁ、確かに俺にとっちゃあ問題だ。麻雀に強いハルトに、天才の江川先生が加わってみろ。俺は今日から野宿決定だ。二人に金を奪いつくされる。

 賭けなし麻雀ということで、素早く用意をする俺。とにかく、賭けなしという状況を維持しなければ……。この基盤が崩れたら、俺の人生も総落ちだ。ヒヤヒヤしながら、配牌を見る。賭けあり麻雀並に緊張しているのは、多分俺だけであろう。

 ふと顔を上げると、ハルトと江川先生から不気味なオーラが……。成る程、こいつらは賭けありだろうと賭けなしだろうと関係ないようだ。我が身のプライドのために本気を出してくるに違いない。

 今日くらいは頑張ろう。思った直後に当てられる。ハルトと江川先生から、二人でダブロン。もう嫌だ……。しおしおめげてもしかたない。元々勝ち目なんてないのだから。まぁ、暇つぶしにはもってこいだがな。

「人間止めま」が面白ければ、投票お願いします。



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。